神様には頼らない

三冬月マヨ

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毛の秘密

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「ふんふんふん~♪」

 と、鼻歌を歌いながら、居間にてニャンタの為にマフラーを編んでいた時です。

「楽しそうだな、カラヲ」

 ドテラを羽織り、掘り炬燵に改造した囲炉裏で、背中を丸くしながらライザー様が不思議そうな顔で聞いて来ました。

「もう少しで、バレンタインなので。こうして、ニャンタにマフラーを編んで居るのですよ。私の髪の毛も混ぜて」

「…何で毛を混ぜるの…」

 私がそう言いましたら、ライザー様は嫌そうな顔でそう言って来ました。

「私の総ては貴方のもの…そんな意味が籠められているのですよ」

 何故に、その様なお顔をされるのでしょうか?
 内心、首を傾げながらも私はそう答えました。

「へ…へぇ…。そっか…そうだったのか…」

 そうしましたらば、へにゃりと眉を下げて少々頬を赤くしながら、納得して下さいました。
 何と言いますか、本当にこのお方は大丈夫なのでしょうか?
 その様に無防備で、よくもまあ、オニキス様に手を出されるまで御無事で居られたものですね。

「あ、あの、さ、俺にも…その…編み物…教えてくれないか?」

 照れ臭そうに頬を指で掻きながら、ライザー様がそう仰いますが。

「何を馬鹿な事を。ライザー様はこの様な事はしなくても宜しいのですよ? ライザー様がいらっしゃるだけで、オニキス様は幸せなのですから」

 そう、ライザー様がオニキス様の傍に居て下さるだけで、あの方はそれだけで幸せなのですよ。

「い、いや…俺…貰ってばかりで…何も返せていないし…」

 おやおやおやおや。
 困った方ですね?

「…そうですね。でしたら、バレンタイン当日は、その身体にチョコレートをコーティングして、リボンを巻いて"俺を食べて♡"のサプライズを致しましょうか? あ、リボンは私が巻きますよ? おや? ライザー様? どちらへ?」

 せっかくの提案ですのに、何故かライザー様はスンッと瞳からハイライトを消して立ち上がり、ドテラを翻しながら部屋から出て行ってしまわれました。
 おやおや。
 照れ屋さんにも程があり…あばばばばばばっばばばばばっばばあ!?
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