【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)

文字の大きさ
上 下
8 / 55
限界離婚

揃わない夕食

しおりを挟む
「おかえりー。おじいちゃん。」

義父の広一が帰宅すると共に、息子の勇太が走っていった。

「おお。ゆうくん。元気だなあ。」

鈴奈は、夕食の準備をしていた。午後からは2階の段ボールを片づけをしていた。息子の勇太は数個のおもちゃを持って1階と2階を移動し、義祖母の文と遊んだり、鈴奈の所へ帰ってきたりを繰り返していた。

帰ってきた義父の広一は、手を洗い、鞄を片付けると、さっそく勇太と遊び出した。

ソファに座って寛ぎながら、勇太が持っている玩具の剣を受け、大げさに倒れこんでいる。

「きゃきゃきゃ。ジージ。よわーい。」

「ゆうくんは、強いな。すごいぞ。」

鈴奈はほっとしていた。義母は午後から出かけたのか見かける事がない。

義父の広一が勇太と遊んでくれるので、家事が捗っていた。

そこに、夫の良が帰宅する。

「ただいま。すごいな。今日は鰻か。」

ちょうど食卓に夕食を並べた所だった。

義母以外の家族が揃い食事を始めた。

良が言った。
「母さんは?いないの?」

義父が言う。
「京香は退職してから外出する事が増えたからな。どこに行っているのか帰りも遅い。鈴奈さんには申し訳ないな。」

良が言う。
「そうなのだ。母さんが同居に一番賛成していたのに。」

義父が言う。
「今週で私も退職だ。ゆうくん。いっぱいジージと遊ぼうな。」

勇太が嬉しそうに言った。
「うん。ジージいっぱい倒すぞ。」

義父が言う。
「ハハハ。ありがとう良、鈴奈さん。家がにぎやかになってうれしいよ。」

鈴奈は言った。
「いえ、こちらこそありがとうございます。そういえば今日、お祖母さんからお金を頂いたのですが、、、」

義父は言った。
「母さんから?京香からじゃないのか?」

鈴奈は言った。
「ええ、お義母さんからは何も頂いていないです。」

義父は言う。
「おかしいな。京香が退職してからは、食費は京香が持っている筈なのだが、、、」

良が祖母に話しかける。
「御祖母さん。鈴奈にありがとう。」

義祖母は言った。
「いいんだよ。鈴ちゃんが帰って来てくれただけで十分だよ。」

義祖母の言葉を聞き、義父が少し暗い表情をしている事に鈴奈は気が付いた。

(どうしたのだろう?お義父さん。)

その暗い表情は一瞬だけで、すぐに広一は笑った。
「京香へは、私から聞いてみるよ。ありがとう鈴奈さん。美味しかったよ。」

鈴奈は、気のせいだったと思い頷いた。
「どういたしまして。お義父さん。」
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~

紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。 行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。 ※「Amnesia」は医学用語で、一般的には「記憶喪失」のことを指します。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...