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俺、またしてもお披露目会?!

俺、ルーダにお願いされる

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戻ってからはとにかくとにかくエリアスのマナー講座と魔法訓練を必死にやって。
マナーはともかく、魔法訓練のほうは「待ってました!」なやつだったので、ついついのめりこんでしまった俺は…。

俺のレインボーで王城に毎週報告に行く、というお約束をすっかりわすれてしまっていたのでした。

だって、だってね!!
王様も王妃様も、高貴なご身分のくせしちゃって、王城のゲートで公務の間にせっせと顔を出してくれるようになっちゃったんだもん!!
側近だけにをつれて公爵家に前触れもなくふらっと現れては、

「どんなことができるようになったのかなあ?」

とお約束程度に報告を聞き、あとはひたすら俺を抱っこしてなでなで、ハスハスして、帰っていく。
その間15分!!
文字通り、公務の隙間をついてこそっとこっちにきちゃってるっぽい。
大丈夫なの王城?!

最初は大騒ぎになった使用人さんたちも、1週間もたてば「サフィ様ならお外にいらっしゃいますよー」「お飲み物はどうされますか?」って感じで王様や王妃様に当たり前になじんじゃった。
さすが、侯爵家から連れてきただけのことはある。規格外すぎる。
王様たちもふけーとか全然気にしなくって「この雑な扱い!ここは落ち着くのう…」なんて喜んじゃってる。
いやいやいや、王様?!
もしかして、ここで一番常識があるのは俺かもしれぬ。

ってわけで。王様と王妃様のほうがあまりにもちょくちょくこっちにきてるもんだから、「俺が王城に行く」ってのをすっかりわすれちゃってたんだ。
ごはん、運動、マナー講座、ごはん、魔法訓練、ごはん、寝る。
こんな規則正しい生活と合間に王様すりすりがあるから、けっこう毎日あっという間だったんだよねえ…。



何故俺がこんな言い訳を重ねているのかと言えば。
大切な人を忘れていたのです。
それは……お兄様!!!
公爵家出入り禁止にしちゃってたもんだから、お兄様だけはこっちに来れなかったんだった。
俺ってば、すっかり忘れてた!
お兄様、忙しいのかなー、なんて思いながらのんきに過ごしていたのです。
ご、ごめえええん!!!




なんでそれを思い出したかっていうと。
ルーダを呼んだときに、お願いされちゃったんだ。

「ところで、サフィ。レオンをどうにかしてくれぬか?
公務はこなしておるのだが、それ以外はすっかりしょげてしまってな。
毎日我にサフィがどうしたサフィがこうしたと、サフィに会えぬ辛さを語り続けておるのだ。
さすがに面倒…いや、可哀想で見てはおれぬ」

面倒っていっちゃってるし!
そうだった。ルーダはアップルパイにつられて今ミニサイズでお兄様と一緒にいるんだった。
尻尾を下げて心なしか毛のツヤも悪くなってる気がするルーダは、けっこうまいっちゃってるみたい。

忘れちゃってたのはごめんだけど、お兄様なにやっちゃってるのおおお?!

「おまけに『サフィの匂いがする』と言って毎晩我をぎゅうぎゅう抱きしめて寝るのだ」

いや、マジでなにやっちゃってるの?!
ルーダ、お兄様がほんっとーに申し訳ない!ご迷惑おかけしちゃってるみたいだね。すまん!!
確かにそれは面倒!失言しちゃってもしょうがない。
むしろ、ルーダよく我慢してつきあってくれてるよ。さすが年の功。



王様に確認してみたら

「うむ。実はここに来るたびに『私に公務を押し付けておいて、父上たちだけズルイ』とレオンがものすごい剣幕でな。手が付けられぬのよ…」

全く悪びれない。
王様けっこう来てるねって思ってたら、その分のお仕事をお兄様に押し付けてた!
お兄様ああああ!
ちょっとお兄様が可哀想で泣いた。王様…お仕事しよう!
王妃様!「私関係ないわよー」って顔しないの!関係あるでしょお!お兄様はあなたの大事な息子さんですよ!

俺はものものしく宣言した。

「おしごとさぼったおうさまたち、いっしゅうかんでいりきんし!」

2人とも一気に「がーん」となり「そ、そんなあ!」だの「ちょっとくらいならいいでしょ?!」だのごちゃごちゃ言っている。
俺はビシっと指を突きつけ、言った。

「おしごとしなさい!おさぼりはダメでしょ!」

パチパチパチ!
王様の護衛が「よくぞ言って下さいました!」と拍手してくれる。
ほおら!沢山の人に迷惑かけてた!
護衛さんたちも大変だったんだね。ごめんね気付かなくて。

しょんぼりしてしまった王様たちを順番こでハグしてあげる。
アメとムチ作戦である。
これでちょっとはお仕事さぼるのやめてくれますよおに!

確かに、王様たちはサボってるってほどじゃない。やるべきことはやる人だし。お兄様に任せた分も、お兄様ならこれくらは大丈夫という計算の上のことだろう。
15分とか10分とか短時間でシュンと戻っていくあたり、ほんとおに少しの隙間を活用してきてくれてるんだと思う。ありがたいことだけど。どうして俺にそこまで?!とも思うけど。
それだけ癒しが欲しくなってるんだろうなー。

だけどこれからタヌキさんたちをビシっとするんだからね。
その前に隙をみせないようにしなきゃ。

「ちゃんとがんばったら、とくだいのよしよししてあげますので。がんばりましょう!」

大サービスでほっぺにチュウもしてあげたら、王様たちは急にやる気になった。

「頑張るからな!ヨシヨシを忘れる出ないぞ!」

と名残惜しそうに俺に手をふりふりしながら帰っていった。

頑張ってね!



よし!あとはお兄様だ!
魔法もめどがついたし。マナーはもう焦ってもしょうがないし。
ある程度目途がついたから、ゲイルに相談してみよう。
お兄様!なるはやで行くから、待っててね!






俺は早速ゲイルに相談してみた。

「…というわけでね。おにいさま、かわいそうなことになってた。
みっかくらい、おうじょうにおとまりにいっていい?」

最初は「大げさな」と言っていたゲイルも、王様のくだりを聞いてさすがに同情的に。

「そうだな。確かに、サフィとベッタリのあげく、急に取り上げられたんだもんなあ…。
俺でも無理だわ」

腕を組んで「うーん」と唸っていたが、

「しょうがない。特別にサフィを貸し出してやるか。
でも、3日だけだぞ?それ以上は無しだ。
その代わりに、そろそろ出入り禁止を解禁にしてやったらどうだ?」

しぶしぶ同意してくれたのでした。

明日から行っていい代わりに、その日はゲイル抱っこで移動、ゲイルのお膝でごはん、ゲイル抱っこで就寝した。
もう!俺は癒しのお道具じゃないんだからね!
ダメな大人ばっかりで、俺ってば大変です。
抱っこもハグも嬉しいからいいんだけど!


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