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俺、えりりんと貴族教育する!
俺、お茶会の練習をする
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貴族教育もほぼ終わりに近づいてきた。
と言っても、俺が受けているのはあくまでも「お披露目会用」の付け焼刃なんだけどね。
王族に対する礼儀だとか、この国の歴史だとか。
あとは、なんらかの質問をうけた場合に備えての最低限の知識。
ボウ(以下略!)はなんとか出来るようになった。
普段使わないような筋肉を酷使するんだもん!
すっごく!すごおおおおく!大変だったけどね!!
少なくとも、ゲイルが
「凄いぞ!満点だ!」
ってすっごい拍手して俺を抱き上げてくるくる回ってくれるくらいには上手になったと思う。
あのくるくるするやつ、最高!
もっかい!もっかい!って何度もお願いして、目が回ってふらふらになるまでやって貰って、最後には2人でベッドに倒れ込んだくらい面白かった!
またやってくれないかなー。
でもって、今俺を悩ましているのが。
お茶!お茶なの!
別に紅茶が嫌いとか、そういうことじゃないんだよ。どっちかっていうと、好き。
お砂糖たっぷり入れると美味しいんだよ。
でも、問題は…あのカップ!
何あの細い取っ手!
あんなとこを親指と人差し指でもって優雅に飲めって…無理でしょ!
どう考えても、物理的に無理でしょおおおおお!
たった2本の指にカップ、お茶、すべての負荷がかかるんだよ?!意味わかんない!
俺の小さな細い指には拷問だ。
俺の指を殺す気?!
俺が真剣な顔でプルプルとカップを持ち上げるのを見て、笑い堪えてるそこの人!
おい!出たなえりりん!お前のことだぞ!
可愛い甥の頑張りを笑うとは何事だ!
俺、ぜったいに許してやらないんだからなっ!
ゲイルとティガーは、
「頑張れ、サフィ!その調子だ!」
「素晴らしいですよ、サフィラス様!とっても素敵です!」
と目をキラキラさせながら俺を応援している。
嬉しいけど、ちょっと黙ってて!気が散る!
マリーは……鼻を抑えて上を向いてる。
おい!その鼻血さっさと拭いてこい!
「優雅なお茶会」のはずが、保護者達がアレなので優雅とは程遠い有様だ。
これでいいのだろうか…。
いや、集中集中!あと少しだ!頑張れ俺!
カタン。
なんとか口まで運び1口飲んで、音をたてぬようにカップをソーサーに戻すと言う偉業達成!
やったあ!
俺は両手を広げてゲイルに突進した!
あれ!あれやって!!
あのご褒美のぐるぐる!
ゲイルは俺をひょいっと抱き上げ、くるくるーっと。
いつもより多めに回ってくれる!
「アハハハハ!すごいすごい!!
めがまわるよおおおおう!」
ハアハアと大興奮の俺。
ふと見ると、マリーが手を広げて待ち構えている。
バッチコーイ、な態勢だ。
も、もしかして!マリーーもやってくれるの?!
鼻血、止まったみたいで良かったね、マリー!
俺、ちょっと重くなったけど、大丈夫?
ぴょーいっとマリーに飛びつけば……
「うひゃあああああああ!!
なにこれえええええええ!」
くるくる、じゃない!
ぐるんぐるんぐるーん!だよ、これっ!
俺の身体、遠心力で地面と平行になってる!!!
ひいいいいいい!!!
「どうですか?楽しいですか、サフィラス様!」
張り切ってくれているのは分かる!でも、でも、やりすぎいいいい!!!
「マリー!サフィラス様が大変です!」
目をぐるぐるさせている俺を見て、ティガーが慌ててマリーを止めてくれた。
「ハァ…ハァ…あ…ありがと…ティガー…」
こわかったよおおおう!!
ゲイルがそっと俺の鼻水と涙をぬぐってくれる。
チーン…。
ふう…。ゲイルうう…浮気してごめんね!やっぱりゲイルのが1番だった!
そんな俺たちを見て、エリアス叔父様がお腹を抱えてゲラゲラと笑っている。
くそおおおおう!
貴族の気品はどこいった、エリアス!
いや、これはえりりんか!
「ごめんごめん!だって……あんなの…www無理でしょwwwwww」
ぷんぷんと頬を膨らませた俺に笑いながら謝るえりりん。
謝罪とは!
「サフィラス様あ!ごめんなさああい!マリーやりすぎちゃいました?」
しょんぼりと肩を落とすマリー。
「マリーつよすぎた。でも、だいじょうぶ
でも、えりりんは ゆるさない!」
「ど、どうして僕?!」
「おにのえりりんとは、もうおちゃかいしない。ゲイルとティガーとマリーでする」
ゲイルに抱っこして貰いながら、右手はティガー左手はマリーとつなぎ、宣言する。
「ええええ?!そんなああああ!!
このお菓子、叔父様が用意したんだよ?
有名なお菓子やさんのでね、手に入れるのすっごく大変だったんだだよ?」
「………」
「次のお茶会では、美味しいって評判のレモンタルトを用意しようと思ってたんだけどなあ…。
クッキーの生地の上に甘酸っぱいクリームがたあっくさんのってるんだけどなー。
残念だなー」
「………」
「そこの店、アップルパイも有名なんだよねー。
知ってる?リンゴをはちみつとお砂糖で煮込んでね。
パイの上にたっぷりのカスタードクリームを入れてその上に甘いリンゴを載せて、焼くんだ。
サックサクとろーり、なんだけどなー」
「しかたない。エリアスおじさまならきてもいいです」
ゲイル!侍従コンビ!そんな「ちょろいなー」ってジト目で見ない!
しょうがないでしょ!
美味しいは正義なんだから!
エリアス!アップルパイは多めにお願い!お代わりするから!
辛く苦しいお茶会の練習は、まだまだ続きそうである。
と言っても、俺が受けているのはあくまでも「お披露目会用」の付け焼刃なんだけどね。
王族に対する礼儀だとか、この国の歴史だとか。
あとは、なんらかの質問をうけた場合に備えての最低限の知識。
ボウ(以下略!)はなんとか出来るようになった。
普段使わないような筋肉を酷使するんだもん!
すっごく!すごおおおおく!大変だったけどね!!
少なくとも、ゲイルが
「凄いぞ!満点だ!」
ってすっごい拍手して俺を抱き上げてくるくる回ってくれるくらいには上手になったと思う。
あのくるくるするやつ、最高!
もっかい!もっかい!って何度もお願いして、目が回ってふらふらになるまでやって貰って、最後には2人でベッドに倒れ込んだくらい面白かった!
またやってくれないかなー。
でもって、今俺を悩ましているのが。
お茶!お茶なの!
別に紅茶が嫌いとか、そういうことじゃないんだよ。どっちかっていうと、好き。
お砂糖たっぷり入れると美味しいんだよ。
でも、問題は…あのカップ!
何あの細い取っ手!
あんなとこを親指と人差し指でもって優雅に飲めって…無理でしょ!
どう考えても、物理的に無理でしょおおおおお!
たった2本の指にカップ、お茶、すべての負荷がかかるんだよ?!意味わかんない!
俺の小さな細い指には拷問だ。
俺の指を殺す気?!
俺が真剣な顔でプルプルとカップを持ち上げるのを見て、笑い堪えてるそこの人!
おい!出たなえりりん!お前のことだぞ!
可愛い甥の頑張りを笑うとは何事だ!
俺、ぜったいに許してやらないんだからなっ!
ゲイルとティガーは、
「頑張れ、サフィ!その調子だ!」
「素晴らしいですよ、サフィラス様!とっても素敵です!」
と目をキラキラさせながら俺を応援している。
嬉しいけど、ちょっと黙ってて!気が散る!
マリーは……鼻を抑えて上を向いてる。
おい!その鼻血さっさと拭いてこい!
「優雅なお茶会」のはずが、保護者達がアレなので優雅とは程遠い有様だ。
これでいいのだろうか…。
いや、集中集中!あと少しだ!頑張れ俺!
カタン。
なんとか口まで運び1口飲んで、音をたてぬようにカップをソーサーに戻すと言う偉業達成!
やったあ!
俺は両手を広げてゲイルに突進した!
あれ!あれやって!!
あのご褒美のぐるぐる!
ゲイルは俺をひょいっと抱き上げ、くるくるーっと。
いつもより多めに回ってくれる!
「アハハハハ!すごいすごい!!
めがまわるよおおおおう!」
ハアハアと大興奮の俺。
ふと見ると、マリーが手を広げて待ち構えている。
バッチコーイ、な態勢だ。
も、もしかして!マリーーもやってくれるの?!
鼻血、止まったみたいで良かったね、マリー!
俺、ちょっと重くなったけど、大丈夫?
ぴょーいっとマリーに飛びつけば……
「うひゃあああああああ!!
なにこれえええええええ!」
くるくる、じゃない!
ぐるんぐるんぐるーん!だよ、これっ!
俺の身体、遠心力で地面と平行になってる!!!
ひいいいいいい!!!
「どうですか?楽しいですか、サフィラス様!」
張り切ってくれているのは分かる!でも、でも、やりすぎいいいい!!!
「マリー!サフィラス様が大変です!」
目をぐるぐるさせている俺を見て、ティガーが慌ててマリーを止めてくれた。
「ハァ…ハァ…あ…ありがと…ティガー…」
こわかったよおおおう!!
ゲイルがそっと俺の鼻水と涙をぬぐってくれる。
チーン…。
ふう…。ゲイルうう…浮気してごめんね!やっぱりゲイルのが1番だった!
そんな俺たちを見て、エリアス叔父様がお腹を抱えてゲラゲラと笑っている。
くそおおおおう!
貴族の気品はどこいった、エリアス!
いや、これはえりりんか!
「ごめんごめん!だって……あんなの…www無理でしょwwwwww」
ぷんぷんと頬を膨らませた俺に笑いながら謝るえりりん。
謝罪とは!
「サフィラス様あ!ごめんなさああい!マリーやりすぎちゃいました?」
しょんぼりと肩を落とすマリー。
「マリーつよすぎた。でも、だいじょうぶ
でも、えりりんは ゆるさない!」
「ど、どうして僕?!」
「おにのえりりんとは、もうおちゃかいしない。ゲイルとティガーとマリーでする」
ゲイルに抱っこして貰いながら、右手はティガー左手はマリーとつなぎ、宣言する。
「ええええ?!そんなああああ!!
このお菓子、叔父様が用意したんだよ?
有名なお菓子やさんのでね、手に入れるのすっごく大変だったんだだよ?」
「………」
「次のお茶会では、美味しいって評判のレモンタルトを用意しようと思ってたんだけどなあ…。
クッキーの生地の上に甘酸っぱいクリームがたあっくさんのってるんだけどなー。
残念だなー」
「………」
「そこの店、アップルパイも有名なんだよねー。
知ってる?リンゴをはちみつとお砂糖で煮込んでね。
パイの上にたっぷりのカスタードクリームを入れてその上に甘いリンゴを載せて、焼くんだ。
サックサクとろーり、なんだけどなー」
「しかたない。エリアスおじさまならきてもいいです」
ゲイル!侍従コンビ!そんな「ちょろいなー」ってジト目で見ない!
しょうがないでしょ!
美味しいは正義なんだから!
エリアス!アップルパイは多めにお願い!お代わりするから!
辛く苦しいお茶会の練習は、まだまだ続きそうである。
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