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都立冨澤大学附属高校
僕の杞憂 廉side
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《高校2年生・11月下旬》
体育ときから1週間
なんとなく元気がなかった湊が遂に熱を出した
その日、教室に入ってきた湊は
赤い顔をしていて、呼吸も少し浅い気がした
ボーと黒板の方を見つめて
話しかけても数秒のラグがあり
様子が変だと思った僕は
彼のおでこに手を当てると酷く熱かった
「今すぐ帰りなさい」
そう伝えた直後
ピコンと彼のスマホから通知音が鳴る
いつもはクラスメイトに画面が見えない様にする彼だが今は注意力が低下しているのだろう
震える手つきでスマホを取り出すと画面にLINEの通知が見えた
[晴臣 20時部屋]
書かれた送り人に怒りと同時に焦りが湧く
「…行かないよな?こんな状態で」
「あ…大丈夫だよ」
見られたことに動揺した様子の湊は
慌ててスマホをバックに戻すと、気まずそうに笑みを浮かべた
結局、担任にも早退を言い渡された湊は腑に落ちないと顔を顰めつつも大人しく医務のリカちゃんに付き添われながら寮に戻って行った
ーーーーー
放課後、相変わらず賑やかな教室内
「みなっち40度超えてたってリカちゃん言ってたよ!放課後お見舞い行ってあげよ!」
モモが名案を思い付いたと言わんばかりにユズと僕に向けて声をかける
どうしようかと少し悩んでいると
「40度もある時に来客が来たら気を使うでしょ。リカちゃんが数日分の食料は渡したみたいだし、私達は落ち着いた頃に行きましょ」
と、優しくモモの頭を撫でながらユズは諭す様に言う
「あんたも。湊の事になると急にバカになるんだから…」
と僕の方を見ながら、呆れたように笑うユズをみて隅に置けない人だと改めて思うのだった
友人としての正解が分からない僕は
湊のLINEのことを2人に相談してみようかと思ったが
ユズは無理やりにでも、男の元に行くのを止めるだろうと容易に想像できた
だが、無理やり引き止めたら、湊の努力を踏み躙っているきがした
かと言って、行ってこい!と背中を押すことなんてできるわけがない
俺は頭を悩ませ、
結局2人には内緒にしたまま自分の寮に帰るのだった
体育ときから1週間
なんとなく元気がなかった湊が遂に熱を出した
その日、教室に入ってきた湊は
赤い顔をしていて、呼吸も少し浅い気がした
ボーと黒板の方を見つめて
話しかけても数秒のラグがあり
様子が変だと思った僕は
彼のおでこに手を当てると酷く熱かった
「今すぐ帰りなさい」
そう伝えた直後
ピコンと彼のスマホから通知音が鳴る
いつもはクラスメイトに画面が見えない様にする彼だが今は注意力が低下しているのだろう
震える手つきでスマホを取り出すと画面にLINEの通知が見えた
[晴臣 20時部屋]
書かれた送り人に怒りと同時に焦りが湧く
「…行かないよな?こんな状態で」
「あ…大丈夫だよ」
見られたことに動揺した様子の湊は
慌ててスマホをバックに戻すと、気まずそうに笑みを浮かべた
結局、担任にも早退を言い渡された湊は腑に落ちないと顔を顰めつつも大人しく医務のリカちゃんに付き添われながら寮に戻って行った
ーーーーー
放課後、相変わらず賑やかな教室内
「みなっち40度超えてたってリカちゃん言ってたよ!放課後お見舞い行ってあげよ!」
モモが名案を思い付いたと言わんばかりにユズと僕に向けて声をかける
どうしようかと少し悩んでいると
「40度もある時に来客が来たら気を使うでしょ。リカちゃんが数日分の食料は渡したみたいだし、私達は落ち着いた頃に行きましょ」
と、優しくモモの頭を撫でながらユズは諭す様に言う
「あんたも。湊の事になると急にバカになるんだから…」
と僕の方を見ながら、呆れたように笑うユズをみて隅に置けない人だと改めて思うのだった
友人としての正解が分からない僕は
湊のLINEのことを2人に相談してみようかと思ったが
ユズは無理やりにでも、男の元に行くのを止めるだろうと容易に想像できた
だが、無理やり引き止めたら、湊の努力を踏み躙っているきがした
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俺は頭を悩ませ、
結局2人には内緒にしたまま自分の寮に帰るのだった
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