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王城でのまがりにん生活
俺、まがりにん満喫中!
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これまでに会ったことないタイプの人、大天使あらためミカは、残念ながら人間だった。
しかもおもいっきり清廉とかとは遠い方のタイプの人間だった…。
もぐもぐしながら、俺はミカをちらりと見てため息をついた。
がっかりだよ…。
「おちびちゃん!さっきから俺を見てため息つくのやめてくれるっ?この美貌の何が不満なのかなあ?通るだけで拝まれるくらいなんだぞ?」
言いながら「ほい。沢山食べな」とお皿に肉を切り分けてくれる。
もぐもぐ…。
確かに美貌。
大天使かとおもったくらいだもん。
………口さえ開かなければ。
この人、中身が世話好きおばちゃん!
お兄さんでも、叔父さんですらない!
世話好きのおばちゃん!!
せっせと俺の皿に色々少量ずつ、しかも彩りよく料理を取り分けながら、流れるような動作で俺のお口をふきふき。
おまけにいいタイミングで飲み物をくれる。「ふーふーってするんだぞ!」とか言いながら…。
ちょー世話好きじゃん!!
怜悧な美貌とその行動と口調が………違和感!
俺がそんなことを考えているのに気付いたのか、レオンお兄様が苦笑した。
「大丈夫。すぐに慣れるよ。こう見えて気のいい奴なんだ。何より、信用できる」
「……うん。それはわかりみ」
だって、切り分けてくれたお肉、全部俺のお口に合わせてミニミニサイズ。
野菜もたぶん栄養バランス考えて、色々な種類をちょっとずつ入れてある。
そんでもって、さりげなあく、俺が「おいしい」って思ったものは多めにしてくれる。
なに、このお気遣い!
天使の外見、フレンドリーでおおらかな性格、それなのに繊細な気遣いができるとは…!!
「さすがはおうじのじじゅう…」
ううむ!人間なのだとしたら…
「せわずきミカ。いいひと」
「あはは!よかったあ!俺ともレオンみたく仲良くしてくれる?」
「うん。なかよしする。よろしくおねがいします」
おれはぺこりと頭を下げた。
俺たちが交流を図っている間に、レオンお兄様は美しい所作で、食事を終えていた。
「すっかり仲良くなったようだね。よかった。
この部屋には光属性で結界が張ってあってね。登録された私とミカ、あとは数人の護衛や使用人しか入れないんだ。ごめんね。サフィは光属性だから大丈夫だよ。光属性は悪意あるものには現れない属性でね、この結界にはじかれない。
だから…ここでは僕とミカにサフィの世話をさせてもらえるかな?
ティガーとマリーには私の寝室以外でなら会えるからね。
食事を終えたら、となりの部屋に移ろう。私の衣装室なんだ。
そちらに2人が待っているから。着替えをさせて貰おうね」
「俺が着替えさせてやりたいけど…サフィはその2人にして貰う方がいいんだろ?」
さすが気遣いの人!
俺のお着替えするの、ティガーのお仕事なの。ティガー、毎日楽しみにしてるんだ。
「サフィ様が毎日大きくなっていかれるのが楽しみなんですよ。ふふふ。サフィさまのお着替えは、ゲイル様かこの私にさせてくださいね」って言ってたもん。
うん!と頷きながら…俺は大変なことに気が付いた。
「あ!!おきがえない!かえるとおもってたもん!」
「大丈夫。ゲイルが数着持ち込んでいたから。それに、母上が張り切っていたから、すぐに沢山の着替えが出来るよ」
ゲイル、さすが!お父様というより、もうお母様?
それより。
俺は今なんだかとんでもないことを聞いてしまった気がする…。
「きがえが………できる?」
「うん。明日の朝、サフィのサイズを測らせてもらって、同じサイズでお針子に作らせるって張り切っていたよ」
「わざわざ!つくるの?!」
「うち、息子は私だけだから…。ごめんね?付き合ってやって。母上、『サフィちゃんなら何色でも似合うわ!どうしようかしらー?ピンクもいいし、水色も可愛いわねえ』って嬉しそうだったから…」
ぴ。ぴんくとな!
「つきあうのは よきですが。
ぼく おとこのこ。おんなのことちがうよ?」
さすがにピンクはキツイでしょ。何その辱め!
王妃様に俺ってどう見えてるの?
慌てる俺。
でも、お兄様は完璧だった。
「うん。そう言うと思って、ピンクはやめるように言っておいたよ。代わりに『サフィは緑が好きなようですよ?あと、私とお揃いで赤も可愛いと思いませんか?』って伝えておいた」
「ゲイルのみどり!おにいさまとおそろい!」
最高じゃん!俺は思わず椅子から飛び降り
「おにいさま、おそろいです!」
ってお兄様のお膝に飛びついた。
「うわ!こんなに喜んでくれるとは思わなかった!ふふふ。サフィが嬉しそうで良かった」
俺を抱き上げてなでなでしてくれるお兄様。
俺たち、むちゃくちゃ仲良しの兄弟!
ライリオたちより仲良し!
「んーふふーん♪おにーさまと おーそろーい♪げーるとーも おそろーい♪」
俺は嬉しくって鼻歌を歌いながらご機嫌に身体を左右にゆらした。
「何この可愛いの?!ねえ、ちょっと!俺もおそろいの服着せたいんだけど、いい?!」
「みかみかとーも おそろーい♪…………」
ご機嫌で言いかけて、俺はハッとした。
「それはつくりすぎっ!ぜーたくはてきです!」
ビシっともうしつけると、楽しそうだった2人が急にがっかりした顔をした。
「あ、あわわわわ…」
ど、どうしよう!ここま甘えてしまうべきだろうか…。
でも、王家が用意してくれる服なんて、どんな高級品化と思うと!
お世話になったうえにそこまでさせてしまうのは気が引ける。
うーん、うーんと考えて…
ピコーン!
ひらめいた!
「せいきゅーは こうしゃくけにおねがいします!どんどんさくしゅしていきますので!」
公爵にはこれまでしでかしてくれた分、俺のお尻ぬぐいがかりをしっかりとして貰う!
困りごとは全て公爵にまるなげ!
いい解決策を提示し、ものすごいドヤな俺を見て、ミカミカが微妙な顔になった。
「こいつ…可愛いのにしっかりしてやがるなあ…。天使なのか悪魔なのか…」
「サフィは天使だよ?何言ってんの?」
いやいや、お2人とも何言ってるんですか?
「ぼく、にんげんだよ?ゲイルのむすこ!レオンおにいさまのおとうと!」
「天使だな!」
「言ったでしょ。天使だよ」
だから、人間だってば!
しかもおもいっきり清廉とかとは遠い方のタイプの人間だった…。
もぐもぐしながら、俺はミカをちらりと見てため息をついた。
がっかりだよ…。
「おちびちゃん!さっきから俺を見てため息つくのやめてくれるっ?この美貌の何が不満なのかなあ?通るだけで拝まれるくらいなんだぞ?」
言いながら「ほい。沢山食べな」とお皿に肉を切り分けてくれる。
もぐもぐ…。
確かに美貌。
大天使かとおもったくらいだもん。
………口さえ開かなければ。
この人、中身が世話好きおばちゃん!
お兄さんでも、叔父さんですらない!
世話好きのおばちゃん!!
せっせと俺の皿に色々少量ずつ、しかも彩りよく料理を取り分けながら、流れるような動作で俺のお口をふきふき。
おまけにいいタイミングで飲み物をくれる。「ふーふーってするんだぞ!」とか言いながら…。
ちょー世話好きじゃん!!
怜悧な美貌とその行動と口調が………違和感!
俺がそんなことを考えているのに気付いたのか、レオンお兄様が苦笑した。
「大丈夫。すぐに慣れるよ。こう見えて気のいい奴なんだ。何より、信用できる」
「……うん。それはわかりみ」
だって、切り分けてくれたお肉、全部俺のお口に合わせてミニミニサイズ。
野菜もたぶん栄養バランス考えて、色々な種類をちょっとずつ入れてある。
そんでもって、さりげなあく、俺が「おいしい」って思ったものは多めにしてくれる。
なに、このお気遣い!
天使の外見、フレンドリーでおおらかな性格、それなのに繊細な気遣いができるとは…!!
「さすがはおうじのじじゅう…」
ううむ!人間なのだとしたら…
「せわずきミカ。いいひと」
「あはは!よかったあ!俺ともレオンみたく仲良くしてくれる?」
「うん。なかよしする。よろしくおねがいします」
おれはぺこりと頭を下げた。
俺たちが交流を図っている間に、レオンお兄様は美しい所作で、食事を終えていた。
「すっかり仲良くなったようだね。よかった。
この部屋には光属性で結界が張ってあってね。登録された私とミカ、あとは数人の護衛や使用人しか入れないんだ。ごめんね。サフィは光属性だから大丈夫だよ。光属性は悪意あるものには現れない属性でね、この結界にはじかれない。
だから…ここでは僕とミカにサフィの世話をさせてもらえるかな?
ティガーとマリーには私の寝室以外でなら会えるからね。
食事を終えたら、となりの部屋に移ろう。私の衣装室なんだ。
そちらに2人が待っているから。着替えをさせて貰おうね」
「俺が着替えさせてやりたいけど…サフィはその2人にして貰う方がいいんだろ?」
さすが気遣いの人!
俺のお着替えするの、ティガーのお仕事なの。ティガー、毎日楽しみにしてるんだ。
「サフィ様が毎日大きくなっていかれるのが楽しみなんですよ。ふふふ。サフィさまのお着替えは、ゲイル様かこの私にさせてくださいね」って言ってたもん。
うん!と頷きながら…俺は大変なことに気が付いた。
「あ!!おきがえない!かえるとおもってたもん!」
「大丈夫。ゲイルが数着持ち込んでいたから。それに、母上が張り切っていたから、すぐに沢山の着替えが出来るよ」
ゲイル、さすが!お父様というより、もうお母様?
それより。
俺は今なんだかとんでもないことを聞いてしまった気がする…。
「きがえが………できる?」
「うん。明日の朝、サフィのサイズを測らせてもらって、同じサイズでお針子に作らせるって張り切っていたよ」
「わざわざ!つくるの?!」
「うち、息子は私だけだから…。ごめんね?付き合ってやって。母上、『サフィちゃんなら何色でも似合うわ!どうしようかしらー?ピンクもいいし、水色も可愛いわねえ』って嬉しそうだったから…」
ぴ。ぴんくとな!
「つきあうのは よきですが。
ぼく おとこのこ。おんなのことちがうよ?」
さすがにピンクはキツイでしょ。何その辱め!
王妃様に俺ってどう見えてるの?
慌てる俺。
でも、お兄様は完璧だった。
「うん。そう言うと思って、ピンクはやめるように言っておいたよ。代わりに『サフィは緑が好きなようですよ?あと、私とお揃いで赤も可愛いと思いませんか?』って伝えておいた」
「ゲイルのみどり!おにいさまとおそろい!」
最高じゃん!俺は思わず椅子から飛び降り
「おにいさま、おそろいです!」
ってお兄様のお膝に飛びついた。
「うわ!こんなに喜んでくれるとは思わなかった!ふふふ。サフィが嬉しそうで良かった」
俺を抱き上げてなでなでしてくれるお兄様。
俺たち、むちゃくちゃ仲良しの兄弟!
ライリオたちより仲良し!
「んーふふーん♪おにーさまと おーそろーい♪げーるとーも おそろーい♪」
俺は嬉しくって鼻歌を歌いながらご機嫌に身体を左右にゆらした。
「何この可愛いの?!ねえ、ちょっと!俺もおそろいの服着せたいんだけど、いい?!」
「みかみかとーも おそろーい♪…………」
ご機嫌で言いかけて、俺はハッとした。
「それはつくりすぎっ!ぜーたくはてきです!」
ビシっともうしつけると、楽しそうだった2人が急にがっかりした顔をした。
「あ、あわわわわ…」
ど、どうしよう!ここま甘えてしまうべきだろうか…。
でも、王家が用意してくれる服なんて、どんな高級品化と思うと!
お世話になったうえにそこまでさせてしまうのは気が引ける。
うーん、うーんと考えて…
ピコーン!
ひらめいた!
「せいきゅーは こうしゃくけにおねがいします!どんどんさくしゅしていきますので!」
公爵にはこれまでしでかしてくれた分、俺のお尻ぬぐいがかりをしっかりとして貰う!
困りごとは全て公爵にまるなげ!
いい解決策を提示し、ものすごいドヤな俺を見て、ミカミカが微妙な顔になった。
「こいつ…可愛いのにしっかりしてやがるなあ…。天使なのか悪魔なのか…」
「サフィは天使だよ?何言ってんの?」
いやいや、お2人とも何言ってるんですか?
「ぼく、にんげんだよ?ゲイルのむすこ!レオンおにいさまのおとうと!」
「天使だな!」
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