もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。

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まさかまさかの新生活

俺と新たなもっふもふ!

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だいぶんカオスになってしまってオロオロしていると。

「あのねー。ちょっといいー?」

相変わらず空気をぶった切ってルー君登場!

「しめいのひとに会えたらね。ママがだいじなはなしするから、呼んでっていってたのー。
ぼくが知らないこと、ママはいっぱい知ってる。ママ呼ぶ?」

しーん。

ママ呼べるのかよ!!
早く言ってくれ!!
てか、ママって大人フェンリル?!呼んじゃって大丈夫なの?!

満場一致の心の声である。

そんな俺たちの心の声をよそに、ルー君は。

「ママ呼ぶねー!うーんと。
ママー!!」


瞬間。


ゴワっと俺の中から魔力が抜けたのが分かった。
身体の力が抜けて、ガクリと崩れかかる。

「サフィ?!大丈夫?」
「サフィ?!どうした?!」

慌ててお兄様がしっかりと俺を抱き止めてくれた。
ゲイルが慌てて俺に駆け寄る。


「……だ、だいじょぶ。まりょくひゅわっとへって、びっくりしただけ」

ちょっとめまいはするけど大丈夫そう。
ほう、とみんなの肩から力が抜けた。

「よかった……。何か不調があったら言えよ。お父様がなんとかしてやるからな!」

ゲイルが俺の髪をかき上げてくれる。

「サフィ。私もいるからね。すぐに言うんだよ?」

お兄様が泣きそうな顔。

「うん。ありがとゲイル、おにいさま。もうだいじょうぶみたい」

ルー君が申し訳なさそうに耳と尻尾を垂らした。

「ごめんね、サフィ!ママ呼ぶの、魔力たくさんいるの。だから、ひとりのときは呼べなかったの」

うんうん!いいんだよー!へにょんとしたお耳、かわいいねえええ!!!



と。


ぐわん、と空間が歪んだのが分かった。
あまりにも強大な魔力にびりびりと肌がしびれるような感覚。

「!!」

お兄様が俺を守るように腕の中に抱き込み、ゲイルとティガマリがすかさず俺たちを背に庇う。
見ると、護衛たちは王様を取り囲み、公爵たちも焦ったように俺を守ろうと立ち上がっている。




しゅん。


急速に威圧が収束し、その後には……
3メートルほどの巨大な真っ白狼!!


「ママー!!」

ルー君の無邪気な声が響く。
みんなはお口パッカーン、お目目パッチーン。
俺はといえば…興奮のあまり叫んでしまった。

「おっきなもふもふーーーーーーー!!!!!」

ひゃっほーい!!!ふっかふかのもっふもふ!ルー君なんてめじゃないもふっぷり!
ちょっとちょっと、お兄様、放して!!俺、モフる!モフりたいの!!!
腕の中でじたばたする俺を、お兄様は無意識にぎゅうぎゅうと締め付ける。

い、いたい…!ちょっと、力強い!

「て!てー!!」

ぺちぺちとお兄様の手を叩くと、

「ご、ごめんね!」

慌ててお兄様が手の力を緩めてくれた。

今だ!

そのすきを逃さず、俺は素早く巨大もふもふに向かって走る!

「ルーくんママですか?!サフィです!はじめまして!
ルーくんはおとうとになりました!なのでルーくんママはぼくのママ!
モフっていいですかああああ!!」

ぴょーん!!
もっふううううううううう!!!

「サフィイイイイイイイイイイ!!!!」
「あああああああああああ!!!!!」

悲痛な悲鳴が上がった後。

「ふわああああ!!もっふもふううううううう!!!」

俺の歓声が部屋に響き渡ったのだった。



一触即発の空気を漂わせる人間たちに、ルー君ママはあきれたように口を開いた。


「…………人間よ。我が子が世話になったな。
……話をしても良いだろうか?」

うっそー!なんてイケボ!!ロートーンボイス!!

「この子はママと言っているが、正確に言えば我はママではない。フェンリルには性別というものがないのだ」

なんと!フェンリルママは、フェンリルパパでもあった!
フェンリルは無性らしい。

「あのね、ルーくんのママっていいにくいしパパかもでしょ。
なので、おっきなるーくんっていみで、ルーくんダイのルーダイ。りゃくしてルーダってよんでいい?」

俺が言ったとたん、また体の力がふにゃって抜けて、ルーダの身体がキラキラってした。


「………」
「……………」

す、すごい!何、今の?!

「………名付けられてしまったようだな。まさか我を名付けることができるとは…。
息子と同じく、我もサフィと繋がった。サフィが我を呼べば、我に伝わる」

「「「「「サフィ!!!!」」」」

みんな大慌て。何を慌てているんだろう。
それって悪い事じゃないよね?
俺は念のため聞いてみた。

「なかよしということでよきですか?」
「……まあ、そうだ。我はサフィの守護獣となった」
「おお!なんと!よきですね、よきよき!」


ちょっといきなり色々あったが。まあ、仲良しになっただけなら、いいじゃん?
おっけーおっけー!

ルンルンもふもふをご堪能する俺の耳に、ゲイルの呆れたような声が。

「…………サフィだからな………」



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はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
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