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俺、無双
俺、強え!
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例の丘に移動し。
改めて俺の魔法のご披露。
すっかり仲間になってくれた貴族のおっちゃんたちはワクワクしながら俺に注目してる。
キラキラの目をしてて、ちょっと可愛い。
「ちかよるとあぶないですのでーーー!!ちょっとはなれててねーーー!!
しんぞうはだいじょうぶー?よわいひとはみないでねー!
いっくよおおおお!!」
俺は手を高々と上げ、例のセリフを叫んだ!!
「出でよ!雷!
サンダーボルト!!」
ドッカアアアアアン!!!
ぷすーぷすー。
やった!みんなに被害がない場所にピンポイントでデカいの落とせた!
俺、上手!雷の達人!!
どう?どう?と振り返ると。
無。
そこにあるのは、無。
おっちゃんたち、光の消えた目をして、顎をガクンと落として無になっておる。
ゲイルは「あちゃー」と頭を抱え、王様たちは苦笑。
エリアス爆笑。腹を折って大喜び。
え?当たってないでしょ?どうした?!
一番頑丈そうな成金に駆け寄り肩をゆする。
「なりきん、だいじょうぶ?」
はっとしたように蘇る成金。
さすが成金!信じてたぞ、神経ミスリルだって!
「さ、さふぃさま…あれは…あれは…なんですか?
神の裁きでしょうか?」
蘇ったはいいが、表情はこわばり、はっきりいってガクブル状態。
おい!おっさん!成金の癖に!
俺は優しいので、丁寧に安心させてあげた。
「だいじょうぶ。神はかんけいないですので。
オレの魔法。かみなりの魔法なのです!サンダーボルト!カッコいいでしょ!
さいだいのにしたら、てきをせん滅できる。たぶんだけど。
オレ、がんばってみんなのことを守りますので。あんしんしてくだされ!」
俺、強えですからね!ドヤアアアア!!
これこれ!!これがやりたかったのよおおおう!!!
俺強え!ドヤアアアアア!!
異世界でやっておきたいナンバーワンをかましてご機嫌の俺。
いっぽう、成金はといえば…
「は…はは…は…。まさか…さふぃさまの…魔法。ははは…。はは…ふははははははは!!
なんと、なんと!聖獣だけでなく、ご自身のお力もまたすさまじい!
お可愛らしいだけでなく、大変お強くあられますな、サフィ様!
素晴らしい!まさに聖女!」
ワハワハ言いながら、俺を抱き上げてくるくると回り出した。
成金、ご乱心!
するとどうしたことでしょう!
周りの貴族たちまでご乱心めされたではありませんか!
「はは…ははははは!」
「ふ、ふは、ふははははは!!」
「なんと素晴らしい!!」
「我らが聖女様は最強ではありませんか!!」
無だった貴族たちも蘇り、ハハハと笑いながらオレを担いでわっしょいわっしょい!
わっしょいわっしょい!
ぽーん、ぽーん!
影声に合わせて勢いよく宙に飛ばされる俺。
「さ、サフィ!大丈夫か!」
そんな俺の周りを、俺を受け止めるタイミングを失い、両手を伸ばしてワタワタうろちょろしているゲイル。
うひゃ!
うひゃひゃひゃ!!
たかいたかーい!!
俺がキャッキャと喜ぶもんだからおっちゃんたちも張り切って、わっしょいわっしょい!ぽーんぽん!
ぽーーーん!!
「あああああっ!!」
勢いあまって投げ飛ばされた俺!
ぴゅーん
ぽすん。
「危ないよ、サフィ」
無事にお兄様の腕の中へ。お兄様あああ!
ちょっと俺の心臓、どきどきしてる。
これってつり橋効果?それとも…。
お兄様は俺をしっかりと抱きしめたまま、貴族たちを厳しく叱責。
「みな、サフィを危ない目にはあわせぬように!」
しょんぼりする貴族たち。
するとお兄様は少し声をゆるめてこう続けた。
「サフィは聖女としてのみならず、私にとってとても大切な子なのだ」
言いながら、俺のおでこにチュ!
きゃああああああ!!
「こら!うちの息子をかえせ!このエロ王子が!」
べりっ!
ゲイルがふけーを言いながら俺をお兄様から奪い返した。
ゲイル抱っこ、落ち着くううう。ふんすふんす。
「サフィは嗅ぐな。俺はいま汗くせーから」
うんん。いつも通りのいい匂い。
パンパンパン!!
カオスになったところで、王様が大きく手を打った。
「みな、静かにせよ!」
「はっ!」
おおお!途端に貴族の顔になるおっちゃんたち。
素敵。
「みなもサフィラスの素晴らしさについては充分理解したことだろう」
「はっ!勿論でございます!」
「サフィ様の幸せが我らの幸せ!」
「聖女が幸せを運ぶというのも納得致しました!我らのようなものに、このような癒しがあろうとは…」
「幼く無邪気でありながら、したたかで逞しい。
愛らしくありながらも、恐ろしい。可愛らしいのに、誰よりもお強い。サフィ様のような方はおりませぬ。
我々のような者が遠慮なく愛で、可愛いがれる。それがどんなに有難いことか…」
な、なんか小っ恥ずかしいことを言い出したっ!
「サフィ様を守り隊」みたいになってる!何故?!
そこまでメロメロしなくていいの。
ゆーかい監禁しないでくれたらいいだけなのですが!
おかしな方向に進むおっちゃん達をお兄様が纏めた。
「理解してくれたようで私も嬉しい。
サフィは私が兄として守る約束をしている。今は『兄』として約束を果たすつもりだ。
そのことをあなた方も念頭に置いて行動してくれ」
「はっ!」「承知致しました!」
こうしてお披露目会は大成功に終わった。
俺は無事に高位貴族のおっちゃん達をメロメロにし、
おっちゃんたちは、聖女と聖獣の後ろ盾となった王家と共に聖女を支えるのだと一致団結。
国はガッツリと1つに纏まった。
俺は強えと知れ渡ったので、安心して自由にあちこちできるようになった。
よきよき。
誤算は。
うまくいきすぎたこと!
おっちゃん達が用もないのに訪ねてくる!
土産を持参してくるから、文句も言いにくいっ!
珍しい菓子やら、ぬいぐるみやら、なんやらかんやら。
まるで孫のように可愛がってくれる。
嬉しいけど!
有難いけれども!
ゲイルが「俺との時間が減る」とプンスコだし、お兄様が「私が1番だよね?」と張り合って困る。
エリアスは、平気。
おっちゃん達に混じって「アハハ」と笑ってる。
結局、遊べる日は土曜日と日曜日と決めて、制限をかけました。
その「サフィちゃん遊び枠」の取り合いは苛烈を極めてるらしい。しらんけど。
仲良く話し合いで決めてね!交代っこだよ!
改めて俺の魔法のご披露。
すっかり仲間になってくれた貴族のおっちゃんたちはワクワクしながら俺に注目してる。
キラキラの目をしてて、ちょっと可愛い。
「ちかよるとあぶないですのでーーー!!ちょっとはなれててねーーー!!
しんぞうはだいじょうぶー?よわいひとはみないでねー!
いっくよおおおお!!」
俺は手を高々と上げ、例のセリフを叫んだ!!
「出でよ!雷!
サンダーボルト!!」
ドッカアアアアアン!!!
ぷすーぷすー。
やった!みんなに被害がない場所にピンポイントでデカいの落とせた!
俺、上手!雷の達人!!
どう?どう?と振り返ると。
無。
そこにあるのは、無。
おっちゃんたち、光の消えた目をして、顎をガクンと落として無になっておる。
ゲイルは「あちゃー」と頭を抱え、王様たちは苦笑。
エリアス爆笑。腹を折って大喜び。
え?当たってないでしょ?どうした?!
一番頑丈そうな成金に駆け寄り肩をゆする。
「なりきん、だいじょうぶ?」
はっとしたように蘇る成金。
さすが成金!信じてたぞ、神経ミスリルだって!
「さ、さふぃさま…あれは…あれは…なんですか?
神の裁きでしょうか?」
蘇ったはいいが、表情はこわばり、はっきりいってガクブル状態。
おい!おっさん!成金の癖に!
俺は優しいので、丁寧に安心させてあげた。
「だいじょうぶ。神はかんけいないですので。
オレの魔法。かみなりの魔法なのです!サンダーボルト!カッコいいでしょ!
さいだいのにしたら、てきをせん滅できる。たぶんだけど。
オレ、がんばってみんなのことを守りますので。あんしんしてくだされ!」
俺、強えですからね!ドヤアアアア!!
これこれ!!これがやりたかったのよおおおう!!!
俺強え!ドヤアアアアア!!
異世界でやっておきたいナンバーワンをかましてご機嫌の俺。
いっぽう、成金はといえば…
「は…はは…は…。まさか…さふぃさまの…魔法。ははは…。はは…ふははははははは!!
なんと、なんと!聖獣だけでなく、ご自身のお力もまたすさまじい!
お可愛らしいだけでなく、大変お強くあられますな、サフィ様!
素晴らしい!まさに聖女!」
ワハワハ言いながら、俺を抱き上げてくるくると回り出した。
成金、ご乱心!
するとどうしたことでしょう!
周りの貴族たちまでご乱心めされたではありませんか!
「はは…ははははは!」
「ふ、ふは、ふははははは!!」
「なんと素晴らしい!!」
「我らが聖女様は最強ではありませんか!!」
無だった貴族たちも蘇り、ハハハと笑いながらオレを担いでわっしょいわっしょい!
わっしょいわっしょい!
ぽーん、ぽーん!
影声に合わせて勢いよく宙に飛ばされる俺。
「さ、サフィ!大丈夫か!」
そんな俺の周りを、俺を受け止めるタイミングを失い、両手を伸ばしてワタワタうろちょろしているゲイル。
うひゃ!
うひゃひゃひゃ!!
たかいたかーい!!
俺がキャッキャと喜ぶもんだからおっちゃんたちも張り切って、わっしょいわっしょい!ぽーんぽん!
ぽーーーん!!
「あああああっ!!」
勢いあまって投げ飛ばされた俺!
ぴゅーん
ぽすん。
「危ないよ、サフィ」
無事にお兄様の腕の中へ。お兄様あああ!
ちょっと俺の心臓、どきどきしてる。
これってつり橋効果?それとも…。
お兄様は俺をしっかりと抱きしめたまま、貴族たちを厳しく叱責。
「みな、サフィを危ない目にはあわせぬように!」
しょんぼりする貴族たち。
するとお兄様は少し声をゆるめてこう続けた。
「サフィは聖女としてのみならず、私にとってとても大切な子なのだ」
言いながら、俺のおでこにチュ!
きゃああああああ!!
「こら!うちの息子をかえせ!このエロ王子が!」
べりっ!
ゲイルがふけーを言いながら俺をお兄様から奪い返した。
ゲイル抱っこ、落ち着くううう。ふんすふんす。
「サフィは嗅ぐな。俺はいま汗くせーから」
うんん。いつも通りのいい匂い。
パンパンパン!!
カオスになったところで、王様が大きく手を打った。
「みな、静かにせよ!」
「はっ!」
おおお!途端に貴族の顔になるおっちゃんたち。
素敵。
「みなもサフィラスの素晴らしさについては充分理解したことだろう」
「はっ!勿論でございます!」
「サフィ様の幸せが我らの幸せ!」
「聖女が幸せを運ぶというのも納得致しました!我らのようなものに、このような癒しがあろうとは…」
「幼く無邪気でありながら、したたかで逞しい。
愛らしくありながらも、恐ろしい。可愛らしいのに、誰よりもお強い。サフィ様のような方はおりませぬ。
我々のような者が遠慮なく愛で、可愛いがれる。それがどんなに有難いことか…」
な、なんか小っ恥ずかしいことを言い出したっ!
「サフィ様を守り隊」みたいになってる!何故?!
そこまでメロメロしなくていいの。
ゆーかい監禁しないでくれたらいいだけなのですが!
おかしな方向に進むおっちゃん達をお兄様が纏めた。
「理解してくれたようで私も嬉しい。
サフィは私が兄として守る約束をしている。今は『兄』として約束を果たすつもりだ。
そのことをあなた方も念頭に置いて行動してくれ」
「はっ!」「承知致しました!」
こうしてお披露目会は大成功に終わった。
俺は無事に高位貴族のおっちゃん達をメロメロにし、
おっちゃんたちは、聖女と聖獣の後ろ盾となった王家と共に聖女を支えるのだと一致団結。
国はガッツリと1つに纏まった。
俺は強えと知れ渡ったので、安心して自由にあちこちできるようになった。
よきよき。
誤算は。
うまくいきすぎたこと!
おっちゃん達が用もないのに訪ねてくる!
土産を持参してくるから、文句も言いにくいっ!
珍しい菓子やら、ぬいぐるみやら、なんやらかんやら。
まるで孫のように可愛がってくれる。
嬉しいけど!
有難いけれども!
ゲイルが「俺との時間が減る」とプンスコだし、お兄様が「私が1番だよね?」と張り合って困る。
エリアスは、平気。
おっちゃん達に混じって「アハハ」と笑ってる。
結局、遊べる日は土曜日と日曜日と決めて、制限をかけました。
その「サフィちゃん遊び枠」の取り合いは苛烈を極めてるらしい。しらんけど。
仲良く話し合いで決めてね!交代っこだよ!
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