君が望むなら、俺が全部叶えてみせる

あの日のこと（中学生）湊side

俺の犯行

残念ながら友人もおらず、
コミュ力が皆無の俺は
取り巻きに囲まれる彼に声をかけることすらできなかった
だけど、覗き、追いかけることはできた

そして、決意した。
俺は必ずや晴臣くんと同じ高校へ行くんだと
きっと彼は俺の名前も知らない
悲しいがそれは逆に有利に働く

高校では中学の自分を捨てて、初めての出会い方をするんだ
適度な距離感で友人関係とかになって、
その笑顔を俺も拝見させて頂くんだ！！！

俺は異様なまでに熱意を持って勉学と追っかけに取り組んだ

朝は誰よりも早く登校した
晴臣くん達はびっくりするぐらい早く登校していて、勘弁してくれと思わなくも無かったが、
人の少ない廊下ですれ違えれるならご褒美だと
晴臣くんの凛とした横顔を拝みながら爽やかな匂いを味わい噛み締めた

休み時間はバレないようにカーテンや扉に張り付き盗み見たり、

学校帰りは2人の後を尾け、寄ったカフェやゲームセンターを把握した
翌日自分も行き、同じものを注文して、同じ空気だ…同じ視界だ…とか、それはもう有意義な時間だった
晴臣くんが2回ぐらいで取っていた
よく分からないウサギのキャラクターは20回やっても取れなかった

資金が底をつき無く無く諦め帰路についた

一周回って友達いなくて良かったと安堵すらした

だって、
白黒だった世界が一気に色付く
それが恋だとすれば
いま、俺の視界は、ピカピカと眩しいほどに色付き
俺の視界や思考を独占していく

毎晩見ていた悪夢はパタリと止んだ
代わりに、動悸や胸の苦しさは定期的に襲ってくる
晴臣くんの存在はまるで麻薬のようだと震えた

毎晩、布団の中で

晴臣くんの世界が平和でありますように

と祈って眠った

…あと、明日はもう少し近付けます様に
　とついでに願望も祈った