神様には頼らない

三冬月マヨ

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マーブルチョコ

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「は? バレンタインに何をあげたら良いか、ですって? ライザー君、それ本気で聞いてるの?」

 掘りコタツに改造された囲炉裏の縁に、マリエルが額を押し付けて聞き返して来た。

「当然だ。俺は、元とは云え勇者だ。勇者の辞書に嘘と云う言葉は無い。俺は何時だって本気だ」

 そう、今日はもうバレンタイン前日だ。
 カラヲみたく、自分の髪の毛を編み込んだマフラーを、と、考えたりもした。
 だが、編み物初心者マークの俺に、そんな器用な真似が出来るのかと問えば、答えはノーだ。
 ならば、手作りチョコだろうと、思った。
 そんなの前世でも今世でも作った事は無いが、チョコを溶かして固めれば良いだけだろ?
 簡単じゃん、と、思った時が俺にもありました。
 何で固まらないんだよ、アレ。
 湯煎して、型に流し込んで冷やすだけだろ?
 ちゃんと型枠作ってチョコを流し込んだのに、何で下から流れて行くんだよ、おかしいだろ。

『…ライザー様…コンクリを流すんじゃ無いんですから…木枠は止めましょうよ…あと、鉄筋で補強も要りませんから。歯を折る気ですか。歯欠けの魔王様なんて、見たくはありませんからね。普通に真四角のチョコなら、市販の物で良いでしょう? は? 黒地に、黄色や白の混じったマーブルチョコを作りたい? キラキラとコーティングしたい? 何、寝ぼけてんです…ごふんっ』

 と、カラヲに可哀想な子を見る様な目で見られて、チョコ作りは断念した。

「…何時も…あいつには貰ってばっかだから、俺から俺だけの物をあげたかったのに…」

 あいつから何かを貰ったり、何かをして貰ったりして、喜ぶ俺を見て、あいつが喜ぶんじゃなくて、俺があいつの為にして、そんで喜ぶあいつの顔を見たいのに。

 のへっと背中を丸めて、囲炉裏の縁に顎を乗せて呟けば、まだ縁に額を押し付けたままのマリエルの肩がぴくりと動いた。

「…それを、そのままオニキスに言えば良いのよ。泣いて喜んで、抱き潰されるわよ」

 何で抱き潰されるのが決定なんだ。

「…ふ…。甘いな、マリエル。この俺が。元勇者のこの俺が、そう素直に口を割ると思うのか? 温いぞ。気温差で湯気が出てるだけの、火を点けて10分しか経っていない真冬の風呂並みにな」

 前世で、何度それで飛び上がったのか解らないぐらいだ。

「…ねえ…、それ、本当に勇者補正だけだったの? 絶対に素よね。元からってか、前世から拗れまくってるわよね?」

 うん。
 俺も、そう思う。
 素直になろうとすればする程、お口さんは捻れまくってく気がする。

「はーあ。もう、仕方が無いわね。ここは、前世で男性向けエロゲーをやり込んだお姉さんに任せて! バレンタインで男が喜ぶ物は、何処の世界でも共通なんだから!」

 マリエルが、ガバッと囲炉裏から額を剥がしてバチコーンとウィンクしながら、顔の前で人差し指を揺らした。

「おお…」

 流石は聖女マリエル。
 眩しいぐらいの後光が見えるぞ。
 眩し過ぎて、目が開けていられない。

「…お…お…?」

 あれ…?
 …何か…めっちゃ瞼が重い…ねむ…あれ…?
 …これ…強制…すいみ…ぐー…………………………………………。

 ◇

「…っあ…、ん…ん…っ…」

「…今宵のそなたは、甘いな…蕩ける程に…」

 左様ですか、それは良うござんしたね。
 と、俺は心の中で思う。

 気が付いたら、俺は寝室の布団の上にいた。
 真っピンクなリボンで身体を拘束されて。
 俺が身に着けているのは、そのリボンのみ。
 所謂裸リボンだ。
 両手は頭の上で、真っ赤なリボンで縛られていますよ、クソッ!
 いや、他にも3箇所。身に付けていると云えば付けていた。
 両方の乳首に、チョコを塗られて、ちんこもチョコでコーティングされていた。
 そのチョココーティングされたちんこを、オニキスがしゃぶってる。
 開かれた俺の脚の間に身体を割り込ませ、その長い指は俺のケツの中に既に3本インサートされて、縦横無尽に蠢いていた。

「…っそ、あのクソ性女…っ…!」

「閨の最中に、私以外の事を考えるでない…」

 思わず悪態を吐けば、オニキスの指が俺の中の一点を執拗に攻めて来た。

「…っ、あ…っ、ま、で、出るから、それ…っ…!」

「案ずる事は無い。既にそなたの透明な愛液で濡れておる」

 うおおおおおいっ!!
 今日も今日とて、良くもそんな恥ずかしい台詞を言えるな!?

「そら、マーブルチョコが見たかったのだろう?」

 その言葉と同時に、中の指の動きが早くなり、オニキスは再びちんこを銜えて、舌で尿道を刺激して来た。

「やっ、あ、ちが…っ!!」

 俺が見たかったんじゃなくてっ!
 瑪瑙みたいな…オニキスみたいな、そんなチョコをあげたくて…っ…!
 ってか、これじゃゼブラだろっ!!
 どっかの傍迷惑な物体じゃねーかっ!!
 くっそー、やり直しを要求するっ!!

「…っひ、あ、あ…っ…あっ…!」

 しかし、そんな願いは虚しく、俺のちんこは見事にシマウマになった。
 ちくしょー、嬉しそうな顔してホワイトチョコを伸ばして混ぜるなっ!!
 この、変態がっ!!
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