上 下
126 / 264
俺、またしてもお披露目会?!

俺、ついにやりました!

しおりを挟む
あれからも俺は毎日頑張って訓練を続けた。

マナーの方は、大体いい感じ。だと思う。
エリアスのマナー講座は、たぶん一般的な貴族の教育とは違うと思うんだけど、かなり実践的な感じ。
貴族をメロメロにしちゃうやつ、試しにゲイルにやってみたら

「俺の息子、天使か!」

と床に崩れ落ちた。
効果てきめん。
その日は寝る前の絵本を3冊も読んでくれたし、いつもはダメっていう寝る前のおやつまでくれた。

翌日エリアスにそのことを言ったら、

「毎日一緒で耐性があるはずのゲイルでそれなら、耐性がない連中なら一発だね!」

だって!



魔法訓練の方も、毎日頑張った。
「ど・ら・いやー」までは結構順調だったんだけど、そこからがなかなかうまくいかなかったのだ。
雨ではなく雷が出るいわば「超まっくろくろ雲」にするには、もんのすごい速度で蒸気を上に集めなきゃならない。
そのスピードが、雨雲から先に進まなかったのである。
「いやー!!」の度合いによって、雨雲の大きさが大きくなったり小さくなったりするくらい。
あとは、雨の粒が大きくなったり小さくなったり。

しょんぼりする俺に、バイツー先生が必死でフォローしようとしてくれる。

「で、でもさ!雨を降らせるのだって、十分凄いと思うよ?
水魔法の第一人者のグランディール公爵家にだって、水流で押し流すとか、水の壁とか氷の矢を放つとかはあるけど。雨を降らせようって人はいなかったんじゃない?
ほ、ほら!それがあれば、畑に水を撒けるし!花壇に水やりとかできるし!
便利だよね!」

そうだけど!!確かに便利だけど!
干ばつとかの時にはぜひお役に立ちたいと思いますけれども!
今回俺がやりたいのは違うでしょおお⁈

「……あめでみんなに『ドヤア』できる?
ぼくつよいでしょ、ってできる?」

じとー、と先生を見上げると、先生はさりげなあく俺から目をそらした。

「えっと…。ドヤアってよくわからないけど……とってもお役にはたつんじゃないかなあ?」

この正直者めっ!
俺の目を見て同じこと言える?

俺は、俺の力をみんなに見せつけて「こいつヤベエぞ!誘拐とか無理!」「手を出すとか無理!」って思わせたいの!
聖獣がついてるからとか、王族が後ろ盾だからとか、ゲイルとか公爵とかの力でとか、そういうのだけでは嫌なの!
確かにそれはありがたいけれども。
俺は現金なので、もちろん利用できるものは絶賛利用させて頂くのですけれども。
「俺も」強くないといやなの。
だって、男の子ですからね!



俺は諦めない!ギリギリまで頑張る!
アニメとかで見た「出でよ!サンダーボルト!」の、あのカッコいい絵面がどうしても諦めきれない!

よし!
俺はもう「どらいやー」は捨てる!
俺がやりたいのは「どらいやー」ではない!サンダーボルトなのだ!!
最初からこうすべきだった!

「みんな、はなれて!!
けっこーとおくはなれて!!
おおきなやつやってみるから!」

俺の決意に満ちた顔に、みんな一斉にざざっと俺から離れていった。
決行必死な顔で。
転んでる人までいる。

「よーーーーーっし!
いくよおおおおおお!!!」

俺は両手を高々と上にあげ、叫びながら斜め前方に向かって勢いよく振り下ろした。

「いでよ!
サンダーボルト!!!」


ドギャアアアアアアアン!!!!
めきめきめきーーーーーっ!!
メラメラメラーーーー!!

ドガーン、と特大の雷が落ちたと思ったら、そのあたりの木がメリメリっと避け、メラメラと炎を上げて燃え出した!
ぎゃあああああ!!!
かじ!!かじだああああ!!


「あわわ!!
ど・ら・いやーーーーー!!!!
ど・ら・いやああああああ!!!」


どしゃあああああ!!
ざぶうううううう!!

ぷすぷすぷすー。






「………」
「……………」
「………あのね……サフィちゃん………やめておこうか?」
「………ちょっと……たくさん……きけんだった………」



歴戦の猛者のはずの護衛ズが、ギギギ、とブリキのロボットみたいな動きで俺を見た。

「………マサカ…キゾク…カイメツ……?」

いやだなあ!そんなわけないでしょお!
そんな生物兵器を見るみたいな目はやめてっ!!









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

【完結済】病弱な姉に婚約者を寝取られたので、我慢するのをやめる事にしました。

夜乃トバリ
恋愛
 シシュリカ・レーンには姉がいる。儚げで美しい姉――病弱で、家族に愛される姉、使用人に慕われる聖女のような姉がいる――。    優しい優しいエウリカは、私が家族に可愛がられそうになるとすぐに体調を崩す。  今までは、気のせいだと思っていた。あんな場面を見るまでは……。      ※他の作品と書き方が違います※  『メリヌの結末』と言う、おまけの話(補足)を追加しました。この後、当日中に『レウリオ』を投稿予定です。一時的に完結から外れますが、本日中に完結設定に戻します。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。

川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」 愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。 伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。 「あの女のせいです」 兄は怒り――。 「それほどの話であったのか……」 ――父は呆れた。 そして始まる貴族同士の駆け引き。 「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」 「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」 「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」 令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?

処理中です...