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都立冨澤大学附属高校
あいつの小言 晴臣side
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《高校1年生 ・8月》
中学の頃から変わらず
浩太郎に誘われれば朝練に付き合う
だが、今日は違う
きっとダラダラと文句を言われる筈
そう思うと、憂鬱で息が詰まりそうだ
ひと足先に道場に着いていた浩太郎の
素振り姿を眺めながら
少しでも息苦しさを薄めようと窓を開けた
もわっと風もない熱い空気が入り込むのを感じ、すぐに窓を閉めた
最高気温の更新を毎日伝えるニュースが
片耳に入れたAirPodsから耳に入る
「ったく、温暖化どうにかしろよな」
「俺らが生きてる間は影響なかったんじゃないのか」
呟いた俺の独り言に
気付いた浩太郎がわざとらしく返してくる
「なんだそりゃ」
意味が分からないと眉間に皺を寄せながら
浩太郎の部活用バックに置かれたハンドタオルを投げ渡す
彼は片手で受け止めると、タオルで滲んだ汗を拭う
「ふはは!お前は相変わらず、記憶力が無いな」
腹を抱えて笑う浩太郎に苛立ち
んな事ねぇよ。と言い返そうとしたが
長年の付き合いだ、簡単な挑発だろうと思い、買い言葉をグッと飲み込んだ
どうせ今までの俺の
覚えられなかった事柄を
嫌味ったらしく説明されるのが目に見えている
分かりきったことに時間をかける程
俺は暇じゃない、そう結論付けた
だが、言われっぱなしは腹の虫が治らない
バックの上に置かれた浩太郎の水筒を手に持つと、躊躇なく一気に飲み干した
「わりぃ、俺、記憶力なくて」
お疲れ様。と一言付け足して
浩太郎に空になった水筒を手渡す
「…お前の性格の悪さは一体誰譲りなんだろうな」
ギチギチとと水筒とタオルを握りしめ、
今にもブチギレそうな浩太郎は
暫く青筋立てていたが俺がスマホに視線を移すと
なぁ、と話しかけた
ああ、お説教だと分かりつつ
碌に見るものもない自身のスマホから目を離せない
「…晴臣、実際お前は興味の無い相手への記憶力が皆無だ
だから余計に、女性関係は慎重にするべきだ」
分かるか?と言わんばかりに
俺の顔を覗き込む
「…ついに俺の息子の管理までするつもりか?」
「オエッ気色悪い事言うな。…俺は別に、真っ当な恋愛する気が無いのも、行為自体も否定はしてはいない。ただ、少しでも興味の持てる人にしろ、と言っているんだ」
吐き出す真似をした後
ピシッと俺に指を刺して少し真面目な事を言う浩太郎
興味を持てる相手…んな居たら困っていないと頭に浮かぶも口には出さない
何倍返しで言い返されるかわかったもんじゃ無い
俺は、はいはいと適当に返事を返す
「興味を持とうと努力をしろ、アホおみ」
たまに、本当は俺の頭の中を盗み見てるのではと寒気がする
だが、俺を相変わらず心配する浩太郎の姿を見て、少し、少しだけ考えを改めなくもなくも無いと捻くれつつも反省していた
何となく、居心地の悪い晴臣は
浩太郎に声をかけてひと足先に道場を出た
俺たちの関係は中学となんら変わらない
「俺たち親友だよな」
なんて小っ恥ずかしい事を言える訳もなく、お互いに口にはした事は無いが
俺にとって気心知れた浩太郎は
まあ小言を言われると分かっていても、朝練に付き合うぐらいには大切にしていた
中学の頃から変わらず
浩太郎に誘われれば朝練に付き合う
だが、今日は違う
きっとダラダラと文句を言われる筈
そう思うと、憂鬱で息が詰まりそうだ
ひと足先に道場に着いていた浩太郎の
素振り姿を眺めながら
少しでも息苦しさを薄めようと窓を開けた
もわっと風もない熱い空気が入り込むのを感じ、すぐに窓を閉めた
最高気温の更新を毎日伝えるニュースが
片耳に入れたAirPodsから耳に入る
「ったく、温暖化どうにかしろよな」
「俺らが生きてる間は影響なかったんじゃないのか」
呟いた俺の独り言に
気付いた浩太郎がわざとらしく返してくる
「なんだそりゃ」
意味が分からないと眉間に皺を寄せながら
浩太郎の部活用バックに置かれたハンドタオルを投げ渡す
彼は片手で受け止めると、タオルで滲んだ汗を拭う
「ふはは!お前は相変わらず、記憶力が無いな」
腹を抱えて笑う浩太郎に苛立ち
んな事ねぇよ。と言い返そうとしたが
長年の付き合いだ、簡単な挑発だろうと思い、買い言葉をグッと飲み込んだ
どうせ今までの俺の
覚えられなかった事柄を
嫌味ったらしく説明されるのが目に見えている
分かりきったことに時間をかける程
俺は暇じゃない、そう結論付けた
だが、言われっぱなしは腹の虫が治らない
バックの上に置かれた浩太郎の水筒を手に持つと、躊躇なく一気に飲み干した
「わりぃ、俺、記憶力なくて」
お疲れ様。と一言付け足して
浩太郎に空になった水筒を手渡す
「…お前の性格の悪さは一体誰譲りなんだろうな」
ギチギチとと水筒とタオルを握りしめ、
今にもブチギレそうな浩太郎は
暫く青筋立てていたが俺がスマホに視線を移すと
なぁ、と話しかけた
ああ、お説教だと分かりつつ
碌に見るものもない自身のスマホから目を離せない
「…晴臣、実際お前は興味の無い相手への記憶力が皆無だ
だから余計に、女性関係は慎重にするべきだ」
分かるか?と言わんばかりに
俺の顔を覗き込む
「…ついに俺の息子の管理までするつもりか?」
「オエッ気色悪い事言うな。…俺は別に、真っ当な恋愛する気が無いのも、行為自体も否定はしてはいない。ただ、少しでも興味の持てる人にしろ、と言っているんだ」
吐き出す真似をした後
ピシッと俺に指を刺して少し真面目な事を言う浩太郎
興味を持てる相手…んな居たら困っていないと頭に浮かぶも口には出さない
何倍返しで言い返されるかわかったもんじゃ無い
俺は、はいはいと適当に返事を返す
「興味を持とうと努力をしろ、アホおみ」
たまに、本当は俺の頭の中を盗み見てるのではと寒気がする
だが、俺を相変わらず心配する浩太郎の姿を見て、少し、少しだけ考えを改めなくもなくも無いと捻くれつつも反省していた
何となく、居心地の悪い晴臣は
浩太郎に声をかけてひと足先に道場を出た
俺たちの関係は中学となんら変わらない
「俺たち親友だよな」
なんて小っ恥ずかしい事を言える訳もなく、お互いに口にはした事は無いが
俺にとって気心知れた浩太郎は
まあ小言を言われると分かっていても、朝練に付き合うぐらいには大切にしていた
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