12 / 64
11.ごめんなさい。
しおりを挟む
「おい、さっさと起きろ。……………ちっ、おい!」
バキッ
「カヒュッ…ゲホッ、ゲホゲホッ…!」
痛い。どこここ。お腹がジンジンする…。怖い。助けて…。
「やっと起きたか…。くそっ、あのジジイも好き者だよな、ガキを痛めつけた状態で犯すなんてよ。」
どういうこと…?
「こ、ここはどこですか…、あなた達は誰ですか…!」
「あぁ?ここはノルン侯爵家の地下室。お前今からあの好色ジジイに犯されんだ。……悪く思うなよ。」
ドンッ、バキッ、ガンッ
後ろで手を縛られているために力任せに蹴られている腹と顔は守れず、されるがままになってしまった。
「がはっ、ごめ、なさ…!いだっ……!!やめてぇえっ…!あがっ!ああっ!!いだい!!ごめんなさっ…!ゆるじで…!!!」
『お前なんて産まれなければよかったのに』
やめて。そんなこといわないで。
『お前が母親を殺したんだ』
ごめんなさい。許してください。
バシッ、ゴキッ
「ゴホッ、ヒュッ……!ご…べ…なさ…。ごべなさい、ごめん…なさ…ごめんなさ…ご…っげほ…なさ…い…、ぉめんなさい、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「なんだこのガキ…気色悪…もうこの辺でいいだろ…あとはあのジジイに任せるか。」
口からは血を流し、目の焦点は合わず、腕や足はあらぬ方向へ向かっている。虚ろになりながら呪文のように謝罪を繰り返す幼児は端からみれば異様としか言えぬ光景だった。
「おおぉ~……やっと私の手に入ったか…長いあいだ待つ甲斐があったよ…良い具合に壊してくれたね、ありがとう。しかし煩いな…猿轡をしろ」
腕の縄は解かれたが、今度は口に布が詰め込まれて声が出ないようにされた。そしてゆっくりと服を剥いでいき、傷が付いた胸や足を舐めるように眺めていた。
「さぁ、ルカくん…オジサンと良いことをしようか…」
そうしてルカに伸ばされた手は、宙へと飛び跳ねた。
「ぐっ、ぎゃああああああ!!!手が!!!ああああああ!!」
「ユースト・ノルン!公爵家令息並びに第二王子婚約者の誘拐と暴行、その他の子供の誘拐、殺人、性的暴行で捕まえる!弁明の余地はないと思え!」
地下室に大勢の騎士がなだれ込む。侯爵の手を切り落としたのは、ゼインだった。
「ぐああああああ、くそっくそおおお!!」
侯爵は断末魔を上げながら騎士に連れて行かれた。そしてルカに近づくゼイン。
「ルカ…ルカ…!ごめんね、来るのが遅くなってしまった…!こんなものつけられて…ごめんね…!すぐに治してあげるから…!」
ハラハラと頬を濡らしながら懐から魔道具を取り出す。それはルカの父が何かあったときのために、と長年かけて完成させたものだった。病気は治せないが、外傷は全て治すことの出来る国宝級の魔道具だった。
「お願いだから…こっちを見て、ルカ………!」
その声は、届かない。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
~ゼインSide~
ルカから可愛らしく脅されて渋々執務をこなしているときだった。侍従から中庭へ花を見に出たと聞いて、新しく植えられた薔薇が気になったのだろうと微笑ましく思っていた。そんな時に。
「殿下!!ルカ様が!!!」
執務室の扉を勢いよく開けて入ってきたのは、ルカに付けていた影。
ルカが、攫われた。
眼前が怒りで真っ赤に染まるようだった。
急いで公爵家へ連絡すると、ルカに付けた魔道具が機能していないとのことだった。ルカの侍従と護衛騎士達は気絶させられており、中庭にそのまま放置されていたらしい。
「只今もう一人影がルカ様について行っております!そいつは今ノルン侯爵家に向かっているようです!」
やはりあいつか…!!!
「早急に追え!令状を取ってくる!」
間に合え、間に合え、間に合え!!!
ルカの誘拐発覚から1時間でノルン侯爵家へついた。どうやら家主は地下室にいるらしい、執事が青くなりながらもホッとした様子で伝えてきた。
地下室のドアを開けるとそこには裸にされ、口には猿轡、タラリと口元からこぼれ落ちている血、殴られたのか腫れてしまった顔、腕、腹、足。そして向いてはいけない方向へ曲がってしまった左腕と右足。光無く空を見つめるエメラルドの瞳…。
「さぁ、ルカくん…オジサンと良いことをしようか…」
でっぷりと肥えた汚らわしいバケモノがルカに触ろうとしていた。
その気持ちの悪い手をどけろ!!!!
怒りのままに剣を振るう。聞くに堪えない醜い叫び声が聞こえるが、ルカの父上から頂いた魔道具でルカの傷を癒さねば…!
ルカ…頼むから私を見てくれ…!その愛らしい瞳で、愛らしい声で、愛らしい微笑みを私に向けてくれ…!!
猿轡を外し、魔道具を起動させる。傷はどんどん治り、折れた骨も治っていくが、闇に堕ちた瞳は輝きを取り戻すことなく閉じられた。
「あああああっ…!!ルカ…!ルカ…!!」
傷の無くなった体を抱きしめても、抱きしめ返されることはなかった。
※※※※※※※※※※
ルカくん死んでないです。
死んだら物語終わっちゃいますからね。
え、これネタバレ?
いいえ、違います。ネタバレじゃないです。
バキッ
「カヒュッ…ゲホッ、ゲホゲホッ…!」
痛い。どこここ。お腹がジンジンする…。怖い。助けて…。
「やっと起きたか…。くそっ、あのジジイも好き者だよな、ガキを痛めつけた状態で犯すなんてよ。」
どういうこと…?
「こ、ここはどこですか…、あなた達は誰ですか…!」
「あぁ?ここはノルン侯爵家の地下室。お前今からあの好色ジジイに犯されんだ。……悪く思うなよ。」
ドンッ、バキッ、ガンッ
後ろで手を縛られているために力任せに蹴られている腹と顔は守れず、されるがままになってしまった。
「がはっ、ごめ、なさ…!いだっ……!!やめてぇえっ…!あがっ!ああっ!!いだい!!ごめんなさっ…!ゆるじで…!!!」
『お前なんて産まれなければよかったのに』
やめて。そんなこといわないで。
『お前が母親を殺したんだ』
ごめんなさい。許してください。
バシッ、ゴキッ
「ゴホッ、ヒュッ……!ご…べ…なさ…。ごべなさい、ごめん…なさ…ごめんなさ…ご…っげほ…なさ…い…、ぉめんなさい、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「なんだこのガキ…気色悪…もうこの辺でいいだろ…あとはあのジジイに任せるか。」
口からは血を流し、目の焦点は合わず、腕や足はあらぬ方向へ向かっている。虚ろになりながら呪文のように謝罪を繰り返す幼児は端からみれば異様としか言えぬ光景だった。
「おおぉ~……やっと私の手に入ったか…長いあいだ待つ甲斐があったよ…良い具合に壊してくれたね、ありがとう。しかし煩いな…猿轡をしろ」
腕の縄は解かれたが、今度は口に布が詰め込まれて声が出ないようにされた。そしてゆっくりと服を剥いでいき、傷が付いた胸や足を舐めるように眺めていた。
「さぁ、ルカくん…オジサンと良いことをしようか…」
そうしてルカに伸ばされた手は、宙へと飛び跳ねた。
「ぐっ、ぎゃああああああ!!!手が!!!ああああああ!!」
「ユースト・ノルン!公爵家令息並びに第二王子婚約者の誘拐と暴行、その他の子供の誘拐、殺人、性的暴行で捕まえる!弁明の余地はないと思え!」
地下室に大勢の騎士がなだれ込む。侯爵の手を切り落としたのは、ゼインだった。
「ぐああああああ、くそっくそおおお!!」
侯爵は断末魔を上げながら騎士に連れて行かれた。そしてルカに近づくゼイン。
「ルカ…ルカ…!ごめんね、来るのが遅くなってしまった…!こんなものつけられて…ごめんね…!すぐに治してあげるから…!」
ハラハラと頬を濡らしながら懐から魔道具を取り出す。それはルカの父が何かあったときのために、と長年かけて完成させたものだった。病気は治せないが、外傷は全て治すことの出来る国宝級の魔道具だった。
「お願いだから…こっちを見て、ルカ………!」
その声は、届かない。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
~ゼインSide~
ルカから可愛らしく脅されて渋々執務をこなしているときだった。侍従から中庭へ花を見に出たと聞いて、新しく植えられた薔薇が気になったのだろうと微笑ましく思っていた。そんな時に。
「殿下!!ルカ様が!!!」
執務室の扉を勢いよく開けて入ってきたのは、ルカに付けていた影。
ルカが、攫われた。
眼前が怒りで真っ赤に染まるようだった。
急いで公爵家へ連絡すると、ルカに付けた魔道具が機能していないとのことだった。ルカの侍従と護衛騎士達は気絶させられており、中庭にそのまま放置されていたらしい。
「只今もう一人影がルカ様について行っております!そいつは今ノルン侯爵家に向かっているようです!」
やはりあいつか…!!!
「早急に追え!令状を取ってくる!」
間に合え、間に合え、間に合え!!!
ルカの誘拐発覚から1時間でノルン侯爵家へついた。どうやら家主は地下室にいるらしい、執事が青くなりながらもホッとした様子で伝えてきた。
地下室のドアを開けるとそこには裸にされ、口には猿轡、タラリと口元からこぼれ落ちている血、殴られたのか腫れてしまった顔、腕、腹、足。そして向いてはいけない方向へ曲がってしまった左腕と右足。光無く空を見つめるエメラルドの瞳…。
「さぁ、ルカくん…オジサンと良いことをしようか…」
でっぷりと肥えた汚らわしいバケモノがルカに触ろうとしていた。
その気持ちの悪い手をどけろ!!!!
怒りのままに剣を振るう。聞くに堪えない醜い叫び声が聞こえるが、ルカの父上から頂いた魔道具でルカの傷を癒さねば…!
ルカ…頼むから私を見てくれ…!その愛らしい瞳で、愛らしい声で、愛らしい微笑みを私に向けてくれ…!!
猿轡を外し、魔道具を起動させる。傷はどんどん治り、折れた骨も治っていくが、闇に堕ちた瞳は輝きを取り戻すことなく閉じられた。
「あああああっ…!!ルカ…!ルカ…!!」
傷の無くなった体を抱きしめても、抱きしめ返されることはなかった。
※※※※※※※※※※
ルカくん死んでないです。
死んだら物語終わっちゃいますからね。
え、これネタバレ?
いいえ、違います。ネタバレじゃないです。
433
お気に入りに追加
840
あなたにおすすめの小説


アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
女神様の使い、5歳からやってます
めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。
「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」
女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに?
優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕!
基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。
戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。

そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた
しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエル・クーレルがなんだかんだあって、兄×2や学園の友達etc…に溺愛される???
家庭環境複雑だけれど、皆に愛されながら毎日を必死に生きる、ノエルの物語です。
R表現の際には※をつけさせて頂きます。当分は無い予定です。
現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、現在まで多くの方に閲覧頂いている為、改稿が終わり次第完結までの展開を書き進めようと思っております。閲覧ありがとうございます。
(第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)
(第2章の改稿が完了しました。2024/12/18)

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる