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お披露目会、大成功!…だよね?!

俺、王様と会う

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他ごとを色々考えていた俺だが、本当は心臓が口から飛び出そうなくらい怖かった。
だって、王様だよ?!
俺の生まれ育ちって、異世界ものとかで言ったら「悪役令息」ポジじゃん?!
そしたら、粛清の対象だよね?!
この第一印象で俺の運命が決まると言っても間違いないんだもん。

ゲイルがきっと守ってくれる。
広間の外で待つマリーとティガーも。
もしかしたらだけど、俺の下僕たち公爵家も。

でも、俺が怖いのは、その後だ。
俺の大好きな人たちが、俺のせいで傷ついちゃうかもしれない。
一緒に粛清されちゃうかもしれない。
それが怖い。

だから、せめて他の貴族たちが俺の敵に回らないように、頑張って俺の権力見せつけておいたんだけど…。
いざって時、効果あるだろうか?
あれだけ怖がらせれば、みんな俺のこと攻撃してこないかな?

大丈夫だよね?ゲイル強いもん。最強だもん。
マリーだって、殿堂入りだし。
ティガーだって、前に「つよい?」って聞いたら にこにこっ、てしたもん!

王族なんて、なんてことないぞ!
俺、強いからタダではやられない!
俺の保護者達だってつよつよだし!
そうだ!王様なんて怖くないぞ!
王様がどうだってんだ、ごるあ!

強がってはいたけれど。
ゲイルはそんな俺の怯えに気付いていたんだろう。
だから、俺をからかって俺の気を紛らわせようとしてくれたんだとおもう。

パラーパラッパラッパラーララーを聞いたのは、
そんな最悪の瞬間だった。





ピカピカの鎧をガチャガチャ言わせた護衛たちに囲まれて、
がっしりした体格の「王族オーラ」に包まれたキラキラしたイケオジが入ってきた。
お、おおおおおおおお!!!
つ、つ、つ、つよそう!!!
どどどどどどどうしよう。
あれ、ゲイルより強いかもしれん。ぐわっぶわっ、て「キングオブ権威」の気配。
このイケオジ、つよつよじゃん!
やっぱやばいじゃん!!


ひいいいいいいいいいい!!!
イケオジと!目が!あった!!!!!!


ゲイルは何事もなかったかのようにすっと俺の頬から手を離し、
「私に何か?」とでもいうように畏まって優雅に礼を取った。
俺もすかさずマネをする。


広間中の貴族も同じように頭を下げ礼を取っているのか、ざわざわと衣擦れの音。

王様からお声がかかるまでは頭を挙げちゃダメ、だったよね。
ううう。。頭頂に視線を感じるうううううう!!!
どうか、どうか見逃しては頂けないだろうか!「ふけーなこと」を考えたのは謝るからっ!!
あ、公爵たちは俺とは他人なので。関係ありませんよ。
でも、俺の大切なお父様のゲイル!ゲイルだけは見逃してください!!
おれのクビちょんぱしてもいいから!嫌だけど、怖いけど、嫌だけど!!
でも、俺は本当はもう1回死んでる。この命は、ゲイルが救ってくれた命だから。ゲイルだけはなんとしても俺が助けるんだ!



そんなことを考えながら、ひたすら頭を下げ続けていると……


「面を上げるがよい」

すんごいイケボ!!

とにかくお許しが出たので俺は涙目で
「おねがいしますおねがいします。ゲイルはわるくないんです。わるいのはおれ」
って念を送りながら顔をあげた。

バチリ

ああああああああ!!
やっぱり!やっぱり俺のこと見てるじゃん!

俺はふるふるしながら、それでも王様から目をそらさなかった。

じいいい。
じいいいい。


じいいいいいいい。
じいいいいいいいいい。

「ここでめをそらしたら おわる」

ま、負けないっ!俺は負けないぞおおおお!


じいいいいいいいいいい。
じいいいいいいいいいいいい。

静かなる戦を、会場中の貴族は無言で見守る。
隣のゲイルも意識を向けてくれているのが分かる。何かあれば、俺を護ってはかなく散るつもりなのだろう。ゲイル…すき!
公爵とライリオからも張りつめた緊張が漂ってくる。
お前らも俺を護ろうとしてんのか!そうか。その気持ちは受け取ったぞ。俺の為に散るがいい!
だが…ゲイルはそうはさせるかああああああ!!!
俺は、負けないっ!!!ゲイル!俺に力をっ!
ゲイルの手をぎゅっと握って。
俺は最後の戦いに挑む。

じいいいいいいいいいいいいいいい!!
じいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!




長い長い闘いの終わりは突然訪れた。


にっこり!にこにこーっ!


王様が俺に向かって全開の笑みを見せたのだ。

「?!」

ど、どした?!イケオジ!!大丈夫か?
断罪?!断罪するの?!
涙目で見つめる俺に、更にイケオジが にこにこにこー!
ピーン!ひらめいた!
これ!これ、前世でみたやつ!!
威嚇してくるこねこちゅあんによくやるやつ!!
「大丈夫だよー。怖くないよー」なやつだ!
……もしかして、大丈夫そう?

……にこ。にこにこっ?

俺は首をかしげながらとりあえずのにっこりこん。

正解だったようだ。
イケオジの「にこにこにこ」が「ぱあああああ」になった。
ま、、まぶしいいい!!このままじゃあ、違った意味でやられてしまう!
は、と気づけば、周りの貴族たちもやられているではないか!

今だ!
今こそあの必殺技、使うときだ!!

にこにこにこっ!

俺は全開で「必殺!サフィちゃんスマイル」を向けた。
更には「上目遣いでオネダリのおかお」!
俺の攻撃を受けた王様の目が、ぐわっと見開かれた。

「ううっ!!」

と小さなつぶやきを零し、胸を抑える。
ふふん!みたか!俺の必殺攻撃!
ゲイル、ゲイル!俺、ゲイルを守ったよ!褒めて!!!

ところが…
被弾したのか、王妃と王子たちまでも胸を抑え悶えだした。
イケオジも今度は顔を抑えて天震えながら天を仰いでいる。

「王様っ!!どうなさいましたっ」
「王妃様っ!」
「殿下っ!」

慌てて駆け寄る護衛たち。




ええ?!そ、そんなに威力あった?!
そ、、、、そこまでやるつもりはなかったのにいいいいい!!

「げ…げいる…にげ、にげよう…!!
はやくはやく。ふけー!ふけーでだんざい!!」

大慌てでゲイルを引っ張る俺に、ゲイルは余裕の表情。

「ん?大丈夫。おちつけ、サフィ」

にこにこと俺を撫でる。
ダメだ!
こ、公爵!!公爵!!!ゲイルを説得してくれ!!!

「………サフィラス。落ち着くのだ。陛下は問題ない」

何であんたまでそんな余裕なんだよおおおおお!!!
すると後ろから、ぽん、と肩を叩かれた。

「あのね。あのお顔、たぶんサフィが可愛すぎて悶えていらっしゃるだけだと思う」

はあ?!何言ってんの?
ライオネル、お前はそんな冗談言うやつじゃなかったよな?!
今そんな場合じゃねえだろ!
俺たちの命がかかってんの!理解してる?!

動かないゲイルをぐいぐいしながら、非難の視線を向ける。

すると………


ぎゃああああああ!!!
だから言ったのにいいいいい!!!
キタキタキタキター!
イケオジ、きちゃったよおおおおお!!!

大ピンチです!断罪へのカウントダウン開始!
俺、どうなっちゃうのおおお?!






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