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お披露目会、大成功!…だよね?!
俺、むむむむ!王様、まだー?
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そわそわそわ。
そわそわそわ。
入場は下位貴族から。
王族への挨拶は上位貴族から。
そうすることで、上位貴族が長く待たなくていいようにしているんだって。
この国の一番トップは勿論王族。
次いで王弟の辺境伯。2大公爵家(グランディール公爵へはここね)
その下に、筆頭侯爵家(サフィール侯爵家はここ)
5侯爵家、伯爵家(ゲイルはここ)…と続く。
そして2大公爵家のうち、5歳の子供がいるのはうちだけ。
ということで、グランディール公爵家が一番最初に王に拝謁することとなる。
てことは。
俺ですねー!
前の人とか見てマネしたいのに、できないじゃん!
しかも、人前に出るのだって今日が初めてだったんだよ?
そりゃあ、ここに並ぶまでは「俺つええ」できたけど、相手は王様。
そう言うわけにはいかない。
一応、何回も練習してきたし、エリアスやゲイルからオッケーは貰ってるけど。
それでも、どきどきするー!!
だって、王様だよ、王様!最高権力者じゃん!
本で読んだやつ!異世界ものとかで、無理難題押し付けてくる人でしょ!
大丈夫かな、俺。断罪されちゃったりしない?
ゲイルは妙に自信満々だったし、俺だって、ゲイルのこと信じてるけど。
でも、でも。
緊張するよおおおおお!どきどきするよおおおおお!
なんとか落ち着こうと、周りを見て気を紛らわす。
とりあえずモーゼするので精一杯だったからね。
周りを見る余裕なんてなかったの。
今は逆に、余裕ないから周りくらい見せて欲しい。
ここがいわゆる「大広間」
謁見や、来賓への対応、舞踏会、とにかくあらゆる「大人数の集まり」に使われる場所みたい。
天井がすっごく高くて、さすがって感じ。
正面に一段上がったところがあり、そこにむちゃくちゃ豪華ないかにも「ザ・王様の椅子」がある。
その横に、たぶん「王妃様の椅子」が。
どっちも、背もたれがゲイルの身長ぐらい長い。
座高がそんなにあるわけないから、飾りなのかな?
座面と背もたれのクッション部分にあたるところは、深いボルドー。
その周りには金色の金属のレリーフが。
まさか、あれ本当の「金」じゃないよね?
椅子が2客しかないけど、今日って王子様は参加しないの?
「ゲイルゲイル。おうじさまは?こないの?」
「ん?……あ、ああ。椅子がないからか。
王子殿下は、陛下の横に立たれるんだ」
へー。
日本人の感覚からすると、大人が座って子供を立たせるのって変な感じ。
みんなの椅子を用意したらいいのにね。
俺はまたきょろきょろりん。
おおおお。
さすが王城。
俺の身長くらいはあるでっかい花瓶があちこちに。
あれ、すんごくお高いんでしょ?
もし倒しちゃったら弁償できないよね?!
「………ぼくのいのち、ふうぜんのともしび。ぜったいちかよらない」
「何に?!」
ギョッと目を向くゲイルに、俺は黙って目で花瓶を示した。
「ああ。あれか。うちにもあるぞ」
マジか!ゲイル、すごいね!
俺はますますゲイルを尊敬した。
さすがゲイル!ゲイルにできないことはないし、ゲイルが持っていないものなどないに違いない。
とりあえず、万が一壊しても、ゲイルが何とかしてくれるに違いない。
良かった。
俺はほっと胸をなでおろした。
壁の一部には本物みたいな飾り窓。
あれ、何の役に立つんだろう?
その横にはずらりと絵がかかっている。
人物を描いたものもあれば、風景を描いたものもある。
でも、そのタッチはどれも一緒だ。
いかにも「巨匠」って感じ。
この世界の巨匠、よくわかんないけど。描いたの、多分巨匠。
「きょしょー?」
つんつん。
手を引っ張って念のためゲイルに確認。
違ってたら恥ずかしいからね。
こうやって、自分の判断に間違いがないか確認するのって、大事。
ふは、と笑ってゲイルが教えてくれた。
「巨匠だな。王家の専属絵師の作品だ」
「王家の肖像画などを書く人のことだよ」
ライオネルが小さな声で付け加える。
ほお。
そこにさりげなく公爵が参加してきた。
「………廊下にも沢山の絵が飾ってあるぞ。サフィがよいならば、私が後で案内を…」
「ゲイル!あとでいっしょにみよう!」
「お、おお。いいぞ」
公爵の言葉を遮るようにしてゲイルを誘った俺に、公爵が分かりやすく落ち込んだ。
いや、だって、そりゃそうでしょ。
誰を選ぶかって言ったら、ゲイル一択。決まってるじゃん。
4人いようと、実質は選択肢1人だからな。
てな感じで。俺はあちこち存分見回して、ゲイルに色々と教えて貰ってた。
なのに。
なのに!!!
これだけやってもまだ王族は現れない。
俺は緊張通り越して、なんだかイライラしてきた。
臣下ならどれだけ待たせてもいいとおもってるの?
ちょっとそれって、上司としていかがなものでしょうか?
最初はそわそわしてたのに、だんだん「むむむ」な顔になる俺。
気付いたゲイルが俺のふくらんだ頬を指でぷすっ。
むむむむむー。
ぷすっ。
むむむむむ!
「………何をやっておるのだ?」
困惑する公爵。
俺にもわからん!
と!
なぜかこんなタイミングで
「パラーパラッパラッパラーララー!」
ラッパの音も高らかに、王族登場!
え?マジ?!
と固まるゲイルと俺。
俺は間抜けにもほっぺをぷっすりされた状態で王族を迎えることになってしまったのだった………。
チーン……。
そわそわそわ。
入場は下位貴族から。
王族への挨拶は上位貴族から。
そうすることで、上位貴族が長く待たなくていいようにしているんだって。
この国の一番トップは勿論王族。
次いで王弟の辺境伯。2大公爵家(グランディール公爵へはここね)
その下に、筆頭侯爵家(サフィール侯爵家はここ)
5侯爵家、伯爵家(ゲイルはここ)…と続く。
そして2大公爵家のうち、5歳の子供がいるのはうちだけ。
ということで、グランディール公爵家が一番最初に王に拝謁することとなる。
てことは。
俺ですねー!
前の人とか見てマネしたいのに、できないじゃん!
しかも、人前に出るのだって今日が初めてだったんだよ?
そりゃあ、ここに並ぶまでは「俺つええ」できたけど、相手は王様。
そう言うわけにはいかない。
一応、何回も練習してきたし、エリアスやゲイルからオッケーは貰ってるけど。
それでも、どきどきするー!!
だって、王様だよ、王様!最高権力者じゃん!
本で読んだやつ!異世界ものとかで、無理難題押し付けてくる人でしょ!
大丈夫かな、俺。断罪されちゃったりしない?
ゲイルは妙に自信満々だったし、俺だって、ゲイルのこと信じてるけど。
でも、でも。
緊張するよおおおおお!どきどきするよおおおおお!
なんとか落ち着こうと、周りを見て気を紛らわす。
とりあえずモーゼするので精一杯だったからね。
周りを見る余裕なんてなかったの。
今は逆に、余裕ないから周りくらい見せて欲しい。
ここがいわゆる「大広間」
謁見や、来賓への対応、舞踏会、とにかくあらゆる「大人数の集まり」に使われる場所みたい。
天井がすっごく高くて、さすがって感じ。
正面に一段上がったところがあり、そこにむちゃくちゃ豪華ないかにも「ザ・王様の椅子」がある。
その横に、たぶん「王妃様の椅子」が。
どっちも、背もたれがゲイルの身長ぐらい長い。
座高がそんなにあるわけないから、飾りなのかな?
座面と背もたれのクッション部分にあたるところは、深いボルドー。
その周りには金色の金属のレリーフが。
まさか、あれ本当の「金」じゃないよね?
椅子が2客しかないけど、今日って王子様は参加しないの?
「ゲイルゲイル。おうじさまは?こないの?」
「ん?……あ、ああ。椅子がないからか。
王子殿下は、陛下の横に立たれるんだ」
へー。
日本人の感覚からすると、大人が座って子供を立たせるのって変な感じ。
みんなの椅子を用意したらいいのにね。
俺はまたきょろきょろりん。
おおおお。
さすが王城。
俺の身長くらいはあるでっかい花瓶があちこちに。
あれ、すんごくお高いんでしょ?
もし倒しちゃったら弁償できないよね?!
「………ぼくのいのち、ふうぜんのともしび。ぜったいちかよらない」
「何に?!」
ギョッと目を向くゲイルに、俺は黙って目で花瓶を示した。
「ああ。あれか。うちにもあるぞ」
マジか!ゲイル、すごいね!
俺はますますゲイルを尊敬した。
さすがゲイル!ゲイルにできないことはないし、ゲイルが持っていないものなどないに違いない。
とりあえず、万が一壊しても、ゲイルが何とかしてくれるに違いない。
良かった。
俺はほっと胸をなでおろした。
壁の一部には本物みたいな飾り窓。
あれ、何の役に立つんだろう?
その横にはずらりと絵がかかっている。
人物を描いたものもあれば、風景を描いたものもある。
でも、そのタッチはどれも一緒だ。
いかにも「巨匠」って感じ。
この世界の巨匠、よくわかんないけど。描いたの、多分巨匠。
「きょしょー?」
つんつん。
手を引っ張って念のためゲイルに確認。
違ってたら恥ずかしいからね。
こうやって、自分の判断に間違いがないか確認するのって、大事。
ふは、と笑ってゲイルが教えてくれた。
「巨匠だな。王家の専属絵師の作品だ」
「王家の肖像画などを書く人のことだよ」
ライオネルが小さな声で付け加える。
ほお。
そこにさりげなく公爵が参加してきた。
「………廊下にも沢山の絵が飾ってあるぞ。サフィがよいならば、私が後で案内を…」
「ゲイル!あとでいっしょにみよう!」
「お、おお。いいぞ」
公爵の言葉を遮るようにしてゲイルを誘った俺に、公爵が分かりやすく落ち込んだ。
いや、だって、そりゃそうでしょ。
誰を選ぶかって言ったら、ゲイル一択。決まってるじゃん。
4人いようと、実質は選択肢1人だからな。
てな感じで。俺はあちこち存分見回して、ゲイルに色々と教えて貰ってた。
なのに。
なのに!!!
これだけやってもまだ王族は現れない。
俺は緊張通り越して、なんだかイライラしてきた。
臣下ならどれだけ待たせてもいいとおもってるの?
ちょっとそれって、上司としていかがなものでしょうか?
最初はそわそわしてたのに、だんだん「むむむ」な顔になる俺。
気付いたゲイルが俺のふくらんだ頬を指でぷすっ。
むむむむむー。
ぷすっ。
むむむむむ!
「………何をやっておるのだ?」
困惑する公爵。
俺にもわからん!
と!
なぜかこんなタイミングで
「パラーパラッパラッパラーララー!」
ラッパの音も高らかに、王族登場!
え?マジ?!
と固まるゲイルと俺。
俺は間抜けにもほっぺをぷっすりされた状態で王族を迎えることになってしまったのだった………。
チーン……。
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