もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。

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王城でのまがりにん生活

俺の王城生活2日目。

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王城2日目。
今日の俺のスケジュール。

まずは王妃様と専属のお針子さんと俺とで「サフィ測定」。
俺のお着替えを作るために、色々なサイズを測るのだ。
これは、王城の方に護衛の皆さまと一緒に行って測定した。
本当は「どんな服がいいのかも相談しましょ!」って言われたんだけど…。それは丁重にお断りさせて頂いた。
女性の服選びは地獄。前世の母でそれはよく分かっている。
それに…実は俺のセンスは壊滅的。
どれくらいかとうと…。俺は基本的には兄たちのおさがりや兄がくれた服を着ていたのだが、ある時「もう自分で選べる!」と一念発起。その結果…前世の俺大好き家族からすら「独特のセンス」「そんな服ですら着こなしちゃってるのが逆に凄い」と褒めてるんだかけなしてるんだが分からない微妙な誉め方をされたくらいなんだからね!ものすごく必死に褒めをひねり出してくれたのが分かるくらいの必死さが辛かった…。それ以来、俺の服は母と兄におまかせなのだ。
ということで「おうひさまがえらんでくれたふくがいいです!たのしみにしています!」とオネダリすることで、俺は華麗に地獄を回避。後は野となれ山となれ…王妃様、信じてるからね!

ちなみに、俺の身長や体重は……今後の成長に期待したい。
がっくり。
ゲイルもエリアスも大きいから、きっと家系的には大きくなれるはず。そう信じたい。


その後は…
お待ちかねの!剣術訓練!!
やったあ!!
さすがのゲイルは、運動しやすい服(平民服みたいなの。シャツと、シンプルなズボン。動きやすいブーツ)も持ってきてくれてあった!最高!有り難うお父様!

俺はさっそくマリーとティガー、初日に俺のパーティーに加入した護衛のワイルドイケメンことジグルド、髭オジのミシャと一緒に訓練場へ。
王妃様とのご用事が予定よりも早く終わったから、訓練場には余裕をもって到着した。

訓練場は、プライベートゾーンを抜けた向こうにある。王の私室とか家族の場所を抜けないとそのにはいけないようになっているから、実質、王族と王族の許した人しか入れないんだって。
ホールみたいに広々とした部屋なんだけど、下は土だ。
ドアを開けた先にいきなり地面があるから、初めて見たときは驚いた。
なんとこの土、わざわざ外から運び込んできたものなんだって。
本来はここもダンスホールだったんだけど、今の王様が「訓練場がないではないか!」と言って訓練場に改造してしまったらしい。凄すぎ。
周りの壁がなんだかキラキラしてるのはダンスホールの名残なんだね。納得。

騎士団長さんはオルガさんという人で、なんと平民から成りあがった実力者なんだって。
王様自らが彼を見出して、大抜擢!それまでは身分の高い貴族のなかから選ばれていたから、その人事に反対する声もあったらしい。
でも王様は「ならば彼と勝負し、その実力を示してみよ!」の一言で黙らせてしまった。
かあっこいい!
まあ、そういうところが貴族至上主義の連中の一部に敵を作る原因でもあるんだろうけど。
俺は王様のそういうところ、素晴らしいと思う。

そんな実力者の騎士団長が!
騎士団長が来てくれるんだよ!こんなチビっこのために!
おおおおお!!
王様、権力を有効活用してくれたんだね、ありがとね。
申し訳ない気もするが、こんな絶好の機会を逃すわけがない。
俺はもらえるものは遠慮なくいただいておくタイプですから!

張り切り過ぎて、予定の時間よりも早く練習場についてしまった俺はもう居ても経っても居られず、とりあえず走り出した。

「うわーーーーーーい!ひろいよーーーーーう!!」
「ぼく、かぜになる!びゅーーーーん!!」

円形になているから、ぐるぐるエンドレスできる。
俺の後ろからジグルドとミシャも一緒についてきた。俺は必死で走っているのに、2人は余裕の表情なのが…!きい
い!

「早いですねえ、サフィさま!」

そんな忖度、いらん!


数刻後……。
俺は地面のお供となっていた。

舐めてた!サフィのこれまでの引きこもりっぷり、舐めてた!
俺はたった一周でふらふらになってしまったのだ。…な、なんてこった…………。

「………っはあ……っ…はあ……って……てぃが……おみず…おみずを………」

ティガーが慌てて走り寄ってきて、どこからか取り出した水を飲ませてくれる。
準備万端。ありがとう。

「ぷはあ!」

マリーに汗を拭いてもらいながら、俺は涼しい顔で立っている護衛たちをじとー。

「ぼくだけ…よぼよぼ……」

悔しさが滲む口調で呟くと、

「まだこれからですよ!サフィさま!とてもがんばっていらっしゃいました!素晴らしかったですよ!風のようでした!」
「我々は護衛ですから!この程度でくたばっていては護衛など務まりません!」
「サフィさまはまだお小さいですからな!はっはっは!」

上から順に、ティガー、ジグルド、ミシェだ。
お気遣いすまん。


しょんぼりがっかりしていると、急にみんながピシッとした。

「まだまだこれからですよ、サフィラス様」

なんて深みのあるロートーンボイス!
あ、あなたは!あなた様は…!!!

「だ、だんちょー!?」

もうそんな時間ですか?!カッコよくお迎えするはずが!
つい我をわすれてしまったがためにいいいいい!!!

「お、おはつに、おめにかかりまするです!げいるのむすこ、さふぃらすです!このたびはわたしのために くんれんにおいでくらさり…くらさいまし…くださりまして!ありがとうございまする!!」

俺は地面に倒れ込んでいたことを利用し、そのまま土下座!
これは武芸をたしなむもの最上位の礼だからね。




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はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
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