転移英雄は異世界の中で

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転移英雄は導く希望の中で

敬語!!!

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 「…………おはよ」

 「おはよ~~」

 アステラの話し合いから数分。俺達は用意された寝床で目が覚めた。

 「やっと起きたぁ!!!ちょっと!急に寝始めてビックリしたわよ!!」

 ……寝起きに良いアラームだな。

 「すまんすまん!伝えてなかったよな!今アステラの所で話し合いしてたんだ」

 「…………何言ってんの」

 剣だから表情は分からないが、絶対理解出来てないぞこれ。
 理解出来ずにポカンとしてそうなバルムンクを尻目に、ルナに問う。

 「なぁルナ。これどう説明する?」

 「うーん、もうどうせなら全部話す?別に隠す様な案件じゃないし」

 「だけど、こいつに理解出来るか?」

 「何話してるか分からないけど、私に理解できない事は無いわよ!何せ、私は伝説の聖剣よ!!」

 「そうか。それならしっかりと理解しろよ?」

 そう言い俺達は、バルムンク相手に一時間説明を繰り返した。

 「えーと、つまり、どうゆう事?」

 俺達は分かりやすく説明したつもりだった。だが、何か言う度にバルムンクが聞き返して来るから想像以上に時間を食った。しかも、あまり理解してないと来た。

 「あー!!何度も言ってるよな!?俺達は、女神アステラに直接異世界に飛ばされた野良の勇者!!」

 「そうそこ!!何でアステラ様がわざわざアンタ達をこの世界に飛ばしたの?!そもそも、アンタ達の世界も理解出来ないのよ!!」

 「オレタチ、セカイスクッタ、エイユウ俺達、世界救った、英雄!!!」

 「ワタシタチ、ショケイサレソウニナッタ、ソノトキアステラニタスケテモラッタ私達、処刑されそうになった、その時アステラに助けてもらった!!!」

 「何でカタコト?!ちゃんと喋りなさいよ!!」

 「「だって疲れたんだもん」」

 「あ~~~~!!!!!!!」

 俺達は、さらに小一時間バルムンクに説明をした。そして、努力の甲斐がありようやく理解出来た様だ。

 「ほんっとうに申し訳ありません!」

 ……本当に理解したのか?

 「まさかあなた方がアステラ様の使者だったとは!私をお造りになったお母様アステラ様の御使い相手にとんだ御無礼を!!」
 
 ……理解してなかったか。

 「ルナどうしよう。俺、説明疲れたぞ」

 「もうこのままで良いんじゃない?どうせあの勇者くんに渡すんだし」

 そう。ルナの言葉の通りこの聖剣バルムンクを勇者に返却する算段だ。
 確かにこの聖剣の力は強大。だが、他に神器オムニを持つ俺よりも力のない勇者に持ってもらった方が良いだろう。

 「私、御使い様の旅のお供が出来て光栄です!一生付いて行きます!!」

 だが、当の本人はこの調子。これ、勇者に返却出来るのか??

 「……はぁ。一先ず、バルムンク!その敬語口調は辞めてくれ!何かむず痒い!」

 「えぇ!?私の忠誠の表しです!!これは!!」

 「良いから!!」

 「さぁ!!!!」

 「あぁもう!これで良いんでしょ?!ですが、忠誠は今でも誓ってますからね!!」

 「「敬語!!」」

 「うるさいわよ!!いい加減黙って!!」

 「「完璧だ!」」

 「もう何なの!」

 用意された部屋で起きた寸劇。
 大声で叫び散らしたその部屋で、1人だけぐっすりと寝ているレイラは、向こうで何かがあったのだろうか。いつの間にか頬を膨らませて眉間に皺を寄せていた。
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