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お披露目会、大成功!…だよね?!
俺のこれから
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くすん…くすん…
ヒックヒック
ずずーっ
ずずーーーーっ
上から、リオネル、ライオネル、俺の奏でる素晴らしいハーモニー。
さんざん泣いた子供たち。
泣きはらした目をして、でも吹っ切れたようないい顔になった。
子供達を抱きしめる公爵も、見たことがないような優しい表情をしている。
初めて見た、公爵の「おとうさん」の表情。
いつもどこか澄まし顔の子供達は恥ずかし気に、でも嬉しそうに公爵に寄り添ってる。
いや、いいシーンだね。
心からそう思うよ。
でも。
ずずーっ
ずずずーーーーっ。
王城で、しかも、王様たちを目の前に待たせたままで本当に申し訳ないと思うけど。
ごめんだけど。ふけーだけど!
我慢の限界です!!!
チーーーーーン!!!!
あ!思ったよりおっきい音がでちった!
でもスッキリしたあ!
汚くてごめんね!みんな!
スッキリした俺は、うるさくてごめんね、の意味を込め
にこっとみんなに微笑みかけた。
しーーーーん。
「………………ぷっ」
「…………ふふ………」
ライ!リオ!笑うな!
でも、元気出たみたいでよかったな!
そこのクソ親父にせいぜい甘えとけ!いないよりマシだろ!
「わっはっはっは!」
え?!嘘でしょ?!俺、王様に笑われてる?!
わっはっはうっふっふとお腹を押さえて大笑いする王様。
ひ、ひどい…。
ちょっとショックでとっさに出たのが
「ふけー!!!!」
あ!ち、ちがう!そんなこというつもりは!
「まちがい!!
しつれーーー!!おうさま、しつれー!!」
慌てて言い直したが、遅かった。
俺のクッションが震え出した。
…………もういいよ。笑えよゲイル。
「す、すまん!
アッハハッハッハッハ!
こんな時に!こんなタイミングで!お、おまえ………っ!!!ヒイッツ!
さすがサフィだ!!」
笑っていいとは言ったが、いや、思ったが
そこまで笑えとは言ってないっ!
「しょーがないでしょ!なみだくんと はなみずくんはセットなの!
ないたらでる!じょーしきでしょ!」
ムキーーーー!
胸をぽかぽか!おこだ!おこ!
「……な、なみだくん……っ……はなみずくん……っ」
口元を抑えて震えるレオンお兄様。
そこ?!今それだいじ?!
冷血公爵が、血も涙もない鉄仮面が息子たちを抱きしめるという、大変感動的なシーンだったはず!
笑う要素、なかったでしょー!
なのに、どうしてお笑いになってしまうのか。
…いや、俺のせい?俺のせいなの?!
ギリギリまで耐えてたんだよ?
垂らせばよかった?!
でもそんなことしたらゲイルの服に着いちゃうじゃん!
むーん。
ゴホン。
王様が気を取り直して真面目な顔。
すると
みんなも、しゃきん!
一気に空気が引き締まった。
さすが王様である。
「……あー…、ここに集まって貰ったのはな。
他でもない、サフィラスのことだ」
え?俺?!
「ごごごごご、ごめんなさい!」
とりあえず謝ると、王様がきょとん。
「ん?何を謝罪する必要があるのだ?」
「ん?」
俺もきょとん。
「サフィラスの、魔力についてだ」
ああ、そっちか!良かったあ!
ほう、と肩の力を抜く俺に反して、ゲイルと公爵はカチコンと固まり、真剣な表情に。
え?
何か問題でもあるのだろうか?
「本来ならば広間で魔力測定を行うのだが…サフィの魔力は過去に例を見ぬほど多い。皆に知られぬ方が良いと思ってな。そうだろう、ゲイル」
「ああ。エリアナが例外なだけで、もともとサフィール侯爵家自体、魔力が多い家系なんだ。その中でも過去最大の魔力を誇る俺より上だ。……2倍程度までなら、俺の最大のヒールなら少しは効果が出たはずなんだ。なのに効かなかった。つまり…サフィの魔力は俺の2~3倍、いやそれ以上かもしれん」
「!まさか!ゲイルの3倍以上とは……!」
「ゲイルの本当の力さえ公には伏せておる。通常の治癒と言っておるが、実のところエリクサーに近い効果なのだ。そのゲイル以上となれば…」
難しい顔で黙り込む3人。
エリクサーって、不死の霊薬といわれちゃってるやつじゃん?
そりゃ、万能だわ!
ゲイルだって、お母様だって「奥の手出せば大丈夫ー!」ってなるよ。
それが効かなかったのか…そうか…。
なんだか胃がきゅっとする。
そのゲイルより上って……俺、バレたらむちゃくちゃみんなから狙われちゃうやつじゃない?!
ゆーかいされてどっかに閉じ込められて一生飼い殺しとか………。
「……ちかにかんきん……ちとかぬかれたり……おにく…」
無意識にふるりと身を振るわせる俺を、ゲイルがギュっとその胸に抱き込んだ。
「お父様がそんなことさせねーよ。大丈夫だ」
鼓膜を震わす柔らかくて暖かな声音。
胸に伝わるゲイルの鼓動。
どくん。
どくん。
ふ、と俺の力が抜けた。
大丈夫。ゲイルがいる。
「そうだよ、サフィ。僕たちもついているからね!
ここには王国最強のメンバーがそろってるんだ。安心していいよ」
その場に不釣り合いなほどの明るい声でレオンお兄様が言う。
「俺だってサフィには劣るかもしれんが、その男には勝てる」
おどけた声で公爵を顎で指すゲイル。
それに対して肩をすくめ、ニヤリと不敵な笑みを漏らす公爵。
「ふ!魔力量はともかく、私の魔力は攻撃に特化している。戦いならば負けることはない」
「こうしゃく ぼくよりよわい。こころもよわよわ。」
「ぐっ…。」
「ぷっ…!ま、まあ気持ちだからな、気持ちw
サフィの盾にくらいはなれるだろw」
ふ、と手にぬくもりを感じる。
ライオネルとリオネルがそっと手を伸ばし、俺の手を包んでくれていた。
「私たちも強くなるから。」
「僕だって!サフィが狙われたら、僕がおとりになってあげる!髪の色がおんなじだし、大丈夫だよ!」
本気で言ってくれてるのが伝わってくる。
おとりになる、って…。
そんなことしたら、リオネルが捕まるじゃん。
もうさあ…
その手はまだまだ小さいのに、すごく温かくて。
優しく力強く、王様が頷いてくれた。
「私もおるぞ」
「うふふ。私も忘れないでね。サフィちゃん」
ゲイルがニヤリと笑う。
そして、俺の両脇の下に手を入れて俺をぐいーんと持ち上げた。
「ひゃあ!」
「よーっし!これで安心だ!まずは魔力を測定してみようぜ!サフィ!」
ヒックヒック
ずずーっ
ずずーーーーっ
上から、リオネル、ライオネル、俺の奏でる素晴らしいハーモニー。
さんざん泣いた子供たち。
泣きはらした目をして、でも吹っ切れたようないい顔になった。
子供達を抱きしめる公爵も、見たことがないような優しい表情をしている。
初めて見た、公爵の「おとうさん」の表情。
いつもどこか澄まし顔の子供達は恥ずかし気に、でも嬉しそうに公爵に寄り添ってる。
いや、いいシーンだね。
心からそう思うよ。
でも。
ずずーっ
ずずずーーーーっ。
王城で、しかも、王様たちを目の前に待たせたままで本当に申し訳ないと思うけど。
ごめんだけど。ふけーだけど!
我慢の限界です!!!
チーーーーーン!!!!
あ!思ったよりおっきい音がでちった!
でもスッキリしたあ!
汚くてごめんね!みんな!
スッキリした俺は、うるさくてごめんね、の意味を込め
にこっとみんなに微笑みかけた。
しーーーーん。
「………………ぷっ」
「…………ふふ………」
ライ!リオ!笑うな!
でも、元気出たみたいでよかったな!
そこのクソ親父にせいぜい甘えとけ!いないよりマシだろ!
「わっはっはっは!」
え?!嘘でしょ?!俺、王様に笑われてる?!
わっはっはうっふっふとお腹を押さえて大笑いする王様。
ひ、ひどい…。
ちょっとショックでとっさに出たのが
「ふけー!!!!」
あ!ち、ちがう!そんなこというつもりは!
「まちがい!!
しつれーーー!!おうさま、しつれー!!」
慌てて言い直したが、遅かった。
俺のクッションが震え出した。
…………もういいよ。笑えよゲイル。
「す、すまん!
アッハハッハッハッハ!
こんな時に!こんなタイミングで!お、おまえ………っ!!!ヒイッツ!
さすがサフィだ!!」
笑っていいとは言ったが、いや、思ったが
そこまで笑えとは言ってないっ!
「しょーがないでしょ!なみだくんと はなみずくんはセットなの!
ないたらでる!じょーしきでしょ!」
ムキーーーー!
胸をぽかぽか!おこだ!おこ!
「……な、なみだくん……っ……はなみずくん……っ」
口元を抑えて震えるレオンお兄様。
そこ?!今それだいじ?!
冷血公爵が、血も涙もない鉄仮面が息子たちを抱きしめるという、大変感動的なシーンだったはず!
笑う要素、なかったでしょー!
なのに、どうしてお笑いになってしまうのか。
…いや、俺のせい?俺のせいなの?!
ギリギリまで耐えてたんだよ?
垂らせばよかった?!
でもそんなことしたらゲイルの服に着いちゃうじゃん!
むーん。
ゴホン。
王様が気を取り直して真面目な顔。
すると
みんなも、しゃきん!
一気に空気が引き締まった。
さすが王様である。
「……あー…、ここに集まって貰ったのはな。
他でもない、サフィラスのことだ」
え?俺?!
「ごごごごご、ごめんなさい!」
とりあえず謝ると、王様がきょとん。
「ん?何を謝罪する必要があるのだ?」
「ん?」
俺もきょとん。
「サフィラスの、魔力についてだ」
ああ、そっちか!良かったあ!
ほう、と肩の力を抜く俺に反して、ゲイルと公爵はカチコンと固まり、真剣な表情に。
え?
何か問題でもあるのだろうか?
「本来ならば広間で魔力測定を行うのだが…サフィの魔力は過去に例を見ぬほど多い。皆に知られぬ方が良いと思ってな。そうだろう、ゲイル」
「ああ。エリアナが例外なだけで、もともとサフィール侯爵家自体、魔力が多い家系なんだ。その中でも過去最大の魔力を誇る俺より上だ。……2倍程度までなら、俺の最大のヒールなら少しは効果が出たはずなんだ。なのに効かなかった。つまり…サフィの魔力は俺の2~3倍、いやそれ以上かもしれん」
「!まさか!ゲイルの3倍以上とは……!」
「ゲイルの本当の力さえ公には伏せておる。通常の治癒と言っておるが、実のところエリクサーに近い効果なのだ。そのゲイル以上となれば…」
難しい顔で黙り込む3人。
エリクサーって、不死の霊薬といわれちゃってるやつじゃん?
そりゃ、万能だわ!
ゲイルだって、お母様だって「奥の手出せば大丈夫ー!」ってなるよ。
それが効かなかったのか…そうか…。
なんだか胃がきゅっとする。
そのゲイルより上って……俺、バレたらむちゃくちゃみんなから狙われちゃうやつじゃない?!
ゆーかいされてどっかに閉じ込められて一生飼い殺しとか………。
「……ちかにかんきん……ちとかぬかれたり……おにく…」
無意識にふるりと身を振るわせる俺を、ゲイルがギュっとその胸に抱き込んだ。
「お父様がそんなことさせねーよ。大丈夫だ」
鼓膜を震わす柔らかくて暖かな声音。
胸に伝わるゲイルの鼓動。
どくん。
どくん。
ふ、と俺の力が抜けた。
大丈夫。ゲイルがいる。
「そうだよ、サフィ。僕たちもついているからね!
ここには王国最強のメンバーがそろってるんだ。安心していいよ」
その場に不釣り合いなほどの明るい声でレオンお兄様が言う。
「俺だってサフィには劣るかもしれんが、その男には勝てる」
おどけた声で公爵を顎で指すゲイル。
それに対して肩をすくめ、ニヤリと不敵な笑みを漏らす公爵。
「ふ!魔力量はともかく、私の魔力は攻撃に特化している。戦いならば負けることはない」
「こうしゃく ぼくよりよわい。こころもよわよわ。」
「ぐっ…。」
「ぷっ…!ま、まあ気持ちだからな、気持ちw
サフィの盾にくらいはなれるだろw」
ふ、と手にぬくもりを感じる。
ライオネルとリオネルがそっと手を伸ばし、俺の手を包んでくれていた。
「私たちも強くなるから。」
「僕だって!サフィが狙われたら、僕がおとりになってあげる!髪の色がおんなじだし、大丈夫だよ!」
本気で言ってくれてるのが伝わってくる。
おとりになる、って…。
そんなことしたら、リオネルが捕まるじゃん。
もうさあ…
その手はまだまだ小さいのに、すごく温かくて。
優しく力強く、王様が頷いてくれた。
「私もおるぞ」
「うふふ。私も忘れないでね。サフィちゃん」
ゲイルがニヤリと笑う。
そして、俺の両脇の下に手を入れて俺をぐいーんと持ち上げた。
「ひゃあ!」
「よーっし!これで安心だ!まずは魔力を測定してみようぜ!サフィ!」
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はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
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