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晴臣と浩太郎(過去編+中学生)五十嵐side

驚愕の事実

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俺はあれから、あの男のことを調べ上げた。

佐伯 湊

男にしては小柄な身長、細身な身体
青白い肌はそこらの女子が羨むほどだ
家は、学校から比較的近場の数キロ離れた平屋で祖父母と暮らしているらしい

小学校は不明で、入学前に引っ越してきたんだと想定する

学校では無口で、友人と呼ばれる人は居ない

晴臣や鳳城家との関係も
特にこれといった問題も見当たらない


…驚くほどに情報は集まらなかった

ただ、何となく、恨み嫉みでは無いのでは?とは感じる節は何度かあった

俺の朝練の時間に一緒に登校している
晴臣は朝には強く、朝練だけ手合わせする事もある

そんなこんなで毎日俺達は誰よりも早く学校に着いていたはずだった

早い日は5時50分頃に教室へ荷物を置き、道場へ行くのだが、それでも必ずすれ違うのだ

あの佐伯湊に。 

顔を下げたように歩く彼は
晴臣とすれ違う瞬間だけ、顔を上げ
見つめているのだ、頬を赤らめて

休み時間、俺が晴臣と話していると
どこからもなく、ベランダやドアの隅から盗み見るようにこちらを伺う佐伯の身体の一部が見受けられた

休み時間が終わると、彼は嬉しそうに頬を赤く染めながら出ていくのだ

はたまた、2人で学校帰りにカフェやゲームセンターに寄れば、
次の日の放課後、血眼になってクレーンゲームにしがみ付く姿や、カフェでケーキを幸せそうに頬張る姿があった

犯罪者の証拠集めだと少々躍起になっていた自分が恥ずかしくなった

そう…これは、きっと
たぶん…彼の片思いだろう。

晴臣は本当に罪な男だ
佐伯は本当に可哀想な男だ

叶うはずもない思いは
こんなストーカー行為でしか昇華できないのだろう

きっと、こんな事をするぐらい
どうしようもないくらい好きなのだろう

だが、生憎様、
晴臣は面倒な人間は飛び抜けて嫌いだ
こんな重い感情ぶつけられれば
あっという間に関わりを断たれるだろう


…俺なら
そんなに熱く思われるのも悪くない

なんて、怖い考えが浮かび肝が冷える
ブルブルと頭を振る。

何を考えているんだ
親友へ片想いしている男に絆されるなんてアホらしい

まあ、この程度なら、俺も目を瞑ろう

卒業するまでに
もし、彼が踏み入った行動をとるようなら俺が直接注意すればいい

「はぁ…」

俺は振るっていた竹刀を床に置き、
道場の小窓から外を眺めた

もう朝練中に考え事は止そう
何も集中できていない

時計を見上げると、8時を既に回っていた
急いで片付け教室へと戻った







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