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27.違う雰囲気。
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夕食はミラと僕とだけで頂いた。本当は全員で食べるのがマナーなんだろうけど、国王夫妻が当日まで会わせないで2人の反応を見たい、ってことらしい。
少し気にかかったのが、部屋の案内を受けた時にネローが傍を通ったのだけど…。なんだか、ネローのようで、ネローじゃないような雰囲気だった。いつもは僕を見かけるとにこ、って微笑んでくれるのに、目も合わなくて。何か用事があって僕たちのこと見えてなかったのかな?と思うようにしたけれど、違和感は大きくなるばかりだった。
「ねぇ、ミラ…。なんだか、おかしいよね…?」
「何がおかしいの?」
「なんて言うんだろう……わかんない、けど…。ネローがネローじゃないみたい…。」
「国に帰ってきたから、王子らしくしようとしてるんじゃない?まあうちのアントス国でも王子らしかったけれど。」
そうなのかなぁ…
疑問は残るけれど、明日の為にと早くに就寝した。
その日の夢は、なんだか恐ろしくて、必死にゼインを探していた。僕を後ろから鎖で縛って、僕が逃げようとする姿を見て笑われているような感じがした。
足掻けば足掻くほど締め付ける鎖。ゼインの名を呼ぶほど首の鎖が絞まる。
そして最後に、お腹から剣が突き出して血が溢れる…という、悪夢もいいところの夢だった。
「……カ、ルカ、……起きて…!」
「…はっ…!!……は、は、は………!ミ、ミラ…。起こしてくれてありがと…。」
ゆさゆさと起こされると、まだ外はほんのり暗かった。
僕の寝言、大きかったのだろうか。
「ううん、魘されてたけど、大丈夫?あと………その………。」
とても言いにくそうに視線を彷徨わせるミラ。
も、もしかして僕、言っちゃいけないこととか、言ってたのかな?!あれ、でも言っちゃいけないことって何だろう、わかんないけど。
「これ、廊下で使用人が言ってたことだから真偽は不確かだけど…。でも本当じゃなくてもあまりにも騒ぎが大きいと思うから。」
そう前置きをすると、深呼吸をして切り出した。
「ネロー王子がいなくなったみたい。」
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
「あちらの様子は。」
「はっ、昨日の昼頃フースカへ到着。そして通常より1時間ほど早めにご就寝されました。それから…暁頃にネロー王子を保護いたしました。それに気づいた使用人が少々騒いだようで、トイルズ令息がそれに気づきルカ様を起こした模様で。」
「は…?ぐっすり眠っている天使なルカを起こしたというのか…?同じ部屋と言うだけでも許しがたいことなのに…!」
「いえ、それが…ルカ様は悪夢を見ていたご様子で、魘されていたようなのです。」
「………そうか、ならば褒美をやらねば。……ネロー王子は今どういう様子だ。」
「かなり落ち着いていらっしゃるようです。国王夫妻に伝えてあることが分かり安心したようで。」
「そうか。そのままあの魔法が解けるようにしてあげてくれ。あれは悪趣味だからな。」
「はっ。」
あの夫妻は王族には向いていなくとも、子を思う親心は誰よりある。
その子供が兄王子に呪いのような魔法をかけられているなんて知った時には……あまりにも辛い話だったろう。
そんなゴチャゴチャした所にルカを放り込むなんて…と渋っていたが、今回の守りは私が側に居るよりも強力だ。少し泣きたい気がするが。
だが、痣を持つ者同士。長く離れているのはお互い辛い。早くこの面倒事を終わらせて私もフースカへ行こう。
ルカと旅行なんてしたことなかったしな。
※※※※※※※※※※※※
久しぶりの本編…!
一ヶ月ぶりじゃないか…?!2?!
まあ置いておいて。
あんだけ毎日更新しますとか2日に1回更新しますとか言っておいてこれはないですよねぇ…。
本当に申し訳ないです。
まあまだ続くので、お楽しみくださいませ。
少し気にかかったのが、部屋の案内を受けた時にネローが傍を通ったのだけど…。なんだか、ネローのようで、ネローじゃないような雰囲気だった。いつもは僕を見かけるとにこ、って微笑んでくれるのに、目も合わなくて。何か用事があって僕たちのこと見えてなかったのかな?と思うようにしたけれど、違和感は大きくなるばかりだった。
「ねぇ、ミラ…。なんだか、おかしいよね…?」
「何がおかしいの?」
「なんて言うんだろう……わかんない、けど…。ネローがネローじゃないみたい…。」
「国に帰ってきたから、王子らしくしようとしてるんじゃない?まあうちのアントス国でも王子らしかったけれど。」
そうなのかなぁ…
疑問は残るけれど、明日の為にと早くに就寝した。
その日の夢は、なんだか恐ろしくて、必死にゼインを探していた。僕を後ろから鎖で縛って、僕が逃げようとする姿を見て笑われているような感じがした。
足掻けば足掻くほど締め付ける鎖。ゼインの名を呼ぶほど首の鎖が絞まる。
そして最後に、お腹から剣が突き出して血が溢れる…という、悪夢もいいところの夢だった。
「……カ、ルカ、……起きて…!」
「…はっ…!!……は、は、は………!ミ、ミラ…。起こしてくれてありがと…。」
ゆさゆさと起こされると、まだ外はほんのり暗かった。
僕の寝言、大きかったのだろうか。
「ううん、魘されてたけど、大丈夫?あと………その………。」
とても言いにくそうに視線を彷徨わせるミラ。
も、もしかして僕、言っちゃいけないこととか、言ってたのかな?!あれ、でも言っちゃいけないことって何だろう、わかんないけど。
「これ、廊下で使用人が言ってたことだから真偽は不確かだけど…。でも本当じゃなくてもあまりにも騒ぎが大きいと思うから。」
そう前置きをすると、深呼吸をして切り出した。
「ネロー王子がいなくなったみたい。」
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
「あちらの様子は。」
「はっ、昨日の昼頃フースカへ到着。そして通常より1時間ほど早めにご就寝されました。それから…暁頃にネロー王子を保護いたしました。それに気づいた使用人が少々騒いだようで、トイルズ令息がそれに気づきルカ様を起こした模様で。」
「は…?ぐっすり眠っている天使なルカを起こしたというのか…?同じ部屋と言うだけでも許しがたいことなのに…!」
「いえ、それが…ルカ様は悪夢を見ていたご様子で、魘されていたようなのです。」
「………そうか、ならば褒美をやらねば。……ネロー王子は今どういう様子だ。」
「かなり落ち着いていらっしゃるようです。国王夫妻に伝えてあることが分かり安心したようで。」
「そうか。そのままあの魔法が解けるようにしてあげてくれ。あれは悪趣味だからな。」
「はっ。」
あの夫妻は王族には向いていなくとも、子を思う親心は誰よりある。
その子供が兄王子に呪いのような魔法をかけられているなんて知った時には……あまりにも辛い話だったろう。
そんなゴチャゴチャした所にルカを放り込むなんて…と渋っていたが、今回の守りは私が側に居るよりも強力だ。少し泣きたい気がするが。
だが、痣を持つ者同士。長く離れているのはお互い辛い。早くこの面倒事を終わらせて私もフースカへ行こう。
ルカと旅行なんてしたことなかったしな。
※※※※※※※※※※※※
久しぶりの本編…!
一ヶ月ぶりじゃないか…?!2?!
まあ置いておいて。
あんだけ毎日更新しますとか2日に1回更新しますとか言っておいてこれはないですよねぇ…。
本当に申し訳ないです。
まあまだ続くので、お楽しみくださいませ。
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