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誕生

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   誕生日の歌。家族みんなでケーキを囲んでロウソクを消す。「おめでとう!」と誰もが幸せな気持ちになる。「産まれきてくれてありがとう」そんなありきたりな言葉を誰かが言ってくれたら、私も違った道があったのだろうか。

  1980年の冬、私は産まれた。
   誰からも望まれず。
神主の父と結婚した母。結婚してすぐに女の子が産まれた。私の姉だ。最初の子はとても可愛がられたらしい。その後にもう一人の姉が産まれた。このあたりくらいから、母は後継のことを婆ちゃんに言われ毎日毎日ストレスを抱えていたと、全然知らない神社の客が聞いてもないのに中1のときに教えてくれた。
  そして、私を妊娠。お腹をすごく蹴るから、絶対男の子だろうと、誰もが言ったらしい。7ヶ月検診で先生が性別を言ってしまったらしく、女の子と聞き全てが崩れ落ちていった。堕ろすこともできず、着々と父と母の心は離れていった。そんなこと知りもしない私は、元気に立派な赤ちゃんで産まれてしまった。

  その後は考えなくてもわかる、母は3人の子を連れて離婚した。しかし母は美しさが邪魔して、母ではなく女になった。家にも帰ってこず、孫の世話に疲れた婆さんが父に連絡をし、私たち3人はまた神社で暮らすことになった。
  私は0歳にして、爺ちゃんに媚を売りまくったらしい。爺ちゃんと寝て、爺ちゃんとご飯、爺ちゃんとお風呂、欲しいものは何でも手に入った。
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