2 / 11
続 忘れてください
しおりを挟む
ルナリーは、メイドのアンナと共に、オーガンジス侯爵邸を後にした。
夫のライルは、朝早く出勤したらしく、ルナリーは会う事が出来なかった。
屋敷の玄関ホールには、義母のマクベラ侯爵夫人が使用人達と共にいた。
マクベラ前侯爵夫人はルナリーに言った。
「さようなら。ルナリーさん。やっとご実家に帰られるのね。」
マクベラ前侯爵夫人は、初めてルナリーと会った時から冷たかった。
前侯爵の後妻であるマクベラ夫人は、元夫のライルとは血の繋がりがない。
ライルの恋人のメアリージェンはマクベラ夫人の姪になる。
幼い頃からライルとメアリージェンは仲睦まじかったそうだ。
ルナリーは膨大な資産を持つアーバン商会会長の庶子として生を受けた。ルナリーを溺愛していた父は、膨大な持参金をルナリーに持たせて貴族の家に嫁がせた。
その父も1年前に、亡くなり今は異母兄がアーバン商会を継いでいる。
庶子のルナリーには実家に帰っても居場所がない。
マクベラ夫人は、ルナリーの事情についてよく知っているはずだ。
ルナリーは微笑んで言った。
「お元気で。マクベラ夫人。兄の使いが離縁後の持参金返還について訪れると思いますのでよろしくお願いしますわ。」
持参金を使い込んでいるマクベラ夫人は、顔を強張らせた。
ルナリーは、馬車を乗り継ぎ、下町の奥にある古ぼけた屋敷にたどり着いた。
ルナリーは夫のライルを愛していた。
ライルもルナリーに好意を持っていると思っていた。
結婚し、オーガンジス侯爵邸で暮らすようになったルナリーはすぐにそうではない事に気がついた。
オーガンジス侯爵邸には、すでに女主人のように振る舞うメアリージェンがいた。
金髪で美しく明るいメアリージェンは、屋敷のすべてを掌握していた。
食事の時は、メアリージェンが女主人の席に当然のように座る。
屋敷の使用人達からは、ルナリーは持参金目的に結婚したお飾りの妻として扱われた。
夫のライルは、仕事が忙しくほとんど屋敷に帰って来ない。
メアリージェンやマクベラ夫人、使用人達からはメアリージェンとライルが仲睦まじい恋人同士である事、二人を引き裂くルナリーが目障りである事を何度も伝えられた。
時に会う夫のライルはルナリーに優しく、ルナリーも初めは夫の事を信じていた。
春の舞踏会が城で開催される為、ルナリーは町に買い物に出かけていた。
その時、メアリージェンと夫のライルが腕を組み、ドレスショップに入って行く場面に遭遇する。
美男美女の二人に周囲の人が見とれている。
買い物について来た侯爵邸の使用人が、ルナリーに告げる。
「ライル様とメアリージェン様は本当にお似合いです。」
(お飾りの妻である貴方とは違って。)
春の舞踏会にルナリーは行かなかった。
貴族でもない、たかが商人の庶子が春の舞踏会に侯爵夫人として参加するなんてとんでもないと、マクベラ夫人が強く反対したのだ。ルナリーは3日3晩自室に閉じ込められた。
夫のライルはメアリージェンと春の舞踏会に参加したらしい。
その後、しばらくして、メアリージェンから夫の子供を妊娠したと告げられた。
夫のライルは、夜を共にする時はルナリーに「愛している」と告げてくる。
ルナリーはメアリージェンの言う言葉が信じられなかった。
夫本人から告げられるまでは、いくら屋敷の使用人やマクベラ夫人、メアリージェンから嫌がらせを受けても侯爵邸から出て行くつもりはなかった。
それに、ルナリーも気が付いていた。
自分のお腹に宿った命がある事を。
夫のライルは、朝早く出勤したらしく、ルナリーは会う事が出来なかった。
屋敷の玄関ホールには、義母のマクベラ侯爵夫人が使用人達と共にいた。
マクベラ前侯爵夫人はルナリーに言った。
「さようなら。ルナリーさん。やっとご実家に帰られるのね。」
マクベラ前侯爵夫人は、初めてルナリーと会った時から冷たかった。
前侯爵の後妻であるマクベラ夫人は、元夫のライルとは血の繋がりがない。
ライルの恋人のメアリージェンはマクベラ夫人の姪になる。
幼い頃からライルとメアリージェンは仲睦まじかったそうだ。
ルナリーは膨大な資産を持つアーバン商会会長の庶子として生を受けた。ルナリーを溺愛していた父は、膨大な持参金をルナリーに持たせて貴族の家に嫁がせた。
その父も1年前に、亡くなり今は異母兄がアーバン商会を継いでいる。
庶子のルナリーには実家に帰っても居場所がない。
マクベラ夫人は、ルナリーの事情についてよく知っているはずだ。
ルナリーは微笑んで言った。
「お元気で。マクベラ夫人。兄の使いが離縁後の持参金返還について訪れると思いますのでよろしくお願いしますわ。」
持参金を使い込んでいるマクベラ夫人は、顔を強張らせた。
ルナリーは、馬車を乗り継ぎ、下町の奥にある古ぼけた屋敷にたどり着いた。
ルナリーは夫のライルを愛していた。
ライルもルナリーに好意を持っていると思っていた。
結婚し、オーガンジス侯爵邸で暮らすようになったルナリーはすぐにそうではない事に気がついた。
オーガンジス侯爵邸には、すでに女主人のように振る舞うメアリージェンがいた。
金髪で美しく明るいメアリージェンは、屋敷のすべてを掌握していた。
食事の時は、メアリージェンが女主人の席に当然のように座る。
屋敷の使用人達からは、ルナリーは持参金目的に結婚したお飾りの妻として扱われた。
夫のライルは、仕事が忙しくほとんど屋敷に帰って来ない。
メアリージェンやマクベラ夫人、使用人達からはメアリージェンとライルが仲睦まじい恋人同士である事、二人を引き裂くルナリーが目障りである事を何度も伝えられた。
時に会う夫のライルはルナリーに優しく、ルナリーも初めは夫の事を信じていた。
春の舞踏会が城で開催される為、ルナリーは町に買い物に出かけていた。
その時、メアリージェンと夫のライルが腕を組み、ドレスショップに入って行く場面に遭遇する。
美男美女の二人に周囲の人が見とれている。
買い物について来た侯爵邸の使用人が、ルナリーに告げる。
「ライル様とメアリージェン様は本当にお似合いです。」
(お飾りの妻である貴方とは違って。)
春の舞踏会にルナリーは行かなかった。
貴族でもない、たかが商人の庶子が春の舞踏会に侯爵夫人として参加するなんてとんでもないと、マクベラ夫人が強く反対したのだ。ルナリーは3日3晩自室に閉じ込められた。
夫のライルはメアリージェンと春の舞踏会に参加したらしい。
その後、しばらくして、メアリージェンから夫の子供を妊娠したと告げられた。
夫のライルは、夜を共にする時はルナリーに「愛している」と告げてくる。
ルナリーはメアリージェンの言う言葉が信じられなかった。
夫本人から告げられるまでは、いくら屋敷の使用人やマクベラ夫人、メアリージェンから嫌がらせを受けても侯爵邸から出て行くつもりはなかった。
それに、ルナリーも気が付いていた。
自分のお腹に宿った命がある事を。
378
お気に入りに追加
619
あなたにおすすめの小説
夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
【完結】あなたから、言われるくらいなら。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢アマンダの婚約者ジェレミーは、三か月前編入してきた平民出身のクララとばかり逢瀬を重ねている。アマンダはいつ婚約破棄を言い渡されるのか、恐々していたが、ジェレミーから言われた言葉とは……。
2023.4.25
HOTランキング36位/24hランキング30位
ありがとうございました!
【完結】私の婚約者はもう死んだので
miniko
恋愛
「私の事は死んだものと思ってくれ」
結婚式が約一ヵ月後に迫った、ある日の事。
そう書き置きを残して、幼い頃からの婚約者は私の前から姿を消した。
彼の弟の婚約者を連れて・・・・・・。
これは、身勝手な駆け落ちに振り回されて婚姻を結ばざるを得なかった男女が、すれ違いながらも心を繋いでいく物語。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしていません。本編より先に読む場合はご注意下さい。
【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。
しかし、仲が良かったのも今は昔。
レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。
いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。
それでも、フィーは信じていた。
レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。
しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。
そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。
国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる