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王城でのまがりにん生活

閑話休題 俺の剣

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団長に専用の木剣を貰った俺は、お兄様や王様と王妃様に見て貰うべく、
腰に颯爽と剣の入ったホルダーをつけ、意気揚々と凱旋した。

歩くたびに腿に当たる剣の感触がたまらない。
わざとスキップしてみたり変則的な動きをして、剣の揺れを楽しむ。
ときどきちょっとかっこいいポーズなんかもキメちゃったりして。
そうすると、応援団たちが

「おお!いい感じですよー」
「うんうん。かわいいねえ」
「冒険者のようですよ、サフィラスさま!」
「きゃー!すてきーっ!こっちを向いて投げキッスしてくださああい!」

うむ!
くるり。チュ!

「きゃああああああ!!」
「グハッ!な、なんたる威力!さすがはサフィラス様…!」

「うっわ!かわいいです!けど…いいんですかねえ…。後でゲイル伯が怖いんですけど…」
「いや、こんなに喜んでらっしゃるんだぞ?お前、止められるか?」
「……無理ですね」


マリティガの盛り上がりに気をよくした俺は、大サービスだ。

るんた。るんた。
くるり。チュ!

るんた。るんた。
くるりん。チュ!




「グハァッツ!!…………何をやっているんだ。サフィ………」

「ゲイル!!ゲイル!!うわーいっ!ゲイルううみてみてっ!!
これ!これ!だんちょーさんにもらった!ぼくのけん!ぼくせんよう!」

俺はピョンピョンくるんくるんしてホルダーを見せた。
そして、スラリと剣を抜くと

「とう!」

ッザシュ!とかっこよくポーズを決めた。

きまったああ!

「ぐはああああっ!」

ゲイルが顔を押さえ床に崩れ落ちた。
おおおお!俺の剣の威力!

じゃない!
たいへんたいへん!

「げ、げいる!!げいるうう!!
ぼくのけんのふうあつ?ふうあつがそこまで?!」

「いや、そうじゃないと思いますよ?木剣ですし」

冷静に突っ込んできたジグルド。

「しっ!ふうあつでいいだろ!ちびっこをイジメんな!」
「イジメてなんていませんよ!こんなかわいい子イジメるわけないでしょ?」

ミシャ、お気遣いありがとう。聞こえてるけど。聞こえてるけど!!



しばらくして立ち直ったゲイルが、にこにこしながら言った。

「サフィ?それ、誰に教わったんだ?」

俺は胸を張って答えた。

「マリー!ぼくのカッコよさに、みんなおーよろこび!」

「そう、マリーか。………マリー?後で俺と話そうな?」

あれ?マリー、顔色が悪いよ?
大丈夫?
ゲイルと新しいカッコいいポーズ考えておいてね!
次はそれやるから!

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