もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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公爵家の憎まれ3男、それが俺です

サフィ、あとは任せて!(加筆修正2)

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そうこうしているうちに、1年たった。
サフィも、放置されたまま4歳になっていた。
俺は何もできないまま、ただサフィの中でサフィと一緒にいた。

相変わらず、サフィはひとり。
あの意地悪な女に「嫌われているのだ」「いらない子」だという呪詛を吹き込まれ続けていた。

時折部屋のそとであの兄弟をみかけたが、話しかけたそうにはしているものの、話しかけらえることはなかった。
そのころにはサフィの方も、自分から話しかける気力を失っていたんだ。

何かきっかけが必要だった。
呪いのように停滞し、がんじがらめのこの公爵家には、目を覚まさせるきっかけが必要だったんだと思う。




そのきっかけは、最悪の方法で訪れた。



公爵は頭を抱えていた。
もうあれから4年も経っていたなんて!

上位貴族の子は、必ず5歳で王家や上位貴族にお披露目をしなければならない。
王の前で膝をつき、忠誠を誓うのだ。
その際に魔力の量と系統も測定するため、5歳のすべての貴族子弟に参加が義務付けられていた。

実は、生まれた時はもちろん、通常は3歳にも親族や貴族へのお披露目があるのだが、サフィラスの時にはしなかった。
生まれたときに「母親が亡くなったばかりで」「体が弱いので」とスルーしたままになっていた。
そのため、サフィラスにとってはこれが初めてのお披露目となる。

「5歳のお披露目」だけは、参加せねばならない。
多いだろうという魔力量も、測定せねばならない。
さすがの公爵も、王家が絡むお披露目は重要視していた。

これまで何の教育もせず放置してきた3男に、1年でなんとか貴族教育をしなければならない。
公爵はここにきてようやく、目を背けていた3男に関わらざるを得なくなったのである。


公爵は慌てて家庭教師を手配した。
ライオネルやリオネルに着けていた家庭教師を呼び出し、サフィラスの教育を任せることにする。
厳しいと評判の教師だったが、それくらいでないと1年という短期間で教育するのは難しいだろう。
その家庭教師は、時に体罰という罰も辞さないと聞いてはいたが、公爵はそれを黙認することにした。

公爵のこの判断が、のちにとんでもない事大に発展するのだが、この時公爵は全く気付いていなかった。
実は、公爵自体、親から厳しい教育をされてきた人であった。
そのため彼の教育に対する考えは偏っていたのだが、公爵はそのことに気付いててはいなかったのである。

公爵の父は「古き時代」の差別主義、権威主義の集大成のような男だった。
自分の権力とプライドを満たすことが全ての彼は、息子である公爵を「公爵家の繁栄の為の道具」として「作った」。家柄、容姿などの「条件」から妻を「選び」計画的に子供を作ったのである。
ただ、計画通りにはいかず、子供は1人しかできなかった。
それが公爵である。
公爵は「公爵家の為に尽くせ」と教えられ、幼い頃から剣や魔法、座学を詰め込みまれて育ったのだった。
母はほとんど家に寄りつかず、父は公爵を叱責するためだけに顔を見せた。
家族の団欒も、遊びも知らない。
言われたスケジュール通りに寝て起きて食事をして勉強する、それを繰り返して育った。
それが公爵の「普通」「当たり前」だ。
そういうふうに育てられた。
実際に気に食わない、思い通りにいかないと父には暴力も振るわれた。
こういった教育のおかげで、彼は感情を出さないことを学び、次第に感情のよく分からない人間になった。
厳しい貴族教育の結果、いつの間にか感情の乏しい、冷血公爵と言われる人間になっていた。
貴族学校でも、外見や血筋をもてはやされはしたが、一方では「近寄りがたい」と遠巻きにされ、心を許せる友人などいなかった。
愛情をかけられることなく、普通を知らぬまま、ただひたすら貴族教育を詰め込まれた人間。
優秀な一方、心が育つことなく欠けたままとなってしまった人間。
それが公爵だった。

公爵をそのように育てた元凶である父公爵は、趣味である狩りで魔物に襲われ、公爵が20歳の時に命をおとした。
公爵は、ようやく父の教育から逃れられるとともに、たった20歳で侯爵家当主となったのだった。
皮肉なことに、これまで受けた厳しい教育が公爵を優秀な領主たらしめた。
なまじ優秀であったが為に、公爵の心の欠けに誰も気付くことなく、彼はここまで生きてきたのだった。

唯一気付いたものもいた。
ゲイルとエリアナである。
ゲイルやエリアナとの出会いにより、変わりかけてはいたのだ。
だが…エリアナの死によりそれは失われた。
こうして公爵は再び開きかけた目を、心を閉ざしてしまったのである。


ライオネルやリオネルの時には、それでもエリアナが気を配っていた。
彼女はさりげなく教師に目を光らせ、過度な体罰を禁止していたのである。
公爵はそれを知らなかった。
知らぬまま、厳しいが優秀だという教師に、サフィラスを丸投げした。

サフィラスには誰も守ってくれる者などないというのに。


文字も読めないサフィだが、決して頭が悪かったわけではない。
サフィはたったひとりで言葉を覚え、様々なことを理解していた。
それだけでも、十分凄い。
全く教育を受けず、誰にも何も教えて貰えなかったのだ。
文字が読めないのはサフィのせいではない。

それなのに、教師はサフィを責めた。
「1年で王の前で恥をかかぬよう貴族教育をしろ」という無茶ぶりに焦っていたのかもしれない。
彼からするとサフィは「甘やかされるまま何もしてこなかった怠惰な3男」なのだ。

「あなたは、部屋にこもりっきりで勉強も何もしようとしなかったと侍女頭に聞いております。
お兄さま方はあのようにしっかりとされておりますのに、恥ずかしいとは思われませんか?」
「あなたがしっかりされないと、公爵家の顔に泥を塗ることになるのです。
教師である私の能力まで問われるんです。
寝る間も惜しんで学ばねばなりませんよ!」

そして、うっぷんを晴らすかのように、「覚えが悪い」と言ってサフィの身体や腕をムチでぶった。
自己肯定感など皆無のサフィは、すべて自分が悪いのだと思っていた。
だから、叱責や罰を当然のものと受け止め、限界まで頑張った。
その為、ますます教師のムチはふるわれることになってしまった。
教師の体罰は止めるもののないまま、限度を超えていった。
教育は苛烈を増し、休む間もないほどの課題が与えられた。

…サフィが頑張りすぎて、倒れてしまうまで。




ある日、遂にサフィは高熱を出して意識を失った。
毎日の暴力に加え、もともとろくな栄養も与えられていないところに更に睡眠や休憩さえ奪われたのだから、当然である。
家庭教師も、さすがにこれは不味いと思ったのだろう。
慌てて公爵に連絡がなされた。

サフィの部屋に駆け付けた公爵は、げっそりと青ざめた顔をみて驚愕した。


「どういうことなのだ?!なぜこのようなことになっている?!
サフィラスに何をしたのだ?!
ゲイル、ゲイルを呼べ!」

急いで優秀な医者が呼ばれた。


医者が来るまで、公爵は生きた心地がしなかった。
初めてしっかりととらえた息子の顔は、酷いものだった。
みるからに血色が悪く、おまけにやせ細っている。
きちんと食事をとらせていなかったのか?
公爵家の息子として、最低限の食事と世話をするよう申し付けてはあったはずだが…。
侍女頭は何をやっていたのだ?!
この部屋も酷いものだ。まるで物置ではないか。
なぜこのような部屋に?
公爵は混乱していた。
どうしてこんなことになったのか、彼にはわからなかった。
まさか「私の目に留まらぬところに」と言う言葉を曲解された結果だなど、夢にも思わなかった。
とにかく、酷いことになっている、そのことだけは理解できた。

「…………サフィラス。」

このような顔をしていたのか。
あの赤子は、いつのまにかこのような子に成長していたのか。


医者はすぐにやってきた。
母の出産に立ち会ったと言うその医者はゲイルという30代くらいの男だった。
ゲイルは、サフィを見て仰天した。

「不敬を承知で申し上げます。
エリアナ様が命がけでお産みになったご子息が、なぜこのようなことに!
身体の見えない箇所すべてに折檻の跡があります!
こんなに小さな子供になんという酷いことを!」

公爵に対するもの言いではなかったが、公爵は黙ってその叱責を甘んじて受けた。
公爵は、そのいつもは変わらぬ表情に、どこか沈痛な色を浮かべ、サフィの小さな身体を見つめる。
教育にある程度の罰は当たり前だった。
公爵もそのように育てられており、ムチを振るわれながら教育を受けたのだ。
だから、教師の体罰も「教育の一環」だと思い許容していた。
まさか、ここまでの暴力を振るっていようとは思ってもみなかったのだ。
ライオネルもリオネルも同じ教師から教わっていたが、何も問題はなかったと聞いていた。
高位貴族たる公爵家の息子にたかが教師がこのような暴力を振るうなどと、誰が思うだろうか。
ああ……私だ。私のせいだ。
………私のサフィラスへの無関心とも思える態度が、それを許してしまったのだ。
全ては私の責任だ。
私が気付くべきだった。もっと気に掛けるべきだったのだ。
猛烈な悔恨の念に駆られ、頭がガンガンと痛んだ。
胸をひき絞られるような痛みが襲った。


そんな公爵に向かってサフィラスの細い腕を取って見せ、ゲイルは怒りもあらわにくってかかった。

「聞いておられますか?!
おまけに、栄養も全く足りておりません!ごらんなさい!こんなに痩せて…。
だから免疫を働かせることもできず、傷口から黴菌が入りこのような高熱がでているのです。
魔力が多いものは、ある程度までは自分で無意識に治癒しているものです。
それががこのようになるなど…!
失礼ですが、ご子息をどのように扱っていらしたのですか?
どうしてこんなになるまで放っておいたのです!
命がけでこの子をお産みになったエリアナ様がこの様子を見たら、なんというでしょうか?」

ゲイルの言葉に公爵の目がハッと見開かれた。
エリアナ!…エリアナを思い出すのが辛くて、エリアナの死を思い出させるサフィラスを避けていた。
サフィラスを見ると、エリアナの死の辛さが胸を襲い、平常でいられない。
サフィラスのせいだ、と思ってしまいそうな自分が怖かった。
息子に辛くあたってしまいそうな自分から、息子を遠ざけて守っているつもりでいた。

なんという愚かな!いつまで自己憐憫にひたっていたのだ、私は!

エリアナの死と息子は関係ない。

私はただ、言い訳をして自分の辛さから逃げていただけだ。
現に、今傷ついた息子を前に、エリアナのことなど浮かばなかった。
こうなるまで放っていた自分への怒り。
息子を傷つけた教師への怒り。
あとはひたすらこの子の無事をと。
この子を救ってくれと。
それしか考えなかったではないか。

その私の弱さが、息子をここまで傷つけたのだ。

続けてゲイルは毅然とした態度で公爵にこう訴えた。

「私はエリアナ様をお助けすることができませんでした。
その為…公爵家が私の介入を拒まれるのも当然と、これまで控えておりました。
でも、このような酷い扱いを放ってはおいては、亡きエリアナ様に顔向けできません!
このままご子息まで失ってしまいますよ!
ご子息がどうなってもよろしいのですか?
それであれば、私が頂戴いたします!
連れ帰って私の養子とし、私がお世話させて頂きます!」


サフィラスを思って怒り、食って掛かるゲイルに何も言い返せない。



しっかりと確認すべきだった。
サフィラスに向き合うべきだった。
それをしなかったのは、私のあやまちだ。
私の愚かさのツケを、弱さのツケを、すべてサフィラスが支払ってきたのだ…。

サフィラスを失うと言われ、彼は初めて自分の心と向き合った。

愛する妻を失い、悲しみの現況であるこの子供を自分は「いないもの」として扱った。
この子を見ると妻を失ったあの時の事を思い出すから…。
この子と顔を合わせ、妻の仇だと、罪のない子供に憎しみをぶつけてしまいそうな自分が怖かったのだ。
悲しみの、妻を失ったやるせなさの矛先を、この子に向けてしまいそうな自分が、怖かった。
自分から離すことがサフィラスのためなのだ、と自分に言い訳をして…。
私は自分で自分を信じられなかった。
私は……弱い人間だから。
サフィラスを見ないことで悲しみや苦しみから逃げていたのだ。
侍女頭に任せっぱなしにし、すべての責任を放棄したのだ。
それを「当主がサフィラスを軽んじている」と使用人が判断したのだろう。
その結果が……今の現状だ。
全ては私がこの子に向き合う事を避けた結果なのだ。
向き合ってみれば、こんなに簡単な事だったのに!

親からも家族からも見捨てられたサフィラスは、こんなちっぽけな部屋で、この小さな身体で今までどんな気持ちで過ごしていたのだろう。

公爵の胸に鋭い痛みが走る。
氷のように凍てついた心が、ようやく溶け始めていた。
絞り出すようにして公爵が口にしたのは、この一言だけだった。

「……すまない。当主である私の責任だ…。
サフィラスがこうなったのは、全て私のせいだ…。」

そんな公爵にゲイルは容赦なかった。
彼はピシャリと言った。

「仰る通りです。すべてあなたの責任なのです。
そのことを心に刻んでください!」

その横で、兄弟が小さく震えていた。

「ねえ、兄さま。
この子…死んじゃうの?
僕が前に『死ねばいいのに』なんて言ったから?
…こんなに小さくて細かったんだ…。
本当はお母様の代わりに僕たちが守らなきゃいけなかったのに…。
僕、なんてこと言っちゃったんだろう!ごめんね、ってまだ伝えてないのに!
なんにもしてあげてないのに!」

「大丈夫だ。死なない。死なせてたまるか!
お願いします!ゲイル叔父様!この子を助けて下さい!
助けてくれたら、これからは私たちで守るから!命がけで守るから!
お願いします!……どうか…お願いだ……!!」


ゲイルは彼らの言葉など聞いてはいなかった。
彼の目に映るのは、やせ細り、今にも命の火を消さんとするサフィラスだけだった。
ゲイルはサフィに駆け寄り、涙を流しながらサフィの頬にそっと手を添え、優しく頭を撫ぜた。

「こんなことになっていようとは…。
知らずにいた私をお許しください。
もう大丈夫ですからね、サフィラスさま。
大丈夫です。私がおそばにおりますからね。
ゲイルと一緒にいらしてください。私の息子になってください。
頑張りましたね。もう大丈夫、大丈ですよ。
沢山食べて、元気になりましょうね。」

涙交じりの声でサフィに話しかけ、壊れ物を扱ううように丁寧にそして優しく抱きしめた。
この時、サフィは生まれて初めて彼の願い通り「優しい言葉」をかけられ、撫ぜられ、抱きしめられたのだった。


サフィは高熱に苦しみながら、確かに微笑んだ。
そしてひとすじの涙を流した。

「ぼく…うまれてよかった…?」

震える小さな声で問う。

「…もちろんです!おかあ様はあなたにお会いするのを楽しみにしていらしたんですよ。
一緒にいてあげられないこと、それだけが心残りだ、と仰って…。
あなたの幸せを願っていらっしゃいました。
無事に生まれて下さってありがとうございます。
あなただけでもお救いできてよかった…。」


「よかった…。ありがと…。」


幸せそうなその言葉を残し、サフィの意識は途絶えた。

サフィは頑張って、頑張って、頑張って、最後にようやく求めていた言葉を貰った。
そして、疲れ切ったサフィは俺の深い深いところで静かに眠りについたのだった。

……がんばったね。偉かったね。
後は俺にまかせな。
サフィが寝てる間に、俺がなんとかしてやるから!
起きたら俺と一緒に幸せになろうな、サフィ!

こうして俺はサフィラスになり前に出てきたのである。




これがきっかけて、公爵家は変わった。
サフィの扱いも。
サフィの未来も大きく変わったのである。
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はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
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