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都立冨澤大学附属高校
夢のお茶会 湊side
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《高校3年生・4月》
俺は久しぶりの外出にワクワクしていた
中村先輩とお茶会の約束をして1週間
LINEで送られてきた位置情報通りに向かうと
1つの古い木造の家屋に辿り着いた
重量感のあるドアを押して中に入ると
視界一面に本棚が所狭しと並んでいた
窓際にテーブルと椅子が置かれている
手前の椅子に脱いだ上着を置き、キョロキョロと店の中を見渡したが先輩らしき姿は見当たらない
連絡いれてみようかとスマホを手にした時
机の上にレモンの入った紅茶が置かれる
「いらっしゃい」
「え!?あ!先輩!」
俺は突然目の前に現れた紅茶に驚いた後
優しそうに微笑む先輩の姿に驚き声を上げた
一つ結びだった髪を今はハーフアップにしていて高校の時よりお洒落で大人な雰囲気の先輩に
思わず見惚れてしまう
「ここで働いてるんですか?」
「うん、お小遣い稼ぎにね
今日はもうあがりだから」
そういうと、先輩は俺の隣の席に腰掛けた
いつから持っていたのか
色の濃いままのコーヒーを口に運ぶと
ふふっと微笑い、俺の方を向く
「立ったままお話しする気かな?」
俺は、顔が熱くなるのを感じながら慌てて席に着いた
「…先輩、なんか大人って感じで緊張します」
身長は180は超えているだろうに、威圧感を全く感じさせない、彼特有の穏やかな雰囲気と
丁寧な言葉と口調が、彼の容姿の麗しさにプラスされている
美形 とはこの人のことだなと尊敬と羨ましさでその綺麗な横顔をじっと見つめていた
「ありがとう。でも、そうあまり見つめないでくれるかな」
そういって少し顔を赤らめる先輩に
慌ててすみませんと謝罪すると先輩は
気にしないで…とボソボソ呟いた後
ガサガサと東明大学の冊子や学校案内をテーブルに広げていく
「東明、に、行きたいんだよね?」
キリッとした目つきに俺は自然と背筋をのばした
「はい」
「偏差値や倍率は知ってる?」
「はい、調べました」
「調べた上で、行けそうだった?」
「それは…」
「…そもそもだ。行きたい理由は?」
「そ、それは」
「高校と同じかな?」
「…はい」
「きついことを言うようだけど、もし仮に入れても、政治経済は興味がない人が居続けられる程甘くないよ」
「…はい」
「大学は誰かの為に入るべきじゃない。
なーんて、
偉そうなこと言ったけど、私も両親に医学部以外は許さない!って言われててギリギリまで医学部を受験するつもりだったんだ
ただ、なんとなく自分は病院に来るの患者じゃなくて、治療法も特効薬もなく苦しんでいる人達を、助けたいと思ったんだ。それで今は大学で薬学部!」
あははと恥ずかしそうに珈琲を片手で揺らしながら微笑う先輩は、強くて、努力家で、優しくて、本当にカッコいい先輩だと思った
「湊くんには後悔してほしくないからさ」
さっきと変わり真剣な眼差しでこちらみる
「俺は支えたいんです。困った時にすぐ助けてあげられるように。いや、困る前に俺がその要因を無くせるように」
優秀で完璧な彼のそばで俺ができることがあるかわからないけど…と心の中で呟きながら俺はへへっと笑った
「…法学部とか…どう?
多分、困った時誰よりもすぐ助けられるよ。なんなら事前に助けられる」
法学部…そうか
今後会社を背負っていく彼の力になるには、
俺が彼以上の知識を身に付ける必要がある
同じ学部では彼に敵うはずもないのだ
そして、将来半ば強制的に仕事で彼のそばにいられるようにすればいいのか!!
そう、本当に不純な理由で進学を決意したのだ
「俺、法学部行きたいです!!!」
「え!み、湊くん!?」
「俺、東明の法学部行きたいです!」
「え!そ、そう?とりあえず落ち着いて?
それなら今まで以上に勉強しなきゃね」
「はい!」
「そこで、だけど…湊くん、うちでバイト、しない?」
俺は久しぶりの外出にワクワクしていた
中村先輩とお茶会の約束をして1週間
LINEで送られてきた位置情報通りに向かうと
1つの古い木造の家屋に辿り着いた
重量感のあるドアを押して中に入ると
視界一面に本棚が所狭しと並んでいた
窓際にテーブルと椅子が置かれている
手前の椅子に脱いだ上着を置き、キョロキョロと店の中を見渡したが先輩らしき姿は見当たらない
連絡いれてみようかとスマホを手にした時
机の上にレモンの入った紅茶が置かれる
「いらっしゃい」
「え!?あ!先輩!」
俺は突然目の前に現れた紅茶に驚いた後
優しそうに微笑む先輩の姿に驚き声を上げた
一つ結びだった髪を今はハーフアップにしていて高校の時よりお洒落で大人な雰囲気の先輩に
思わず見惚れてしまう
「ここで働いてるんですか?」
「うん、お小遣い稼ぎにね
今日はもうあがりだから」
そういうと、先輩は俺の隣の席に腰掛けた
いつから持っていたのか
色の濃いままのコーヒーを口に運ぶと
ふふっと微笑い、俺の方を向く
「立ったままお話しする気かな?」
俺は、顔が熱くなるのを感じながら慌てて席に着いた
「…先輩、なんか大人って感じで緊張します」
身長は180は超えているだろうに、威圧感を全く感じさせない、彼特有の穏やかな雰囲気と
丁寧な言葉と口調が、彼の容姿の麗しさにプラスされている
美形 とはこの人のことだなと尊敬と羨ましさでその綺麗な横顔をじっと見つめていた
「ありがとう。でも、そうあまり見つめないでくれるかな」
そういって少し顔を赤らめる先輩に
慌ててすみませんと謝罪すると先輩は
気にしないで…とボソボソ呟いた後
ガサガサと東明大学の冊子や学校案内をテーブルに広げていく
「東明、に、行きたいんだよね?」
キリッとした目つきに俺は自然と背筋をのばした
「はい」
「偏差値や倍率は知ってる?」
「はい、調べました」
「調べた上で、行けそうだった?」
「それは…」
「…そもそもだ。行きたい理由は?」
「そ、それは」
「高校と同じかな?」
「…はい」
「きついことを言うようだけど、もし仮に入れても、政治経済は興味がない人が居続けられる程甘くないよ」
「…はい」
「大学は誰かの為に入るべきじゃない。
なーんて、
偉そうなこと言ったけど、私も両親に医学部以外は許さない!って言われててギリギリまで医学部を受験するつもりだったんだ
ただ、なんとなく自分は病院に来るの患者じゃなくて、治療法も特効薬もなく苦しんでいる人達を、助けたいと思ったんだ。それで今は大学で薬学部!」
あははと恥ずかしそうに珈琲を片手で揺らしながら微笑う先輩は、強くて、努力家で、優しくて、本当にカッコいい先輩だと思った
「湊くんには後悔してほしくないからさ」
さっきと変わり真剣な眼差しでこちらみる
「俺は支えたいんです。困った時にすぐ助けてあげられるように。いや、困る前に俺がその要因を無くせるように」
優秀で完璧な彼のそばで俺ができることがあるかわからないけど…と心の中で呟きながら俺はへへっと笑った
「…法学部とか…どう?
多分、困った時誰よりもすぐ助けられるよ。なんなら事前に助けられる」
法学部…そうか
今後会社を背負っていく彼の力になるには、
俺が彼以上の知識を身に付ける必要がある
同じ学部では彼に敵うはずもないのだ
そして、将来半ば強制的に仕事で彼のそばにいられるようにすればいいのか!!
そう、本当に不純な理由で進学を決意したのだ
「俺、法学部行きたいです!!!」
「え!み、湊くん!?」
「俺、東明の法学部行きたいです!」
「え!そ、そう?とりあえず落ち着いて?
それなら今まで以上に勉強しなきゃね」
「はい!」
「そこで、だけど…湊くん、うちでバイト、しない?」
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