2 / 29
神様には頼らない・中編
しおりを挟む
おはようございます、ライザーです。
本日はお日柄も良く…何て、何処の式典だよ…。
周りの目が痛い…。
お願い、止めて、そんな目で見ないで。
そんな、生暖かい目で"…ああ…昨夜頑張ったんだね…"なんて目で見ないで。
本当に、どんな関係でもフリーダムだな、この世界は。
「次はスープで良いか?」
「…あ~…」
オニキスが、スプーンに掬ったスープをふ~ふ~と冷ましてから、俺の口元に差し出して来るから、俺は口を開けた。
…うん…。
朝から、こんなんで悪いな。
だがな、これは仕方が無いんだ。
俺は悪くないんだ。
それもこれも、オニキスが悪い。
加減しろよな、こいつはよおおおおおっ!!
宿屋の食堂で、オニキスに横抱きにされながら、俺は心の中で叫んだ。
まばらにテーブルに着いている泊まり客に、俺は心の底から謝る。
歩くのは勿論だが、喋るのも、指一本動かすのもダルい。
出来るなら、まだ、寝ていたい。
しかし。
しかしだ。
あのぐちゃぐちゃのベッドで寝ていたくない!
オニキスに綺麗にしてくれと頼んだら、爽やかな笑顔で断られた。
この人でなしがっ!
更には休んでいて良いとか言われたが、断るっ!
一刻も早く、ここを出たいっ!
いたたまれないっ!
そんな訳で、動けない俺をオニキスは横抱きにして、部屋から食堂へと移動したのはいいが、俺を抱いたまま椅子に座り、手ずからご飯を食べさせてくれると云う…何、この羞恥プレイ?
まあね、椅子に座ってもね?
ずりずりとずり落ちる自信があるけどね?
だけどね?
手加減しないオニキスが悪いんであって、俺は悪くはないんだからね?
解ってね?
生暖かい目を送って来てる皆さん?
そこの、口の端からナポリタン垂らしてる聖女さんもね?
そこの、鼻の穴にフォーク突っ込んでる剣士さんもね?
………。
「ぶふぉぁっ!!」
思わず俺は口に含んでいたスープを吹き出していた。
居たのか、お前らっ!!
スープを吹き出した俺を見て、二人は慌てて食事を再開した。
いや、斜め向かいのテーブルに二人が居るとかっ!
てか、オニキスのヤツ、わざと選んでここに座ったのか!?
そうだな?
そうだよな!?
他にも空いているもんな!?
クッソと、思いながら、俺は口を拭く為にオニキスの胸に顔を押し付けた。
グリグリと黒いローブに押し付けてやる。
ざまみろ、こん畜生。
何か周囲からうめき声が聞こえたが、気にしない。
俺は今、こいつに嫌がらせをするのに忙しいんだ。
って、おい、何で頭を撫でて来るんだよ?
俺は今、嫌がらせをしてるんだぞ?
ああ、止めろって事か?
嫌がらせが効いている?
そうか。なら続行だ。
そう思って、グリグリしてたら、頭を撫でる手が止まった。
ん?
怒ったのか?
何て思った俺は、まだストーカーと云う物を理解して無かったんだな。
顎に指を掛けられて、持ち上げられる。
「何だ?」
思ってたよりも近くにあった目は、意地悪そうに細められていた。
あ、やべ。
そう思ったが、時既に遅し、後の祭り。
「んんーっ!!」
舌っ!!
舌、入ってるっ!!
こんな人が居る場所でっ!!
何でキスすんの!?
こいつには羞恥心ってのが無いの!?
ローブ汚した仕返しかよ!?
ふざけんなよ!!
恥ずか死ぬっ!!
結局。
俺はぷるぷると恥ずかしさに震えながら、顔をオニキスの胸に押し付けたまま、宿を出て、街を出るハメになった。
ああ…一つ学んだ…。
嫌がらせはやる相手を選べってな…トホホ…。
「何時まで付いて来る気だ?」
街を出て暫くしてから、オニキスが足を止めて振り返らずに背後に居る二人に声を掛けた。
剣士と聖女の二人だ。
宿を出てからずっと、付かず離れずで俺達の、てかオニキスの後を付いて来ていた。
俺?
俺は未だにオニキスの腕の中です、はい。
だって、まだダルいし。
俺をこうしたのはこいつだし。
責任は取って貰わないと。
まあ、次の街に入る頃には自力で歩くけどな!
もう、この二人にはあんな事やこんな事も見られてるから、ぶっちゃけ、どうでも良いってのが、ある。
それに。
俺がこうしていれば、お前らオニキスに手は出して来ないだろ?
俺ごと、攻撃して来るとか無いよな?
無いよね?
無いと言って?
「あ、あの…っ…、ライザー君達も…残った魔物を討伐しているのよね…?」
「俺達もそうなんだ。だからさ、協力して倒さないか? その…仲間に…皆で…」
…仲間…。
てか、オニキスの事はもういいのか?
「…下らぬ」
しかし、オニキスはその言葉ににべも無く、再び歩き出そうとする。
「ま、待ってよ! もうあなたをどうこうするつもりはないの! 昨夜の話を聞いてしまったら…っ…!!」
ん?
「…悔しいけどさ! 今の二人を見てたら、もう、勝手に仲良くしてろって感じだし! ライザーがそれで良いってんなら! 昨夜の話を聞いたら、もう、何かさ!!」
んん?
「話を聞いていたのならば、解るだろう? 邪魔をするな」
んんん?
「………いや…話って…?」
昨夜って?
俺、二人と話してないよな?
オニキスはずっと俺と居たんだし?
あ。
そう云えば、剣士は俺のストーカーだったよな?
聖女はオニキスのストーカーだったし。
「…お前達…まさか…」
「ああああっ!! ち、違うのよ!? ちょ、ちょっと壁に寄り掛かって居たら、声が聞こえて来て…っ!!」
そんな訳あるかああっ!!
そんな薄い壁じゃなかったろ!!
「そうだ! 壁に耳を押し当てたりはしてないっ!! たまたま壁と耳の間にコップがあって…っ!!」
お前、馬鹿だろ!? 馬鹿だな!?
てか、隣の部屋に居たの!?
俺のあんな声やそんな声を聞いていたって事!?
俺はAV男優じゃないいいいいいいいいいいいっ!!
「…行くぞ、オニキス」
消えたいっ!!
今すぐ消えたいぃぃぃぃぃぃぃっ!!
アレか!
これがアレなのか!!
部屋でエッチしてたら家族が入って来て、互いに気まずい思いをしてしまうってヤツか!!
前世ではそんなの経験した事無かったから、良い経験に…なるかあああああっ!!
ああああああ、もうっ!!
何で? 何でなの?
俺、そんなに前世で悪い事をしたの?
これ、どんな業なの?
ねえ? 神様?
しかし、背を向けて歩き出そうとしたオニキスの背中に、尚も二人が縋る。
「ああああああ!! 待って!! 大丈夫よ!! ライザー君の艶めかしい声は聴いていないから! 昨夜はっ!!」
止めて!
言わないでっ!!
「おおおおおおお! そうだぜ!! 声を聴きながらイってないからなっ! 昨夜はっ!!」
待って!?
今、何か爆弾落とさなかった!?
もう、俺泣きたいんだけど!?
何か、目の前の景色が揺らいでるんだけどっ!?
「…っ…最悪だな…っ…!」
震えるな、声っ!!
って、オニキスの胸に顔を埋めてちゃ意味ないか?
いや、泣きそうな顔を見られるよりは、良いよな?
「…っ、待ってっ!! 私、私も前世の記憶があるの! 小林貴美! 日本人っ!!」
え?
「俺もだ! 俺も前世の記憶があるんだ!! 山田大五郎!! 日本人以外の何物でもない名前だろ!?」
だいごろうって、ちゃんかよ。
「…オニキス、降ろせ」
俺を横抱きにしていたオニキスがそっと、地面へと降ろしてくれる。
まだ、脚はぷるぷると震えているけど…。
…いや…もう、どんだけだよ…。
今は、それよりも、だ。
「…俺は阿部昇…何故、日本人だと?」
俺は二人に向き合って、そう聞いた。
俺は、二人に前世の話はした事は無いし、二人から前世の話を聞いた事も無かった。
「だって、ライザー君、時々、泣いている時に神様仏様閻魔様って言ってたわよ?」
ごふっ!!
って、待て!
泣いてって、何!?
聖女も俺が泣いている処を見てたの!?
え、聖女ってオニキスだけじゃなく、俺のストーカーでもあるの!?
ストーカーしまくる聖女!?
エエェ…無いわあ…ストーカーしまくる聖女は無いわあ…。
聖女がストーカーしたら駄目だろ…。
良かったあ、俺、間違い犯さなくて…。
流石、口だぜ…。
「布団が吹っ飛んだとか、当たり前だのクラッカーとか、日本人しか言わないだろ? つーか、そんな寒いの誰も言わないぞっ!! そう言って泣いている自分を慰めてるお前を見て、ちょっと引いたけどな!」
がはっ!!
何だよ!?
学生時代のバイト先のおじちゃんが教えてくれたダジャレだぞ!?
駄目なのか!?
まさか、宴会で通夜モードになったのは、そのせいとか無いよな!?
無いと言って、神様!!
「他にもあるわよっ! 泣きながら、たまには納豆食べたいな、とか言ってたわ! 卵かけご飯食べたいって!!」
「ああ! 泣きながら、白菜の漬物に醤油かけて飯を包んで食べたいともなっ!! ポトフも良いけど、豚汁だろうって!!」
止めて。
お願い、もう止めてあげて。
俺のライフは、もうゼロよ。
てか、黒歴史な気がするのは、俺の気のせい?
どうなの?
教えて、神様!!
「…いや…。解った…もう、何も言わなくて良い…。お前達が前世で日本人だったのは、良く解った。で、だ。聖女マリエル様、貴女にお聞きしたい事があるのですが?」
顔を片手で押さえて、心では号泣しながらも、口は仕事をしてくれた。
偉いぞ、口。
てか、オニキス。
頭、ぽんぽんするな。
「マリエルで良いわよ。なあにライザー君? お姉さん、何でも答えてあげるわよ?」
お、お姉さんって…。
いつから、こんなにはっちゃける様になったんだ…。
決戦の時は、あんなに楚々としていたのに…。
………オニキスと…俺の…アレのせい…なんて事は無い…よ、な?
無いよね?
無いと言って?
ね? お願いだから。
「…いや…。何となくなのですが、もしや、この世界はBLゲームの世界だったりしますか? 女性の貴女なら…」
うん。この間、ふと思ったんだよな。
でも、俺、BLゲームなんてプレイしてないから、解らないし。
けど、この世界、同性同士の恋愛とか結婚とか普通っぽいし。
「あ、ごっめーん! 私、腐の付く女子じゃないから、BLゲームやってないの、ごめんね、テヘペロ。それに、私、恋愛対象は女性だから、男性向けエロゲーしかプレイしていないのよね。だから、最初はライザー君の事は子種の提供者としか、見て無かったんだけど、ぷるぷる震えて泣きながらも戦うライザー君を見てたら…何か、もうね…。はっきりと好きだって気付いたのは、決戦の時…。魔王に狙われた時に、死ぬのならせめてライザー君の腕の中でって、思ったのに、このクソジジイが…っ…!!」
待って?
ねえ、待って?
何から突っ込めば良いの?
先刻から、聖女様の清楚なイメージが、ガリガリとドリルで削られていってるんだけど?
「俺も、BLゲームはやってないからなあ。俺の時代はパソコンなんて、まだまだ高い玩具だったし…。俺は女が好きだった筈なんだけどなあ…。勇者なんて、クソ喰らえって思ってたんだが…勇者の仲間なんて、ブラック企業もいいとこだし。…何でかなあ…やっぱ、ぷるぷる震えて泣くくせに、頑張るお前から目が離せなくてなあ…魔王が性女を狙った時、ついラッキーなんて思ったし…けど、このクソ性女がお前を道連れにしようとするから、つい、咄嗟に身体が動いて…」
待って?
ねえ、待って?
お前は何時の時代の人なの?
ジジイって、何?
てか、さりげに酷い事言ってない?
二人、何時の間に互いの前世を話してたの?
俺、仲間外れだったの?
で、オニキス、頭ぽんぽんしないで。
何か、ドンマイって、言われてる気がするんだけど?
ねえ? これ、何のイジメなの?
「…ああ…うん、解った…。引き留めようとするその気持ちは嬉しいが、俺は、もう勇者ではないから、お前達とは居られない。じゃあな。行くぞオニキス」
もう、無理。
俺のグラスハートは粉々だよ。
粉砕骨折したよ。
仲間だと思ってたのに、仲間外れだったなんて…。
「と、友達なら!? 勇者じゃないから、仲間になれないってんなら、友達で、どう!?」
と・も・だ・ち・♡
その言葉に、二人に背を向けて歩き出そうとした俺の足が止まった。
「そうだ! ダチンコだ! ダチならつるんでいても良いだろ!?」
ダチンコって、だから、何時の時代の人だよ、お前ェ!?
しかし。
ダ・チ・♡ つ・る・む・♡
…な…何て…甘美な響きなんだ…。
前世から数えて、友達居ない歴46年。
苦節46年。
ああ…長かったな…。
死んでも、転生して生きてれば良い事があるんだな…。
皆、好意的に接してくれてたけどさ、勇者だからって何処か距離置かれててさ。
今世でも友達は居なくてさ、ぼっちだったんだよな…。
長かったな…長かったよ…。
だがしかし。
そんなぼっちの日々に別れを告げる日が来るとは。
さよならぼっちの46年。
こんにちは、新しい日々よ。
勿論そんな俺に、この甘い誘惑を振り切れる筈が無い。
二人を振り返って、俺は口を開く。
友達を迎える言葉を。
「俺に友情など必要ない。友達ごっこなら、他を当たってくれ」
あっさり、ばっさり、すっぱり、戸惑いも、躊躇いもなくぶった切ったよ、この馬鹿口ぃいいいいいいっ!!
何でえ!?
勇者は孤高の存在だからとか、そう言いたい訳え!?
ねえ、気付いて!?
今の本心じゃないから!
下らない事を言うなって顔をしてるけど、心の中では思い切り眦下げて、なんなら鼻の下も伸ばしているからね!?
ストーカーとか、友達なら気にしないからね?
ウェルカムだからね?
もう、ばっちこいだからね?
二人とも、そんな傷付いた顔しないで?
ね?
ずっと一緒に戦って来たよね?
ね?
泣きたいのは俺の方だからね?
解るよね?
ね?
「…そうよね…。ライザー君は…孤独が好きだものね…そうやって…自分を高めて来たものね…。…そんなライザー君の支えになりたかったなんて…馬鹿ね…私ったら…」
待って!?
指で涙を拭いながら何を言ってるの!?
そんな寂しそうに笑わないで!?
「…ああ…。…そうだよな…。ずっと前を見て、唇を噛み締めて戦って来たよな…。共に戦わせてはくれるが、懐には踏み入れさせない…。孤高の気高い存在、光…。孤独を糧として…」
待って?
ねえ、待って?
それ言ってて恥ずかしくない?
吐きたくならない?
何ならお前が勇者やる?
勇者だから友達出来ないってんなら、喜んで変わるよ?
チェンジする?
てか、何時まで頭ぽんぽんしてるの、オニキス?
俺の頭、サッカーボールやバスケットボールじゃないからね?
何て思ってたら、ぽんぽんがさわさわに変わった。
最後にくしゃりと撫でられて。
「…そう心にも無い事を言うでない」
オニキスは俺の頭に手を置いたまま、瞳を細めて見て来る。
…何で、こいつには解るんだろな…。
優しく見詰めて来る瞳と声に、何だか胸が詰まる。
…何なんだろうな、この気持ちは…。
「本当の事だ。友情等と、そんな情に囚われて、倒れて行った者がどれだけ居ると思う? 戦いに、そんな物は不要だ。足手纏いになる感情など要らない」
待って。
ねえ、待って?
今、オニキスの言葉に乗って『お前がそう言うなら仕方無いな。そうだな、前世持ち同士仲良くやろうぜ!』って、言いたかったんだけど?
ねえ? 何でそうなるの?
友情バトルとかは無いの?
友情どっかんパワーとかさ?
「足手纏いになったら、その場で捨てれば良い」
おおおおおおおいいいいいいっ!?
何、爽やかな笑顔で物騒な事を言ってんの!?
友達って、友情って、そんなポイ捨てして良い物なの!?
違うよね!?
「そ、それで良いわよ! 邪魔になったら、遠慮なく捨ててくれて構わないわ!」
えええええ!?
「あ、ああ、俺もそれでいいぜ? まあ、そう簡単に捨てられる気は無いけどな!」
おおおおおお!?
つ、強いな、こいつら…。
「…ふん…。こいつに、オニキスに感謝する事だな」
オニキスの言葉にふんすと鼻息を荒くする二人に、俺は皮肉気に口元を歪めてそう言った。
…ねえ…神様…?
何か、俺、悪役みたくなってない?
大丈夫?
俺、元光の勇者から、現闇の勇者にジョブチェンジしてませんか?
本日はお日柄も良く…何て、何処の式典だよ…。
周りの目が痛い…。
お願い、止めて、そんな目で見ないで。
そんな、生暖かい目で"…ああ…昨夜頑張ったんだね…"なんて目で見ないで。
本当に、どんな関係でもフリーダムだな、この世界は。
「次はスープで良いか?」
「…あ~…」
オニキスが、スプーンに掬ったスープをふ~ふ~と冷ましてから、俺の口元に差し出して来るから、俺は口を開けた。
…うん…。
朝から、こんなんで悪いな。
だがな、これは仕方が無いんだ。
俺は悪くないんだ。
それもこれも、オニキスが悪い。
加減しろよな、こいつはよおおおおおっ!!
宿屋の食堂で、オニキスに横抱きにされながら、俺は心の中で叫んだ。
まばらにテーブルに着いている泊まり客に、俺は心の底から謝る。
歩くのは勿論だが、喋るのも、指一本動かすのもダルい。
出来るなら、まだ、寝ていたい。
しかし。
しかしだ。
あのぐちゃぐちゃのベッドで寝ていたくない!
オニキスに綺麗にしてくれと頼んだら、爽やかな笑顔で断られた。
この人でなしがっ!
更には休んでいて良いとか言われたが、断るっ!
一刻も早く、ここを出たいっ!
いたたまれないっ!
そんな訳で、動けない俺をオニキスは横抱きにして、部屋から食堂へと移動したのはいいが、俺を抱いたまま椅子に座り、手ずからご飯を食べさせてくれると云う…何、この羞恥プレイ?
まあね、椅子に座ってもね?
ずりずりとずり落ちる自信があるけどね?
だけどね?
手加減しないオニキスが悪いんであって、俺は悪くはないんだからね?
解ってね?
生暖かい目を送って来てる皆さん?
そこの、口の端からナポリタン垂らしてる聖女さんもね?
そこの、鼻の穴にフォーク突っ込んでる剣士さんもね?
………。
「ぶふぉぁっ!!」
思わず俺は口に含んでいたスープを吹き出していた。
居たのか、お前らっ!!
スープを吹き出した俺を見て、二人は慌てて食事を再開した。
いや、斜め向かいのテーブルに二人が居るとかっ!
てか、オニキスのヤツ、わざと選んでここに座ったのか!?
そうだな?
そうだよな!?
他にも空いているもんな!?
クッソと、思いながら、俺は口を拭く為にオニキスの胸に顔を押し付けた。
グリグリと黒いローブに押し付けてやる。
ざまみろ、こん畜生。
何か周囲からうめき声が聞こえたが、気にしない。
俺は今、こいつに嫌がらせをするのに忙しいんだ。
って、おい、何で頭を撫でて来るんだよ?
俺は今、嫌がらせをしてるんだぞ?
ああ、止めろって事か?
嫌がらせが効いている?
そうか。なら続行だ。
そう思って、グリグリしてたら、頭を撫でる手が止まった。
ん?
怒ったのか?
何て思った俺は、まだストーカーと云う物を理解して無かったんだな。
顎に指を掛けられて、持ち上げられる。
「何だ?」
思ってたよりも近くにあった目は、意地悪そうに細められていた。
あ、やべ。
そう思ったが、時既に遅し、後の祭り。
「んんーっ!!」
舌っ!!
舌、入ってるっ!!
こんな人が居る場所でっ!!
何でキスすんの!?
こいつには羞恥心ってのが無いの!?
ローブ汚した仕返しかよ!?
ふざけんなよ!!
恥ずか死ぬっ!!
結局。
俺はぷるぷると恥ずかしさに震えながら、顔をオニキスの胸に押し付けたまま、宿を出て、街を出るハメになった。
ああ…一つ学んだ…。
嫌がらせはやる相手を選べってな…トホホ…。
「何時まで付いて来る気だ?」
街を出て暫くしてから、オニキスが足を止めて振り返らずに背後に居る二人に声を掛けた。
剣士と聖女の二人だ。
宿を出てからずっと、付かず離れずで俺達の、てかオニキスの後を付いて来ていた。
俺?
俺は未だにオニキスの腕の中です、はい。
だって、まだダルいし。
俺をこうしたのはこいつだし。
責任は取って貰わないと。
まあ、次の街に入る頃には自力で歩くけどな!
もう、この二人にはあんな事やこんな事も見られてるから、ぶっちゃけ、どうでも良いってのが、ある。
それに。
俺がこうしていれば、お前らオニキスに手は出して来ないだろ?
俺ごと、攻撃して来るとか無いよな?
無いよね?
無いと言って?
「あ、あの…っ…、ライザー君達も…残った魔物を討伐しているのよね…?」
「俺達もそうなんだ。だからさ、協力して倒さないか? その…仲間に…皆で…」
…仲間…。
てか、オニキスの事はもういいのか?
「…下らぬ」
しかし、オニキスはその言葉ににべも無く、再び歩き出そうとする。
「ま、待ってよ! もうあなたをどうこうするつもりはないの! 昨夜の話を聞いてしまったら…っ…!!」
ん?
「…悔しいけどさ! 今の二人を見てたら、もう、勝手に仲良くしてろって感じだし! ライザーがそれで良いってんなら! 昨夜の話を聞いたら、もう、何かさ!!」
んん?
「話を聞いていたのならば、解るだろう? 邪魔をするな」
んんん?
「………いや…話って…?」
昨夜って?
俺、二人と話してないよな?
オニキスはずっと俺と居たんだし?
あ。
そう云えば、剣士は俺のストーカーだったよな?
聖女はオニキスのストーカーだったし。
「…お前達…まさか…」
「ああああっ!! ち、違うのよ!? ちょ、ちょっと壁に寄り掛かって居たら、声が聞こえて来て…っ!!」
そんな訳あるかああっ!!
そんな薄い壁じゃなかったろ!!
「そうだ! 壁に耳を押し当てたりはしてないっ!! たまたま壁と耳の間にコップがあって…っ!!」
お前、馬鹿だろ!? 馬鹿だな!?
てか、隣の部屋に居たの!?
俺のあんな声やそんな声を聞いていたって事!?
俺はAV男優じゃないいいいいいいいいいいいっ!!
「…行くぞ、オニキス」
消えたいっ!!
今すぐ消えたいぃぃぃぃぃぃぃっ!!
アレか!
これがアレなのか!!
部屋でエッチしてたら家族が入って来て、互いに気まずい思いをしてしまうってヤツか!!
前世ではそんなの経験した事無かったから、良い経験に…なるかあああああっ!!
ああああああ、もうっ!!
何で? 何でなの?
俺、そんなに前世で悪い事をしたの?
これ、どんな業なの?
ねえ? 神様?
しかし、背を向けて歩き出そうとしたオニキスの背中に、尚も二人が縋る。
「ああああああ!! 待って!! 大丈夫よ!! ライザー君の艶めかしい声は聴いていないから! 昨夜はっ!!」
止めて!
言わないでっ!!
「おおおおおおお! そうだぜ!! 声を聴きながらイってないからなっ! 昨夜はっ!!」
待って!?
今、何か爆弾落とさなかった!?
もう、俺泣きたいんだけど!?
何か、目の前の景色が揺らいでるんだけどっ!?
「…っ…最悪だな…っ…!」
震えるな、声っ!!
って、オニキスの胸に顔を埋めてちゃ意味ないか?
いや、泣きそうな顔を見られるよりは、良いよな?
「…っ、待ってっ!! 私、私も前世の記憶があるの! 小林貴美! 日本人っ!!」
え?
「俺もだ! 俺も前世の記憶があるんだ!! 山田大五郎!! 日本人以外の何物でもない名前だろ!?」
だいごろうって、ちゃんかよ。
「…オニキス、降ろせ」
俺を横抱きにしていたオニキスがそっと、地面へと降ろしてくれる。
まだ、脚はぷるぷると震えているけど…。
…いや…もう、どんだけだよ…。
今は、それよりも、だ。
「…俺は阿部昇…何故、日本人だと?」
俺は二人に向き合って、そう聞いた。
俺は、二人に前世の話はした事は無いし、二人から前世の話を聞いた事も無かった。
「だって、ライザー君、時々、泣いている時に神様仏様閻魔様って言ってたわよ?」
ごふっ!!
って、待て!
泣いてって、何!?
聖女も俺が泣いている処を見てたの!?
え、聖女ってオニキスだけじゃなく、俺のストーカーでもあるの!?
ストーカーしまくる聖女!?
エエェ…無いわあ…ストーカーしまくる聖女は無いわあ…。
聖女がストーカーしたら駄目だろ…。
良かったあ、俺、間違い犯さなくて…。
流石、口だぜ…。
「布団が吹っ飛んだとか、当たり前だのクラッカーとか、日本人しか言わないだろ? つーか、そんな寒いの誰も言わないぞっ!! そう言って泣いている自分を慰めてるお前を見て、ちょっと引いたけどな!」
がはっ!!
何だよ!?
学生時代のバイト先のおじちゃんが教えてくれたダジャレだぞ!?
駄目なのか!?
まさか、宴会で通夜モードになったのは、そのせいとか無いよな!?
無いと言って、神様!!
「他にもあるわよっ! 泣きながら、たまには納豆食べたいな、とか言ってたわ! 卵かけご飯食べたいって!!」
「ああ! 泣きながら、白菜の漬物に醤油かけて飯を包んで食べたいともなっ!! ポトフも良いけど、豚汁だろうって!!」
止めて。
お願い、もう止めてあげて。
俺のライフは、もうゼロよ。
てか、黒歴史な気がするのは、俺の気のせい?
どうなの?
教えて、神様!!
「…いや…。解った…もう、何も言わなくて良い…。お前達が前世で日本人だったのは、良く解った。で、だ。聖女マリエル様、貴女にお聞きしたい事があるのですが?」
顔を片手で押さえて、心では号泣しながらも、口は仕事をしてくれた。
偉いぞ、口。
てか、オニキス。
頭、ぽんぽんするな。
「マリエルで良いわよ。なあにライザー君? お姉さん、何でも答えてあげるわよ?」
お、お姉さんって…。
いつから、こんなにはっちゃける様になったんだ…。
決戦の時は、あんなに楚々としていたのに…。
………オニキスと…俺の…アレのせい…なんて事は無い…よ、な?
無いよね?
無いと言って?
ね? お願いだから。
「…いや…。何となくなのですが、もしや、この世界はBLゲームの世界だったりしますか? 女性の貴女なら…」
うん。この間、ふと思ったんだよな。
でも、俺、BLゲームなんてプレイしてないから、解らないし。
けど、この世界、同性同士の恋愛とか結婚とか普通っぽいし。
「あ、ごっめーん! 私、腐の付く女子じゃないから、BLゲームやってないの、ごめんね、テヘペロ。それに、私、恋愛対象は女性だから、男性向けエロゲーしかプレイしていないのよね。だから、最初はライザー君の事は子種の提供者としか、見て無かったんだけど、ぷるぷる震えて泣きながらも戦うライザー君を見てたら…何か、もうね…。はっきりと好きだって気付いたのは、決戦の時…。魔王に狙われた時に、死ぬのならせめてライザー君の腕の中でって、思ったのに、このクソジジイが…っ…!!」
待って?
ねえ、待って?
何から突っ込めば良いの?
先刻から、聖女様の清楚なイメージが、ガリガリとドリルで削られていってるんだけど?
「俺も、BLゲームはやってないからなあ。俺の時代はパソコンなんて、まだまだ高い玩具だったし…。俺は女が好きだった筈なんだけどなあ…。勇者なんて、クソ喰らえって思ってたんだが…勇者の仲間なんて、ブラック企業もいいとこだし。…何でかなあ…やっぱ、ぷるぷる震えて泣くくせに、頑張るお前から目が離せなくてなあ…魔王が性女を狙った時、ついラッキーなんて思ったし…けど、このクソ性女がお前を道連れにしようとするから、つい、咄嗟に身体が動いて…」
待って?
ねえ、待って?
お前は何時の時代の人なの?
ジジイって、何?
てか、さりげに酷い事言ってない?
二人、何時の間に互いの前世を話してたの?
俺、仲間外れだったの?
で、オニキス、頭ぽんぽんしないで。
何か、ドンマイって、言われてる気がするんだけど?
ねえ? これ、何のイジメなの?
「…ああ…うん、解った…。引き留めようとするその気持ちは嬉しいが、俺は、もう勇者ではないから、お前達とは居られない。じゃあな。行くぞオニキス」
もう、無理。
俺のグラスハートは粉々だよ。
粉砕骨折したよ。
仲間だと思ってたのに、仲間外れだったなんて…。
「と、友達なら!? 勇者じゃないから、仲間になれないってんなら、友達で、どう!?」
と・も・だ・ち・♡
その言葉に、二人に背を向けて歩き出そうとした俺の足が止まった。
「そうだ! ダチンコだ! ダチならつるんでいても良いだろ!?」
ダチンコって、だから、何時の時代の人だよ、お前ェ!?
しかし。
ダ・チ・♡ つ・る・む・♡
…な…何て…甘美な響きなんだ…。
前世から数えて、友達居ない歴46年。
苦節46年。
ああ…長かったな…。
死んでも、転生して生きてれば良い事があるんだな…。
皆、好意的に接してくれてたけどさ、勇者だからって何処か距離置かれててさ。
今世でも友達は居なくてさ、ぼっちだったんだよな…。
長かったな…長かったよ…。
だがしかし。
そんなぼっちの日々に別れを告げる日が来るとは。
さよならぼっちの46年。
こんにちは、新しい日々よ。
勿論そんな俺に、この甘い誘惑を振り切れる筈が無い。
二人を振り返って、俺は口を開く。
友達を迎える言葉を。
「俺に友情など必要ない。友達ごっこなら、他を当たってくれ」
あっさり、ばっさり、すっぱり、戸惑いも、躊躇いもなくぶった切ったよ、この馬鹿口ぃいいいいいいっ!!
何でえ!?
勇者は孤高の存在だからとか、そう言いたい訳え!?
ねえ、気付いて!?
今の本心じゃないから!
下らない事を言うなって顔をしてるけど、心の中では思い切り眦下げて、なんなら鼻の下も伸ばしているからね!?
ストーカーとか、友達なら気にしないからね?
ウェルカムだからね?
もう、ばっちこいだからね?
二人とも、そんな傷付いた顔しないで?
ね?
ずっと一緒に戦って来たよね?
ね?
泣きたいのは俺の方だからね?
解るよね?
ね?
「…そうよね…。ライザー君は…孤独が好きだものね…そうやって…自分を高めて来たものね…。…そんなライザー君の支えになりたかったなんて…馬鹿ね…私ったら…」
待って!?
指で涙を拭いながら何を言ってるの!?
そんな寂しそうに笑わないで!?
「…ああ…。…そうだよな…。ずっと前を見て、唇を噛み締めて戦って来たよな…。共に戦わせてはくれるが、懐には踏み入れさせない…。孤高の気高い存在、光…。孤独を糧として…」
待って?
ねえ、待って?
それ言ってて恥ずかしくない?
吐きたくならない?
何ならお前が勇者やる?
勇者だから友達出来ないってんなら、喜んで変わるよ?
チェンジする?
てか、何時まで頭ぽんぽんしてるの、オニキス?
俺の頭、サッカーボールやバスケットボールじゃないからね?
何て思ってたら、ぽんぽんがさわさわに変わった。
最後にくしゃりと撫でられて。
「…そう心にも無い事を言うでない」
オニキスは俺の頭に手を置いたまま、瞳を細めて見て来る。
…何で、こいつには解るんだろな…。
優しく見詰めて来る瞳と声に、何だか胸が詰まる。
…何なんだろうな、この気持ちは…。
「本当の事だ。友情等と、そんな情に囚われて、倒れて行った者がどれだけ居ると思う? 戦いに、そんな物は不要だ。足手纏いになる感情など要らない」
待って。
ねえ、待って?
今、オニキスの言葉に乗って『お前がそう言うなら仕方無いな。そうだな、前世持ち同士仲良くやろうぜ!』って、言いたかったんだけど?
ねえ? 何でそうなるの?
友情バトルとかは無いの?
友情どっかんパワーとかさ?
「足手纏いになったら、その場で捨てれば良い」
おおおおおおおいいいいいいっ!?
何、爽やかな笑顔で物騒な事を言ってんの!?
友達って、友情って、そんなポイ捨てして良い物なの!?
違うよね!?
「そ、それで良いわよ! 邪魔になったら、遠慮なく捨ててくれて構わないわ!」
えええええ!?
「あ、ああ、俺もそれでいいぜ? まあ、そう簡単に捨てられる気は無いけどな!」
おおおおおお!?
つ、強いな、こいつら…。
「…ふん…。こいつに、オニキスに感謝する事だな」
オニキスの言葉にふんすと鼻息を荒くする二人に、俺は皮肉気に口元を歪めてそう言った。
…ねえ…神様…?
何か、俺、悪役みたくなってない?
大丈夫?
俺、元光の勇者から、現闇の勇者にジョブチェンジしてませんか?
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
神様お願い
三冬月マヨ
BL
俺はクリスマスの夜に事故で死んだ。
誰も彼もから、嫌われ捲った人生からおさらばしたんだ。
来世では、俺の言葉を聞いてくれる人に出会いたいな、なんて思いながら。
そうしたら、転生した俺は勇者をしていた。
誰も彼もが、俺に話し掛けてくれて笑顔を向けてくれる。
ありがとう、神様。
俺、魔王討伐頑張るからな!
からの、逆に魔王に討伐されちゃった俺ぇ…な話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
ペイン・リリーフ
こすもす
BL
事故の影響で記憶障害になってしまった琴(こと)は、内科医の相澤に紹介された、精神科医の篠口(しのぐち)と生活を共にすることになる。
優しく甘やかしてくれる篠口に惹かれていく琴だが、彼とは、記憶を失う前にも会っていたのではないかと疑いを抱く。
記憶が戻らなくても、このまま篠口と一緒にいられたらいいと願う琴だが……。
★7:30と18:30に更新予定です(*´艸`*)
★素敵な表紙は らテて様✧︎*。
☆過去に書いた自作のキャラクターと、苗字や名前が被っていたことに気付きました……全く別の作品ですのでご了承ください!
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる