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王城でのまがりにん生活
俺の王城生活3日目の朝。
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俺は数日ぶりのゲイルの抱っこであっという間に就寝。
多分、慣れないことが沢山あって、疲れてたんだと思う。
ゲイルを見たとたん、我慢してた甘えん坊が爆発しちゃったんだな、きっと。
で、翌朝。
お兄様のキラキラのご尊顔&額へのキスで目覚めた俺は、カタツムリになっていた。
は、は、は、はずかしいいいいい!!
5歳にもなって!
もうお兄さんなのに!!
赤ちゃんみたいに「抱っこじゃないと寝ないもんっ」ってごねまくっちゃったよおおおお!!
はずかしいいいいいい!!!
あまりの恥ずかしさに頭からシーツをかぶって、こんもりと丸まる俺。
「サフィ?どうしたの?お顔をみせてごらん?」
やさしく背中をトントンしてくれるお兄様の優しさが辛い……。
「……ぼくきのう あかちゃんみたいだった!はずかし!
しばらくはんせいですので!ほおっておいてだいじょうぶ!」
ぎゅうっと小さくなる俺の背中が、温かくて大きなものに包まれた。
お兄様が俺をそうっと抱っこしてくれたのだ。
そのままゆらゆら。小さく、優しく。
「わがままなサフィも可愛かったよ?
私よりゲイル、というのは寂しいけれどね。お父様だから仕方ない。我慢するよ」
背中越しにお兄様の声が響いてくる。
「良い子でいるサフィも好きだけれど、ああやって、甘えてくれるサフィも好きだよ。
私を信頼してくれているってことでしょう?
ふふふ。弟ってこんな感じなのかな?
サフィを甘やかすと、私まで幸せな気持ちになるんだ。
甘やかしすぎないように気をつけなきゃ、とは思うんだけどね…。
困ったお兄様でごめんね?」
ちょっと茶化したような言い方だったけど…。
俺はそおっとシーツから顔を出した。
「こまったおにいさま ちがう。さいこうの おにいさま。
ゲイルはさいこうのおとうさま。レオンおにいさまは さいこうのおにいさま」
こまらせてごめんね、の気持ちを込めて、今度は俺がおにいさまをぎゅっとした。
そして、頬を合わせてすりすり。
だいすき。おにいさま。ありがと。
「ああ…。ゲイルの気持ちがわかるなあ!
サフィが帰ってしまったら、私の方が眠れなくなってしまうかも…」
「ええ?!ど、どうしよ?………ミカミカとねる?」
「………1人で頑張れるよ、ありがとう」
こうして俺たちが朝のハグ&すりすりをしていると、コンコン、とミカが入ってきた。
「おっはよー!」
と思ったらピタリと止まり、また出て行こうとする。
「……って、俺、タイミング悪かった?外でてよっか?」
ど、どした、ミカ?!
きょどうふしん。
「……ミカ!違うから!可愛い弟と朝の挨拶をしていただけだから!」
「ミカミカ、おはよー!
あのね、おねがいがある。
ぼく かえったら、ぼくのかわりに おにいさまとねてあげて。
さびしくないように。だっこで」
俺が頼んであげていると、恥ずかしいのかお兄様が必死で止める。
「さ、サフィ!大丈夫だから!」
「えええー?!俺が一緒に?そうかあwレオンは1人で寂しかったのかあwいいぞお!一緒に寝てやろうなあwww」
ミカミカが口元に手を当てニヤニヤし始めた。
お兄様と一緒に寝るのが楽しみなのだろう。
うんうん。ミカミカも1人で寂しかったのだね。
お兄さんぶって我慢しなくていいんだよ?
俺はしたり顔でうんうんと頷いた。
「……おにいさんでも、いっしょにねていいの。だいじょうぶ。
いっしょにねるとほかほかしあわせ。とてもよき。
ミカもおにいさまもしあわせ。だいじょうぶ。
ふたりとも、おにいさんだからと がまんはふよう。
ないしょですればよき」
やさしく2人を慰める俺に、2人は微妙な表情。
「何が大丈夫なのかなあ…。うーん…」
「いや、俺は寂しいとか言ってねえだろ!てか、侍従が主人と添い寝とか、さすがにねーわ!」
んもう!照れなくていいのにね!
朝は、毎日ミカミカが用意してくれてる。
王様たちは朝は忙しいから、それぞれの時間にバラバラで食べているんだって。
その代わりにランチと夜ご飯は一緒にね、って言われてる。
お気遣い頂き申し訳ない。
ミカミカは、あの事件で急に食事が喉を通らなくなってしまったお兄様のために料理を覚えたんだって。
ミカミカが目の前で作っていっしょに食べてたんだって。
いい話だよね。
それからすっかり料理に目覚めてしまったらしい。
「ふっふっふ。今日のは自信作なんだ!うますぎてサフィちゃんのお目目が飛び出しちゃうかも!」
そういってかごから取り出して並べてくれたのは……
「パ、パンケーキ!パンケーキだああああ!!
ふわああああ!!しかも、緑色と紫いろと黄色!」
「サフィと俺とレオンの色だ!どうだ?びっくりしただろ?」
「びっくりした!すごい!ミカミカ、てんさい!」
「それだけじゃないんだぜ?ちょっと待ってろよおー!」
色とりどりのパンケーキとフルーツを並べ、その上に…
「じゃーん!」
「クリーム!クリームだああ!!いいの?あさごはんなのに、おやつ。いいの?」
「まかせろ!お野菜はなんと!パンケーキに練り込んでありまああす!
この緑が、ホウレンソウ。紫が紫芋。黄色がカボチャだ!
混ぜ込む前に一度ペーストにしてあるから舌ざわりもいいはずだぜ!
それとコンソメスープな。野菜たっぷり入れといたから、それで野菜は十分だろ」
とろとろとろりん。
たあああっぷりのカスタードクリームをかけて。
「かんせーい!」
ドヤア、と胸を張るミカが輝いて見える。
「ミカミカ、さいこう!すごい!てんさいりょうりにん!やっぱりてんし!」
「……確かにこれは…!」
「あさからきんだん。くせになるあさごはん」
ワクワクワク。
ぱくり。
「おいしーい!!ふわふわのもっちもち!くりーむとろりん!」
ぱくぱくぱくぱく。
と、とまらーん!!!
お兄様も上品に、でも確実に目の前の皿を空にしていく。
ま、負けるかあああ!
「ちょ、ちょっとまって!俺の分まで食うな!」
ちっ。バレたか。
多分、慣れないことが沢山あって、疲れてたんだと思う。
ゲイルを見たとたん、我慢してた甘えん坊が爆発しちゃったんだな、きっと。
で、翌朝。
お兄様のキラキラのご尊顔&額へのキスで目覚めた俺は、カタツムリになっていた。
は、は、は、はずかしいいいいい!!
5歳にもなって!
もうお兄さんなのに!!
赤ちゃんみたいに「抱っこじゃないと寝ないもんっ」ってごねまくっちゃったよおおおお!!
はずかしいいいいいい!!!
あまりの恥ずかしさに頭からシーツをかぶって、こんもりと丸まる俺。
「サフィ?どうしたの?お顔をみせてごらん?」
やさしく背中をトントンしてくれるお兄様の優しさが辛い……。
「……ぼくきのう あかちゃんみたいだった!はずかし!
しばらくはんせいですので!ほおっておいてだいじょうぶ!」
ぎゅうっと小さくなる俺の背中が、温かくて大きなものに包まれた。
お兄様が俺をそうっと抱っこしてくれたのだ。
そのままゆらゆら。小さく、優しく。
「わがままなサフィも可愛かったよ?
私よりゲイル、というのは寂しいけれどね。お父様だから仕方ない。我慢するよ」
背中越しにお兄様の声が響いてくる。
「良い子でいるサフィも好きだけれど、ああやって、甘えてくれるサフィも好きだよ。
私を信頼してくれているってことでしょう?
ふふふ。弟ってこんな感じなのかな?
サフィを甘やかすと、私まで幸せな気持ちになるんだ。
甘やかしすぎないように気をつけなきゃ、とは思うんだけどね…。
困ったお兄様でごめんね?」
ちょっと茶化したような言い方だったけど…。
俺はそおっとシーツから顔を出した。
「こまったおにいさま ちがう。さいこうの おにいさま。
ゲイルはさいこうのおとうさま。レオンおにいさまは さいこうのおにいさま」
こまらせてごめんね、の気持ちを込めて、今度は俺がおにいさまをぎゅっとした。
そして、頬を合わせてすりすり。
だいすき。おにいさま。ありがと。
「ああ…。ゲイルの気持ちがわかるなあ!
サフィが帰ってしまったら、私の方が眠れなくなってしまうかも…」
「ええ?!ど、どうしよ?………ミカミカとねる?」
「………1人で頑張れるよ、ありがとう」
こうして俺たちが朝のハグ&すりすりをしていると、コンコン、とミカが入ってきた。
「おっはよー!」
と思ったらピタリと止まり、また出て行こうとする。
「……って、俺、タイミング悪かった?外でてよっか?」
ど、どした、ミカ?!
きょどうふしん。
「……ミカ!違うから!可愛い弟と朝の挨拶をしていただけだから!」
「ミカミカ、おはよー!
あのね、おねがいがある。
ぼく かえったら、ぼくのかわりに おにいさまとねてあげて。
さびしくないように。だっこで」
俺が頼んであげていると、恥ずかしいのかお兄様が必死で止める。
「さ、サフィ!大丈夫だから!」
「えええー?!俺が一緒に?そうかあwレオンは1人で寂しかったのかあwいいぞお!一緒に寝てやろうなあwww」
ミカミカが口元に手を当てニヤニヤし始めた。
お兄様と一緒に寝るのが楽しみなのだろう。
うんうん。ミカミカも1人で寂しかったのだね。
お兄さんぶって我慢しなくていいんだよ?
俺はしたり顔でうんうんと頷いた。
「……おにいさんでも、いっしょにねていいの。だいじょうぶ。
いっしょにねるとほかほかしあわせ。とてもよき。
ミカもおにいさまもしあわせ。だいじょうぶ。
ふたりとも、おにいさんだからと がまんはふよう。
ないしょですればよき」
やさしく2人を慰める俺に、2人は微妙な表情。
「何が大丈夫なのかなあ…。うーん…」
「いや、俺は寂しいとか言ってねえだろ!てか、侍従が主人と添い寝とか、さすがにねーわ!」
んもう!照れなくていいのにね!
朝は、毎日ミカミカが用意してくれてる。
王様たちは朝は忙しいから、それぞれの時間にバラバラで食べているんだって。
その代わりにランチと夜ご飯は一緒にね、って言われてる。
お気遣い頂き申し訳ない。
ミカミカは、あの事件で急に食事が喉を通らなくなってしまったお兄様のために料理を覚えたんだって。
ミカミカが目の前で作っていっしょに食べてたんだって。
いい話だよね。
それからすっかり料理に目覚めてしまったらしい。
「ふっふっふ。今日のは自信作なんだ!うますぎてサフィちゃんのお目目が飛び出しちゃうかも!」
そういってかごから取り出して並べてくれたのは……
「パ、パンケーキ!パンケーキだああああ!!
ふわああああ!!しかも、緑色と紫いろと黄色!」
「サフィと俺とレオンの色だ!どうだ?びっくりしただろ?」
「びっくりした!すごい!ミカミカ、てんさい!」
「それだけじゃないんだぜ?ちょっと待ってろよおー!」
色とりどりのパンケーキとフルーツを並べ、その上に…
「じゃーん!」
「クリーム!クリームだああ!!いいの?あさごはんなのに、おやつ。いいの?」
「まかせろ!お野菜はなんと!パンケーキに練り込んでありまああす!
この緑が、ホウレンソウ。紫が紫芋。黄色がカボチャだ!
混ぜ込む前に一度ペーストにしてあるから舌ざわりもいいはずだぜ!
それとコンソメスープな。野菜たっぷり入れといたから、それで野菜は十分だろ」
とろとろとろりん。
たあああっぷりのカスタードクリームをかけて。
「かんせーい!」
ドヤア、と胸を張るミカが輝いて見える。
「ミカミカ、さいこう!すごい!てんさいりょうりにん!やっぱりてんし!」
「……確かにこれは…!」
「あさからきんだん。くせになるあさごはん」
ワクワクワク。
ぱくり。
「おいしーい!!ふわふわのもっちもち!くりーむとろりん!」
ぱくぱくぱくぱく。
と、とまらーん!!!
お兄様も上品に、でも確実に目の前の皿を空にしていく。
ま、負けるかあああ!
「ちょ、ちょっとまって!俺の分まで食うな!」
ちっ。バレたか。
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