7 / 44
第一章 フラジオレットな少女と巡る旅の栞
第6話 玻璃色の世界の理外の理
しおりを挟む
「えっと、実はね――」
それから鏡宮さんは色々説明してくれた。
実は去年から報道されていないだけで、アメリカ航空宇宙局とか、日本の宇宙航空研究開発機構とか既に交流していて、互いに惑星調査の為に人を送りあっっているとか。
鏡宮さんは実は『スペクリム』から調査に来た人間だとか。
日本語をしゃべれるのは、脳に直接インプットする技術が『スペクリム』にはあるのだとか。
鏡宮さんの説明の半分以上は分からなかったけど、概ね納得できた。
「この部屋にあるのは、私たちの世界に、つまり『スペクリム』。これも心外なんだけど、私達から見れば、こっちの惑星の方が『鏡』なんだけど、まぁそれはとりあえず置いといて、その『スペクリム』に行くことが出来る、貴方達の言葉で言う『時空ゲート』みたいなものがあるんだ」
厳密にはちょっと違うのだけれど、と言いつつ、鏡宮さんは徐にドアノブに手を掛ける。
扉の先は見たことも無い機材が乱雑に置かれた大部屋で、その部屋の天井には大きなリング埋め込まれていて、奇妙な空間だった。
「ふふふんふ~ん、ふんふふふ~」
鼻歌交じりに左右に身体を揺らす鏡宮さんは、テキパキと機械を操作しながら実に楽しそうだ。とても生き生きしている。
僕と同じように自殺未遂を犯しておきながら、どうして生き生きとしていられるのか分からない。
「怖がらなくても平気だよっ! 日帰りで帰って来れるからっ!」
別にそんなことはちっとも考えていなかった。
「みんな私たちの惑星の事を、別の惑星って言っているけど、実はちょっと違うんだ……これで、出来たっと、じゃあ、 宙人。こっち来て」
パソコンのような機械に何か打ち込み終えると、鏡宮さんは手招きをして、僕をリングの中心に招き入れる。
「ちょっと違うってどういう意味?」
「う~ん、何ていえば良いのかなぁ~ 暗黒物質って知っている? あっ! この上に手を置いて」
鏡宮さんは首に提げていたペンダントのようなものを外し、その上に手を置くように促す。
そのペンダントは青い水晶のような宝石が埋め込まれていて、その水晶の中には星が散りばめられたかのような、まるで小さい宇宙が水晶の中にあるように見えた。
「ごめん、知らない」
「うん、普通そうだよね。とりあえずそれは着いてから話そっか」
僕はペンダントに手を添える。
鏡宮さんの透き通るような肌の温もりが指先から伝わってきて、少し心臓がドキッとした。
「ほら、始まるよ」
リングが唸り声を上げて回転しはじめると、中心から液状の鏡のような物体が溢れ、僕らの身体は包みこんだ。
ペンダントに触れた先から、鏡宮さんと僕の身体が次第に半透明になっていく。
何だ。身体が急に浮いて――
周囲の空間が屈折したように歪むと自然に足か床から離れていった。
『私の手をしっかり掴んでっ! 飛ぶよっ!』
鏡宮さんに言われるがまま、ペンダント越しに鏡宮さんの手を握りしめると、僕の身体は一瞬にして屋根をすり抜け、種子島の夏空へ放り出された。
空からの景色を眺めるどころか、慌てふためく間すらなく、僕らの身体は光に包まれ、再び意識は途切れた。
どこか懐かしくて、 仄かに甘い、清々しい空気が鼻腔を突き抜けていく。
「あっ!? 起きたっ!? 大丈夫?」
目を覚した僕を待っていたのは、上下逆さまの零れるような鏡宮さんの笑顔だった。
稲穂色の髪が頬を撫で、マリンブルーの瞳が僕を見つめている。
後頭部に柔らかい感触が心地良い、つまり僕は今、膝枕されているということになるわけで――
気恥ずかしさが一瞬で臨界点に達する。
「うわっ!」
「うぷさんっ!」
跳ねるように起き上がった僕は、鏡宮さんから慌てて離れる。
「びっくりしたぁ~脅かさないでよぅ」
脅かしたのはどっちって言いたかったけど、僕は言葉を失ってしまった。
紺碧の空の下、色彩豊かな花や草木の海をさらさらと風が渡っていく。
切り立った崖の斜面には、巨大なコバルトブルーの水晶が突き出ている。
さらに遠くに 聳える岳には、底が奇妙なほど平らで不思議な雲が連なっていた。
その中を悠々と泳ぐのは鳥――と思えたそれは、よく見るとクジラのような生物だった。
「ここは一体どこ?」
もしかして本当に死んだのか、それとも夢で見ているのか、と思ってしまうほどの目の前に広がる圧巻の景色に、僕は心を奪われた。
それから鏡宮さんは色々説明してくれた。
実は去年から報道されていないだけで、アメリカ航空宇宙局とか、日本の宇宙航空研究開発機構とか既に交流していて、互いに惑星調査の為に人を送りあっっているとか。
鏡宮さんは実は『スペクリム』から調査に来た人間だとか。
日本語をしゃべれるのは、脳に直接インプットする技術が『スペクリム』にはあるのだとか。
鏡宮さんの説明の半分以上は分からなかったけど、概ね納得できた。
「この部屋にあるのは、私たちの世界に、つまり『スペクリム』。これも心外なんだけど、私達から見れば、こっちの惑星の方が『鏡』なんだけど、まぁそれはとりあえず置いといて、その『スペクリム』に行くことが出来る、貴方達の言葉で言う『時空ゲート』みたいなものがあるんだ」
厳密にはちょっと違うのだけれど、と言いつつ、鏡宮さんは徐にドアノブに手を掛ける。
扉の先は見たことも無い機材が乱雑に置かれた大部屋で、その部屋の天井には大きなリング埋め込まれていて、奇妙な空間だった。
「ふふふんふ~ん、ふんふふふ~」
鼻歌交じりに左右に身体を揺らす鏡宮さんは、テキパキと機械を操作しながら実に楽しそうだ。とても生き生きしている。
僕と同じように自殺未遂を犯しておきながら、どうして生き生きとしていられるのか分からない。
「怖がらなくても平気だよっ! 日帰りで帰って来れるからっ!」
別にそんなことはちっとも考えていなかった。
「みんな私たちの惑星の事を、別の惑星って言っているけど、実はちょっと違うんだ……これで、出来たっと、じゃあ、 宙人。こっち来て」
パソコンのような機械に何か打ち込み終えると、鏡宮さんは手招きをして、僕をリングの中心に招き入れる。
「ちょっと違うってどういう意味?」
「う~ん、何ていえば良いのかなぁ~ 暗黒物質って知っている? あっ! この上に手を置いて」
鏡宮さんは首に提げていたペンダントのようなものを外し、その上に手を置くように促す。
そのペンダントは青い水晶のような宝石が埋め込まれていて、その水晶の中には星が散りばめられたかのような、まるで小さい宇宙が水晶の中にあるように見えた。
「ごめん、知らない」
「うん、普通そうだよね。とりあえずそれは着いてから話そっか」
僕はペンダントに手を添える。
鏡宮さんの透き通るような肌の温もりが指先から伝わってきて、少し心臓がドキッとした。
「ほら、始まるよ」
リングが唸り声を上げて回転しはじめると、中心から液状の鏡のような物体が溢れ、僕らの身体は包みこんだ。
ペンダントに触れた先から、鏡宮さんと僕の身体が次第に半透明になっていく。
何だ。身体が急に浮いて――
周囲の空間が屈折したように歪むと自然に足か床から離れていった。
『私の手をしっかり掴んでっ! 飛ぶよっ!』
鏡宮さんに言われるがまま、ペンダント越しに鏡宮さんの手を握りしめると、僕の身体は一瞬にして屋根をすり抜け、種子島の夏空へ放り出された。
空からの景色を眺めるどころか、慌てふためく間すらなく、僕らの身体は光に包まれ、再び意識は途切れた。
どこか懐かしくて、 仄かに甘い、清々しい空気が鼻腔を突き抜けていく。
「あっ!? 起きたっ!? 大丈夫?」
目を覚した僕を待っていたのは、上下逆さまの零れるような鏡宮さんの笑顔だった。
稲穂色の髪が頬を撫で、マリンブルーの瞳が僕を見つめている。
後頭部に柔らかい感触が心地良い、つまり僕は今、膝枕されているということになるわけで――
気恥ずかしさが一瞬で臨界点に達する。
「うわっ!」
「うぷさんっ!」
跳ねるように起き上がった僕は、鏡宮さんから慌てて離れる。
「びっくりしたぁ~脅かさないでよぅ」
脅かしたのはどっちって言いたかったけど、僕は言葉を失ってしまった。
紺碧の空の下、色彩豊かな花や草木の海をさらさらと風が渡っていく。
切り立った崖の斜面には、巨大なコバルトブルーの水晶が突き出ている。
さらに遠くに 聳える岳には、底が奇妙なほど平らで不思議な雲が連なっていた。
その中を悠々と泳ぐのは鳥――と思えたそれは、よく見るとクジラのような生物だった。
「ここは一体どこ?」
もしかして本当に死んだのか、それとも夢で見ているのか、と思ってしまうほどの目の前に広がる圧巻の景色に、僕は心を奪われた。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――
黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。
ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。
この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。
未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。
そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる