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Season1 セオリー・S・マクダウェルの理不尽な理論
#001 緋き魔女 Mad scientist
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西暦2034年7月11日 ガラパゴス諸島 ダーウィンウォルフ海洋保護区――
ガラパゴス諸島から40マイル(凡そ64㎞)の海域は世界自然遺産に指定され、科学的調査の為の利用と旅行のみが許可。魚を含め、天然資源の持ち出しは許されない全面禁漁区。
神秘的で雄大な自然の楽園で西暦1990年初頭から無粋な輩が現れている。
最北の島ダーウィン島から北西40km沖。今日もまた命知らずの密漁船が現れていた。
「さて、次は誰が鮫の生態調査に付き合ってくれるのかしら?」
所々にペンキが剥げている梁が敷き詰められた甲板の上では、ウェットスーツ姿の女が搭乗員へ詰め寄っていた。
その女の特徴と言えば、やはり血のような紅い髪が真っ先に目を惹く。
腰辺りまで伸ばしたその髪は目が覚める程に鮮やかで、赤味がかったというより最早、緋色。
次はウェットスーツ越しでも分かる豊かに膨らんだ胸。もし彼女が赤毛でなかったら世の男共はその胸に目掛けて言葉を発していたに違いない。
そして琥珀色の瞳とつり上がり気味の目尻は凛々しく冷ややかで、まさに野生の虎の様だ。
(目視で確認できる搭乗員は5名。いずれも東洋系……全く懲りませんわね……)
女は溜息を付く。
「紅魔女……」
後退る一人の男が発した言葉に、女の眉がピクリと動く。
「魔女? 違いますわっ! 私はマッドサイエンティストっ! セオリー・S・マクダウェルですわっ!」
その女、セオリーは自分を狂気的であると恥ずかしげもなく高らかに宣言した。
何故マッドサイエンティストと自称するかと言えば、狂気的なまでに自然の神秘の解明に見せられたからである。
セオリーは自分の研究に夢中などこにでもいる科学者である。
彼女はガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所に勤めながら、専らガラパゴス国立公園管理局の手伝いを買って出て(本当に勝手出て)、不届き者に成敗している。
不届き者の身元は大抵、2034年においてインド抜かれはしたものの、アジアに存在する国の中で世界第二位の経済大国の人間。
アジア向けのフカヒレと肉などを目的とした密漁船だ。
2017年8月に拿捕された船には、絶滅危惧種であるアカシュモクザメをはじめとする凡そ300トンの積荷があった。それが尚も続いている。
「次は先ほど私を魔女呼ばわりした。そこのお前ですわっ!」
セオリーに指を差された男は、懐から半自動式拳銃を取り出すも遅すぎた。
怖で彩られた男の視線が一瞬逸れた瞬間、セオリーは飛び膝蹴りを顔面へ叩きこむ。追突した車のフロントバンパーの如く拉げる。
「一匹目っ!」
優雅に宙を舞うセオリー。着地後すぐさま今度は右隣にいた男へと回し蹴りを蟀谷に突
き刺し昏倒させる。
「二匹目っ!」
しかしセオリーが倒した男達は氷山の一角に過ぎなかった。
「……まるでゴキブリのようですわ」
騒ぎを聞きつけ、大勢の男共が奥からわらわらと湧いて出てくる様子に悪寒が走る
「虫唾が走りますわっ!」
害虫処理よろしくセオリーは男共を次々と蹴り飛ばし、海へと放り込んでいく。
因みにガラパゴス諸島のアカシュモクザメをはじめとする鮫達は好奇心こそ強く潜在的には危険ではあるが、非常に大人しい性格の鮫で、シュノーケリングやダイビングしても基本的に襲われる心配はない。
そうとは知らず、海に落ちた男共は近寄ってくる鮫に興奮し暴れる。中にはじゃれてくる鮫に恐怖し気絶するものまでいた。
「自分たちが捕っている魚について何にも知らないなんて不憫ですわね。こんなにも可愛いのに……」
セオリーはその光景を呆然と眺めていると、船橋から一人の男が奇声を上げて現れた。
「死!魔女!」
その男の手元には56式自動歩槍。ソ連製AK-47カラシニコフの同型フレームで、デッドコピーではないにせよ、本家と比較すると作りが荒く命中精度も悪い。駄作と呼び声も高い一品。
(ジーンオントロジー……2番染色体系統、PAX3、音知覚及び筋肉器官発達限定、アセチレーション……)
セオリーは符牒を頭の中で呟く。
左腕に突如として回路図のような紅い輝きの光線が走る。
発狂した男のその駄作から放たれた弾丸は弾幕となり粉塵を巻き上げる。
カチカチとトリガーから乾いた音が鳴り、男は弾切れになったことにようやく気付く。
徐々に晴れいく噴煙の中から現れる死体――はなく、あるのは船体に開いた無数の風穴だった。
「はい、お疲れ様」
突如背後から現れたセオリーに男は首元への鋭い一撃を受け倒れた。
セオリーが何故、『紅魔女』などと言われ恐れられているか、それは銃器が全く通用しないところと、密猟者に対して容赦のないところからきている。
「ごめんなさいね。悪党に情けはかけない事にしていますの」
捕まったら最後、セオリーの責め苦に合い、その後エクアドル当局に引き渡され禁固刑。
しかし管理局には損害賠償金こそ払われこそすれ、現状は何の慰めにもなっていない。
「まったく、ただでさえ温暖化の影響で、年々頭数が大幅に減少しているというのに、国際法を無視した乱獲には目に余りますわ」
ただ金銭欲を満たすためだけにフカヒレなどの贅沢品を貪ろうとする根性にセオリーはあきれ果てていた。
そして人間の為であれば他の生き物を絶滅させてもいいという『種差別的思想』には、セオリーは怒りを覚えてならない。
「これのどこが文明的なのか教えて欲しいですわ。実に利己的、動物的ですわ」
セオリーもいくつか対策を講じてきた。その一つがガラパゴス海域に生態系に影響を及ぼさない程度の周波数でGPSジャマーを発するブイを設置した。
これにより密漁船は何もない公海でさ迷う筈だった。
「海図、コンパスや八分儀までを使ってくるなんて、本当にまったく見上げた……いいえ、見下げた根性ですわね」
襟を掴んで男を引きずっていくセオリーに突如無線が入る。
「はい、こちらセオリーですわ。あら局長。どうされました?」
無線の相手はガラパゴス諸島国立公園管理局の局長。彼は現在小型ボートでセオリーが立つ密漁船へと向かっている。
『どうしたもこうしたも無い。そちらはどんな状況だ?』
「あと一人、多分船長の男を、鮫達の餌にすれば終わりですわ」
『……よしもう十分だ。頼む、それ以上もするな。あと君に日本からエアメールが一通届いていた。管理局事務所に戻ったら確認してみてくれ』
「……エアメールですか?」
珍しいこともあるもんだとセオリーは首を傾げる。
高度な情報化社会を築いている世界で今時手紙など、よっぽどのもの好きなのだろう。
「確かに日本に知り合いはいますが、そんな古風な感性をお持ちの方なんていらっしゃったかしら?」
何やら胸騒ぎのようなものを感じたセオリーは自分の後を追ってやってきた局長たちに無法者共を預け一足先に事務所へと戻った。
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神秘的で雄大な自然の楽園で西暦1990年初頭から無粋な輩が現れている。
最北の島ダーウィン島から北西40km沖。今日もまた命知らずの密漁船が現れていた。
「さて、次は誰が鮫の生態調査に付き合ってくれるのかしら?」
所々にペンキが剥げている梁が敷き詰められた甲板の上では、ウェットスーツ姿の女が搭乗員へ詰め寄っていた。
その女の特徴と言えば、やはり血のような紅い髪が真っ先に目を惹く。
腰辺りまで伸ばしたその髪は目が覚める程に鮮やかで、赤味がかったというより最早、緋色。
次はウェットスーツ越しでも分かる豊かに膨らんだ胸。もし彼女が赤毛でなかったら世の男共はその胸に目掛けて言葉を発していたに違いない。
そして琥珀色の瞳とつり上がり気味の目尻は凛々しく冷ややかで、まさに野生の虎の様だ。
(目視で確認できる搭乗員は5名。いずれも東洋系……全く懲りませんわね……)
女は溜息を付く。
「紅魔女……」
後退る一人の男が発した言葉に、女の眉がピクリと動く。
「魔女? 違いますわっ! 私はマッドサイエンティストっ! セオリー・S・マクダウェルですわっ!」
その女、セオリーは自分を狂気的であると恥ずかしげもなく高らかに宣言した。
何故マッドサイエンティストと自称するかと言えば、狂気的なまでに自然の神秘の解明に見せられたからである。
セオリーは自分の研究に夢中などこにでもいる科学者である。
彼女はガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所に勤めながら、専らガラパゴス国立公園管理局の手伝いを買って出て(本当に勝手出て)、不届き者に成敗している。
不届き者の身元は大抵、2034年においてインド抜かれはしたものの、アジアに存在する国の中で世界第二位の経済大国の人間。
アジア向けのフカヒレと肉などを目的とした密漁船だ。
2017年8月に拿捕された船には、絶滅危惧種であるアカシュモクザメをはじめとする凡そ300トンの積荷があった。それが尚も続いている。
「次は先ほど私を魔女呼ばわりした。そこのお前ですわっ!」
セオリーに指を差された男は、懐から半自動式拳銃を取り出すも遅すぎた。
怖で彩られた男の視線が一瞬逸れた瞬間、セオリーは飛び膝蹴りを顔面へ叩きこむ。追突した車のフロントバンパーの如く拉げる。
「一匹目っ!」
優雅に宙を舞うセオリー。着地後すぐさま今度は右隣にいた男へと回し蹴りを蟀谷に突
き刺し昏倒させる。
「二匹目っ!」
しかしセオリーが倒した男達は氷山の一角に過ぎなかった。
「……まるでゴキブリのようですわ」
騒ぎを聞きつけ、大勢の男共が奥からわらわらと湧いて出てくる様子に悪寒が走る
「虫唾が走りますわっ!」
害虫処理よろしくセオリーは男共を次々と蹴り飛ばし、海へと放り込んでいく。
因みにガラパゴス諸島のアカシュモクザメをはじめとする鮫達は好奇心こそ強く潜在的には危険ではあるが、非常に大人しい性格の鮫で、シュノーケリングやダイビングしても基本的に襲われる心配はない。
そうとは知らず、海に落ちた男共は近寄ってくる鮫に興奮し暴れる。中にはじゃれてくる鮫に恐怖し気絶するものまでいた。
「自分たちが捕っている魚について何にも知らないなんて不憫ですわね。こんなにも可愛いのに……」
セオリーはその光景を呆然と眺めていると、船橋から一人の男が奇声を上げて現れた。
「死!魔女!」
その男の手元には56式自動歩槍。ソ連製AK-47カラシニコフの同型フレームで、デッドコピーではないにせよ、本家と比較すると作りが荒く命中精度も悪い。駄作と呼び声も高い一品。
(ジーンオントロジー……2番染色体系統、PAX3、音知覚及び筋肉器官発達限定、アセチレーション……)
セオリーは符牒を頭の中で呟く。
左腕に突如として回路図のような紅い輝きの光線が走る。
発狂した男のその駄作から放たれた弾丸は弾幕となり粉塵を巻き上げる。
カチカチとトリガーから乾いた音が鳴り、男は弾切れになったことにようやく気付く。
徐々に晴れいく噴煙の中から現れる死体――はなく、あるのは船体に開いた無数の風穴だった。
「はい、お疲れ様」
突如背後から現れたセオリーに男は首元への鋭い一撃を受け倒れた。
セオリーが何故、『紅魔女』などと言われ恐れられているか、それは銃器が全く通用しないところと、密猟者に対して容赦のないところからきている。
「ごめんなさいね。悪党に情けはかけない事にしていますの」
捕まったら最後、セオリーの責め苦に合い、その後エクアドル当局に引き渡され禁固刑。
しかし管理局には損害賠償金こそ払われこそすれ、現状は何の慰めにもなっていない。
「まったく、ただでさえ温暖化の影響で、年々頭数が大幅に減少しているというのに、国際法を無視した乱獲には目に余りますわ」
ただ金銭欲を満たすためだけにフカヒレなどの贅沢品を貪ろうとする根性にセオリーはあきれ果てていた。
そして人間の為であれば他の生き物を絶滅させてもいいという『種差別的思想』には、セオリーは怒りを覚えてならない。
「これのどこが文明的なのか教えて欲しいですわ。実に利己的、動物的ですわ」
セオリーもいくつか対策を講じてきた。その一つがガラパゴス海域に生態系に影響を及ぼさない程度の周波数でGPSジャマーを発するブイを設置した。
これにより密漁船は何もない公海でさ迷う筈だった。
「海図、コンパスや八分儀までを使ってくるなんて、本当にまったく見上げた……いいえ、見下げた根性ですわね」
襟を掴んで男を引きずっていくセオリーに突如無線が入る。
「はい、こちらセオリーですわ。あら局長。どうされました?」
無線の相手はガラパゴス諸島国立公園管理局の局長。彼は現在小型ボートでセオリーが立つ密漁船へと向かっている。
『どうしたもこうしたも無い。そちらはどんな状況だ?』
「あと一人、多分船長の男を、鮫達の餌にすれば終わりですわ」
『……よしもう十分だ。頼む、それ以上もするな。あと君に日本からエアメールが一通届いていた。管理局事務所に戻ったら確認してみてくれ』
「……エアメールですか?」
珍しいこともあるもんだとセオリーは首を傾げる。
高度な情報化社会を築いている世界で今時手紙など、よっぽどのもの好きなのだろう。
「確かに日本に知り合いはいますが、そんな古風な感性をお持ちの方なんていらっしゃったかしら?」
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