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物語編
第5話 研修医のオペ初助手
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総合外科の朝のカンファレンスが始まろうとしている。
(佐川)「8時だからそろそろカンファレンスはじめるぞ。」
医局長の佐川が呼び掛け、ドクターたちは自分のデスクに座る。
(佐川)「では、カンファレンスを始める。本日、桜井先生は若葉会総合病院で出張オペとなりますのでいません。じゃあまずは、川野先生、お願いします。」
(川野)「はい。えー402の膵臓癌ステージ2の斎藤さん、今日の13時から、腹腔鏡下膵臓腫瘍核出術を第5オペ室で行います。414の脾臓腫瘍の加藤さん、昨夜、発熱を起こしたのでオペは延期をすることになりました。今日から、胆嚢炎で入院の佐野さん418に入ります。以上です。」
(佐川)「了解です。光石先生お願いします。」
(光石)「はい。406の心房中核欠損の中野さん明日9時から第2オペ室でオペを行います。410の直腸癌ステージ1の佐藤さん明後日、第6オペ室で大腸カメラを用いた直腸ESDを行います。先日緊急オペをした412の腹部大動脈瘤の野村さん、今朝ドレーンを外しました。423の十二指腸GIST(ジスト)ステージ3の松本さん、来週、腹腔鏡内視鏡併用ハイブリット術を第1オペ室で行いますがまだ助手は決定してません。」
(佐川)「わかりました。そろそろ藤野先生を助手にいれてみませんか?」
(光石)「そうですね。指導医の石川先生、どうですか?」
(石川)「助手に入れても問題ないと思います。」
(藤野)「私が助手に入ってもよろしいのでしょうか?」
(石川)「研修医3ヶ月目だから外科医としての手術の知識を身に付けてもらいたいからね。」
(藤野)「わかりました。」
(佐川)「じゃあ、第1助手は石川先生、第2助手は藤野先生、カメラ助手は内科にお願いして片桐先生、内視鏡も内科にお願いして吉田先生ということでお願いします。次に石川先生お願いします。」
(石川)「はい、408の腎腫瘍ステージ3の田中さん、10時から第2オペ室で右腎摘出術を行います。417の肺腺癌ステージ4aの池田さん、昨夜昏睡状態になりました。」
(佐川)「わかりました。藤野先生、来週のオペのことをしっかり勉強してきてください。」
(藤野)「わかりました。光石先生よろしくお願いします。」
(光石)「オペとは患者さんのためにやるものです。準備を怠らないようにしてください。」
(藤野)「わかりました。」
(佐川)「以上でカンファレンスを終わりにします。今日もたくさんの患者さんを救ってください。」
オペまでの一週間、研修医である藤野は、しっかりオペについて勉強した。時はカンファレンスから一週間後、松本さんのオペの日に移る。松本さんはオペ室に運ばれたようだ。
(千住)「ご気分はどうですか?」
(松本)「大丈夫です。」
(千住)「酸素を当てますね。」
(松本)「はい。」
(中島)「病棟からで術前管理は問題なく、バイタルも安定してると病棟ナースが言っていました。」
(千住)「わかりました。麻酔導入しますね。」
(松本)「はい。」
(千住)「プロポフォール」
(中島)「はい」
(千住)「では、いれていきます。10秒くらいで眠くなりますよ。」
(中島)「はい。」
患者である松本は、15秒くらいで意識を失い、呼吸も止まった。
(千住)「よし、呼吸止まった。挿管しますよ。喉頭鏡」
(松本)「はい。」
(千住)「チューブ7.0。」
麻酔導入が終わったようだ。それから30分後オペが開始される。
(光石)「ではこれより、松本さんの腹腔鏡内視鏡併用ハイブリット十二指腸GIST切除術を開始します。藤野先生、緊張してる?」
(藤野)「はい。」
(光石)「勉強したとおりにやれば大丈夫だから。」
(藤野)「はい。」
(中島)「腹腔鏡の器械、準備できています。」
(光石)「了解。千住先生、バイタルは?」
(千住)「血圧120-80、心拍数72で安定しています。」
(光石)「了解。腹腔鏡を入れるポートから切開します。メス。」
(石川)「ガーゼ。」
(光石)「セッシと電メス。」
腹腔鏡のポート切開及びポート挿入は終了したようだ。
(光石)「気腹装置開始して。」
(金沢)「はい。気腹圧10です。」
(光石)「了解。片桐先生、カメラをいれてください。」
(片桐)「はい。」
(光石)「腹膜切開する。石川先生腹膜挟んで。」
(石川)「はい。セッシ。」
(光石)「メッツェン。藤野先生、吸引して。」
(藤野)「はい。吸引管ください。」
(光石)「よし、十二指腸みえた。やはりこれだけじゃ、腫瘍の境界がわからない、内視鏡併用は正解だろう。」
そこで、オペ室に電話が入る。
(野々村)「石川先生、426の福田さん、ショック状態ですぐに来ていただきたいとのことです。」
(石川)「まずいな。」
(光石)「石川先生、行きなさい。」
(石川)「はい。藤野先生、代わって。」
(藤野)「えっ!?はい。」
(光石)「藤野先生、落ち着いてやればできるよ。」
(藤野)「はい。第1助手やります。」
(光石)「よし、吉田先生、内視鏡お願いします。」
(吉田)「わかった。」
内科医の吉田が内視鏡を入れ、十二指腸まで到達させた。
(吉田)「腫瘍が写りました。」
(光石)「これなら腫瘍の境界がはっきりする。吉田先生。マーキングをしてください。」
(吉田)「了解。」
吉田が、10分後にマーキングを終わらせた。
(吉田)「マーキング完了。」
(光石)「切除をする。クーパー。」
(藤野)「セッシでおさえます。」
(光石)「了解。」
15分後腫瘍の切除が完了した。幸い腫瘍の転移はなかった。
(光石)「切除完了。藤野先生、切除組織を回収して。」
(藤野)「はい。組織回収パック。」
(金沢)「気腹止めます。」
(光石)「よし、入った。藤野先生、パック抜いて。」
(藤野)「はい、抜きます。」
(金沢)「気腹再開します。」
(光石)「それ、病理に提出して。」
(野々村)「はい。」
(光石)「千住先生、バイタルは?」
(千住)「安定しています。」
(光石)「切除部分を縫合する。5-0プロリン。」
無事、縫合が完了した。
(光石)「縫合完了。ドレーンを入れ、閉創する。3-0吸収糸。」
無事、閉創が完了した。
(光石)「閉創終了、クーパー。オペ終了。千住先生、バイタルは?」
(千住)「血圧105-75、心拍数105で安定しています。」
(光石)「了解。藤野先生、お疲れ様。」
(藤野)「お疲れ様でした。」
(光石)「よくやったね。」
(藤野)「はい。」
研修医である藤野は、またひとつ成長したのである。
(佐川)「8時だからそろそろカンファレンスはじめるぞ。」
医局長の佐川が呼び掛け、ドクターたちは自分のデスクに座る。
(佐川)「では、カンファレンスを始める。本日、桜井先生は若葉会総合病院で出張オペとなりますのでいません。じゃあまずは、川野先生、お願いします。」
(川野)「はい。えー402の膵臓癌ステージ2の斎藤さん、今日の13時から、腹腔鏡下膵臓腫瘍核出術を第5オペ室で行います。414の脾臓腫瘍の加藤さん、昨夜、発熱を起こしたのでオペは延期をすることになりました。今日から、胆嚢炎で入院の佐野さん418に入ります。以上です。」
(佐川)「了解です。光石先生お願いします。」
(光石)「はい。406の心房中核欠損の中野さん明日9時から第2オペ室でオペを行います。410の直腸癌ステージ1の佐藤さん明後日、第6オペ室で大腸カメラを用いた直腸ESDを行います。先日緊急オペをした412の腹部大動脈瘤の野村さん、今朝ドレーンを外しました。423の十二指腸GIST(ジスト)ステージ3の松本さん、来週、腹腔鏡内視鏡併用ハイブリット術を第1オペ室で行いますがまだ助手は決定してません。」
(佐川)「わかりました。そろそろ藤野先生を助手にいれてみませんか?」
(光石)「そうですね。指導医の石川先生、どうですか?」
(石川)「助手に入れても問題ないと思います。」
(藤野)「私が助手に入ってもよろしいのでしょうか?」
(石川)「研修医3ヶ月目だから外科医としての手術の知識を身に付けてもらいたいからね。」
(藤野)「わかりました。」
(佐川)「じゃあ、第1助手は石川先生、第2助手は藤野先生、カメラ助手は内科にお願いして片桐先生、内視鏡も内科にお願いして吉田先生ということでお願いします。次に石川先生お願いします。」
(石川)「はい、408の腎腫瘍ステージ3の田中さん、10時から第2オペ室で右腎摘出術を行います。417の肺腺癌ステージ4aの池田さん、昨夜昏睡状態になりました。」
(佐川)「わかりました。藤野先生、来週のオペのことをしっかり勉強してきてください。」
(藤野)「わかりました。光石先生よろしくお願いします。」
(光石)「オペとは患者さんのためにやるものです。準備を怠らないようにしてください。」
(藤野)「わかりました。」
(佐川)「以上でカンファレンスを終わりにします。今日もたくさんの患者さんを救ってください。」
オペまでの一週間、研修医である藤野は、しっかりオペについて勉強した。時はカンファレンスから一週間後、松本さんのオペの日に移る。松本さんはオペ室に運ばれたようだ。
(千住)「ご気分はどうですか?」
(松本)「大丈夫です。」
(千住)「酸素を当てますね。」
(松本)「はい。」
(中島)「病棟からで術前管理は問題なく、バイタルも安定してると病棟ナースが言っていました。」
(千住)「わかりました。麻酔導入しますね。」
(松本)「はい。」
(千住)「プロポフォール」
(中島)「はい」
(千住)「では、いれていきます。10秒くらいで眠くなりますよ。」
(中島)「はい。」
患者である松本は、15秒くらいで意識を失い、呼吸も止まった。
(千住)「よし、呼吸止まった。挿管しますよ。喉頭鏡」
(松本)「はい。」
(千住)「チューブ7.0。」
麻酔導入が終わったようだ。それから30分後オペが開始される。
(光石)「ではこれより、松本さんの腹腔鏡内視鏡併用ハイブリット十二指腸GIST切除術を開始します。藤野先生、緊張してる?」
(藤野)「はい。」
(光石)「勉強したとおりにやれば大丈夫だから。」
(藤野)「はい。」
(中島)「腹腔鏡の器械、準備できています。」
(光石)「了解。千住先生、バイタルは?」
(千住)「血圧120-80、心拍数72で安定しています。」
(光石)「了解。腹腔鏡を入れるポートから切開します。メス。」
(石川)「ガーゼ。」
(光石)「セッシと電メス。」
腹腔鏡のポート切開及びポート挿入は終了したようだ。
(光石)「気腹装置開始して。」
(金沢)「はい。気腹圧10です。」
(光石)「了解。片桐先生、カメラをいれてください。」
(片桐)「はい。」
(光石)「腹膜切開する。石川先生腹膜挟んで。」
(石川)「はい。セッシ。」
(光石)「メッツェン。藤野先生、吸引して。」
(藤野)「はい。吸引管ください。」
(光石)「よし、十二指腸みえた。やはりこれだけじゃ、腫瘍の境界がわからない、内視鏡併用は正解だろう。」
そこで、オペ室に電話が入る。
(野々村)「石川先生、426の福田さん、ショック状態ですぐに来ていただきたいとのことです。」
(石川)「まずいな。」
(光石)「石川先生、行きなさい。」
(石川)「はい。藤野先生、代わって。」
(藤野)「えっ!?はい。」
(光石)「藤野先生、落ち着いてやればできるよ。」
(藤野)「はい。第1助手やります。」
(光石)「よし、吉田先生、内視鏡お願いします。」
(吉田)「わかった。」
内科医の吉田が内視鏡を入れ、十二指腸まで到達させた。
(吉田)「腫瘍が写りました。」
(光石)「これなら腫瘍の境界がはっきりする。吉田先生。マーキングをしてください。」
(吉田)「了解。」
吉田が、10分後にマーキングを終わらせた。
(吉田)「マーキング完了。」
(光石)「切除をする。クーパー。」
(藤野)「セッシでおさえます。」
(光石)「了解。」
15分後腫瘍の切除が完了した。幸い腫瘍の転移はなかった。
(光石)「切除完了。藤野先生、切除組織を回収して。」
(藤野)「はい。組織回収パック。」
(金沢)「気腹止めます。」
(光石)「よし、入った。藤野先生、パック抜いて。」
(藤野)「はい、抜きます。」
(金沢)「気腹再開します。」
(光石)「それ、病理に提出して。」
(野々村)「はい。」
(光石)「千住先生、バイタルは?」
(千住)「安定しています。」
(光石)「切除部分を縫合する。5-0プロリン。」
無事、縫合が完了した。
(光石)「縫合完了。ドレーンを入れ、閉創する。3-0吸収糸。」
無事、閉創が完了した。
(光石)「閉創終了、クーパー。オペ終了。千住先生、バイタルは?」
(千住)「血圧105-75、心拍数105で安定しています。」
(光石)「了解。藤野先生、お疲れ様。」
(藤野)「お疲れ様でした。」
(光石)「よくやったね。」
(藤野)「はい。」
研修医である藤野は、またひとつ成長したのである。
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