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都立冨澤大学附属高校 

俺の挫折 湊side

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《高校1年生 ・12月》

寮の部屋の窓の外は雪に埋もれ真っ白に染まっている
今年は豪雪の予想だとニュースで誰かが言っていたのを思い出す

真っ白な外と同レベルまで顔を青ざめた佐伯 湊、彼は今、とてつもなく



ーーーー切羽詰まっていた



数ヶ月前にストーカー計画を企てた湊だったが

全くと言っていいほどに
晴臣くんと関われない現状に溜息をつく

最後に見たのは入学式の入学生代表挨拶

本当に血を吐く思いで勉強し
高校まで追いかけてきたというのに
あれ以来、晴臣くんの愛しい姿を碌に見かけられていない

得られた情報は、彼女もセフレも取っ替え引っ替えの進捗情報と
定期テストの順位を掲示するページの

1位 鳳城 晴臣 

のスクショだけがテストの度に
自身のフォルダに増えていった

これでは血反吐を吐いた過去の俺が報われない

校舎で必死に彼を探すも、特進クラスは湊達と別の階にあり、用がなければ近くを通ることすらない

放課の時間も違く、特進クラスに友人もいない湊は今日何時終わりかも検討もつかない

それでも、朝なら…!と早朝から昇降口で待ち構えるが1度も顔を合わせる事はなかった
全く収穫のないストーカーは体力も精神面も削られる
これでは体力が持たなかった

日に日にやつれていく僕をみて
純粋に心配して声をかけてくれる廉くんに男を追いかけ回してるとは口が滑っても言えず

申し訳なさだけが募っていく

もちろん学校行事はあるが
生徒会補佐だと噂の晴臣くんは1年生なこともあり、目立った役目を預かる事はなく
声も、顔も、全然見れていない

もし、晴臣くんが部活に所属するなら自分も入ろうと思っていたが、iPadで部活所属者一覧を確認するも、彼の名前は無く、その願いは呆気なく断たれた

…まあ、難関高、勉強が最優先だろう
スポーツ推薦の人は部活動に打ち込む姿はあるが、殆どの人間が部活動には属さず、放課は別棟に用意されているPC兼自習室に通っている。

そこには菓子や軽食を食べられるスペースもあり、個々や複数人でグループワークに勤しんでいる

だが、たがしかし!
そもそも特進クラスと、進級クラスで自習室の場所も違うのだ

「はぁ…」

最近増えた中で一際大きい溜息を吐いて
窓の外に目を移した

ダメだ、こんな黄昏てばかりでは嫌な想像だけが頭を占めてしまう

切り替えようと、自分の両手で頬を潰すとグニグニと動かし最後に無理やり口角を上げた

「よし!」

iPadの学校の案内図を眺めていると図書室を見つけた

自習室にも山ほど本はある
参考書や辞書、最近の流行りの本や、自己啓発本が殆どだった

湊は取り分け古い本を好んで読む訳ではないが
少し、古そうな雰囲気の図書室の写真に胸がときめいた

思い立った日が吉日
湊はスマホを握りしめて軽い足取りで寮を出るのだった
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