君が望むなら、俺が全部叶えてみせる

都立冨澤大学附属高校

私の目利き 夏月side

《湊たち高校1年生 ・12月》

3年生も終盤にさしかかるこの時期、
普段なら来年の生徒会長の推薦選考に頭を悩ましている時期なのだが

私は呑気に人1人いない図書室の古いテーブルで推理小説を読んでいた
所々色褪せた紙をペラペラと捲る

「ふっ」

空気の抜けた様に笑う

容易に結末が予測できる、ありきたりな推理小説は頭を使わなくて楽だ

今回の次期生徒会長選考はこの小説の推理の様に単純明快だった

鳳城晴臣　彼程の適任者はいないだろう

現状、生徒会補佐という名目だが
今でさえ、他の役員は彼を頼りにしていた

例年通りであれば、今の2年生に声をかけるべきだが、1年生の彼を会長に推薦すると定例会議で告げると

誰かしらから非難の声が聞かれるかとも思っていたが

役員からも生徒からも職員達からも非難の声は上がらなかった

張本人の晴臣に
来年からの生徒会長推薦の話をすれば

「会長直々に推薦頂き大変、光栄です。来年度からも誠意を持って皆を導くこと、ここにお約束致します」

驚く様子も狼狽える様子もなかった彼と
入学式の頃の彼の姿を思い出す

本当に、変わらないな、

思い出に耽っていると
ガサっと物音に驚き顔を音の方へ向けた