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都立冨澤大学附属高校
俺の動揺 湊side
しおりを挟む体育の授業が終わる頃
俺は医務室でスパイクを打ち込まれた頭に氷のうを当て冷やしていた
ジャージ越しにでも分かる自分の貧相な身体が目に入る
筋肉が付きにくく、細い身体は男らしくなく情けないものだ
だが、けして女性の様な柔らかさもない
晴臣くんに抱きついていた女子生徒を思い出し、痛む頭が余計に痛くなった気がする
もともと、女性関係が派手なのは承知のうえだった
ただ呼ばれなければ会えない彼の、そう言う場面を目にしたのは初めてだった
きっと今夜、彼から呼び出しはない
あの女の子を抱くのだろうから
俺の知らない、優しい手つきで女の子には触れるのだろうか
綺麗な髪を撫でたりするのだろうか
俺には言わない、優しい言葉を吐くのだろうか
俺にはしない、抱擁もキスもあの女の子には勿体ぶることなくするのだろうか
俺には許されていない、彼に触れる事を性別が、身体が女だと言うだけで許されている事実を、実際に目にすると想像よりも胸や頭が痛み、醜い嫉妬心が渦を巻いた
しかし、この気持ちを彼に絶対に悟られてはいけない
悟られれば、次に言われるのは別れの言葉だ
名ばかりでも彼との恋人同士という肩書きをどうしても捨てられなかった
彼との関係が切れてしまうのを想像すれば
足元に急な大穴が空き、落ちていく様などうしようもない不安感が湊を襲った
ボールがぶつかった頭より痛む胸の治し方を知りたいと思った
次の授業には出ようと、怪我人の俺に見向きもせず薬品棚の整理に勤しむリカちゃんに挨拶をして俺は医務室を後にした
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