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都立冨澤大学附属高校
私のこと 夏月side
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《湊達入学前 ・3月》
私は2年生の現生徒会長 中村夏月
特進クラスに所属してる
勉強は学年1位は当たり前
運動の類は全て平均より上
式典や催し物で希望されればオペラやバイオリンやピアノも問題なく披露した
幼少期から習っていた弓道では全国出場を果たした
賞賛の声と、トロフィーと表彰状が増えていき必然的に生徒会長として推薦され
満場一致で私は就任した
誰かが言った
私の生まれ持った才能
何事にも秀でた器用さ
色素の薄い肩まで伸ばした頭髪を後ろで束た姿は誰もの目を惹いた容姿の端麗さ
その慈愛の籠った瞳に見つめられれば
どんな荒くれ者も瞬く間に更生する
物腰柔らかく、決して相手を非難しない
完璧な男だと
そう噂されるのをよく耳にした
耳にする度、他人の自分への期待値が上がるのを感じた
学校中の人間が私に完璧を求めている
そう思えば思うほど、期待値に及ばなかった時の事を想像して足元が崩れ落ちるような恐怖を覚えた
私が教室で欠伸1つすれば
周りの生徒は驚愕し
授業のスピードが遅すぎて退屈なのでは?
教師の説明が悪かったのでは?
教室の空気が澱んでいたのでは?
なんてヒソヒソと話される
仕舞いには、不出来で申し訳ないですと
深々と頭を下げて謝る英語教諭の姿
「いえ、少し昨晩に夜更かしを…」
そこまで言って続きを言い淀む
好きな漫画を読み漁っていたなんて
口が裂けても言えなかった
自分の地位を守る為、
自分への賞賛や期待を裏切らない為
私は何度も何度も自分に嘘をつき
偽物の自分を必死に作り固めてきた
定期テストやコンクール、弓道の大会では毎回1位を維持する事を両親や教員から強要された
両親や先生の期待を裏切らないよう
死に物狂いで先回りし、雑務をこなした
委員や係の仕事を忘れた生徒の尻拭いも嫌な顔せずに行った
クラスメイト達と会話をする時は誰1人疎外感を感じる事の無いよう常に気を張っていた
期待される人間は
みなそうなのだろうと思った
みな、耐えて期待に応える為に努力しているのだろうと
そう、疑いもしていなかったのだーー
私は2年生の現生徒会長 中村夏月
特進クラスに所属してる
勉強は学年1位は当たり前
運動の類は全て平均より上
式典や催し物で希望されればオペラやバイオリンやピアノも問題なく披露した
幼少期から習っていた弓道では全国出場を果たした
賞賛の声と、トロフィーと表彰状が増えていき必然的に生徒会長として推薦され
満場一致で私は就任した
誰かが言った
私の生まれ持った才能
何事にも秀でた器用さ
色素の薄い肩まで伸ばした頭髪を後ろで束た姿は誰もの目を惹いた容姿の端麗さ
その慈愛の籠った瞳に見つめられれば
どんな荒くれ者も瞬く間に更生する
物腰柔らかく、決して相手を非難しない
完璧な男だと
そう噂されるのをよく耳にした
耳にする度、他人の自分への期待値が上がるのを感じた
学校中の人間が私に完璧を求めている
そう思えば思うほど、期待値に及ばなかった時の事を想像して足元が崩れ落ちるような恐怖を覚えた
私が教室で欠伸1つすれば
周りの生徒は驚愕し
授業のスピードが遅すぎて退屈なのでは?
教師の説明が悪かったのでは?
教室の空気が澱んでいたのでは?
なんてヒソヒソと話される
仕舞いには、不出来で申し訳ないですと
深々と頭を下げて謝る英語教諭の姿
「いえ、少し昨晩に夜更かしを…」
そこまで言って続きを言い淀む
好きな漫画を読み漁っていたなんて
口が裂けても言えなかった
自分の地位を守る為、
自分への賞賛や期待を裏切らない為
私は何度も何度も自分に嘘をつき
偽物の自分を必死に作り固めてきた
定期テストやコンクール、弓道の大会では毎回1位を維持する事を両親や教員から強要された
両親や先生の期待を裏切らないよう
死に物狂いで先回りし、雑務をこなした
委員や係の仕事を忘れた生徒の尻拭いも嫌な顔せずに行った
クラスメイト達と会話をする時は誰1人疎外感を感じる事の無いよう常に気を張っていた
期待される人間は
みなそうなのだろうと思った
みな、耐えて期待に応える為に努力しているのだろうと
そう、疑いもしていなかったのだーー
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