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攻略されていたのは、俺?
【04】
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ぽたりと、前髪から雫が落ちた。
目の前には、同じく黒い髪を額に貼り付けているメゴロウが、顔を赤くして俺を見ている。
…平凡顔だと思っていたが、意外とこいつ目が丸くてデカいんだなあ…。まあ、ゲームじゃ主人公の顔がピックアップされる事なんて無かったから、知らなくて当然か。大概のエロゲーは主人公の顔なんてないしな。とあるゲームでは『目無し』って、からかわれてたりするし。
「…ケタロウ様!?」
何て思っていたら、そんな慌てた声が聞こえて来て、俺は我に返った。
中庭に居たのは、俺達だけじゃない。
他にも食後の散歩を楽しんでいる生徒達がいた。先のは、その生徒達の誰かから出た声だろう。
噴水の周りに、顔色を悪くした生徒達が集まって来る。
「ああっ、すみません! 僕、支え切れなくて…っ…!!」
ん?
首を傾げた俺の手を取り、立ち上がらせながらメゴロウが説明をする。
いきなり俺が立ち眩みでも起こしたのか、ぐらりと上体を揺らしたから、慌てて支えようとしたが間に合わなかったと。
あれま。全然そんな覚えは無いが、あれか。前世を思い出した衝撃で、疲れていたのか? 腹が膨れて気が緩んだのか。
「…ああ、それはすまなかったね。怪我はないかい? このままでは風邪を引いてしまうね。救護室へ行ってタオルを借りよう。…っと、申し訳ないが、これでは午後の授業には出られない。この事を教師に話しておいてくれないかい?」
近くに居た同じクラスの男子生徒に頼めば、彼は元気良く返事をして校舎内へと走って行った。元気なのは良いけど、何か顔が赤かったな? そんなに気温は高くはないと思うのだが?
「っくちょんっ!!」
そんな事を思っていたら、隣に立つメゴロウが何とも可愛らしいくしゃみをした。
「ああ、これを着ると良い」
着ていたブレザーを脱いでメゴロウへと差し出せば、『きゃーっ!!』やら『ぎゃーっ!!』やらと、黄色かったり、野太い悲鳴が上がった。
…何で?
「いっ、いけません、ケタロウ様っ!!」
メゴロウもメゴロウで赤い顔を更に赤くして、両手を振って拒絶の意を示している。
うん?
あ~…そうか、こんな濡れた物を着ても、余計に濡れるだけだよな。どんな嫌がらせだよ。息を吸う様に嫌がらせをするだなんて、最低だな、俺。
かと云って、一度脱いだ濡れた衣服を着るのは躊躇われたから、ブレザーを左手に持ち、右手はメゴロウの肩に回した。
「急ごう。顔が赤い。熱が出ているのかも知れないね」
また、あちこちから悲鳴が上がったが、俺は無視してメゴロウの肩を抱いたまま歩き出した。
救護室へ行けば、養護教諭のヨ・ウーゴ教諭がバスタオルと温かい紅茶を出してくれた。
「ほら、ちゃちゃっと脱いで。乾かしてあげるから」
と、言われて…パンツまで取られて、俺とメゴロウは腰にバスタオルを巻き、肩に毛布を掛けて、ベッドに並んで座り紅茶を啜っていた。
…何だこれは…?
どうしてこうなった?
これはヒロインとのシチュじゃないのか?
ヒロインは何処へ行ったんだ?
まさか、俺がヒロインとの出逢いの機会を奪ってしまったのか? …あり得るな…。なんせ、ゲームの世界に転生だなんてミラクルをかましたんだ。何が起きても不思議ではない。だが。大丈夫だ。何が起きても、主人公はヒロインと結ばれる運命にある。ある筈だ。そうであって欲しい。でないと、ヒロインとの出逢いを潰したとかなんかで、俺、死ぬ。きっと死ぬ。それは嫌過ぎる。でも、メゴロウと仲良くなれるチャンスを失くしたくない。俺はメゴロウにとって、良い奴になりたい。だから、恨まないでくれよ、機会を奪われたヒロイン!
メゴロウも、俺を恨んでくれるなよ? と、ちらりと横目で見れば、俺と同じ様に、肩から毛布を掛けたメゴロウが、両手でカップを持ってちびちびと紅茶を飲んでいた。カップを持つ手を見れば、微かに震えている。
「…寒いのかい? 私の為にすまなかったね」
余りにも震えているから、その手に俺の手を重ねて言えば、ビシッて音が聞こえそうな勢いで、メゴロウが固まった。
…何で?
目の前には、同じく黒い髪を額に貼り付けているメゴロウが、顔を赤くして俺を見ている。
…平凡顔だと思っていたが、意外とこいつ目が丸くてデカいんだなあ…。まあ、ゲームじゃ主人公の顔がピックアップされる事なんて無かったから、知らなくて当然か。大概のエロゲーは主人公の顔なんてないしな。とあるゲームでは『目無し』って、からかわれてたりするし。
「…ケタロウ様!?」
何て思っていたら、そんな慌てた声が聞こえて来て、俺は我に返った。
中庭に居たのは、俺達だけじゃない。
他にも食後の散歩を楽しんでいる生徒達がいた。先のは、その生徒達の誰かから出た声だろう。
噴水の周りに、顔色を悪くした生徒達が集まって来る。
「ああっ、すみません! 僕、支え切れなくて…っ…!!」
ん?
首を傾げた俺の手を取り、立ち上がらせながらメゴロウが説明をする。
いきなり俺が立ち眩みでも起こしたのか、ぐらりと上体を揺らしたから、慌てて支えようとしたが間に合わなかったと。
あれま。全然そんな覚えは無いが、あれか。前世を思い出した衝撃で、疲れていたのか? 腹が膨れて気が緩んだのか。
「…ああ、それはすまなかったね。怪我はないかい? このままでは風邪を引いてしまうね。救護室へ行ってタオルを借りよう。…っと、申し訳ないが、これでは午後の授業には出られない。この事を教師に話しておいてくれないかい?」
近くに居た同じクラスの男子生徒に頼めば、彼は元気良く返事をして校舎内へと走って行った。元気なのは良いけど、何か顔が赤かったな? そんなに気温は高くはないと思うのだが?
「っくちょんっ!!」
そんな事を思っていたら、隣に立つメゴロウが何とも可愛らしいくしゃみをした。
「ああ、これを着ると良い」
着ていたブレザーを脱いでメゴロウへと差し出せば、『きゃーっ!!』やら『ぎゃーっ!!』やらと、黄色かったり、野太い悲鳴が上がった。
…何で?
「いっ、いけません、ケタロウ様っ!!」
メゴロウもメゴロウで赤い顔を更に赤くして、両手を振って拒絶の意を示している。
うん?
あ~…そうか、こんな濡れた物を着ても、余計に濡れるだけだよな。どんな嫌がらせだよ。息を吸う様に嫌がらせをするだなんて、最低だな、俺。
かと云って、一度脱いだ濡れた衣服を着るのは躊躇われたから、ブレザーを左手に持ち、右手はメゴロウの肩に回した。
「急ごう。顔が赤い。熱が出ているのかも知れないね」
また、あちこちから悲鳴が上がったが、俺は無視してメゴロウの肩を抱いたまま歩き出した。
救護室へ行けば、養護教諭のヨ・ウーゴ教諭がバスタオルと温かい紅茶を出してくれた。
「ほら、ちゃちゃっと脱いで。乾かしてあげるから」
と、言われて…パンツまで取られて、俺とメゴロウは腰にバスタオルを巻き、肩に毛布を掛けて、ベッドに並んで座り紅茶を啜っていた。
…何だこれは…?
どうしてこうなった?
これはヒロインとのシチュじゃないのか?
ヒロインは何処へ行ったんだ?
まさか、俺がヒロインとの出逢いの機会を奪ってしまったのか? …あり得るな…。なんせ、ゲームの世界に転生だなんてミラクルをかましたんだ。何が起きても不思議ではない。だが。大丈夫だ。何が起きても、主人公はヒロインと結ばれる運命にある。ある筈だ。そうであって欲しい。でないと、ヒロインとの出逢いを潰したとかなんかで、俺、死ぬ。きっと死ぬ。それは嫌過ぎる。でも、メゴロウと仲良くなれるチャンスを失くしたくない。俺はメゴロウにとって、良い奴になりたい。だから、恨まないでくれよ、機会を奪われたヒロイン!
メゴロウも、俺を恨んでくれるなよ? と、ちらりと横目で見れば、俺と同じ様に、肩から毛布を掛けたメゴロウが、両手でカップを持ってちびちびと紅茶を飲んでいた。カップを持つ手を見れば、微かに震えている。
「…寒いのかい? 私の為にすまなかったね」
余りにも震えているから、その手に俺の手を重ねて言えば、ビシッて音が聞こえそうな勢いで、メゴロウが固まった。
…何で?
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