【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)

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限界離婚

倒れた月曜日

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鈴奈は何かが倒れる大きな音に驚き1階へ行った。

月曜日の朝、夫は大きなスーツケースに1週間分の衣類等を詰めて出張へ出かけた。

義父の広一は昨晩遅くに帰宅した義母と話し合うと言っていた。

鈴奈は、邪魔をしないようにと思い2階で、息子と遊んでいたのだ。





1階のリビングに行くと、転がっている達磨が目に入る。


いつもテーブルの上に置かれている達磨だ。


倒れても起き上がるはずの達磨が転がっている。


不吉な予感がして、鈴奈は足を進めた。


リビングに入ると奥に青ざめた表情の義母が立ち尽くしていた。

「お義母さん。さっき大きな音が、、、、」

カウンターキッチンの端に隠れて、足首が見える。


おかしい。どうしてあんな所に、、、、


あるはずがない場所に見える足首を、鈴奈は呆然と見つめた。


足首、、、あれは、、、、、


はっと気が付き、側へ近寄る。


そこには、義父の広一が倒れていた。


「お義父さん。お義父さん。」


鈴奈は広一に呼びかけるが返事がない。


どうしたらいいのだろう。むやみに動かしてはいけなかった気がする。


鈴奈は、言った。

「救急車!救急車を呼びましょう。お義母さん?」

義母を見ると、テーブルにある書類を握りしめていた。


「そんな人!救急車なんて呼ばなくていいわ。私は知らないわ。」
義母は、そう言いリビングから急いで外へ出て行った。


「待ってください。お義母さん。」


鈴奈は義母に声をかける。しかし義母は帰って来なかった。




鈴奈は、自分の携帯電話で、119番通報をした。


大きな声に驚いたのか、息子も2階から降りてきた。


「ジージ?どうしたの。ゆうくん、まだ攻撃していないよ。」


鈴奈は、言った。

「大丈夫よ。きっと大丈夫だから。」


ピーポーピーポーピーポー


遠くから救急車の音が聞こえてくる。


「大丈夫だから。」

鈴奈は自分自身に声をかけるように、そう言った。


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