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攻略されていたのは、俺
【08】
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本当に、何がどうしてこうなった。
学食で、アスパラのステーキを切りながら、俺は思う。
「君は肉も食べた方が良い。ほとんど野菜か海鮮類じゃないか」
俺の前に当たり前の様に陣取るのは、生徒会長だ。
「肉類は、あまり好きではないんです」
「鶏肉のササミなら、それ程脂も無いだろう? 動物性タンパク質も…」
「そう云うトイセ会長も、野菜を食べて下さい。整腸に…」
って、何でこんな会話をしてるんだ。何処の保護者会だよ。
俺達が座るテーブルの周りには、誰も寄り付かない。一つ二つ空けて座っている。そして、俺達を見て溜息を溢したりしている。ちらりと視線を動かせば、離れた場所でメゴロウが、部員である双子のモ・ブオとモ・ブコと三人で仲良く食べている。生徒会長と二人で登校して、花壇へ行って二人を紹介されて『あ、そいや居たわ、この二人』って、思い出した。いや、だって、名前の通り、モブだし? ゲームでは名前だけで顔なんか出て来なかったし? 部活動やってても、ヒロインとわちゃわちゃしてたし? そんなの、覚えている筈が無い。無いが、この双子が入部して来るのは、ゲームと同じで。俺とメゴロウが離れた途端に、こうなるって事は、やっぱり俺が、メゴロウの恋の邪魔をしていたと言う事になる。だから、ガディシス様は、あんな、夢を俺に見せていたんだ。メゴロウから離れろって、言っていたんだ。隠しキャラルートがどうかなんて知らないが、他のヒロイン達と同じなら、俺はやはり隠しヒロイン…ウーゴ教諭に断罪されるのだろう。で、その後でメゴロウはウーゴ教諭と………。
「…っ…」
胃が痛み出して、俺はそっと胃を撫でる。ずっと…あの双子が入部して来た時から、今日で三日が経った。ゲームと同じだと気が付いてから…首吊りが頭から離れなくて、キリキリと胃が痛む様になった。肉を食えと生徒会長は言うが、こう胃が痛いと、どうにも肉を食べる気にはなれない。
「…また痛むのか? 薬はまだあるのか?」
心配そうに俺の顔を覗いて来る生徒会長に、軽く肩を竦めて苦笑する。
「…明日休みなので、街に買いに行きます」
うん。最初の頃は我慢してた。けど、痛くて痛くて我慢出来なくて、救護室に胃薬を貰いに行った。…行こうとした。が、何だか足が動かなくて、生徒会長に代わりに行って貰った。何だかんだしつこく、ウーゴ教諭に話し掛けられたみたいで、戻って来た生徒会長は憮然としていた。しかし、こう何日も続くと流石に生徒会長に悪いからな。
「一人で行くのか? 彼は…」
ちらりとメゴロウの方へと、生徒会長が目線をやる。メゴロウの前には、大量の皿がある。相変わらずの食欲で何よりだ。…ちょっと…ちょぉっと、俺と離れているのを寂しがって、食欲が落ちても…いやいや、何を考えているんだ、俺。
「心配を掛けたくないので」
…そうだな。一人で良い。
久しぶりに一人で街をぶらぶらすれば、良い運動になるだろう。そうすれば、ぐっすりと眠れそうな気がする。
放課後の部活動の時に、メゴロウに明日は実家へ帰るから部を休む、そう伝えれば良いだろう。
◇
「行くぞ」
「は?」
朝、メゴロウを送り出して、のんびりとメゴロウが淹れてくれたコーヒーを飲んでいたら、休日だと云うのに、制服姿の生徒会長がやって来た。
「早く着替えろ」
そして、まだ寝間着姿の俺を見て、眼鏡を光らせて、そう言った。
「は?」
「買い物へ行くんだろう? 俺も行く」
「は?」
「十分で支度をしろ」
何処の空の船長ですか? てか、何で休みの日にまで制服着てるんだ、こいつ。
「俺達は歴史ある王立学園に通う者であり、常にそれを意識しなければならない。例え休みであろうと、それを忘れてはならない。我々はそれを誇りに思い、通いたくとも通えない者達の」
「…着替えて来ます…」
ちょっと白目になりながら、俺は生徒会長にそう言った。
学食で、アスパラのステーキを切りながら、俺は思う。
「君は肉も食べた方が良い。ほとんど野菜か海鮮類じゃないか」
俺の前に当たり前の様に陣取るのは、生徒会長だ。
「肉類は、あまり好きではないんです」
「鶏肉のササミなら、それ程脂も無いだろう? 動物性タンパク質も…」
「そう云うトイセ会長も、野菜を食べて下さい。整腸に…」
って、何でこんな会話をしてるんだ。何処の保護者会だよ。
俺達が座るテーブルの周りには、誰も寄り付かない。一つ二つ空けて座っている。そして、俺達を見て溜息を溢したりしている。ちらりと視線を動かせば、離れた場所でメゴロウが、部員である双子のモ・ブオとモ・ブコと三人で仲良く食べている。生徒会長と二人で登校して、花壇へ行って二人を紹介されて『あ、そいや居たわ、この二人』って、思い出した。いや、だって、名前の通り、モブだし? ゲームでは名前だけで顔なんか出て来なかったし? 部活動やってても、ヒロインとわちゃわちゃしてたし? そんなの、覚えている筈が無い。無いが、この双子が入部して来るのは、ゲームと同じで。俺とメゴロウが離れた途端に、こうなるって事は、やっぱり俺が、メゴロウの恋の邪魔をしていたと言う事になる。だから、ガディシス様は、あんな、夢を俺に見せていたんだ。メゴロウから離れろって、言っていたんだ。隠しキャラルートがどうかなんて知らないが、他のヒロイン達と同じなら、俺はやはり隠しヒロイン…ウーゴ教諭に断罪されるのだろう。で、その後でメゴロウはウーゴ教諭と………。
「…っ…」
胃が痛み出して、俺はそっと胃を撫でる。ずっと…あの双子が入部して来た時から、今日で三日が経った。ゲームと同じだと気が付いてから…首吊りが頭から離れなくて、キリキリと胃が痛む様になった。肉を食えと生徒会長は言うが、こう胃が痛いと、どうにも肉を食べる気にはなれない。
「…また痛むのか? 薬はまだあるのか?」
心配そうに俺の顔を覗いて来る生徒会長に、軽く肩を竦めて苦笑する。
「…明日休みなので、街に買いに行きます」
うん。最初の頃は我慢してた。けど、痛くて痛くて我慢出来なくて、救護室に胃薬を貰いに行った。…行こうとした。が、何だか足が動かなくて、生徒会長に代わりに行って貰った。何だかんだしつこく、ウーゴ教諭に話し掛けられたみたいで、戻って来た生徒会長は憮然としていた。しかし、こう何日も続くと流石に生徒会長に悪いからな。
「一人で行くのか? 彼は…」
ちらりとメゴロウの方へと、生徒会長が目線をやる。メゴロウの前には、大量の皿がある。相変わらずの食欲で何よりだ。…ちょっと…ちょぉっと、俺と離れているのを寂しがって、食欲が落ちても…いやいや、何を考えているんだ、俺。
「心配を掛けたくないので」
…そうだな。一人で良い。
久しぶりに一人で街をぶらぶらすれば、良い運動になるだろう。そうすれば、ぐっすりと眠れそうな気がする。
放課後の部活動の時に、メゴロウに明日は実家へ帰るから部を休む、そう伝えれば良いだろう。
◇
「行くぞ」
「は?」
朝、メゴロウを送り出して、のんびりとメゴロウが淹れてくれたコーヒーを飲んでいたら、休日だと云うのに、制服姿の生徒会長がやって来た。
「早く着替えろ」
そして、まだ寝間着姿の俺を見て、眼鏡を光らせて、そう言った。
「は?」
「買い物へ行くんだろう? 俺も行く」
「は?」
「十分で支度をしろ」
何処の空の船長ですか? てか、何で休みの日にまで制服着てるんだ、こいつ。
「俺達は歴史ある王立学園に通う者であり、常にそれを意識しなければならない。例え休みであろうと、それを忘れてはならない。我々はそれを誇りに思い、通いたくとも通えない者達の」
「…着替えて来ます…」
ちょっと白目になりながら、俺は生徒会長にそう言った。
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