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8.初めて精霊見た〜!

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そして迎えた当日。僕は説明を受けた日から2日間、ダレンさんとザックさんに全ての準備を整えてもらった。僕がやりますと言っても頑なに拒否するので、買ってもらった服の整理と、部屋の掃除、軽食を作ってみたりと自分にできることをしていた。

2日の間に熊男ーもといルドさんが家にやって来て、お詫びにと可愛らしいウサギのぬいぐるみをもらった。なんでも一度だけだが攻撃を無効化する魔法が組み込まれているらしい。でもなんでぬいぐるみ?僕年齢言いましたよね?まぁたしかに?幼く見えるらしいですから、子どもとぬいぐるみの組み合わせは可愛いでしょうが…。解せぬ。ダレンさんとザックさんはぬいぐるみを捨てたそうにしていましたが組み込まれた魔法のことを聞いて渋々捨てるのをやめたそうです。いやそもそも貰い物を捨てようとしないでくださいよぉ…

「シン、個人的に持っていきたいものはないか?」

そうダレンさんが聞いてくれたのでこのぬいぐるみをもって行くことを伝えると…

「ぐぅ…可愛いから許してやるが今後他の男から貰ったものはすぐに捨てるんだぞ?いいな?」

え、えぇ…?すごい気迫で言ってきますやん…。そんな事出来ませんってぇ~…

「ダレン、シンが困ってる。でもね、シン。シンは可愛いからきっとみんなから好かれる。他の人間にもらうものはみんなシンのためになるとは限らない。ルドは良いものをくれたけどね?もしかしたらこちらの様子が相手に伝わる魔法がかかった何かが贈られるかもしれない。シンに危害は加えられずとも、周りにいる人間に被害が及ぶものかもしれない。だから貰う相手には気をつけるんだよ?」

例えが恐ろしかったのでコクコクと必死に頷いた。それを見てうっそりと笑う2人に気づかずに。

そして家にしっかり鍵をかけ、3日ぶりの外へ出る。外へ出るときはこれをかぶること、とローブを渡されたので頭からすっぽりと付けた。
まずはノーザンスという町に行くらしいが、すぐ近くらしくここから歩いても行ける距離だった。だからすぐに精霊の泉へ、というわけにはいかず、その町でまずは宿を取るようだった。




「3人で1部屋、空いてるか?無ければツインでもいい」

ダレンさんが部屋を取る間に宿を眺める。やっぱり異世界というだけあって中世ヨーロッパみたいな建物だ。ナーロッパのほうがわかりやすいか?わからなければ調べてくれ。

「申し訳ありません、3人部屋が先程埋まったところでして…ツインはありますのでこちらの鍵をどうぞ」

鍵を受け取り部屋へ入るが………ツインってベッド2つしかない部屋だよね?え、てことは僕どっちかと一緒に寝るのかな(あれから毎晩3人で一緒に寝てるため誰かと寝るのが当たり前になってしまった人)?

「ザックさん、僕2人のどっちと一緒に寝たらいいんですか?」

横で手を繋いでいるザックさんに聞くと、凄く嬉しそうな顔をしていた。

「ふふ、そうだねぇ、どっちと一緒がいいかな?」

「うーん…正直2人と寝るのが当たり前になっているので、どちらと、というのは決められないです…。」

『じゃあオイラが決めてやるよ!!』

急に耳元で元気ハツラツな男の子の声がして、僕達3人は声の主をばっ、と振り返った。

そこにはいかにもな妖精?がいた。羽の生えた僕の顔くらいの大きさで、褐色肌の銀の短髪の男の子。

「誰だ?」

『オイラは土の中級精霊、ノームのランだ!よろしく愛し子!あと愛し子を囲おうとする不届き者もよろしく!』

「なっ…!」

はぇ…?囲おうとする…?えっ、えっ…それBL小説の獣人では鉄板な行動じゃぁん!!僕それされてるの?!えっ嬉しい!!そういえば確かに家から出されなかった!あれは攫われないためかと思ってたけどもしかしてそういうことだった?!しかもよく考えてみれば給餌行為されてたよね?!いやぁこれは…ハーレムを築きはじめてますなぁ…よくやった僕…

そうして自分を褒め称えていると目の前にノームが至近距離でいた。

「わぁっ、ど、どしたの??」

『ねぇ、愛し子…。なんで囲われて嬉しいなんて思ってるのさ?普通ただの人間なら嫌だって思うところでしょ?なんでそんなに能天気でいられるのかなぁって。』

み、見破られてたぁぁああ!

「あぅ…だ、だって…囲うって獣人の本能でしょ?それが間近で見られたってことが嬉しくってさ…本では読んでたけど、リアルでされるとは思ってなかったから…えへへ…」

「シン、嬉しかったのか?本当に??」

肩をガシッとダレンさんに掴まれて、再度確認される。ダレンさんの顔が今までで見たことないくらい迫力があってコクコクと頷くことしかできなかった。

『おいトラ!!愛し子を怯えさせてどうするんだ!!全く…お前ら明日から泉に調査に行くんだろ?頼むからあそこをもとに戻してくれ…精霊王が嘆いてなさっている。』

ランから泉の話が出て、僕達は本題を思い出した。

「何が原因かはわかるのか?」

『あぁ…先月に、泉へフードを被ったやつが人を抱えてやってきたんだ。その人、血が出てて。酷く濃い瘴気が体から滲み出ていた。そいつが泉に放り込まれたら、泉から瘴気が出るようになっちまって…オイラ達、近寄れないんだよ…。頼む、オイラ達の住処を返してくれ!』

泣きそうな顔で頼むランに、僕は何も答えることができなかった。

「わかった。明日泉からその死体を出してみよう。それで瘴気が収まれば良し、収まらなければ…また原因究明だな。とりあえず昼飯食うから、ランは明日まで待っててくれないか。」

『うん、うん…!ありがとう、不届き者…!助かるよ…!』

「その不届き者はやめろ」

『愛し子を囲もうとするやつは不届き者で十分だ!』

「本人は嬉しそうじゃないか」

『うるさいうるさい!トラの分際で!』

この掛け合いが張り詰めていた場を和ませて、いつの間にか僕もクスクスと笑っていた。

「シン、とりあえず大通りの屋台を見てみよう。私もお腹が空いたよ。ダレン、行くぞ。ラン、伝えに来てくれてありがとう。」

『あ、そうだ、シンと一緒に寝る不届き者は腕試しでもしてみたらいいんじゃないか?』

そう言うとランは瞬きの間に姿を消し、僕達は呆気に取られながらも昼ご飯の調達に町へ繰り出した。

「腕試しの方法は後で考えるか…」

「そうだね…」










コカトリスの串焼きうまま~!







ボアのサンドイッチうまままま~!!







ふぅ~…お腹いっぱい!







え?ほんとに腕試しするんですか?頑張ってくださ~い!





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