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新生活スタート!
俺のおかえりなさい会2
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東屋の中は、結構広かった。
先に行くと言っていた公爵が、どこかそわそわと俺を待ち構えていた。
「…中庭は気に入ったか?希望があればそのように改装するので言って欲しい。
ブランコはリオネルの、池はライオネルのアイディアだ。魚も放してあるので、釣りなども楽しめるのではないだろうか」
そ、そうだね。うん。
ちょっとやりすぎな気もするけど、まあすてきなお庭でございましたよ。
俺にはちょっと広すぎる気もするけど。
散歩するだけでも、ちょっとした体力づくりになるんじゃないかな。
と俺は心の中で思ったが、口から出たのは、これ。
「………はぁ……はぁ……よき……だけど……ひ……ひろい……」
公爵がそんな俺に眉をよせ、ゲイルに言った。
「ゲイル……その……サフィラスはまだ少し身体が弱いのではないだろうか?」
「いや、単に体力がないだけだろ。これからもっと基礎体力をつけさせねえとなあ…」
「そ…そうか。なら良いが。訓練場のほかにも、トレーニングルームを作るのはどうだろうか?」
「いや、毎朝ここを散歩させよう。歩くのもいい体力づくりになるからな」
「じゃあ、僕、サフィと一緒に歩いてお手伝いする!」
「私も付き合おう。サフィラスが疲れたら私が背負えばいい」
「いや、ライオネル。それじゃサフィの体力づくりにならねーだろ。甘やかすな」
俺そっちのけで、俺の体力について相談し始めた。
あの!!
あのーー!!
本人無視して話をすすめるの、やめて!
団長と訓練してるし、これでもちょっとづつ体力ついてきたんだからね!
いっとくけど!まだ俺5歳!足の長さも君たちとは違いますのでー!!
午前中に団長と訓練、午後に魔塔で訓練して、疲れてるの!
そんな体力消費した5歳児、ってこと、忘れないで!
俺の心の声など通じるはずもなく、ゲイルがものすごくいい顔で俺の肩をぽん。
「てことで、サフィ!訓練の前に、毎朝起きたらまずここを散歩な!朝飯はその後だ。
軽く運動すれば腹も空くし、ちょうどいい!
ライオネルとリオネルも付き合ってくれるぞ。良かったな、サフィ!」
いらーん!散歩くらいひとりでゆっくりさせてよおおお。
「うふふふふ。サフィとお散歩。うれしいな。僕、ちゃんとゆっくり歩いてあげるからね。大丈夫だよ」
「疲れたら休憩しよう。少しづつ頑張ればいい」
こどもにこんな善意に満ち満ちた顔で言われたらさあ……断われないよね。
こうして俺の公爵家での毎朝の日課が、俺抜きで勝手に決定されたのだった。
ちーん。。。
「さあ、席に着きなさい。ここに座るといい」
普通は使用人がしてくれるんだけど、公爵が自ら俺の椅子をひいてくれる。
至れる尽くせり。くるしうないぞ。下僕よ。俺の為に尽くせ!
俺の隣には、ゲイル。右側は…まさか公爵じゃないよね?!
あ、違った。公爵とライオネル、リオネルたちは向かい側に座るみたい。
こっちは、チーム俺の席か。よかった!
って思ってたら。
「サフィイイイイイイイイ!!!!」
大きな声と足音がしたと思ったら、背中にドーン、と衝撃!
「おかえりいいいいい!!ああああ、久しぶりのサフィちゃんだああ!うううう!会いたかったよおお!元気だった?どこか痛いところはない?ご飯はたくさん食べていた?夜はちゃんと眠れた?叔父様がいなくて寂しくなかった?あ!ちょっと大きくなったんじゃない?」
椅子ごと俺をだきしめ、頭をくんくん、頬をすりすりしながら猛烈な勢いで話し続けるのは、エリアスである。
「お顔を見せて。うん!相変わらずかわいいねえ!まさか、あのまま1週間も会えないなんて思わなかったよお!」
ぐりぐりぐりぐり。頬をすられすぎて、俺、ちょっと減るかもしれない。
もしくは頭がもげるかも。
げ…げいる…助けて…
「おい!そろそろやめろ!サフィが削れる!」
バリ!とゲイルが引っぺがしてくれた。
ふうううう!
「だってさあ!ゲイルはいいよね!なんだかんだ毎日会ってたでしょ!僕なんて、全く会えなかったんだからね!侯爵家の方も、使用人の手配とか、屋敷の改装とか。全部僕がひとりで手配したんだよ!大忙しだよ!」
ぷんすこなエリアス。
「ゲイルだって、ティガーだってマリーだってサフィちゃんに会ってたのに!ずるいよ!
この中で一番サフィちゃんと離れてたのは、僕でしょ!
僕にはサフィちゃんを吸う権利があるはずだ!1週間も摂取してないんだよ?!ちょっとくらい吸わせてよ!」
穏やかな彼に似合わず、キッとゲイルを睨みつけながら主張する。
吸う権利はともかく、よっぽど色々我慢していたようだ。
す、すまんかったあああ!
エリアス、ずっと寂しかったんだね。ちょっとうるさいって思ってゴメン。仲間外れみたいにしちゃってごめんねええ!!
でもね、でもね。周りを見てみよう?
エリアスって侯爵家当主だよね。当主の威厳とか権威とか…迷子ですよお?
使用人の皆さんが、そっと目をそらして「聞いていませんよー」「見ていませんよー」アピールしてくれてるじゃん!
公爵だって義理の弟の奇行に無になってるし。
ライオネルとリオネルも固まってるよ。
ちょっとおちつこう!
俺はエリアスを落ち着かせるため、優しく手をさしだした。
「ほっぺはへるから!て!てならすっていい。
だからおちつこう、エリアス。サフィールこうしゃくけのめいよが ひんし。はずかし。」
エリアスがハッとしたように、目を見開いた。
「そうだね。サフィちゃんの恥にもなっちゃう」
俺の手を両手で握りすりすりしながら、深呼吸するエリアス。
「……うん。もう大丈夫。落ち着いたから」
よかった。ようやく我を取り戻してくれたようだ。
ゲイルがすん、という顔をしているが、しょうがないでしょお!
これでようやくエリアスに返事が出来る。
「えりあすおじさま、ただいま。ぼく げんき。ごはんたくさんたべて、たくさんねてたからだいじょうぶ!たぶんすごくおおきくなってるはず。20せんちくらいはおおきくなったとおもう」
ドヤる俺に、すかさずゲイルがツッコミを入れてきた。
「いや、せいぜい1センチだろ」
「ゲイル、よくみて。のびてるでしょ!エリアスはきづいた。ゲイルはまいにちあってたから、きづかないだけ。ぼく、おおきくなった!」
両手をぶんぶんと振って主張する。まさかゲイルが気付いてなかったとは!まあしょうがないか。毎日一緒だと逆に変化に気付けないもんね。でも、俺ってばこんなに成長しているというのに!
「そうだよ。サフィはおっきくなったよ!」
「うん。少し大きくなったように思う」
ライリオだって、気付いてくれてる。そうだよね。俺、成長期なんだから!
なんてわちゃわちゃしてたら。
「………そろそろ、開始しても良いだろうか?」
遠慮がちに割って入る公爵。
そ、そうだった!ごはーん!料理人さんたちが待機してくれてるのに!
その言葉でエリアスが慌てて居住まいを正した。
「失礼致しました。ご招待いただきありがとうございます、グランディール公。サフィラス様が無事に戻られましたこと、嬉しく思います。私の公爵家への出入許可も正式に頂き感謝いたします。今後は我が侯爵家も一丸となりサフィラス様をお守り致す所存」
すんばらしい礼を取り、きりりと口上を述べる。
おおお!やればできるじゃん!!
でも、聞いている方はさっきのを見ちゃってるだけに「お。おう…」みたいになっちゃってる。
どうすんの、エリアス!
エリアスは、なんと、その美貌を200%生かしたきらっきらの笑みをうかべ、礼!
「今後とも、良いお付き合いが出来ればと思っております」
なんと、さわやかな笑みでゴリ押しフィニッシュを決めたああああ!!
「とんでもな奇行」かーらーのー「スンバラシイ起死回生の技」であった!
俺もおっきくなったらぜひマネをしたい!
パチパチパチパチ!!
俺は思わず拍手!
パチパチパチパチ!!
つられてみんなもなんとなく拍手!
「う…うむ。こちらこそ、よくぞ参加してくれた。礼を言う。今後もサフィラスを守るため、どうか力をお貸し願いたい。よろしく頼む」
いい感じでまとめる公爵。
とりあえずなんとかなったようだ。
公爵はそのまま立ち上がり、朗々とした声でこう皆に宣言した。
「さて!みな、これで全員揃った。
今日は、我が公爵家が3男、サフィラスが王城より戻った。
皆も知っての通り、サフィラスは特殊な魔力持ちであると判明した。
他に知れれば、サフィラスを利用せんとサフィラスを狙うものが出るだろう。
我が公爵家はもとより、サフィール侯爵家、グリフォン伯爵家、更に王家もサフィラスを守るべく後ろ盾とやることを約束してくれた。
サフィラスがこの屋敷で安心して暮らせるよう、どうか皆、力を貸して欲しい。
私はここに誓おう。この邸内にはどのような危険も持ち込ませぬ!
私は公爵家の名に誓って、全力でサフィラスを守る!
そして、サフィラス。よく戻った。お前には我々が付いている。安心して過ごして欲しい」
最後だけは、俺に向かって。
聞いた事も無いような優しい声だった。
俺は不覚にもちょこっとだけ感動。
とにかく、今の事人は俺の敵ではない。それどころか、俺を全力で守る盾になってくれるつもりなんだ。
周りを見回すと、みんな俺を決意を込めた目で見つめている。
そこには、覚悟があった。
多分…俺のために命を懸けるっていう覚悟が。
ゲイルがそっと俺の背に手を当てる。
うん。
俺が、みんなの気持ちに応える番。
「……みなさま。ありがとうございます。サフィラスです。
とくしゅなまりょくがあるとわかり、おどろきました。
でも、みんなぼくのためにいろいろかんがえてくれて、いろいろうごいてくれます。
なので、しんぱいはしてません。
だって、ぼく こころづよいかぞくとなかまがいるから。
ぼく、たくさんくんれんして、つよくなります。
りっぱなぼうけんしゃになって、くにやみんなをまもります。
それまで、どうかちからをかしてください」
上手く言えないけど。それでも精一杯の感謝と決意を伝えたつもり。
先に行くと言っていた公爵が、どこかそわそわと俺を待ち構えていた。
「…中庭は気に入ったか?希望があればそのように改装するので言って欲しい。
ブランコはリオネルの、池はライオネルのアイディアだ。魚も放してあるので、釣りなども楽しめるのではないだろうか」
そ、そうだね。うん。
ちょっとやりすぎな気もするけど、まあすてきなお庭でございましたよ。
俺にはちょっと広すぎる気もするけど。
散歩するだけでも、ちょっとした体力づくりになるんじゃないかな。
と俺は心の中で思ったが、口から出たのは、これ。
「………はぁ……はぁ……よき……だけど……ひ……ひろい……」
公爵がそんな俺に眉をよせ、ゲイルに言った。
「ゲイル……その……サフィラスはまだ少し身体が弱いのではないだろうか?」
「いや、単に体力がないだけだろ。これからもっと基礎体力をつけさせねえとなあ…」
「そ…そうか。なら良いが。訓練場のほかにも、トレーニングルームを作るのはどうだろうか?」
「いや、毎朝ここを散歩させよう。歩くのもいい体力づくりになるからな」
「じゃあ、僕、サフィと一緒に歩いてお手伝いする!」
「私も付き合おう。サフィラスが疲れたら私が背負えばいい」
「いや、ライオネル。それじゃサフィの体力づくりにならねーだろ。甘やかすな」
俺そっちのけで、俺の体力について相談し始めた。
あの!!
あのーー!!
本人無視して話をすすめるの、やめて!
団長と訓練してるし、これでもちょっとづつ体力ついてきたんだからね!
いっとくけど!まだ俺5歳!足の長さも君たちとは違いますのでー!!
午前中に団長と訓練、午後に魔塔で訓練して、疲れてるの!
そんな体力消費した5歳児、ってこと、忘れないで!
俺の心の声など通じるはずもなく、ゲイルがものすごくいい顔で俺の肩をぽん。
「てことで、サフィ!訓練の前に、毎朝起きたらまずここを散歩な!朝飯はその後だ。
軽く運動すれば腹も空くし、ちょうどいい!
ライオネルとリオネルも付き合ってくれるぞ。良かったな、サフィ!」
いらーん!散歩くらいひとりでゆっくりさせてよおおお。
「うふふふふ。サフィとお散歩。うれしいな。僕、ちゃんとゆっくり歩いてあげるからね。大丈夫だよ」
「疲れたら休憩しよう。少しづつ頑張ればいい」
こどもにこんな善意に満ち満ちた顔で言われたらさあ……断われないよね。
こうして俺の公爵家での毎朝の日課が、俺抜きで勝手に決定されたのだった。
ちーん。。。
「さあ、席に着きなさい。ここに座るといい」
普通は使用人がしてくれるんだけど、公爵が自ら俺の椅子をひいてくれる。
至れる尽くせり。くるしうないぞ。下僕よ。俺の為に尽くせ!
俺の隣には、ゲイル。右側は…まさか公爵じゃないよね?!
あ、違った。公爵とライオネル、リオネルたちは向かい側に座るみたい。
こっちは、チーム俺の席か。よかった!
って思ってたら。
「サフィイイイイイイイイ!!!!」
大きな声と足音がしたと思ったら、背中にドーン、と衝撃!
「おかえりいいいいい!!ああああ、久しぶりのサフィちゃんだああ!うううう!会いたかったよおお!元気だった?どこか痛いところはない?ご飯はたくさん食べていた?夜はちゃんと眠れた?叔父様がいなくて寂しくなかった?あ!ちょっと大きくなったんじゃない?」
椅子ごと俺をだきしめ、頭をくんくん、頬をすりすりしながら猛烈な勢いで話し続けるのは、エリアスである。
「お顔を見せて。うん!相変わらずかわいいねえ!まさか、あのまま1週間も会えないなんて思わなかったよお!」
ぐりぐりぐりぐり。頬をすられすぎて、俺、ちょっと減るかもしれない。
もしくは頭がもげるかも。
げ…げいる…助けて…
「おい!そろそろやめろ!サフィが削れる!」
バリ!とゲイルが引っぺがしてくれた。
ふうううう!
「だってさあ!ゲイルはいいよね!なんだかんだ毎日会ってたでしょ!僕なんて、全く会えなかったんだからね!侯爵家の方も、使用人の手配とか、屋敷の改装とか。全部僕がひとりで手配したんだよ!大忙しだよ!」
ぷんすこなエリアス。
「ゲイルだって、ティガーだってマリーだってサフィちゃんに会ってたのに!ずるいよ!
この中で一番サフィちゃんと離れてたのは、僕でしょ!
僕にはサフィちゃんを吸う権利があるはずだ!1週間も摂取してないんだよ?!ちょっとくらい吸わせてよ!」
穏やかな彼に似合わず、キッとゲイルを睨みつけながら主張する。
吸う権利はともかく、よっぽど色々我慢していたようだ。
す、すまんかったあああ!
エリアス、ずっと寂しかったんだね。ちょっとうるさいって思ってゴメン。仲間外れみたいにしちゃってごめんねええ!!
でもね、でもね。周りを見てみよう?
エリアスって侯爵家当主だよね。当主の威厳とか権威とか…迷子ですよお?
使用人の皆さんが、そっと目をそらして「聞いていませんよー」「見ていませんよー」アピールしてくれてるじゃん!
公爵だって義理の弟の奇行に無になってるし。
ライオネルとリオネルも固まってるよ。
ちょっとおちつこう!
俺はエリアスを落ち着かせるため、優しく手をさしだした。
「ほっぺはへるから!て!てならすっていい。
だからおちつこう、エリアス。サフィールこうしゃくけのめいよが ひんし。はずかし。」
エリアスがハッとしたように、目を見開いた。
「そうだね。サフィちゃんの恥にもなっちゃう」
俺の手を両手で握りすりすりしながら、深呼吸するエリアス。
「……うん。もう大丈夫。落ち着いたから」
よかった。ようやく我を取り戻してくれたようだ。
ゲイルがすん、という顔をしているが、しょうがないでしょお!
これでようやくエリアスに返事が出来る。
「えりあすおじさま、ただいま。ぼく げんき。ごはんたくさんたべて、たくさんねてたからだいじょうぶ!たぶんすごくおおきくなってるはず。20せんちくらいはおおきくなったとおもう」
ドヤる俺に、すかさずゲイルがツッコミを入れてきた。
「いや、せいぜい1センチだろ」
「ゲイル、よくみて。のびてるでしょ!エリアスはきづいた。ゲイルはまいにちあってたから、きづかないだけ。ぼく、おおきくなった!」
両手をぶんぶんと振って主張する。まさかゲイルが気付いてなかったとは!まあしょうがないか。毎日一緒だと逆に変化に気付けないもんね。でも、俺ってばこんなに成長しているというのに!
「そうだよ。サフィはおっきくなったよ!」
「うん。少し大きくなったように思う」
ライリオだって、気付いてくれてる。そうだよね。俺、成長期なんだから!
なんてわちゃわちゃしてたら。
「………そろそろ、開始しても良いだろうか?」
遠慮がちに割って入る公爵。
そ、そうだった!ごはーん!料理人さんたちが待機してくれてるのに!
その言葉でエリアスが慌てて居住まいを正した。
「失礼致しました。ご招待いただきありがとうございます、グランディール公。サフィラス様が無事に戻られましたこと、嬉しく思います。私の公爵家への出入許可も正式に頂き感謝いたします。今後は我が侯爵家も一丸となりサフィラス様をお守り致す所存」
すんばらしい礼を取り、きりりと口上を述べる。
おおお!やればできるじゃん!!
でも、聞いている方はさっきのを見ちゃってるだけに「お。おう…」みたいになっちゃってる。
どうすんの、エリアス!
エリアスは、なんと、その美貌を200%生かしたきらっきらの笑みをうかべ、礼!
「今後とも、良いお付き合いが出来ればと思っております」
なんと、さわやかな笑みでゴリ押しフィニッシュを決めたああああ!!
「とんでもな奇行」かーらーのー「スンバラシイ起死回生の技」であった!
俺もおっきくなったらぜひマネをしたい!
パチパチパチパチ!!
俺は思わず拍手!
パチパチパチパチ!!
つられてみんなもなんとなく拍手!
「う…うむ。こちらこそ、よくぞ参加してくれた。礼を言う。今後もサフィラスを守るため、どうか力をお貸し願いたい。よろしく頼む」
いい感じでまとめる公爵。
とりあえずなんとかなったようだ。
公爵はそのまま立ち上がり、朗々とした声でこう皆に宣言した。
「さて!みな、これで全員揃った。
今日は、我が公爵家が3男、サフィラスが王城より戻った。
皆も知っての通り、サフィラスは特殊な魔力持ちであると判明した。
他に知れれば、サフィラスを利用せんとサフィラスを狙うものが出るだろう。
我が公爵家はもとより、サフィール侯爵家、グリフォン伯爵家、更に王家もサフィラスを守るべく後ろ盾とやることを約束してくれた。
サフィラスがこの屋敷で安心して暮らせるよう、どうか皆、力を貸して欲しい。
私はここに誓おう。この邸内にはどのような危険も持ち込ませぬ!
私は公爵家の名に誓って、全力でサフィラスを守る!
そして、サフィラス。よく戻った。お前には我々が付いている。安心して過ごして欲しい」
最後だけは、俺に向かって。
聞いた事も無いような優しい声だった。
俺は不覚にもちょこっとだけ感動。
とにかく、今の事人は俺の敵ではない。それどころか、俺を全力で守る盾になってくれるつもりなんだ。
周りを見回すと、みんな俺を決意を込めた目で見つめている。
そこには、覚悟があった。
多分…俺のために命を懸けるっていう覚悟が。
ゲイルがそっと俺の背に手を当てる。
うん。
俺が、みんなの気持ちに応える番。
「……みなさま。ありがとうございます。サフィラスです。
とくしゅなまりょくがあるとわかり、おどろきました。
でも、みんなぼくのためにいろいろかんがえてくれて、いろいろうごいてくれます。
なので、しんぱいはしてません。
だって、ぼく こころづよいかぞくとなかまがいるから。
ぼく、たくさんくんれんして、つよくなります。
りっぱなぼうけんしゃになって、くにやみんなをまもります。
それまで、どうかちからをかしてください」
上手く言えないけど。それでも精一杯の感謝と決意を伝えたつもり。
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