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新生活スタート!
俺とルー君
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床に這いつくばる俺とエリアスに困惑したゲイルだったが、ルー君を見て全てを理解したようだった。
ひょいっとルー君の首の後ろを掴み持ち上げる。
「あああっ!ルーくん!」
「……まずはお前たち、床に転がるのはやめろ」
俺は両手をルー君に伸ばして返してアピールしながらしぶしぶ起き上がった。
せっかくルー君が可愛い所だったのに!
この世界にデジカメがないことを心底悔やんだ。
「ゲイルにはわかんないの?このかわいさが!ぼくたちのきもち!!こねこすぐにおおきくなっちゃうんだよ?このいっしゅんがだいじ!」
一瞬一瞬を目に焼き付けたいのっていうこの親心が君にはわからぬのか!
「いや、それ、俺が毎日サフィ見て思ってることだし。こいつより、よっぽどサフィの方がかわいい!ちなみに俺は毎晩それを絵にして残している!!」
げ、げ、ゲイルうううう!!!
俺は一瞬ルー君を忘れゲイルに飛びついてしまった。
すきー!!!俺もゲイルだいすきーーー!!!
「てか、こいつ…猫…か?にしちゃあ、耳がでかいし、手足もデカいが…。どっちかってーとイヌ…?いや、なんだ?猫じゃないと思うが…」
「いぬのみみはたれてるでしょー!ほら!ピーンとしたさんかくのおみみ!ねこさんだけ!」
「いや、種類によるだろ…」
「ルーくん。ねこさんだよね?」
ルー君に聞いてみたら、ルー君はじいっと俺を見た後
「……にゃあ?」
と鳴いた。ほら!猫じゃん!
「……いや、なんか変なタメがなかったか?うーん…まあ、サフィが猫ってんなら猫でいいか…。害もなさそうだし、様子見、だな」
ゲイルにルー君を返してもらうと、今度はゲイルが「ぐはっ」となった。
え?さっきは平気だったじゃん。どうした?
「………モフモフとサフィ……最高の組み合わせだ…。モフモフをかわいがるサフィ!かわいすぎんか?!」
ブレないゲイルである。すき!!
俺はちょっとイタズラごごろでもって、ルー君を抱っこしてとててとゲイルの前に。
そして、ルー君の両手を持ってふりふり。
「にゃーん。ゲイル、ぼく、るーくん。よろしくね?」
「「ぐはああああっ!!!」」
ゲイルとエリアスが崩れ落ちた。ほおら、ルー君の可愛さ、無限大でしょ!
「やばいね…やばいね…。サフィちゃんにこの子あげた僕、グッジョブ過ぎない?我ながら、天才だったよね」
「エリアス…よくやった!…まさか、ここまでとは……。これ、レオンには見せられねーな…」
「王城には連れて行かせないようにしないとね…。この組み合わせ…ダメでしょ…帰してもらえなくなるよ…」
2人が小声でルー君の可愛さを語り合っている。
うむ。わかりみ。かわいいもんね、ルー君。
「にゃあん?」
ルー君は可愛らしくい返事をしたのだった。
ルー君と遊んでいたらあっという間にお昼になった。
ゲイルが
「俺たちの食堂へ行こうぜ。迎えに来たんだ」
っていうのでどういう意味かと思ったら。
文字通り、「俺たち専用の食堂」だった!ええ?ウソでしょ?!
公爵は、前に俺が公爵家の家族の食堂に行くのを嫌がったので、なんと、2階の客間をまた2つつぶして俺とゲイル、サフィール侯爵家一族の専用食堂を作ってしまっていたのだ!「客を呼ぶつもりはないから問題ない」とのことである。
なんと、公爵家は「サフィのためおやくそく」の「屋敷に客人を招かない」ために、客対応専用の屋敷を近くに購入してしまっていた。客用別邸である。ま、マジでえええ?!
公爵のやらかすことの規模のでかさに、おれはちょっとドンびいてしまった。
「俺のためにお金を使わせてやる」って思ってたけど、にしても、限度ってものがあるでしょお?!
ここまでされちゃうと逆に心配になってくる。大丈夫なのかね、公爵家!
結果的に、もはや公爵家を俺たちが半分占拠してしまった。
気遣いは有難いが、ここまで気遣いされると逆にちょっと申し訳なくなってきた。
……いつか、公爵たちを俺たちの食堂にご招待した方がよいのだろうか?
どうやら、屋敷外だけでなく屋敷内でも俺が暮らしやすいようにと、大人たちで色々と考えてくれたようだ。
たった1週間で全てやり遂げてしまったところが凄い。
公爵家の権力とお金と、王家とゲイルの力である。俺の後ろ盾、すごすぎん?
にしても、そりゃあゲイルだって毎日ぐったりしていたわけだ。まさかここまで大事になっていたとは!
最初は、塀とか訓練所とかゲートとか作って公爵家の守りを強化する、って言ってただけなのに。
「外に出れないんだから屋敷内でいかにサフィが楽しく過ごせるか」「快適に過ごせるよういっそ色々そろえておこう」とどんどんエスカレートしていったみたい。
なんか、「貴重な魔力持ちを守らねば」っていうよりも「サフィを守れ!」「サフィが喜ぶように」「サフィが楽しく過ごせるように」って。
まだ全貌は見てないけど、中庭とか話を聞いたことだけでもそれがすんごく伝わってきた。
俺って、愛されてるよね。大事に思われてるよね。
それだけでも「公爵家に戻ってきてよかったなあ」ってつくづく思った。
いつの間にか周りには俺を愛してくれる人が沢山。俺が大好きな人が沢山。
それって、すっごく幸せな事だ。
俺は困ったなあ、なんて思いながらもやっぱりうれしくて。
「ぼくたちのしょくどー!ぼくたちのー!」
って、るんたるんたスキップしてしまった。
「お!俺たちの食堂ができて嬉しいか?」
「それもうれしいけど。みんながぼくのためにって、いろいろかんがえてくれた。それがうれしいの!」
でもって、だからこそ、おねだりしちゃう!
「あのね。せんようなら……ルーくんもいっしょでいい?」
久しぶりの「必殺!上目遣いでオネダリ!」
「……ダメ?ルーくん、おとーとにしたから。かぞくいっしょがいい!」
うるうる。
「………しょうがないなあ…。本当はダメなんだぞ?ここだけだからな?」
「うん!りょーかい!」
やったあ!ルー君、ご一緒しようね!
俺はルー君を抱っこしてゲイルに抱っこしてもらって(これはゲイルが抱っこしたがったからで俺が頼んだからじゃないので。そこんとこよろしくです)新しい食堂に向かったのだった。
ちなみに俺が食事している間に、有能なティガーにより部屋には「ルー君専用のカゴ」と、俺がルー君と一緒にお出かけできるよう「ルー君を入れる肩かけバッグ」が用意されていた。
もう俺、ティガーなしでは生きていけないかも!マジで有能すぎん?俺なんかについてていいの?
なんか、俺の周りってゲイルをはじめとして規格外が多い気がする。侯爵家…なぞの一族。
てか、規格外のもうひとり、マリーはどこ行った?しばらく姿がみえないんだけど…。
まあ、マリーのことだし大丈夫だよね!
なーんて思ってたら。マリーは色々としでかしておりました。
なんとマリーってば、公爵家に新たに作られた俺専用護衛集団「サフィ様を見守り隊」を結成。隊員を鍛えていたことが判明した。
な、なんかすごそうな集団だね!
どうして分かったかって?
食事を終えた俺が部屋に向かって歩いていると、窓の外から凄い掛け声が聞こえてきたのだ。
「1にサフィ様!2にサフィ様!3にサフィ様!全てにおいてサフィ様が正義!サフィ様を守るのです!」
「はい!1にサフィ様、2にサフィ様、3にサフィ様!サフィ様が正義!サフィ様をお守りします!」
俺は「マリー」と振りかけた手を引っ込めて慌てて隠れた。
…なに、あの強火集団!
こ、怖いよおおおお!!
怯える俺に、ゲイルが何でもないように言った。
「お、『サフィ様を見守り隊』だな」
「え?!なにそれ!」
「ん?………施設ファンクラブ…じゃなくて、護衛集団だ。使用人の中からマリーが募集してたぞ?
サフィを守れるようしっかり鍛えてやる、って張り切ってる」」
「……マリーって、ゆうめいなこうしゃくけのぶじゅつたいかいで、でんどういりしたんだったよね?」
「ああ。負けなしだな。何しろ、元Sランク冒険者だからな。侍女になったのも『メイドさんに憧れて』なんて訳わからん理由だっしな…」
「………」
気持ちは大変ありがたい!
が、あの掛け声、どーにかならんのでしょうか…。
俺は思わず遠い目をしてしまったのだった。
※※※※※
「サフィ様を見守り隊」
penpen様に頂いたコメントより拝借させて頂きました。
ありがとうございまするー!あまりによき響きにwww
将来的に侯爵家のサフィ専用暗部(ストーカー護衛衆)になる予定ですwww
ひょいっとルー君の首の後ろを掴み持ち上げる。
「あああっ!ルーくん!」
「……まずはお前たち、床に転がるのはやめろ」
俺は両手をルー君に伸ばして返してアピールしながらしぶしぶ起き上がった。
せっかくルー君が可愛い所だったのに!
この世界にデジカメがないことを心底悔やんだ。
「ゲイルにはわかんないの?このかわいさが!ぼくたちのきもち!!こねこすぐにおおきくなっちゃうんだよ?このいっしゅんがだいじ!」
一瞬一瞬を目に焼き付けたいのっていうこの親心が君にはわからぬのか!
「いや、それ、俺が毎日サフィ見て思ってることだし。こいつより、よっぽどサフィの方がかわいい!ちなみに俺は毎晩それを絵にして残している!!」
げ、げ、ゲイルうううう!!!
俺は一瞬ルー君を忘れゲイルに飛びついてしまった。
すきー!!!俺もゲイルだいすきーーー!!!
「てか、こいつ…猫…か?にしちゃあ、耳がでかいし、手足もデカいが…。どっちかってーとイヌ…?いや、なんだ?猫じゃないと思うが…」
「いぬのみみはたれてるでしょー!ほら!ピーンとしたさんかくのおみみ!ねこさんだけ!」
「いや、種類によるだろ…」
「ルーくん。ねこさんだよね?」
ルー君に聞いてみたら、ルー君はじいっと俺を見た後
「……にゃあ?」
と鳴いた。ほら!猫じゃん!
「……いや、なんか変なタメがなかったか?うーん…まあ、サフィが猫ってんなら猫でいいか…。害もなさそうだし、様子見、だな」
ゲイルにルー君を返してもらうと、今度はゲイルが「ぐはっ」となった。
え?さっきは平気だったじゃん。どうした?
「………モフモフとサフィ……最高の組み合わせだ…。モフモフをかわいがるサフィ!かわいすぎんか?!」
ブレないゲイルである。すき!!
俺はちょっとイタズラごごろでもって、ルー君を抱っこしてとててとゲイルの前に。
そして、ルー君の両手を持ってふりふり。
「にゃーん。ゲイル、ぼく、るーくん。よろしくね?」
「「ぐはああああっ!!!」」
ゲイルとエリアスが崩れ落ちた。ほおら、ルー君の可愛さ、無限大でしょ!
「やばいね…やばいね…。サフィちゃんにこの子あげた僕、グッジョブ過ぎない?我ながら、天才だったよね」
「エリアス…よくやった!…まさか、ここまでとは……。これ、レオンには見せられねーな…」
「王城には連れて行かせないようにしないとね…。この組み合わせ…ダメでしょ…帰してもらえなくなるよ…」
2人が小声でルー君の可愛さを語り合っている。
うむ。わかりみ。かわいいもんね、ルー君。
「にゃあん?」
ルー君は可愛らしくい返事をしたのだった。
ルー君と遊んでいたらあっという間にお昼になった。
ゲイルが
「俺たちの食堂へ行こうぜ。迎えに来たんだ」
っていうのでどういう意味かと思ったら。
文字通り、「俺たち専用の食堂」だった!ええ?ウソでしょ?!
公爵は、前に俺が公爵家の家族の食堂に行くのを嫌がったので、なんと、2階の客間をまた2つつぶして俺とゲイル、サフィール侯爵家一族の専用食堂を作ってしまっていたのだ!「客を呼ぶつもりはないから問題ない」とのことである。
なんと、公爵家は「サフィのためおやくそく」の「屋敷に客人を招かない」ために、客対応専用の屋敷を近くに購入してしまっていた。客用別邸である。ま、マジでえええ?!
公爵のやらかすことの規模のでかさに、おれはちょっとドンびいてしまった。
「俺のためにお金を使わせてやる」って思ってたけど、にしても、限度ってものがあるでしょお?!
ここまでされちゃうと逆に心配になってくる。大丈夫なのかね、公爵家!
結果的に、もはや公爵家を俺たちが半分占拠してしまった。
気遣いは有難いが、ここまで気遣いされると逆にちょっと申し訳なくなってきた。
……いつか、公爵たちを俺たちの食堂にご招待した方がよいのだろうか?
どうやら、屋敷外だけでなく屋敷内でも俺が暮らしやすいようにと、大人たちで色々と考えてくれたようだ。
たった1週間で全てやり遂げてしまったところが凄い。
公爵家の権力とお金と、王家とゲイルの力である。俺の後ろ盾、すごすぎん?
にしても、そりゃあゲイルだって毎日ぐったりしていたわけだ。まさかここまで大事になっていたとは!
最初は、塀とか訓練所とかゲートとか作って公爵家の守りを強化する、って言ってただけなのに。
「外に出れないんだから屋敷内でいかにサフィが楽しく過ごせるか」「快適に過ごせるよういっそ色々そろえておこう」とどんどんエスカレートしていったみたい。
なんか、「貴重な魔力持ちを守らねば」っていうよりも「サフィを守れ!」「サフィが喜ぶように」「サフィが楽しく過ごせるように」って。
まだ全貌は見てないけど、中庭とか話を聞いたことだけでもそれがすんごく伝わってきた。
俺って、愛されてるよね。大事に思われてるよね。
それだけでも「公爵家に戻ってきてよかったなあ」ってつくづく思った。
いつの間にか周りには俺を愛してくれる人が沢山。俺が大好きな人が沢山。
それって、すっごく幸せな事だ。
俺は困ったなあ、なんて思いながらもやっぱりうれしくて。
「ぼくたちのしょくどー!ぼくたちのー!」
って、るんたるんたスキップしてしまった。
「お!俺たちの食堂ができて嬉しいか?」
「それもうれしいけど。みんながぼくのためにって、いろいろかんがえてくれた。それがうれしいの!」
でもって、だからこそ、おねだりしちゃう!
「あのね。せんようなら……ルーくんもいっしょでいい?」
久しぶりの「必殺!上目遣いでオネダリ!」
「……ダメ?ルーくん、おとーとにしたから。かぞくいっしょがいい!」
うるうる。
「………しょうがないなあ…。本当はダメなんだぞ?ここだけだからな?」
「うん!りょーかい!」
やったあ!ルー君、ご一緒しようね!
俺はルー君を抱っこしてゲイルに抱っこしてもらって(これはゲイルが抱っこしたがったからで俺が頼んだからじゃないので。そこんとこよろしくです)新しい食堂に向かったのだった。
ちなみに俺が食事している間に、有能なティガーにより部屋には「ルー君専用のカゴ」と、俺がルー君と一緒にお出かけできるよう「ルー君を入れる肩かけバッグ」が用意されていた。
もう俺、ティガーなしでは生きていけないかも!マジで有能すぎん?俺なんかについてていいの?
なんか、俺の周りってゲイルをはじめとして規格外が多い気がする。侯爵家…なぞの一族。
てか、規格外のもうひとり、マリーはどこ行った?しばらく姿がみえないんだけど…。
まあ、マリーのことだし大丈夫だよね!
なーんて思ってたら。マリーは色々としでかしておりました。
なんとマリーってば、公爵家に新たに作られた俺専用護衛集団「サフィ様を見守り隊」を結成。隊員を鍛えていたことが判明した。
な、なんかすごそうな集団だね!
どうして分かったかって?
食事を終えた俺が部屋に向かって歩いていると、窓の外から凄い掛け声が聞こえてきたのだ。
「1にサフィ様!2にサフィ様!3にサフィ様!全てにおいてサフィ様が正義!サフィ様を守るのです!」
「はい!1にサフィ様、2にサフィ様、3にサフィ様!サフィ様が正義!サフィ様をお守りします!」
俺は「マリー」と振りかけた手を引っ込めて慌てて隠れた。
…なに、あの強火集団!
こ、怖いよおおおお!!
怯える俺に、ゲイルが何でもないように言った。
「お、『サフィ様を見守り隊』だな」
「え?!なにそれ!」
「ん?………施設ファンクラブ…じゃなくて、護衛集団だ。使用人の中からマリーが募集してたぞ?
サフィを守れるようしっかり鍛えてやる、って張り切ってる」」
「……マリーって、ゆうめいなこうしゃくけのぶじゅつたいかいで、でんどういりしたんだったよね?」
「ああ。負けなしだな。何しろ、元Sランク冒険者だからな。侍女になったのも『メイドさんに憧れて』なんて訳わからん理由だっしな…」
「………」
気持ちは大変ありがたい!
が、あの掛け声、どーにかならんのでしょうか…。
俺は思わず遠い目をしてしまったのだった。
※※※※※
「サフィ様を見守り隊」
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将来的に侯爵家のサフィ専用暗部(ストーカー護衛衆)になる予定ですwww
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