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晴臣と浩太郎(過去編+中学生)五十嵐side
卒業の俺達
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なんだかんだ中学を卒業する
その日まで、
ストーカーの距離感は変わらず
少し離れたところから、どでかい感情を視線に乗せてをぶつけてきていた
卒業式
晴臣の卒業生代表の挨拶で締めくくった式典は終わり、
拍手の中、皆それぞれに思い出を写真に残してる中
晴臣は降壇するとズカズカと真っ直ぐ体育館の出入り口に向かう
俺は慌てて、晴臣の背中を追い掛ける
「おい生徒会長、今日ぐらいサービスしてやれよ」
体育館と本校舎を繋ぐ廊下の真ん中で俺が後ろから声をかけると晴臣は振り返る
「せーな。元だよ。もう会うことのない人との写真に何の意味があるんだよ」
写真を撮らせて欲しいとモジモジしてる卒業生や在校生を気にかけることも無く言い放つ彼は心底面倒そうに、ピシッと締められたネクタイを緩めた
その時だ、俺の後ろから横を通り過ぎる佐伯の姿
そのまま進み、晴臣の横を通る
その瞬間
パシャ
「は?」
俺は自身の携帯で写真を撮っていた
晴臣は意味がわからないと眉間に皺を寄せながら唸る
「義嗣さんに、お前の立派な式辞の挨拶の写真だけだと良くないだろう?
怠そうなお前の写真も送ってやろうかなと」
大事な会合と被った義嗣さんは晴臣の晴れ舞台に来れない事を、
ああ、地獄か。と嘆いていた
そして、1枚でも写真を送って欲しいと
俺に懇願してきていた
俺がニヤついた顔でそう言うと、消しとけよ。と
悪態を吐きながらネクタイを締め直す晴臣。
はいはい。消した消したと返すと
「今日はお前んちで祝い飯な」
俺を指差しながら、口角を上げる彼は
ステーキと寿司も食いてえと騒ぐ
全く、可愛いところもあるじゃないか
ふと気がつけば佐伯の姿はもう無かった。
彼の両親や親戚らしき人物も見当たらなかった
1人で帰ったのだろうか
自分が撮った写真をみて
胸が苦しくなるのを感じた
…なあ、佐伯。
俺はもう会うことのない人との写真には
意味があると思う
いつでも会えるなら、撮らなくたって良いだろ
会えないから、会えなくなるから
残すものだよな。
自分が思いを寄せていた記憶は
写真じゃないとなにも残らない
お前が2年間追っていた男は良い男だよ
まあ…俺は良い男じゃないから
この写真は譲らない
スマホの中には
ネクタイを緩める晴臣と、その横を通り過ぎる瞬間、晴臣を見上げる佐伯の横顔が 写真に収まっていた
さようなら
君の初恋
俺の初恋
その日まで、
ストーカーの距離感は変わらず
少し離れたところから、どでかい感情を視線に乗せてをぶつけてきていた
卒業式
晴臣の卒業生代表の挨拶で締めくくった式典は終わり、
拍手の中、皆それぞれに思い出を写真に残してる中
晴臣は降壇するとズカズカと真っ直ぐ体育館の出入り口に向かう
俺は慌てて、晴臣の背中を追い掛ける
「おい生徒会長、今日ぐらいサービスしてやれよ」
体育館と本校舎を繋ぐ廊下の真ん中で俺が後ろから声をかけると晴臣は振り返る
「せーな。元だよ。もう会うことのない人との写真に何の意味があるんだよ」
写真を撮らせて欲しいとモジモジしてる卒業生や在校生を気にかけることも無く言い放つ彼は心底面倒そうに、ピシッと締められたネクタイを緩めた
その時だ、俺の後ろから横を通り過ぎる佐伯の姿
そのまま進み、晴臣の横を通る
その瞬間
パシャ
「は?」
俺は自身の携帯で写真を撮っていた
晴臣は意味がわからないと眉間に皺を寄せながら唸る
「義嗣さんに、お前の立派な式辞の挨拶の写真だけだと良くないだろう?
怠そうなお前の写真も送ってやろうかなと」
大事な会合と被った義嗣さんは晴臣の晴れ舞台に来れない事を、
ああ、地獄か。と嘆いていた
そして、1枚でも写真を送って欲しいと
俺に懇願してきていた
俺がニヤついた顔でそう言うと、消しとけよ。と
悪態を吐きながらネクタイを締め直す晴臣。
はいはい。消した消したと返すと
「今日はお前んちで祝い飯な」
俺を指差しながら、口角を上げる彼は
ステーキと寿司も食いてえと騒ぐ
全く、可愛いところもあるじゃないか
ふと気がつけば佐伯の姿はもう無かった。
彼の両親や親戚らしき人物も見当たらなかった
1人で帰ったのだろうか
自分が撮った写真をみて
胸が苦しくなるのを感じた
…なあ、佐伯。
俺はもう会うことのない人との写真には
意味があると思う
いつでも会えるなら、撮らなくたって良いだろ
会えないから、会えなくなるから
残すものだよな。
自分が思いを寄せていた記憶は
写真じゃないとなにも残らない
お前が2年間追っていた男は良い男だよ
まあ…俺は良い男じゃないから
この写真は譲らない
スマホの中には
ネクタイを緩める晴臣と、その横を通り過ぎる瞬間、晴臣を見上げる佐伯の横顔が 写真に収まっていた
さようなら
君の初恋
俺の初恋
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