19 / 29
第19話 友人
しおりを挟む
窓から外を眺めると、無数の建物がレンガのように赤茶色へ染まっていた。
夕日を浴びてオレンジ色に変化した雲が、流れるように移動している。
雲は形を変え続け、成長しているかのように姿を変え続けている。
リアナは、黒のワンピースを身に着けていた。
今日は父が亡くなったあの日から初めて外出する予定になっている。
ジョージに、食事に行こうと誘われた。
結局父の葬式にも参列できていない。ただ、父を悼むために黒の服をリアナは身に着けていた。
「リアナ。行こう」
「ええ、ありがとう。ジョージ」
ジョージは、来週金曜日に雨鳥ソウマと会う予定となっている。
林原が調べてきた情報によると、リアナの姉の雨鳥エリナはリアナが事故に会った直後に、雨鳥家に帰って来ていたらしい。
チョウ食品会社の業績は悪化している。去年度までは、営業利益は黒字をなんとか保っていたが、今年度の収支は大きく赤字に転落してしまっていた。急激な業績の悪化に、株価も下がり続けておりリアナは生前の父がどうしてあんなに焦っていたのか、ようやく理解できた。
優秀な姉が帰ってきて、父は後継者をリアナから姉へ変更したらしい。
そうでなければ、父が亡くなった後すぐに姉がソウマと結婚するはずがない。
「また、考え込んでいるね。リアナ」
ジョージは、雲を見ながら窓際に佇むリアナを後ろから抱きしめてきた。
元婚約者である姉が結婚して、ジョージも辛いはずなのに、リアナの事をいつも気遣ってくれる。
辛い事ばかり思い出し、逃げてばかりのリアナをジョージは責めたりしない。
ジョージの優しさが心地いいけど、これでいいのかと、リアナはなぜか不安になる事がある。
「大丈夫だよ。僕がついている」
リアナは、いつもの間に滲んだ涙を拭い、ジョージの言葉に頷いた。
ジョージと共に向かったのは、龍祈川の畔にあるホテルレストランだった。
白と青を基調とした内装は落ち着いていて美しく、大きな窓からは美しい川が一望できる。
丸く大きなテーブルに近づくと、ウエイトレスが椅子を引き、リアナは誘導されるまま座った。
ジョージは、コース料理を予約していた。
大きな白のプレートに、エビとホタテのサラダ、白身魚のムニエル、野菜のソテー、彩り豊かな前菜が並べられる。
「リアナ。覚えている?龍祈川で、よく一緒に川を眺めただろう。」
ジョージは、姉と婚約している時、何度も雨鳥家を尋ねてきていた。
学生の頃、リアナは両親から姉とよく比較されていた。美しい姉エリナに比べて妹のリアナは不細工で冴えない娘だと言われてきた。特に母からの当たりが強く、リアナは家に帰る事が嫌になっていた。学校帰りに一人、龍祈川を眺めていると、時々ジョージが現れた。会話はほとんど無かったけど、心地いい時間だった事を覚えている。
「ええ。覚えているわ。あの頃から私は逃げてばかりね。本当は、あの時も家に帰りたくなかったの。でも不思議ね。ふふふ。私が、逃げる先にジョージがよく現れるわ。あの頃も今も」
「僕は、リアナをずっと探していたよ。僕は本当は、リアナの事が‥‥‥」
姉とジョージの婚約が決まったのは、リアナが中学生の時だった。今、思うと両親や姉への反抗心が強かった気がする。
「私の事が‥‥‥?」
リアナは、何かを言いかけて口ごもったジョージを見つめながら小首を傾げた。
その時、ジョージとリアナが座っているテーブルに一人の女性が近づいてきた。
「まあ、ジョージ。久しぶりね。会いたかったわ。」
オレンジブラウンの長い髪の美しい女性は、親しそうにジョージに挨拶をしてきた。
女性の後から、黒髪の男性も現れ、ジョージに声をかける。
「ジョージ。珍しいな。お前が女性を連れている場面に遭遇するなんて何年ぶりだ。女嫌いは治ったのか?」
「口が悪いなガイマ。別に女嫌いってわけじゃない。カオリ離してくれ。お前らまだ付き合っているだろ」
「まあ、久しぶりなのに冷たいわね。私達先月別れたばかりよ。ジョージさえよければ、私と‥‥‥。あら?」
カオリと呼ばれた女性は、リアナを見て訝しそうに顔を顰めてきた。
カオリの様子に気づかずに、ガイマはジョージに声をかける。
「なあ、ジョージ。向こうの個室でルキ達と集まっている。少しだけ顔を出してくれよ。」
「はあ、分かったよ。だけど、少し挨拶するだけだ。愛しい人との大事な時間だから」
「おい。頭は大丈夫か!ジョージ。お前の口から信じられない言葉が出たぞ。冷酷な鉄仮面はどこへいった?」
ジョージは、ガイマの言葉を無視して微笑みながらリアナへ言った。
「リアナ。しばらく待っていてくれ。すぐに帰ってくるから」
リアナは言った。
「ええ、分かったわ。行ってらっしゃい。ジョージ」
ガイマが、呆れたように言う。
「いや、お前笑えるのか?嵐になるぞ」
ジョージは、再び無表情に戻り、ガイマを睨みつけて、テーブルから離れ個室へ向かった。
リアナは、大きな月と対岸の建物を水面に映し出しながら、ゆっくりと流れる龍祈川を眺めてジョージが帰ってくるまで待とうと思っていた。
だけど、一緒に個室へ移動したと思われたカオリがその場に残ってリアナに話しかけてきた。
「初めまして、まさかこんな場所で貴方に会えるなんて思っていなかったわ。ジョージをどうやって誑かしたの?」
リアナは、驚いてカオリを見る。スタイルがいいオレンジブラウンの女性は、複雑なレースが施されたアイボリーのワンピドレスを着ている。どうやらリアナの事をよく思っていないようだ。リアナを睨みつけてくるカオリからは敵対心が伝わってきた。
「誑かしただなんて。どうして初対面の貴方にそんな事を言われないといけないの?」
カオリは、リアナを侮蔑した表情で見下してきている。
さっきまで、甘く微笑えみジョージに縋りつこうとしていた女性と同一人物とは思えない。
カオリは、前かがみになりリアナの耳元で囁いた。
「私は、東城院カオリよ。貴方、リアナでしょ。雨鳥家の父親殺し」
リアナは、目を見開き勢いよくカオリを見た。
カオリは、リアナと眼が合うとニタリと笑った。
夕日を浴びてオレンジ色に変化した雲が、流れるように移動している。
雲は形を変え続け、成長しているかのように姿を変え続けている。
リアナは、黒のワンピースを身に着けていた。
今日は父が亡くなったあの日から初めて外出する予定になっている。
ジョージに、食事に行こうと誘われた。
結局父の葬式にも参列できていない。ただ、父を悼むために黒の服をリアナは身に着けていた。
「リアナ。行こう」
「ええ、ありがとう。ジョージ」
ジョージは、来週金曜日に雨鳥ソウマと会う予定となっている。
林原が調べてきた情報によると、リアナの姉の雨鳥エリナはリアナが事故に会った直後に、雨鳥家に帰って来ていたらしい。
チョウ食品会社の業績は悪化している。去年度までは、営業利益は黒字をなんとか保っていたが、今年度の収支は大きく赤字に転落してしまっていた。急激な業績の悪化に、株価も下がり続けておりリアナは生前の父がどうしてあんなに焦っていたのか、ようやく理解できた。
優秀な姉が帰ってきて、父は後継者をリアナから姉へ変更したらしい。
そうでなければ、父が亡くなった後すぐに姉がソウマと結婚するはずがない。
「また、考え込んでいるね。リアナ」
ジョージは、雲を見ながら窓際に佇むリアナを後ろから抱きしめてきた。
元婚約者である姉が結婚して、ジョージも辛いはずなのに、リアナの事をいつも気遣ってくれる。
辛い事ばかり思い出し、逃げてばかりのリアナをジョージは責めたりしない。
ジョージの優しさが心地いいけど、これでいいのかと、リアナはなぜか不安になる事がある。
「大丈夫だよ。僕がついている」
リアナは、いつもの間に滲んだ涙を拭い、ジョージの言葉に頷いた。
ジョージと共に向かったのは、龍祈川の畔にあるホテルレストランだった。
白と青を基調とした内装は落ち着いていて美しく、大きな窓からは美しい川が一望できる。
丸く大きなテーブルに近づくと、ウエイトレスが椅子を引き、リアナは誘導されるまま座った。
ジョージは、コース料理を予約していた。
大きな白のプレートに、エビとホタテのサラダ、白身魚のムニエル、野菜のソテー、彩り豊かな前菜が並べられる。
「リアナ。覚えている?龍祈川で、よく一緒に川を眺めただろう。」
ジョージは、姉と婚約している時、何度も雨鳥家を尋ねてきていた。
学生の頃、リアナは両親から姉とよく比較されていた。美しい姉エリナに比べて妹のリアナは不細工で冴えない娘だと言われてきた。特に母からの当たりが強く、リアナは家に帰る事が嫌になっていた。学校帰りに一人、龍祈川を眺めていると、時々ジョージが現れた。会話はほとんど無かったけど、心地いい時間だった事を覚えている。
「ええ。覚えているわ。あの頃から私は逃げてばかりね。本当は、あの時も家に帰りたくなかったの。でも不思議ね。ふふふ。私が、逃げる先にジョージがよく現れるわ。あの頃も今も」
「僕は、リアナをずっと探していたよ。僕は本当は、リアナの事が‥‥‥」
姉とジョージの婚約が決まったのは、リアナが中学生の時だった。今、思うと両親や姉への反抗心が強かった気がする。
「私の事が‥‥‥?」
リアナは、何かを言いかけて口ごもったジョージを見つめながら小首を傾げた。
その時、ジョージとリアナが座っているテーブルに一人の女性が近づいてきた。
「まあ、ジョージ。久しぶりね。会いたかったわ。」
オレンジブラウンの長い髪の美しい女性は、親しそうにジョージに挨拶をしてきた。
女性の後から、黒髪の男性も現れ、ジョージに声をかける。
「ジョージ。珍しいな。お前が女性を連れている場面に遭遇するなんて何年ぶりだ。女嫌いは治ったのか?」
「口が悪いなガイマ。別に女嫌いってわけじゃない。カオリ離してくれ。お前らまだ付き合っているだろ」
「まあ、久しぶりなのに冷たいわね。私達先月別れたばかりよ。ジョージさえよければ、私と‥‥‥。あら?」
カオリと呼ばれた女性は、リアナを見て訝しそうに顔を顰めてきた。
カオリの様子に気づかずに、ガイマはジョージに声をかける。
「なあ、ジョージ。向こうの個室でルキ達と集まっている。少しだけ顔を出してくれよ。」
「はあ、分かったよ。だけど、少し挨拶するだけだ。愛しい人との大事な時間だから」
「おい。頭は大丈夫か!ジョージ。お前の口から信じられない言葉が出たぞ。冷酷な鉄仮面はどこへいった?」
ジョージは、ガイマの言葉を無視して微笑みながらリアナへ言った。
「リアナ。しばらく待っていてくれ。すぐに帰ってくるから」
リアナは言った。
「ええ、分かったわ。行ってらっしゃい。ジョージ」
ガイマが、呆れたように言う。
「いや、お前笑えるのか?嵐になるぞ」
ジョージは、再び無表情に戻り、ガイマを睨みつけて、テーブルから離れ個室へ向かった。
リアナは、大きな月と対岸の建物を水面に映し出しながら、ゆっくりと流れる龍祈川を眺めてジョージが帰ってくるまで待とうと思っていた。
だけど、一緒に個室へ移動したと思われたカオリがその場に残ってリアナに話しかけてきた。
「初めまして、まさかこんな場所で貴方に会えるなんて思っていなかったわ。ジョージをどうやって誑かしたの?」
リアナは、驚いてカオリを見る。スタイルがいいオレンジブラウンの女性は、複雑なレースが施されたアイボリーのワンピドレスを着ている。どうやらリアナの事をよく思っていないようだ。リアナを睨みつけてくるカオリからは敵対心が伝わってきた。
「誑かしただなんて。どうして初対面の貴方にそんな事を言われないといけないの?」
カオリは、リアナを侮蔑した表情で見下してきている。
さっきまで、甘く微笑えみジョージに縋りつこうとしていた女性と同一人物とは思えない。
カオリは、前かがみになりリアナの耳元で囁いた。
「私は、東城院カオリよ。貴方、リアナでしょ。雨鳥家の父親殺し」
リアナは、目を見開き勢いよくカオリを見た。
カオリは、リアナと眼が合うとニタリと笑った。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
【完結】限界離婚
仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。
「離婚してください」
丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。
丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。
丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。
広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。
出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。
平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。
信じていた家族の形が崩れていく。
倒されたのは誰のせい?
倒れた達磨は再び起き上がる。
丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。
丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。
丸田 京香…66歳。半年前に退職した。
丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。
丸田 鈴奈…33歳。
丸田 勇太…3歳。
丸田 文…82歳。専業主婦。
麗奈…広一が定期的に会っている女。
※7月13日初回完結
※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。
※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。
※7月22日第2章完結。
※カクヨムにも投稿しています。
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる