上 下
29 / 58
2章 拠点を作ろう

16話 ヴィルナタール

しおりを挟む
サーシャおかえり祭も落ち着いてきた頃。

メイド達がある程度の仕事終えをこちらに来た。

「まぁ、こちらが噂のサーシャさんですか」
ジロッとサーシャを睨むニーナ。

視線を感じたサーシャ。
「私はエルの騎士、サーシャだ。よろしく」
すっと右手を出すサーシャ。

「ご丁寧にどうも、エル様の専属メイドのニーナです。よろしくお願いします」
ガシッとサーシャの手を掴む。

あれ握手ってこんなかんじだっけ…。
しかも、今は元専属メイドだろ。訂正しろ。

サーシャは奴隷達を一通りみたあと私の方を向く。

「エルちょっといい?」

よくない…顔が怖い…よくないでーす…

「なんでこんなに女ばっかなの…?」
圧を感じる……

するとサッと私とサーシャの間にニーナが入る。

「エル様に攻撃することは許しません」
ちょっとかっこいいニーナ。

「私はエルの騎士だから問題ない」
問題はあるよ。

「ふふ、少し痛い目を見てもらったほうがいいですね」
笑いながらナイフを取り出すニーナ。

「やれるもんならやってみろ」
左手で挑発をして右手で剣を構えるサーシャ。
昔の男勝りなサーシャ思いだすなぁ…

「こらこらやめなさいっての」
止めようとする私をウィルが止める。

「ニーナの力を見たい、それに今のサーシャの力も」

うーん、それもそうだが…

「儂もおるし大丈夫じゃよ」

マオが言うなら…

「わかった、危なくなったら直ぐ止めるからね!」


騎士vsメイドが始まる。

サーシャの装備は反則っぽいしニーナはただのメイド服なので木剣と木の盾を渡す。
するとサーシャはこれだけでいいと木の盾だけを持っていった。

「早く来いよ色ボケメイド」

「まぁ、騎士なのになんて口の悪さ…教育して差し上げます」

目に止まらぬ速さで突っ込むニーナ。

勝負は一瞬で決まった。


気づくとニーナは地面に叩きつけられていた。

「え?なにしたの?」
ウィルに聞く。

「ニーナがナイフを繰り出したが盾で上へをパリィした。体制が少し崩れたニーナの胸ぐらを掴んでそのまま地面に叩きつけた」
それだけだというウィル。

へー…あ、ポカンとしてる場合じゃない

〈ヒール〉

パチっと目を覚ますニーナ。

「エル様負けてしまいましたわ…申し訳ございません」

「ううん、ニーナ速くてびっくりしたよ。すごいね!」
思った感想を口にした。

「ありがとうございます。でも、次は絶対負けませんから見ててください」
ギュッと私の胸に顔を埋めたあとチラッとサーシャを見てニヤッと笑った。

「離れろ負け犬…」
キレてる…。

大丈夫そうなのでパッとニーナから手を離す。

ご無体な…といいながら嘘泣きをするニーナ。
やめろやめろ。

「サーシャ強くなったね…」

「私はエルの騎士だから」

なんとなくサーシャが撫でて欲しそうに感じたので撫でてみる。

「コラ!子ども扱いするな!」
口では嫌がっていたがとてもいい笑顔だった。

「そだ、サーシャいつまでいるの?」

「んーそうだなぁ数日たったらかな…名残惜しくはあるがゾフィとユッテに世界を見せてやりたい」

「そっか、やっぱり冒険は楽しい?」

「あぁ、楽しいぞ!飯は不味いけどな!」

「なんか面白い話聞かせてよ」

「そうだなぁ…私が冒険者ギルドに初めて入った時なんだが…


そうして夜は更けていく。

サーシャ恥ずかしがりながらも挨拶をする。
「お見送りありがとう、前回は皆に挨拶しなかったから…今日はできる気がしてな」

「これ私が作ったヤツだから良かったら使って!」
ナツメが3人にナイフを渡す。

「ふふ、ありがとう大切に使うよ」
とサーシャをナキリを撫でる。

ありがと、かっこいいね!とゾフィが言う。ユッテは「ん!」としか言わなかったが嬉しそうだ。

じゃあ、私からはこれだ!

ゾフィには短弓、ユッテには杖だ!

「ゾフィー弓を引いてごらん!」

頷いたユフィーは弓を引く。すると緑色に光りだす。

「風の魔法!?」

「いや、見た目だけ」

「お前は余計なことをするな!」
ゴンと頭をサーシャに叩かれる。

「冒険者は舐められたら終わりだから…」
それっぽいことを言っておく。
服を引っ張られそっちを見るとゾフィーがいた。

「私のは?」

「魔力を込めてごらん」

ちなみにユッテの杖は身長ぐらいの長さで上がカタツムリの殻みたいになってるタイプのやつ。


「なー…にゃー…なーにゃー」

「杖から猫の声が聞こえる…」
驚いた顔のユッテ。

「可愛いでしょ!自信作!それ地面に刺しておけば魔物寄ってこないから!」

「え?でも魔力込めないと猫は鳴かないんでしょ?」
ユッテは首を傾げる。


「鳴くのは魔力込めたらで地面に刺す理由は地面から魔力を取り込むため」
別に声に魔物が嫌がる要素はない。

「お前…まぁいいか…ユッテも気に入ってるし…」
大事そうに杖を抱えるユッテ。たまに魔力を込めて猫の声を聴いている。

「じゃあ、そろそろ行くとするよ」

「では、主行って参ります」
と片膝を着くサーシャ。


「ゾフィとユッテを頼むよ」

「かしこまりました」

「では」


「待つのじゃ!!」
マオが大声を出す。
走り出しユッテに抱きつくマオ。

「元気で帰ってくるのじゃぞ…?」

ユッテは頷いてギュッとマオの胸をグリグリした。

「硬いかも…サーシャとなにかが違う…」

「余計なことを……さっさと行け!!」
ぷんぷんと怒るマオ




そうだとサーシャが声を出す

「この街はなんという名前なんだ?」

私は少し考えて答える。


「ヴィルナタール」



君たちの故郷である。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

召喚勇者の餌として転生させられました

猫野美羽
ファンタジー
学生時代最後のゴールデンウィークを楽しむため、伊達冬馬(21)は高校生の従弟たち三人とキャンプ場へ向かっていた。 途中の山道で唐突に眩い光に包まれ、運転していた車が制御を失い、そのまま崖の下に転落して、冬馬は死んでしまう。 だが、魂のみの存在となった冬馬は異世界に転生させられることに。 「俺が死んだのはアイツらを勇者召喚した結果の巻き添えだった?」 しかも、冬馬の死を知った従弟や従妹たちが立腹し、勇者として働くことを拒否しているらしい。 「勇者を働かせるための餌として、俺を異世界に転生させるだと? ふざけんな!」 異世界の事情を聞き出して、あまりの不穏さと不便な生活状況を知り、ごねる冬馬に異世界の創造神は様々なスキルや特典を与えてくれた。 日本と同程度は難しいが、努力すれば快適に暮らせるだけのスキルを貰う。 「召喚魔法? いや、これネット通販だろ」 発動条件の等価交換は、大森林の素材をポイントに換えて異世界から物を召喚するーーいや、だからコレはネット通販! 日本製の便利な品物を通販で購入するため、冬馬はせっせと採取や狩猟に励む。 便利な魔法やスキルを駆使して、大森林と呼ばれる魔境暮らしを送ることになった冬馬がゆるいサバイバルありのスローライフを楽しむ、異世界転生ファンタジー。 ※カクヨムにも掲載中です

処理中です...