あの子の花に祝福を。

ぽんた

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24.見つかった。

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「ごめんね、何も手がかりなかったって…。」

「そっか、いいの、ありがとね。」

 お兄様は隣国『ガラノース』で太陽の痣を持つ人を調べたらしいけど隣国にはいなかったみたい。それをミラに伝えると諦めたような表情で笑っていた。どうしよう。痣を持ってる人が隠れてるとしか思えないくらい見つからない。まぁ運命の人というくらいだから、会える確率のほうが少ないのだけど。でも貴族である伯爵家が必死に探して見つからず、お兄様が探しても見つからなかった。本当に隠されているとしか思えなくなってきた。
 お兄様は婚約者がいるし、何度か幼い時にお風呂に入ってるから痣がないことは確認済み。ルイスが服を脱いだ所は見たことないけど、ミラと何度も会ってるからその線はない。
 うぅ~!僕と母様たちみたいに花の痣だったらいくつも種類があるからわかりやすいのに!月と太陽、猫と犬、この2つって同じ痣を持ってる人が多いんだよね…。同じ花が被ることもあるけど、それはごくごく稀で100年に一度くらいだからそれはないし。

 親友には幸せになってほしい。心から笑って、人からの親切を迷惑になるとか考えられないくらい幸せになってほしい。急ぐ必要は無いけど、でも、あの子の心からの笑顔は見たことないんだよ。

 そうしてるうちに今年最後の長期休暇が、始まる。











 ✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿













 この長期休みにフースカから王様が来るらしい…ネローのお父様が、陛下に会いに来るそうだ。これは公にされていなかったらしいのだが、この二人は幼少期何度か遊んだことがあるらしい。それで今回は視察?という名目で久しぶりに遊びに来たらしい。ついでにネローの様子も見に来たようだ。

「あ、そうだネロー。ネローの国に太陽の痣持ってる人、いない?僕の友達のミラがね?三日月なの。」

「あー…いる。いるぞ、兄上がそうだ。」

 え!!こんな近くに?!

「もしよかったらさ、父上たちが帰るのと一緒にフースカに来ない?ミラくんと。兄上に会わせてみようよ。」

「い、いいの?!わぁ!!僕、ミラと連絡してみる!」

「うん、ぜひおいでって。」

「ありがとうネロー!」

 まさかネローのお兄様がそうだとは。ミラはきっと喜んでくれるはず!早速ミラにお手紙書いて、それから父様たちにフースカに行ってもいいか聞くことと、ゼインにも来てもらえるかどうか聞こう!

「ふふ、ミラとゼインと三人旅…あ、エドとライトも来れないかな…?」

「えっと…ミラくんとルカの2人で招くつもりだったんだけれど…ごめんね?」

「えっ、あ、そっかぁ…こっちこそごめんね、大人数じゃ迷惑だよね…」

 考えなしだった僕!もう!

「ううん、迷惑なんかじゃないよ!」

「ありがと。じゃあ僕ゼインの所に帰るね。ミラに手紙書かないと。」

「ああ。よろしく伝えておいてくれ。」

「はーい!」

 ゼインと一緒に行けないのは寂しいし、他の友達も連れていけないのは嫌だけど、ミラと初めての旅行!楽しみだなぁ~!

 ミラ、喜んでくれるかなぁ…











「ルカ、じゃあ2人とフースカにそのお兄さんと会うんだね。でもミラくんと伯爵家の人たちだけで行けばいいのに、どうしてルカを誘ったんだろうね?」

 ゼインに行くことを伝えると、笑ってるのに笑ってない目でそう聞いてくる。
 以前嫉妬で怒っていた時と同じ感じがして、もしかして嫉妬してるのかな?と思いながら答える。

「たぶん僕がミラと親友だからだと思う。ミラとネローはそこまで仲がいいわけじゃないから…。ねぇゼイン?もしかして嫉妬してる?」

「………そうだよ、嫉妬。どうして私も行けないんだろうって思うとね。……ルカは私以外を好きにならないよね?ルカには私だけだよね?私はルカだけだよ、ルカしかいらない。ねぇルカもそうだって言って?」

 まるで吹っ切れたかのように爽やかな表情で、怒涛の勢いで僕に問いかけてくるゼインは、さながら前世の絵本で読んだおしゃべりなカエルの王子様のようだった。久しぶりに前世を思い出すくらいの勢いだった…。

「うん、ゼインのこと、好きだよ?ミラもライトもエドも、ルイスも母様たちも、みーんな大好き!」

「あは……そうだよね、知ってた……」

「……でもね?ふふ、ゼインが一番すき。」

 ゼインは動かなくなったのだけど、大丈夫だろうか。

 ともかく、ミラとフースカに旅行!もといお見合い?楽しみ!早くミラにお手紙書こうっと。














「父上、ルカに王家の影と目立たない護衛をつけたいのですが。」

「あぁ、影から話は聞いているよ。ルーベンは良いやつなのだがなぁ…。息子の教育を誤ったようだ。特に第二と第四王子のな。よろしい、一番腕の立つものを付けさせてやる。」

「ありがとうございます、父上。私は公務もあり付いてはいけませんので…。」

「はっはっは、お前も変わったなぁ!恋は人を変えるとはまさにそうよな、ルスト!」

「全く…いつから気づいていたのですか。」

「最初からさ」

「父上、母上。いちゃいちゃは良いので私はこれで下がらせていただきます。」

「ああ、ゼイン、そうカリカリするな。なるようになるさ。」






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