24 / 44
第二章 パッショナートな少女と歩く清夏の祭り
第23話 強欲者からのとばっちり
しおりを挟む
第23話 強欲者からのとばっちり
【本文】
「ちょ、ちょっと待ってリシェーラさんっ! ここに地球人が来たの?」
リシェーラさんと僕らへ今にも掴みかかってきそうだったので、アリスが間に割って入ってきてくれた。
「ええ、そうよ。ちょっと前にね。さんざん振り回して、アイツらは石炭紀が地球の四分の一しかない事を知って、埋蔵するセキユなんてないことを知った途端、舌打ちして帰っていったわっ!? 何なのっ!? あんな不快な思いしたのは初めてだわっ!」
リシェーラさんの話によれば、僕等のような人種の地球人と、アリスのようなヴィドに似た容姿の地球人がそれぞれやってきて、ヴィスル付近に埋蔵する資源が無いかどうか聞きに来たらしい。
まぁ、それぞれどこの国の人間か、僕にはだいたい想像が付くけど……
リシェーラさんは惑星の地質や鉱物などに精通していて、国の依頼でその地球人を案内した。
そこまでは良かったが、その地球人たちは事もあろうことか、折角案内してくれたリシェーラさんに不満を漏らして帰っていったという。
完全にとばっちりなのは確かだけど、非常に温厚なスペクリムの人達を怒らせるなんて……
「本当に申し訳ありませんっ!」
「本当にごめんなさい、リシェーラさん」
僕は同じ地球人として謝らずにはいられなかった。
愛花も同じ気持ちだったようで一緒に謝ってくれた。
本当に何してくれちゃってんのっ! って感じだ。
実はここ数週間宇宙センターの絢さんの下で、愛花と一緒に勉強して分かったことだけど、スペクリムの人達は人種問わず非常に温厚だ。
それにはスペクリムの世界が炭素通貨によって回っていていることが大きく関係しているって絢さんは言っていた。
スペクリムの人々は自然環境へ奉仕することを喜びとしていて、環境を壊そうものなら偏見と損失を抱えることになる。
更に絢さんの補足よれば、地球と同じように金儲けしようとすると大損するとか。
なので通商条約の締結に手間取っているとか。
「こっちこそごめんなさい。勘違いして、あの人達とはまた別の国の人だったのね。早とちりするのは私の悪い癖なのよ。あはは」
「でも疑いが晴れて良かったです。折角会えた生命体同士仲良くなるのが一番ですよね」
「本当貴女の言う通りだわ」
アリスの説明のお陰で、リシェーラさんの誤解は晴れ、気まずそうにしながらも笑顔で謝ってくれたのは良かった。本当は謝るのはこっちの方なのに……
「改めて自己紹介するわ。私の名前はリシェーラ=インドルシア=ソーラ=フォーコ。気軽にリシェーラって呼んでくれると嬉しいわ」
リシェーラさんから求められた握手にアリスは笑顔で応じた。
「改めて、自己紹介します。私はアリス=ソノル。今日はよろしくお願いします。えっとこっちは……」
「僕はソラト。よろしくお願いします」
「アイカって言います。よろしく御願いします」
「ええ、こちらこそっ! それじゃあ、お詫びっちゃなんだけど、私のとっておきの場所に案内してあげるっ! このリシェーラお姉さんに任せなさいっ!」
どんと胸を張ってリシェーラさんは陽気に引き受けてくれた。
リシェーラさんからはアリスとまた違った陽気さだ。
リシェーラさんは姉御肌で懐が深さい人なのかもしれない――
ぐ~
――と僕が思っていると、アリスのお腹から情けない音が鳴る。
「えへへ、お腹空いちゃった」
お腹を押さえてアリスははにかんで見せる。
トレードマークの長い耳を真っ赤に染めていてとても恥ずかしそうで、僕は不覚にも胸の高鳴りを覚える。
「じゃあ、その前に食事にしましょうか? もちろん私のおごりよっ!」
ヴィスルの町でリシェーラさんから昼食をご馳走になった僕らは、彼女の運転する車で、現在スッタクング谷という辺り一面荒野の中を走っている。
「まさか異世界のカレーを食べることになるなんてね。すんごく美味しかったっ!」
「スパイスのような香りがするからもしかしたら思っていたけど、あれは癖になりそうだね」
ヴィスルで食べたカレーは、見た目こそ真っ黄色だったり、ヴァイオレットだったり奇抜な色ばかりで、インドカレーのように水分が多く、それでいて脂っこくなくて、スパイスが酸味やピリッとして癖になる味だった。
「だよね? 私は地球のイルマリグとはまた違って、こっちのも美味しいでしょ? 元気になるよね?」
アリスの言う通り、食べた途端に活力が漲ってくるような感じがした。
スペクリムではカレーの事をイルマリグと言うのだそうだ。
「みんな外を見てみなさい」
荒野を走ること寸刻、リシェーラさんに言われ窓の外を眺めると、僕は息を飲んだ。
【本文】
「ちょ、ちょっと待ってリシェーラさんっ! ここに地球人が来たの?」
リシェーラさんと僕らへ今にも掴みかかってきそうだったので、アリスが間に割って入ってきてくれた。
「ええ、そうよ。ちょっと前にね。さんざん振り回して、アイツらは石炭紀が地球の四分の一しかない事を知って、埋蔵するセキユなんてないことを知った途端、舌打ちして帰っていったわっ!? 何なのっ!? あんな不快な思いしたのは初めてだわっ!」
リシェーラさんの話によれば、僕等のような人種の地球人と、アリスのようなヴィドに似た容姿の地球人がそれぞれやってきて、ヴィスル付近に埋蔵する資源が無いかどうか聞きに来たらしい。
まぁ、それぞれどこの国の人間か、僕にはだいたい想像が付くけど……
リシェーラさんは惑星の地質や鉱物などに精通していて、国の依頼でその地球人を案内した。
そこまでは良かったが、その地球人たちは事もあろうことか、折角案内してくれたリシェーラさんに不満を漏らして帰っていったという。
完全にとばっちりなのは確かだけど、非常に温厚なスペクリムの人達を怒らせるなんて……
「本当に申し訳ありませんっ!」
「本当にごめんなさい、リシェーラさん」
僕は同じ地球人として謝らずにはいられなかった。
愛花も同じ気持ちだったようで一緒に謝ってくれた。
本当に何してくれちゃってんのっ! って感じだ。
実はここ数週間宇宙センターの絢さんの下で、愛花と一緒に勉強して分かったことだけど、スペクリムの人達は人種問わず非常に温厚だ。
それにはスペクリムの世界が炭素通貨によって回っていていることが大きく関係しているって絢さんは言っていた。
スペクリムの人々は自然環境へ奉仕することを喜びとしていて、環境を壊そうものなら偏見と損失を抱えることになる。
更に絢さんの補足よれば、地球と同じように金儲けしようとすると大損するとか。
なので通商条約の締結に手間取っているとか。
「こっちこそごめんなさい。勘違いして、あの人達とはまた別の国の人だったのね。早とちりするのは私の悪い癖なのよ。あはは」
「でも疑いが晴れて良かったです。折角会えた生命体同士仲良くなるのが一番ですよね」
「本当貴女の言う通りだわ」
アリスの説明のお陰で、リシェーラさんの誤解は晴れ、気まずそうにしながらも笑顔で謝ってくれたのは良かった。本当は謝るのはこっちの方なのに……
「改めて自己紹介するわ。私の名前はリシェーラ=インドルシア=ソーラ=フォーコ。気軽にリシェーラって呼んでくれると嬉しいわ」
リシェーラさんから求められた握手にアリスは笑顔で応じた。
「改めて、自己紹介します。私はアリス=ソノル。今日はよろしくお願いします。えっとこっちは……」
「僕はソラト。よろしくお願いします」
「アイカって言います。よろしく御願いします」
「ええ、こちらこそっ! それじゃあ、お詫びっちゃなんだけど、私のとっておきの場所に案内してあげるっ! このリシェーラお姉さんに任せなさいっ!」
どんと胸を張ってリシェーラさんは陽気に引き受けてくれた。
リシェーラさんからはアリスとまた違った陽気さだ。
リシェーラさんは姉御肌で懐が深さい人なのかもしれない――
ぐ~
――と僕が思っていると、アリスのお腹から情けない音が鳴る。
「えへへ、お腹空いちゃった」
お腹を押さえてアリスははにかんで見せる。
トレードマークの長い耳を真っ赤に染めていてとても恥ずかしそうで、僕は不覚にも胸の高鳴りを覚える。
「じゃあ、その前に食事にしましょうか? もちろん私のおごりよっ!」
ヴィスルの町でリシェーラさんから昼食をご馳走になった僕らは、彼女の運転する車で、現在スッタクング谷という辺り一面荒野の中を走っている。
「まさか異世界のカレーを食べることになるなんてね。すんごく美味しかったっ!」
「スパイスのような香りがするからもしかしたら思っていたけど、あれは癖になりそうだね」
ヴィスルで食べたカレーは、見た目こそ真っ黄色だったり、ヴァイオレットだったり奇抜な色ばかりで、インドカレーのように水分が多く、それでいて脂っこくなくて、スパイスが酸味やピリッとして癖になる味だった。
「だよね? 私は地球のイルマリグとはまた違って、こっちのも美味しいでしょ? 元気になるよね?」
アリスの言う通り、食べた途端に活力が漲ってくるような感じがした。
スペクリムではカレーの事をイルマリグと言うのだそうだ。
「みんな外を見てみなさい」
荒野を走ること寸刻、リシェーラさんに言われ窓の外を眺めると、僕は息を飲んだ。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる