もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。

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お披露目会、大成功!…だよね?!

俺、お披露目会にしゅっぱつ?!

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俺の支度も優秀な保護者のお陰でカンペキに整った訳ですが。
不本意ではあるが、今日の俺は一応「公爵家3男のサフィラス」として王家と貴族にお披露目される。
さすがに公爵家として招待されてるのに、いきなり初登場で「サフィです!あ、公爵家に間借りはしてますが公爵家は出ます!ゲイルの息子になりました!」てわけにもいかないしね。
10歳までは公爵家の権力をむさぼりつくすって決めてるし。
それまでは「(自称)ゲイルの息子」「(自称)俺の息子」なんだよねー。

だから、仕方はないけど、今日は公爵と一緒に登城するんだろうな、なんて覚悟してた。
気まずいけどさ。
まあ、そこは我慢する。しょうがないもん。
ゲイル色を身に纏って、それで頑張ろうって思ってたの。

なのに…
なんか…様子が…
エリアスとゲイル、俺と一緒の「サフィール家のグリーン」できめっきめじゃね?
しかも、ゲイルの衣装に至っては、俺とおソロ!おソロだよね?

「ふっふっふ!驚いたか?サフィ!
お父様とおそろいだぞー!」

ドヤってらっしゃるおとーさま。
分かってます?
今日は!俺のお披露目なの!
しかも、一応俺、「公爵家の息子」って設定だから!
ゲイルがオソロにしてどうすんだよおおおおお!

にしても…俺とおんなじデザインなのに、着る人が違うとこんなに違うものなんだろうか…。
俺のは半ズボン、ゲイルはトラウザースっていう違いはあるけど。
ゲイルが切ると、細身のシルエットにひきしまった胸板が強調され、なんかすっごい堂々としてる。
セクシーワイルドなのに、気品が漂ってる。
繰り返すけど。
俺と!同じデザインなのに!!
……神様って不公平だ…。
思わずジト目になる俺。

「ずるい。ゲイルがかっこよすぎる。
おなじふくなのに。ずるい」

いいんだ。あと10年すれば、俺だってむっちんむっちんのマッチョになるんだもん!
夢見るだけは自由だよね!


一方、これは自称でもなんでもないエリアス叔父様はといえば。
俺たちのよりワントーン淡い柔らかなグリーン。
スリムなシルエットは同じなんだけど、袖口や裾が広めにとってあり、柔らかな印象。
こうしてみると「素敵な王子様」なんだよね。黙っていれば。見た目だけは。
俺といるときは残念度高めだけど、実際のところエリアスって優秀な侯爵なんだろうな。

俺が少しだけ見直したのを察したのか、

「サフィ、僕はどう?僕のことは褒めてくれないの?」

とエリアスが褒めを要求してきた。
5歳児に褒めを要求するな、エリアス!そゆとこだぞ!


にしても。
みなさまお気づきだろうか…。
お見送りにしては、この2人…キメちゃってない?
え?これ、通常仕様?
お貴族様が特別な日に着るお見送り服?

俺の考えを見通したようにゲイルが胸を張った。

「エリアスは見送りだけだが、俺は一緒に行くぞ。
サフィのお父様なんだ。行かないわけがないだろう!」

いやいや、あなたまだ「おとうさま(予定)」
もしくは「(自称)おとうさま」でしょーが!
俺が言うのもなんだけど!

「いちおう、こうしゃくがおや。イヤだけど。
いまは、こうしゃくが…ちちおや。しょうがなくだけど」

不本意です!って顔しながらも、おれはしっかりゲイルにくぎをさす。
王様に謁見するんだよ?
ゲイル「ふけー」って怒られてつかまっちゃったらどうするの?!

俺が心配しているというのに、その当のゲイルは涼しい顔だ。
俺の前にしゃがんで、

「…お父様、一緒に居ない方がいいか?」

なんて優しい声で聞いてくる。
ずるい。そんなこといわれたら。

「………ほんとはいっしょがいい。
ゲイルといたい。
ゲイルがいてくれたら、たくさんがんばれるきがする」

なんて本音がでちゃうじゃん…。
許されないってわかってるんだよ、これでも。
だから我慢してたのに…。

俯きながらつぶやいた俺をぎゅっと抱きしめ、ゲイルは言った。

「うん。一緒に行くぞ。
大丈夫。お父様に全部任せなさい!」

なにもかも包み込んでくれるような笑顔で言われたらさ。
もう、もう!

「ゲイル、だいすき!!」

我慢おわり!もう我慢なんてしないんだ!

「いっしょがいい!いっしょ!
まかせたからね、おとうさま!
ゲイル、すき!」

抱っこですりすりしたら、
あんなに不安だったのが嘘のように、俺の身体に力がみなぎってきた。
何でも出来そうな気がする。
ボウ・アントなんちゃらだって、かんっぺきにキメて見せるからね!



ところで、エリアスはなんでオシャレしてきたの?
まさか…エリアスも?!

「僕は一緒に行けないよーさすがに」

え?じゃあなんで?

「最高に可愛いサフィの横に、僕だって最高の僕で並びたかったんだよー。
エリアス叔父様、カッコいいでしょ?
褒めて褒めて!」

そのためだけに?え?マジで?

「そりゃそうだよ!可愛い甥の特別な日なんだもん!
正装でお見送りくらい、当たり前だよ!」

そ、そうか…あたり前…なのか?

「だよ!」

って!俺、口に出してた?
何で俺の考えてることわかるの?
もしかして…エリアス超能力者?!

「いや、口に出してないだけで全部顔に出てたぞ。その可愛らしい顔に」

ぶふぉっと噴き出すゲイル。


そ、そうか。
ちょっと恥ずかしい。
でも、エリアスの気持ちは…嬉しい。
なんだかんだ言って、エリアスはいつも優しい。
俺を想ってくれる。

「エリアスはエリアスで、だいすきだよ」

「……サフィー!!僕も大好きだよおおおおおお!!!」

あ!口にでちゃってた!
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はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
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