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しおりを挟むルミアは驚き、後ろを振り返った。
「お嬢様。どうして?」
ナリアお嬢様は、ルミアを睨みつけ言う。
「私が一番嫌いなのは、私の物を盗られる事なの。何が恩人よ!そのクジャクのネックレスはレナリア商会に代々伝わる物なの。本来なら私が受け継ぐネックレスなのよ」
ナリアお嬢様はルミアの、首にかけているクジャクのネックレスを指で掬い握りしめて、思いっきり引き千切った。
「きゃあ。痛い」
ルミアは、首に鋭い痛みを感じ、その場に倒れこむ。
目の前に立つナリアお嬢様は、ネックレスを手に持ち揺らしながら言った。
「この娘は、マキシム様に差し上げますわ。すきに使っていただいて結構です。もう私には必要ない娘ですから」
マキシム第2皇子が、倒れこむルミアの前にしゃがみ込み、ルミアの顎を持ち上げ舌なめずりをしながら言った。
「イリーナ嬢は話が分かる人だね。今日は楽しめそうだよ」
ルミアは、マキシム皇子の手を思いっきり払いのけ、指輪を見せた。
「私には夫がいます。皇子様のお相手にはなれません」
ルミアは指輪が嵌まっている手首をマキシム皇子に強く掴まれた。
「夫?はははは。ダイヤモンド宮に来る侍女達は皆、指輪を付けて夫がいるって言う。そんな話、誰が信じる。家庭がある女がここに来るはずがないだろう?」
ルミアは、マキシム皇子の手を振りほどこうとするが、力が強く離してくれない。
近くに佇んでいたイリーナ姫が両手を叩いて合図を送った。
パンパンパン
「皆様、本日の交流会はお開きにしましょう。新しくダイヤモンド宮に来られたナリア嬢はとても素晴らしい方ですわ。皆さまも仲良くなさってくださいね」
クスクスクスクス
「今日は、あの子になったみたい」
「新しく入ったばかりなのに、今後の子はいつまで耐えられるかしら」
「ふふふふ」
色とりどりのドレスを着た女性達が笑いながら、中庭から去っていく。
ルミアは、ナリアお嬢様の後ろ姿を呆然と見ていた。
(まって、行かないで。私が何をしたっていうの。)
ルミアの首元で、マキシム皇子が言った。
「お前はこっちだよ。一緒に楽しもうじゃないか」
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