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まさかまさかの新生活
俺とゲイルと公爵家のびっくりなひみつ
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俺とルー君がルーダにもふもふしている間、みんな紅茶を猛烈な勢いで啜っている。
ズズー、ズズー。
紅茶をすする音の間に、ときおき大きなため息やら深呼吸が混じる。
スー。ハー。
やがて、こほん、と王様が咳ばらいをした。
「……大変な失礼を致しました。フェンリル様」
緊張しながらも、あの「あわあわ」などなかったかのように堂々とした態度である。
王様、がんばってえええ!!
対して、ルーダは穏やかに返事をしてくれた。
「ルーダでよい。サフィがそう名付けたのでな」
友好的なルーダの態度に、王様は少しだけ肩の力を抜く。
「…ルーダ様。色々聞きたいことはございますが…。まずはこれだけ」
すう、と息を吸うと、しかとルーダに視線を合わせ真剣な口調で問う。
「何故こちらに姿をお見せになられたのでしょうか?
人間に何か思うところがおありなのか?それとも、これから人間界に何か大きな出来事が起こるのでしょうか?」
そうか!
神獣、聖獣であるフェンリルは、あまり人前に姿を見せない。
何しろ伝説と言われる生き物なのだ。
俺が前世で読んだラノベでも、聖獣が姿を見せるときは「世界に何かがあるとき」だと言われていた。
そういえば、すっかり忘れていたが、ルー君だって「しめい」だの「まおー」だの言っていたじゃないか!
モフモフだなんて喜んでいる場合じゃなかったのだ!
みんなはそれが分かっていたんだ。
だからあんなに焦って驚いていたんだ。
俺は改めてそのことに思い当たり、背筋がゾッとした。
「………ルーくんは、しめいがあるっていってました。しめいってなに?
ぼくとゲイルがせいじょなら、ぼくとゲイルかんけいしてる?
ぼくとゲイルで まおーたおすの?じょーか?」
決死の覚悟で聞く。
俺だけならまだしも、ゲイルの命がかかってるんだ!
すると。
「わっはっはっはっは!!」
ルーダが笑った!
狼が笑うの初めて見た!
大きなお口がガバっとあいて、顔がしわしわになった。
わー!お口デカーい!
って。そーじゃねー!!!
俺も王様も結構真剣に聞いたし、みんなも固唾をのんで返事を待ってた。
なのに「わっはっは」で、俺たちぽっかーん。
「倒さないよお。大丈夫っていったでしょー」
ルー君が明るいこえできゃっきゃと笑う。
「いや、だってさあ!!せいじゅうとかはいいけど、まおーとかせいじょとかとかって!せいきまつじゃん!!まおーをたおせ、とかってやつじゃん!えほんとかでよんだやつでしょおが!!」
え?何?俺がおかしいの?!
プンスコしながらゲイルやお兄様を見ると、2人とも完全同意って感じで「うんうん」してる。
王様と王妃さまなんて、パチパチ拍手!
そうでしょうそうでしょう!みんなだってそう思ってるよねええ?!
フンスフンスと憤慨する俺に、ルーダが頭を下げた。
「いや、すまぬ。あまりにもお主が可愛らしいのでな。つい、笑ってしまった。
我が子が言うように、もう問題はない。安心してよい」
ほんとかなあ?
じいいいい。
ルーダを信じてないわけじゃないけど。やっぱり胡乱な目になってしまう。
苦笑しながらルーダが話してくれたのは、俺たちの常識を覆すようなとんでもな「本当」だった。
世界は思ってたより魔王の脅威に近くて、思ってたより当たり前に救われていた。
まず。
なんと、魔王は魔物ではなく人間なのだという。
この世界には当たり前に「不満」だとか「悲しみ」だとかそういった負のエネルギーや負の魔力がある。
それが集まって大きな塊を作る。
その塊がある一定の量を超えると、人間を魔王へと変化させるのだという。
人間には負の塊を集めやすい体質の人がいて、そういう人が普段は周りの負のエネルギーを集めてくれている。
だけど、その人にあまりにも負の魔力が集まりすぎると、その人が魔王へと変化してしまうのだそう。
魔王が生まれてしまうと、溜めていた負の魔力が一気に世界に放出され、魔物が溢れ出すことになる。
ちなみに、その体質は遺伝するので「魔王が生まれる」というより「魔王を輩出しやすい家系」があり、世界に負の魔力が増えすぎるとその家系の人がそれを集めてため込んで「魔王に変化してしまう」ということなのだそう。
その家系の人みんなが負の魔力を集めやすい訳でもないし、そういう人が出やすいってだけ。
そもそも世界が安定していれば負の魔力も少ないため魔王も生まれない。
ええー?
それって、みんなが出した負の魔力っていうゴミを、その一族がせっせとお掃除。集塵機、ル◯バみたいな役割をしてるってことだよね?
それであまりにもゴミがたまりすぎると爆発しちゃう、みたいなことでしょお?
なんかちょっと可哀想。
ある意味、魔王って犠牲者じゃん!
なんとなあく同情してたら。
ルーグが公爵を見た。
「その一族が、お主の一族だ」
ガビーン!!!
てことは、血でいうなら俺も?ライリオも?!
「ええええ!!そうだったのおおおお?!」
でも、言われてみれば、前の公爵家のあのマイナス思考というか、負が集まっちゃった感じはそうだったのかも。
ちょっと納得。
「……確かに、お前、昔からなんか闇が深かったもんな……」
公爵を見てどこか納得のゲイル。
一方、当事者として顔色を失う公爵。
「父上がおかしかったのは、そのせいだったのであろうか……」
ライリオも涙目で震えている。
「僕、僕も?ためてるのかなあ?」
「私もそうなるのだろうか……」
でも、俺の感覚として、昔の公爵家はヤバかったけど、今の公爵家はなんか大丈夫な感じする。
こいつらの周りの真っ黒黒なモヤモヤが、しゅううん、って消えた感じ?
前はみんな「苦しい」「悲しい」「辛い」を背負ってたけど、今はそれをのみこみつつ、前を向いて未来に向かってるっていうか。
「………あのね。まえはダメだったけど、いまはだいじょうぶなきがする。かってにそうおもうだけだけど」
俺の根拠のない言葉に、なんとルーダが同意してくれた。
「うむ。その通りだ。その男とサフィが解決した」
「え?俺?!」
「え?ぼく?!」
俺とゲイルの声が被った。
いつの間に俺たち解決したの⁈
驚愕ですわ!
そんな俺にルー君がドヤる。
「大丈夫だって言ったでしょー?」
いやいやいやいや!!
キミの「大丈夫」って、なんか軽いんだもん!
あんな言い方では信じられませぬよ?!
いきなり当事者になって驚く俺とゲイルに対して、何故か公爵家は
「確かに。ゲイルやサフィラスとまた接するようになり、頭の中の霧が晴れたような気がしていた」
「そっかー!よかったあ!!」
「うん。それならば理解できる」
そうなのお?!理解しちゃった!
「でも、どうして俺とサフィなんだ?俺とサフィがいるとどうなるんだ?」
ゲイルの当然な疑問に、ルーダはあっさりと答えた。
「それは、聖女の家系だからだ」
「「はあ?!」」
ここでいきなり聖女キターーーー!!!
しかも「家系」⁈
「魔王を輩出しやすい家系があるように、負の魔力を消失させる聖なる魔力を放つ家系があるのだ。
それがお前たちだ」
お、おう……。
「魔王はともかくとして、聖なる力は決して失われてはならない。
したがって、一族の血を少しでも多く世界に残すよう、女性のみならず男性でも魔力の多いものは子を成せるようになっておる。
ゲイルの魔力と聖なる力は非常に多い。本来ならば、その男からサフィは生まれるはずだったのだよ」
うっそおお!
「えええ?!ゲイル、お父様じゃなくて、お母様?!」
早く言ってよね!
目をキラキラさせた俺に、慌ててゲイルが顔の前で手を振る。
「いやいやいや!!お父様だよ?!お母様はエリアナだぞ!」
ルーダがワケ知り顔で頷いた。
「まれに魔王体質のものが生まれても、何故か魔王体質の者は聖女の家系の者に惹かれる傾向にあってな。その逆も然り。
結果的に負の魔力が聖女により相殺され、魔王の発生は自然と防がれてきたのだ。
だが、そこの公爵の前の代は魔王体質でありながら聖女と交わらなかった。しかも負の気をため込るどころか、自ら生み出し始めておった。生まれながら魔王の素養が非常に高い男だったのだ。
歪みが極限まで高まり、何か手を打たねばと思っておったところで、其奴は事故にあい消えた。それで介入を控えたのだ」
ほう。
噂に聞く、公爵を空気読まない人の心わからない系クソに英才教育したクソの親玉だな。やっぱりクソだったか。
それどころか魔王なりかけじゃん!
公爵と違って好き好んでそうして他みたいだから、同情の余地なしだわ!
「ぜんこうしゃく、ほんとのクソだったんだね」
「サフィ。言い方!
まあ、マジでヤバい奴だったんだなあ…」
みんななんとなあく公爵に同情的な目を向ける。
この人もそんな親で苦労したんだろうなあ…。
ルーダがコホンと咳払い。
「その体質は今代にも出ておった。
しかし、今代は救いを求めておったからな。本来なら公爵が聖女であるゲイルと出会い、番う理となっておったのだ。
公爵、ゲイルと出会い、何か感じなかったか?」
公爵がゲイルからそっと目を逸らした。
「…何故かゲイルの側は心地よく、初めて息が吸えるように感じました。
…兄のような親しみを抱いておりました。
確かに、あのままいけば…惹かれたのやもしれません」
耳が赤い。
マジでえええ?!
BなLじゃん!
一斉に視線がゲイルに集中!
「いや、しらねーよ」
ゲイルがしぶううい顔をして横を向いた。
ズズー、ズズー。
紅茶をすする音の間に、ときおき大きなため息やら深呼吸が混じる。
スー。ハー。
やがて、こほん、と王様が咳ばらいをした。
「……大変な失礼を致しました。フェンリル様」
緊張しながらも、あの「あわあわ」などなかったかのように堂々とした態度である。
王様、がんばってえええ!!
対して、ルーダは穏やかに返事をしてくれた。
「ルーダでよい。サフィがそう名付けたのでな」
友好的なルーダの態度に、王様は少しだけ肩の力を抜く。
「…ルーダ様。色々聞きたいことはございますが…。まずはこれだけ」
すう、と息を吸うと、しかとルーダに視線を合わせ真剣な口調で問う。
「何故こちらに姿をお見せになられたのでしょうか?
人間に何か思うところがおありなのか?それとも、これから人間界に何か大きな出来事が起こるのでしょうか?」
そうか!
神獣、聖獣であるフェンリルは、あまり人前に姿を見せない。
何しろ伝説と言われる生き物なのだ。
俺が前世で読んだラノベでも、聖獣が姿を見せるときは「世界に何かがあるとき」だと言われていた。
そういえば、すっかり忘れていたが、ルー君だって「しめい」だの「まおー」だの言っていたじゃないか!
モフモフだなんて喜んでいる場合じゃなかったのだ!
みんなはそれが分かっていたんだ。
だからあんなに焦って驚いていたんだ。
俺は改めてそのことに思い当たり、背筋がゾッとした。
「………ルーくんは、しめいがあるっていってました。しめいってなに?
ぼくとゲイルがせいじょなら、ぼくとゲイルかんけいしてる?
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俺だけならまだしも、ゲイルの命がかかってるんだ!
すると。
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わー!お口デカーい!
って。そーじゃねー!!!
俺も王様も結構真剣に聞いたし、みんなも固唾をのんで返事を待ってた。
なのに「わっはっは」で、俺たちぽっかーん。
「倒さないよお。大丈夫っていったでしょー」
ルー君が明るいこえできゃっきゃと笑う。
「いや、だってさあ!!せいじゅうとかはいいけど、まおーとかせいじょとかとかって!せいきまつじゃん!!まおーをたおせ、とかってやつじゃん!えほんとかでよんだやつでしょおが!!」
え?何?俺がおかしいの?!
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そうでしょうそうでしょう!みんなだってそう思ってるよねええ?!
フンスフンスと憤慨する俺に、ルーダが頭を下げた。
「いや、すまぬ。あまりにもお主が可愛らしいのでな。つい、笑ってしまった。
我が子が言うように、もう問題はない。安心してよい」
ほんとかなあ?
じいいいい。
ルーダを信じてないわけじゃないけど。やっぱり胡乱な目になってしまう。
苦笑しながらルーダが話してくれたのは、俺たちの常識を覆すようなとんでもな「本当」だった。
世界は思ってたより魔王の脅威に近くて、思ってたより当たり前に救われていた。
まず。
なんと、魔王は魔物ではなく人間なのだという。
この世界には当たり前に「不満」だとか「悲しみ」だとかそういった負のエネルギーや負の魔力がある。
それが集まって大きな塊を作る。
その塊がある一定の量を超えると、人間を魔王へと変化させるのだという。
人間には負の塊を集めやすい体質の人がいて、そういう人が普段は周りの負のエネルギーを集めてくれている。
だけど、その人にあまりにも負の魔力が集まりすぎると、その人が魔王へと変化してしまうのだそう。
魔王が生まれてしまうと、溜めていた負の魔力が一気に世界に放出され、魔物が溢れ出すことになる。
ちなみに、その体質は遺伝するので「魔王が生まれる」というより「魔王を輩出しやすい家系」があり、世界に負の魔力が増えすぎるとその家系の人がそれを集めてため込んで「魔王に変化してしまう」ということなのだそう。
その家系の人みんなが負の魔力を集めやすい訳でもないし、そういう人が出やすいってだけ。
そもそも世界が安定していれば負の魔力も少ないため魔王も生まれない。
ええー?
それって、みんなが出した負の魔力っていうゴミを、その一族がせっせとお掃除。集塵機、ル◯バみたいな役割をしてるってことだよね?
それであまりにもゴミがたまりすぎると爆発しちゃう、みたいなことでしょお?
なんかちょっと可哀想。
ある意味、魔王って犠牲者じゃん!
なんとなあく同情してたら。
ルーグが公爵を見た。
「その一族が、お主の一族だ」
ガビーン!!!
てことは、血でいうなら俺も?ライリオも?!
「ええええ!!そうだったのおおおお?!」
でも、言われてみれば、前の公爵家のあのマイナス思考というか、負が集まっちゃった感じはそうだったのかも。
ちょっと納得。
「……確かに、お前、昔からなんか闇が深かったもんな……」
公爵を見てどこか納得のゲイル。
一方、当事者として顔色を失う公爵。
「父上がおかしかったのは、そのせいだったのであろうか……」
ライリオも涙目で震えている。
「僕、僕も?ためてるのかなあ?」
「私もそうなるのだろうか……」
でも、俺の感覚として、昔の公爵家はヤバかったけど、今の公爵家はなんか大丈夫な感じする。
こいつらの周りの真っ黒黒なモヤモヤが、しゅううん、って消えた感じ?
前はみんな「苦しい」「悲しい」「辛い」を背負ってたけど、今はそれをのみこみつつ、前を向いて未来に向かってるっていうか。
「………あのね。まえはダメだったけど、いまはだいじょうぶなきがする。かってにそうおもうだけだけど」
俺の根拠のない言葉に、なんとルーダが同意してくれた。
「うむ。その通りだ。その男とサフィが解決した」
「え?俺?!」
「え?ぼく?!」
俺とゲイルの声が被った。
いつの間に俺たち解決したの⁈
驚愕ですわ!
そんな俺にルー君がドヤる。
「大丈夫だって言ったでしょー?」
いやいやいやいや!!
キミの「大丈夫」って、なんか軽いんだもん!
あんな言い方では信じられませぬよ?!
いきなり当事者になって驚く俺とゲイルに対して、何故か公爵家は
「確かに。ゲイルやサフィラスとまた接するようになり、頭の中の霧が晴れたような気がしていた」
「そっかー!よかったあ!!」
「うん。それならば理解できる」
そうなのお?!理解しちゃった!
「でも、どうして俺とサフィなんだ?俺とサフィがいるとどうなるんだ?」
ゲイルの当然な疑問に、ルーダはあっさりと答えた。
「それは、聖女の家系だからだ」
「「はあ?!」」
ここでいきなり聖女キターーーー!!!
しかも「家系」⁈
「魔王を輩出しやすい家系があるように、負の魔力を消失させる聖なる魔力を放つ家系があるのだ。
それがお前たちだ」
お、おう……。
「魔王はともかくとして、聖なる力は決して失われてはならない。
したがって、一族の血を少しでも多く世界に残すよう、女性のみならず男性でも魔力の多いものは子を成せるようになっておる。
ゲイルの魔力と聖なる力は非常に多い。本来ならば、その男からサフィは生まれるはずだったのだよ」
うっそおお!
「えええ?!ゲイル、お父様じゃなくて、お母様?!」
早く言ってよね!
目をキラキラさせた俺に、慌ててゲイルが顔の前で手を振る。
「いやいやいや!!お父様だよ?!お母様はエリアナだぞ!」
ルーダがワケ知り顔で頷いた。
「まれに魔王体質のものが生まれても、何故か魔王体質の者は聖女の家系の者に惹かれる傾向にあってな。その逆も然り。
結果的に負の魔力が聖女により相殺され、魔王の発生は自然と防がれてきたのだ。
だが、そこの公爵の前の代は魔王体質でありながら聖女と交わらなかった。しかも負の気をため込るどころか、自ら生み出し始めておった。生まれながら魔王の素養が非常に高い男だったのだ。
歪みが極限まで高まり、何か手を打たねばと思っておったところで、其奴は事故にあい消えた。それで介入を控えたのだ」
ほう。
噂に聞く、公爵を空気読まない人の心わからない系クソに英才教育したクソの親玉だな。やっぱりクソだったか。
それどころか魔王なりかけじゃん!
公爵と違って好き好んでそうして他みたいだから、同情の余地なしだわ!
「ぜんこうしゃく、ほんとのクソだったんだね」
「サフィ。言い方!
まあ、マジでヤバい奴だったんだなあ…」
みんななんとなあく公爵に同情的な目を向ける。
この人もそんな親で苦労したんだろうなあ…。
ルーダがコホンと咳払い。
「その体質は今代にも出ておった。
しかし、今代は救いを求めておったからな。本来なら公爵が聖女であるゲイルと出会い、番う理となっておったのだ。
公爵、ゲイルと出会い、何か感じなかったか?」
公爵がゲイルからそっと目を逸らした。
「…何故かゲイルの側は心地よく、初めて息が吸えるように感じました。
…兄のような親しみを抱いておりました。
確かに、あのままいけば…惹かれたのやもしれません」
耳が赤い。
マジでえええ?!
BなLじゃん!
一斉に視線がゲイルに集中!
「いや、しらねーよ」
ゲイルがしぶううい顔をして横を向いた。
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