47 / 63
都立冨澤大学附属高校
俺の苛立ち2 晴臣side
しおりを挟む
《高校2年生・12月》
積雪で外出禁止令が校内に発表された
土曜の昼間、浩太郎の部屋で予定通り勉強会が開かれていた
12月の期末テストに向けた勉強会だと浩太郎は、言ったが
特進クラスと、進学クラスではそもそも内容も難易度も違う
ただの口実だろうが、もっとマシな誘い文句は見つけられないのかと
筋肉馬鹿の浩太郎を心の中で笑った
♪ピンポーン
来訪を伝えるチャイムが鳴り
浩太郎は玄関まで出迎える
「五十嵐くんお邪魔します…あ!晴臣くん!」
浩太郎に挨拶を済ませた湊は俺を見るや否やパタパタと俺に駆け寄る
そんな姿を見て、気持ちが満たされる気がした
ーーーいやいや、と慌てて思考を打ち消した
1人で考え込んでいると
「久しぶり。自己紹介まだったよね?可愛い湊の友人の早乙女廉です」
そう、俺に挨拶をするピンク頭が目に入る
その男はあの日湊を攫った張本人だった
「ああ…久しぶり。浩太郎の友人の鳳城晴臣だ」
「ふぅーん…じゃあ浩太郎くんの友達として、よろしくね」
意味深に俺を見つめる早乙女に背筋が寒くなるのを感じた
湊はなんで、こいつと一緒に来たんだ
クラスに他に友達が居ないのか
ただでさえ、浩太郎の行動に付いて行けていないのに
勘弁してくれと頭を抱えた
各々、教科書と過去問を広げる
浩太郎が湊の出した教科書を覗き込む
「苦手科目があれば手伝うぞ」
「えっありがとう…!俺、国語が苦手で」
「俺が誘ったんだ、協力させてくれ。国語は何が?」
「文章問題が…答えがハッキリしないのが苦手で…」
「あれは正解がない様に見えるが、数学の公式と同じで、問題の出し方や物事の文章の表し方を覚えれば簡単だよ」
ー2人のやり取りを見ながら俺は無性に苛立ちを覚えていた
何が手伝うぞだ、俺より順位下のくせに
何がありがとうだ、嬉しそうにしやがって勉強会だろ、黙って教科書見てろよ
俺は今だに仲良く喋る2人を刺すような視線で見つめた後
「理解できるまで過去問解けば、嫌でも覚えられるだろ」
そう言い、自分の持っている分厚い参考書をドンっと湊の目の前に置いた
湊は驚いた顔をした後
「えっわざわざ!ありがとう!」
と嬉しそうに参考書を開くのだった
「湊ってば、前回、国語の点数だけ悪かったもんね」
早乙女はニヤニヤと湊を揶揄うように言う
…早乙女はいちいち距離が近い
何で、湊と肘がぶつかる程の距離に座る必要があるんだろうか
何でそんな気安く触らせるんだ
触れるな、仮にも俺の恋人だ
考えれば考える程、俺のは腹の奥が燃える様な苛立ちに囚われていた
これでは碌に集中もできないと
両耳にAirPodsを、差し込み音楽を流して目の前の過去問に向き合った
暫く集中していた俺は
少し休憩しようと背伸びをする
自然と湊の方に視線をやれば
参考書にある過去問を見ながら
一生懸命、紙に答えを解いている姿が目に入る
俺は一言ぐらい応援してやろうかと
頭の中で必死に言葉を選んでいた
その時、浩太郎が嫌味たらしい顔でこちらを見てきたかと思えば
湊の答案の紙を受け取り
「全問正解だ。佐伯は飲み込みが早いな」
そう言って、浩太郎が褒める
湊は照れたように頬を赤く染めるのだ
「賢い湊は可愛いね」
そう言って意味もなく湊を抱きしめる早乙女にも湊はされるがままにされている
俺は苛立ちを抑えられず感情のままに口が動くのを感じる
今まで生きてきて初めて自分の感情に突き動かされた気がした
「一々ひっつくなよ、気色悪いな
…浩太郎は甘いんだよ。湊の答案は俺が見てやるから寄越せ」
無理矢理、湊の答案を浩太郎の手元から奪うと、俺の手元に置いた後、別な過去問を無造作に湊の前に置いた
「そんだけ時間かければ誰でも解けるだろ。テストの時間は有限だ。これの文章問題は10分で」
そういって、スマホのタイマーを操作すると
湊は慌てて過去問を開いて解き始めた
俺は必死な湊をみて満足すると
自分の過去問に視線を戻した
とりあえず、浩太郎のことも
早乙女のことも考えるのは保留にしようと勝手に決めた俺は、湊の横に割り込み
勉強会が終わるまで席を離れなかった
積雪で外出禁止令が校内に発表された
土曜の昼間、浩太郎の部屋で予定通り勉強会が開かれていた
12月の期末テストに向けた勉強会だと浩太郎は、言ったが
特進クラスと、進学クラスではそもそも内容も難易度も違う
ただの口実だろうが、もっとマシな誘い文句は見つけられないのかと
筋肉馬鹿の浩太郎を心の中で笑った
♪ピンポーン
来訪を伝えるチャイムが鳴り
浩太郎は玄関まで出迎える
「五十嵐くんお邪魔します…あ!晴臣くん!」
浩太郎に挨拶を済ませた湊は俺を見るや否やパタパタと俺に駆け寄る
そんな姿を見て、気持ちが満たされる気がした
ーーーいやいや、と慌てて思考を打ち消した
1人で考え込んでいると
「久しぶり。自己紹介まだったよね?可愛い湊の友人の早乙女廉です」
そう、俺に挨拶をするピンク頭が目に入る
その男はあの日湊を攫った張本人だった
「ああ…久しぶり。浩太郎の友人の鳳城晴臣だ」
「ふぅーん…じゃあ浩太郎くんの友達として、よろしくね」
意味深に俺を見つめる早乙女に背筋が寒くなるのを感じた
湊はなんで、こいつと一緒に来たんだ
クラスに他に友達が居ないのか
ただでさえ、浩太郎の行動に付いて行けていないのに
勘弁してくれと頭を抱えた
各々、教科書と過去問を広げる
浩太郎が湊の出した教科書を覗き込む
「苦手科目があれば手伝うぞ」
「えっありがとう…!俺、国語が苦手で」
「俺が誘ったんだ、協力させてくれ。国語は何が?」
「文章問題が…答えがハッキリしないのが苦手で…」
「あれは正解がない様に見えるが、数学の公式と同じで、問題の出し方や物事の文章の表し方を覚えれば簡単だよ」
ー2人のやり取りを見ながら俺は無性に苛立ちを覚えていた
何が手伝うぞだ、俺より順位下のくせに
何がありがとうだ、嬉しそうにしやがって勉強会だろ、黙って教科書見てろよ
俺は今だに仲良く喋る2人を刺すような視線で見つめた後
「理解できるまで過去問解けば、嫌でも覚えられるだろ」
そう言い、自分の持っている分厚い参考書をドンっと湊の目の前に置いた
湊は驚いた顔をした後
「えっわざわざ!ありがとう!」
と嬉しそうに参考書を開くのだった
「湊ってば、前回、国語の点数だけ悪かったもんね」
早乙女はニヤニヤと湊を揶揄うように言う
…早乙女はいちいち距離が近い
何で、湊と肘がぶつかる程の距離に座る必要があるんだろうか
何でそんな気安く触らせるんだ
触れるな、仮にも俺の恋人だ
考えれば考える程、俺のは腹の奥が燃える様な苛立ちに囚われていた
これでは碌に集中もできないと
両耳にAirPodsを、差し込み音楽を流して目の前の過去問に向き合った
暫く集中していた俺は
少し休憩しようと背伸びをする
自然と湊の方に視線をやれば
参考書にある過去問を見ながら
一生懸命、紙に答えを解いている姿が目に入る
俺は一言ぐらい応援してやろうかと
頭の中で必死に言葉を選んでいた
その時、浩太郎が嫌味たらしい顔でこちらを見てきたかと思えば
湊の答案の紙を受け取り
「全問正解だ。佐伯は飲み込みが早いな」
そう言って、浩太郎が褒める
湊は照れたように頬を赤く染めるのだ
「賢い湊は可愛いね」
そう言って意味もなく湊を抱きしめる早乙女にも湊はされるがままにされている
俺は苛立ちを抑えられず感情のままに口が動くのを感じる
今まで生きてきて初めて自分の感情に突き動かされた気がした
「一々ひっつくなよ、気色悪いな
…浩太郎は甘いんだよ。湊の答案は俺が見てやるから寄越せ」
無理矢理、湊の答案を浩太郎の手元から奪うと、俺の手元に置いた後、別な過去問を無造作に湊の前に置いた
「そんだけ時間かければ誰でも解けるだろ。テストの時間は有限だ。これの文章問題は10分で」
そういって、スマホのタイマーを操作すると
湊は慌てて過去問を開いて解き始めた
俺は必死な湊をみて満足すると
自分の過去問に視線を戻した
とりあえず、浩太郎のことも
早乙女のことも考えるのは保留にしようと勝手に決めた俺は、湊の横に割り込み
勉強会が終わるまで席を離れなかった
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
【Dom/Subユニバース】Switch×Switchの日常
Laxia
BL
この世界には人を支配したいDom、人に支配されたいSub、どちらの欲求もないNormal、そしてどちらの欲求もあるSwitchという第三の性がある。その中でも、DomとSubの役割をどちらも果たすことができるSwitchはとても少なく、Switch同士でパートナーをやれる者などほとんどいない。
しかしそんな中で、時にはDom、時にはSubと交代しながら暮らしているSwitchの、そして男同士のパートナーがいた。
これはそんな男同士の日常である。
※独自の解釈、設定が含まれます。1話完結です。
他にもR-18の長編BLや短編BLを執筆していますので、見て頂けると大変嬉しいです!!!
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
平凡腐男子なのに美形幼馴染に告白された
うた
BL
平凡受けが地雷な平凡腐男子が美形幼馴染に告白され、地雷と解釈違いに苦悩する話。
※作中で平凡受けが地雷だと散々書いていますが、作者本人は美形×平凡をこよなく愛しています。ご安心ください。
※pixivにも投稿しています
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる