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家族
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ミラージュは、ルルアーナを匿う事にした。
ルルアーナは、ギガリア公爵邸を侍女の姿に扮して脱出してきたらしい。ルルアーナの筆頭侍女のラニーはマイラー子爵家の出身だった為、両親に頼み込み舞踏会へ招待状を手に入れたと説明された。
ルルアーナは、妊娠兆候が分かってから酷い悪阻に悩まされていたそうだ。
父親のギガリア公爵はルルアーナを溺愛していた。
将来の王妃となるはずの自分そっくりの娘であるルルアーナを。
ギガリア公爵はルルアーナへの態度が豹変したらしい。
ルルアーナの妊娠が分かった日から、ギガリア公爵はルルアーナを酷くののしるようになったと聞いた。
ミラージュは、王妃に面談していた。
「王妃様。ありがとうございます。ルルアーナも少し落ち着いてきたみたいです。」
目の前に座り、優雅にお茶を飲んでいる王妃は、微笑み言った。
「可愛いミラージュの頼みですもの。それに、身内が絡んでいますから、ルルアーナ公爵令嬢を匿うのは当たり前よ。でも、貴方は大丈夫なのかしら。彼女とは因縁があるのでしょう?」
「ルルアーナは、私のたった一人の姉になるはずです。血のつながった家族は、亡くなった母だけだと思っていました。いろいろありましたが、恨んではいません。」
「そうなのね。血のつながった家族と言えば、ローニャ侯爵が貴方にどうしても会いたいそうよ。襲撃を警戒して王城に留まっていてもらっていたけど、もう貴方は正式な王太子婚約者だわ。護衛を沢山つける事ができる。近々ローニャ侯爵邸を訪問してみてはどうかしら。」
「ローニャ侯爵様ですか?私を養子に迎え入れてくれた事には感謝していますが、会いに行ってもいいのでしょうか。かなりご高齢とお聞きましたが。」
「そうなのよ。あの気難しい老人が、何度も書簡を送ってくるの。どうしても貴方に会いたいみたいだわ。ここ数年屋敷から一歩も外に出ていないはずなのに。」
「分かりました。王妃様。ローニャ侯爵様を訪ねてみます。」
「ありがとう。ミラージュ。ローニャ侯爵に宜しく伝えてくださいね。」
数日後ミラージュは、ベージュ色の訪問ドレスに身を包み、つばの大きな帽子を被って馬車に乗り込んだ。ローニャ侯爵へ訪問のお伺いの伝令を出すと、すぐにでも会いたいと返事が返って来た。
(人付き合いが嫌いな、厳格で気難しいローニャ侯爵と聞いていたから、こんなにすぐに訪問を許可されるなんて思わなかったわ。)
馬車は、数十人の騎士を引き連れて王城を出発した。過剰な警戒態勢だと感じるが、一度王城から連れ去れたミラージュに対して、グランは先鋭の騎士を護衛に選んだみたいだった。
馬車に乗りながら、ミラージュは窓の外を眺めた。
王太子婚約者候補選別会に参加させられた時は、青々と茂っていた木々は、所々赤や黄色に色を変化させ、沢山の枯葉が道に落ちている。
シャカシャカシャカ
馬車の車輪が落ち葉を踏み、小気味いい音を立てている。
後継者がいないからと、与えられたローニャ姓だが、今まで一度もローニャ侯爵には会った事がない。確か、かなり以前に息子や娘を亡くし、妻とも死別したらしい。
(仮にもローニャ姓を名乗るのだから、できればローニャ侯爵様とも良好な関係を築きたいわ。)
少し緊張しながら、ミラージュは馬車に揺られローニャ侯爵邸へ向かった。
ルルアーナは、ギガリア公爵邸を侍女の姿に扮して脱出してきたらしい。ルルアーナの筆頭侍女のラニーはマイラー子爵家の出身だった為、両親に頼み込み舞踏会へ招待状を手に入れたと説明された。
ルルアーナは、妊娠兆候が分かってから酷い悪阻に悩まされていたそうだ。
父親のギガリア公爵はルルアーナを溺愛していた。
将来の王妃となるはずの自分そっくりの娘であるルルアーナを。
ギガリア公爵はルルアーナへの態度が豹変したらしい。
ルルアーナの妊娠が分かった日から、ギガリア公爵はルルアーナを酷くののしるようになったと聞いた。
ミラージュは、王妃に面談していた。
「王妃様。ありがとうございます。ルルアーナも少し落ち着いてきたみたいです。」
目の前に座り、優雅にお茶を飲んでいる王妃は、微笑み言った。
「可愛いミラージュの頼みですもの。それに、身内が絡んでいますから、ルルアーナ公爵令嬢を匿うのは当たり前よ。でも、貴方は大丈夫なのかしら。彼女とは因縁があるのでしょう?」
「ルルアーナは、私のたった一人の姉になるはずです。血のつながった家族は、亡くなった母だけだと思っていました。いろいろありましたが、恨んではいません。」
「そうなのね。血のつながった家族と言えば、ローニャ侯爵が貴方にどうしても会いたいそうよ。襲撃を警戒して王城に留まっていてもらっていたけど、もう貴方は正式な王太子婚約者だわ。護衛を沢山つける事ができる。近々ローニャ侯爵邸を訪問してみてはどうかしら。」
「ローニャ侯爵様ですか?私を養子に迎え入れてくれた事には感謝していますが、会いに行ってもいいのでしょうか。かなりご高齢とお聞きましたが。」
「そうなのよ。あの気難しい老人が、何度も書簡を送ってくるの。どうしても貴方に会いたいみたいだわ。ここ数年屋敷から一歩も外に出ていないはずなのに。」
「分かりました。王妃様。ローニャ侯爵様を訪ねてみます。」
「ありがとう。ミラージュ。ローニャ侯爵に宜しく伝えてくださいね。」
数日後ミラージュは、ベージュ色の訪問ドレスに身を包み、つばの大きな帽子を被って馬車に乗り込んだ。ローニャ侯爵へ訪問のお伺いの伝令を出すと、すぐにでも会いたいと返事が返って来た。
(人付き合いが嫌いな、厳格で気難しいローニャ侯爵と聞いていたから、こんなにすぐに訪問を許可されるなんて思わなかったわ。)
馬車は、数十人の騎士を引き連れて王城を出発した。過剰な警戒態勢だと感じるが、一度王城から連れ去れたミラージュに対して、グランは先鋭の騎士を護衛に選んだみたいだった。
馬車に乗りながら、ミラージュは窓の外を眺めた。
王太子婚約者候補選別会に参加させられた時は、青々と茂っていた木々は、所々赤や黄色に色を変化させ、沢山の枯葉が道に落ちている。
シャカシャカシャカ
馬車の車輪が落ち葉を踏み、小気味いい音を立てている。
後継者がいないからと、与えられたローニャ姓だが、今まで一度もローニャ侯爵には会った事がない。確か、かなり以前に息子や娘を亡くし、妻とも死別したらしい。
(仮にもローニャ姓を名乗るのだから、できればローニャ侯爵様とも良好な関係を築きたいわ。)
少し緊張しながら、ミラージュは馬車に揺られローニャ侯爵邸へ向かった。
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